とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

関西シウマイ弁当

 姫路駅の新幹線のホームで駅弁を買った。

 この日は兵庫県姫路市の砥堀(とほり)駅から17:22発のJR播但(ばんたん)線に乗り、姫路駅に17:34に到着。姫路駅では14分の乗り換え時間に博多までの乗車券と新幹線特急券を購入して、17:48発の新幹線さくら567号に乗らなければならない。

播但線が姫路駅に到着

 有人窓口に走り、砥堀駅でタッチしたSUICAを無効化して、砥堀駅から博多までの通しの乗車券と新幹線特急券を発券してもらい、カードでの支払いを済ませたら17:41。新幹線の改札を通過したときには17:42だった。

 さくら567号は博多まで乗り換えの必要がなく、2時間以上車上の人となる。そこで、車内での食料の調達に考えていたのが、駅構内のセブンイレブンであったが、レジに長い行列ができていた。

 構内には「14番線にさくら567号、鹿児島中央行きが参ります」とアナウンスが流れはじめた。諦めてホームに上がるエスカレーターに乗った。仕方がない。ザックの中のチョコレートと、レモンティーで空腹を癒やせばいいやと腹を括った。

 14番線ホームを8両編成の1号車の位置に向かって歩き始めると、ホームに駅弁のスタンドがある。駅弁もいいかと覗いてみると、なんと大好物のシウマイ弁当があるではないか。いつものシウマイ弁当とどこか違うが、選択の余地はない。千円札を取り出して一つ購入すると、ちょうど入線してきた新幹線に乗車した。

姫路駅に新幹線が入線

 今日の昼食は、カップヌードルとおにぎり一つ。食後にみそ味の団子をおやつに食べたが、すでにお腹はペコペコ。車内も混んでいないので、さっそくシウマイ弁当を拡げることにした。

 改めてパッケージを見てみると、「関西シウマイ御弁当」と書いてある。いつもの崎陽軒シウマイ弁当とは違う。経木でできた容器は同じだが、崎陽軒の包装は黄色だったような気がする。

 蓋を開けてみた。おかずのパートをじっくり観察する。シウマイは5つで同じ。しかし、タケノコの形が違う。塩サバが入っているが、崎陽軒はマグロだったような気がする。

 漬物コーナーにはキュウリの柴漬けのようなものが入っているが、紅ショウガじゃなかったっけ?海苔もない。それに、アンズがない。代わりに黒豆が入っている。うーむ、違う。

 ご飯も微妙に違う。上にかかっていたのは黒ゴマだったよな。梅干しは青梅だったし。

 もう一度包装紙を見てみると、まねき食品×崎陽軒となっている。これは崎陽軒シウマイ弁当ではなく、まねき食品のコラボ弁当のようだ。

 崎陽軒シウマイ弁当ではないことは分かったが、弁当を入手できただけでも文句はない。食べながら検索をして、まねき食品について調べてみた。

 まねき食品は、まさに姫路市に本社を置く外食産業。1889年に当時の「まねき」が姫路駅で経木の折詰めに入れた幕の内弁当を販売したのが、駅弁における幕の内弁当の始まりだとされている。駅弁界の名門だった。

 そんなことを検索しつつ読みながら、30分ほどで岡山に着くまでには米粒一つ残さず食べ終えた。心なしかそれぞれのおかずの味が薄味。いつもの食べ慣れたシウマイ弁当とはちょっと違う。

こちらが崎陽軒シウマイ弁当


 以前のエントリに崎陽軒シウマイ弁当のことを書いているが、このシウマイ弁当には亡くなったおじいさんとの大切な記憶と思い入れがある。

 

nayutakun.hatenablog.com

 まねき食品さんには悪いが、崎陽軒シウマイ弁当こそが、自分の死ぬ前に食べたい30の食べ物のひとつだと再確認した。

2022年4月17日 近畿自然歩道4日目(通算176日) 兵庫県姫路市太市〜姫路市砥堀 紅葉の圓教寺にも訪れてみたい

 今朝は姫路市内のホテルで6:00に目を覚ました。グッスリ眠ることができて快調。週末のテント生活には慣れてきたとはいえ、やっぱり夜中に動物の気配がすると目が覚めてしまうから、ホテルはかなり快適だ。6:30から朝食を摂り、7:00にホテルを出発する。気温は4℃。半袖Tシャツでは肌寒い。

ホテルを出ると正面に姫路城

 姫路駅から7:31の姫新線に乗って、7:46に太市(おおいち)に到着。すぐにYAMAPを動作させて行動を開始した。

太市の市街地を北上

 まずは県道420号線を北に進み、7:56に破磐(はばん)神社に参拝。神社では採れたてのタケノコの無人販売をしている。旬のタケノコはとても気になったが荷物になる。本日はパス。

破磐神社にお参り

タケノコの販売が気になる

 8:10に昨日、近畿自然歩道を離脱した石倉集落の離脱地点に到着し、ここからは県道724号線を東に進む。県道上でもタケノコを販売している。このあたりはタケノコの名産地のようだ。路上の販売所には、地元の人が自動車を停めて作柄を聞いている。

県道上でもタケノコの販売

 8:23に山陽自動車道山陽姫路西インター信号を左折して、今度は北に向かう県道545号線を進む。残念ながら歩道がない。500mほど歩いて、EADASのコースに従ってゴルフセンターの看板に向かって右折する。

県道から右に入って白鳥池に進む

 これで道路は静かになった。左手には神子(みこ)池が見える。神子池を過ぎるとふたたび県道545号線に戻るのがEADASのコースだが、地図を見るとこの先も池の周りを周回する道を歩いて県道への合流を遅らせることができる。白鳥池の周回路を進むことにした。

神子池

 白鳥池は南半分の水面はソーラーパネルで埋め尽くされており、北半分は池めがけて打ち込むゴルフ場。この池は、あまり大切にされていない気がする。

白鳥池の西半分はソーラーパネルで埋め尽くされ、東半分はゴルフの打ちっぱなし

白鳥中池

 白鳥中池を過ぎて、8:50に県道545号線に復帰。白鳥台のローソンで飲料水を購入。山の上を見上げると、シンデレラ城のような建物。思わず通りがかりの人に聞いたら、白鳥城というテーマパークだとか。てっきり怪しげな宗教施設かと勘違いしてしまった。

白鳥台の山上にはお城

 県道545号線を1kmほど進み、9:11に六角橋から県道411号線に左折する。菅生川に沿った道だが、交通量が多すぎる。県道に並行した農道を北に進むことにした。

菅生川に沿って県道411号線を北上

県道の交通量が多いので、並行した農道を歩く

 9:31に刀出(かたなで)の集落に到着し、集落の半ばから山手の道に進む。害獣防止柵を通り、書写山登山口に進む。

刀出の集落の街路樹は白とピンクのハナミズキ

刀出固寧倉(昔の貯蔵庫)

固寧倉から右折して登山道に進む

刀出天神古墳

 書写山は人気の山のようで、整備状態は良好。踏み跡はしっかり付いており、ところどころに石畳や、木製のステップがつけてある。快適に登って10:30に圓教寺奥の院開山堂に到着。

踏み跡のしっかりついた道を上る

のんびり1時間ほどで山上に出る

奥の院開山堂

 開山堂に引き続き、大講堂、食堂(じきどう)、常行堂(じょうぎょうどう)の三之堂を見学。いずれも巨大な木造建築で、重要文化財。圧倒される迫力がある。

三之堂。左から常行堂、食堂、大講堂。

 最後に本堂にあたる摩尼殿(まにでん)にお参りする。目の前に楓の緑が映え、清水の舞台のよう。

摩尼殿

清水の舞台のよう

 11:20に圓教寺を出発して、仁王門をくぐり、ロープウェイ山上駅に向かう。ここからの景色が良い。山上駅からは東坂参道を下る。登山道は岩の道に変わり、砥石坂と名付けられていた。子供連れの家族も多数登ってきており、それほど難しいコースではない。

ロープウェイの駅に向かう

仁王門をくぐる

砥石坂からの眺めも良い

 12:10に書写山参道入口に到着。集落の中を巡って、12:20にロープウェイ山麓駅に到着した。山麓駅のベンチで昼食とした。

参道入口に到着

ロープウェイ麓駅

麓駅で昼食とする

 12:50に行動を再開したが、その前に書写団子をおやつに一口。書写の里美術工芸館の建物だけ見学して、夢前(ゆめさき)川の右岸に沿って進む。夢前川とは由来の気になる名前だ。

この売店が気になった

団子をいただいた

書写の里美術工芸館。設計は宮脇壇。

 13:30に山富集落で夢前川を渡り、東の山に向かう。氷室神社に立ち寄ってから、山富団地が途切れるところから山中の道に進む。砂利敷きではあるが歩きやすい良道。前を母娘が歩いている。追い抜きざまに挨拶を交わすと、お母さんは杖をついた90歳代とおぼしき方。こんな坂をよく歩いているなと感心した。どこまで登るのかと思っていたら、氷室池の方に下りて行かれたので少し安心した。

夢前川

氷室神社に立ち寄る

この先は山道

だんだん険しくなるので、前を行く女性が転落でもしたら、と心配になってきた

 池を過ぎた辺りから急坂が始まった。ところどころに標識が現れ、踏み跡もかすかに見つかる。14:40に302mの小ピークから稜線の道に入り、快適なコースに変わる。この辺りからは道標の数も増えてくる。

急坂区間になると道は怪しくなる

稜線に入ると快適な道になる

矢印だけの道標も出てくる

 15:13にコース途中の荒神社に立ち寄り、15:19に廣峯神社に到着。参道の正面に姫路の街が拡がる。廣峯神社から東に進む道は注意がいる。ここは境内の横から石垣に沿って下っていくが、標識の位置がわかりにくい。

荒神

廣峯神社

廣峯神社からの景色も良い

廣峯神社の道標はわかりにくい位置にある

 心地の良い道をしばらく進む。15:44に南の随願寺と北のキャンプ場への分岐に出た。参考にさせてもらったねむいさんはコースを間違えてキャンプ場方向から来ているようだが、EADASのコースに従って随願寺に進む。

しばらくは心地よい道を進む

キャンプ場と随願寺との分岐点

蛇が池を通過

 稜線の快適な道を進んで16:05に随願寺に到着。ここも立派な建築が立ち並ぶ。随願寺から先は少し道がわかりにくい。鐘楼の先の階段を下りてから梅林に向かい、その後も道標の指す方向に気をつけながら進む。このあたりのEADASのコースは誤っているようで、現場の道標に従って進む。

随願寺

この先は鐘楼の横の階段を下りる

梅林の中に進む

分かりにくい道だが、非常にこまめに道標が立っている

 谷間の薄暗い道を進み、16:41に舗装路に合流する。ここからは渓流に沿って下流に進む。道路脇には楓の緑が美しい。秋はさぞ素晴らしい光景になることだろう。

そうめん滝キャンプ場に続く舗装路に出る

楓に囲まれた心地よい道

そうめん滝

 17:00には砥堀の市街地に入り、県道518号線を南に進む。17:15に砥部駅に到着して行動終了。17:22の播但線に乗車して福岡への帰途につく。

播但線に乗車するのも生まれて初めて

2022年4月17日 近畿自然歩道4日目(通算176日) 兵庫県姫路市太市〜姫路市砥堀 晴れ 20/3℃ 行動距離24.5km 行動時間9:25 獲得高度1076m 44781歩

復路交通: 砥堀17:22JR播但線-姫路17:34/17:48新幹線さくら567号-博多19:55

2022年4月16日 近畿自然歩道3日目(通算175日) 兵庫県相生市矢野町森~姫路市大市 道良し人良し景色良し

 本日は2週間ぶりの自然歩道トレッキング。福岡から九州自然歩道を歩き始めて、中国自然歩道を経て、すでに近畿自然歩道の兵庫県に入ってしまった。福岡から兵庫にまでトレッキングのために通っているのである。なんと、500km以上の距離がある。それでも山陽は新幹線があるため、中継地を選べば離脱地点までの交通は良い。今回も3時間ほどで現場に復帰できた。

山陽の旅は新幹線に助けられる

 自宅から始発の地下鉄に乗車して博多、岡山を経由して山陽新幹線で相生に到着したのが8:27。相生駅前のロータリーから8:38の神姫バスに乗車して8:51に前回近畿自然歩道を離脱した森公民館前に到着した。

自宅を出て3時間ほどで相生市の山中に復帰できる

 すぐに行動を開始して、まずはスタート地点の近くにある光専寺に立ち寄る。白鷺城をイメージしたかのような白壁と光沢のある瓦が特徴的。光専寺からは県道44号線を横断し、9:04に近畿自然歩道離脱地点の交差点に戻る。

お城のような光専寺

近畿自然歩道に復帰

 ここからは2車線の舗装路をまっすぐ東に進む。1.5kmほど先の中野集落の左の山手にふるさと交流館という施設に立ち寄る。廃校になった学校の跡地を利用した施設のよう。宿泊が可能なよう。

自動車のほとんど通らない2車線の道を快適に進む

ふるさと交流館

 さらに東に進み榊集落で、矢野川の支流の榊川を越える。正面に播磨自動車の高い高架が見えてきた。高架をくぐると釜出集落で、9:41に到着。ここまで3.2kmは快調に進む。

播磨自動車道の高架下をくぐる

釜出集落

 釜出の家並みが途切れたところで舗装路は終わりとなる。ここから右に折れて、川に沿った細い道に進むが、標識がないので迷いどころ。幸い今回は、反対方向からこのコースを進んだねむいさんのYAMAPログがあるため、参考にしながら進む。橋を渡って山道区間に入るが、このあたりは標識がなく、倒木が多く、踏み跡も見当たらない。ログがなかったらかなり迷いそう。助かった。

ここから右に曲がるが、道標がないので要注意

川に沿って進む

 害獣防御柵を越えて、落ち葉の厚く積もった道を踏みしめながら、源流に沿って東に進む。途中の橋が落ちかけているが、谷川の水量が少なく、問題なく徒渉できる。ときおり倒木が道を塞ぐ。踏み跡は見えないが、谷川の左右には棚田の痕跡と思われる石垣がところどころ残っており、長い間踏みしめられた固い路盤を感じる。石垣で作られた平坦地にはすでに多数の灌木が茂っているが。

害獣防御柵を越えて山道に進む

少し荒れているがご愛敬

こういうところはGPSのログがあると安心

荒れてはいるが、数十年前まで棚田が維持されていたよう

 急な斜面を上り終えて、10:13に標高297mの分岐点に到着して小休止。汗が噴き出てきたので、Tシャツ一枚になる。

林道に合流する

 ここからは整備状態の良い林道に合流する。林道には自動車の轍が付いている。両側を低木に囲まれた快適な道。交通量は少ないが、ときどき軽トラが通りかかり、幅の広いタイヤを履いた自転車も通りかかる。この林道は勾配も緩く、周囲の風景も優れ、いつまでも歩いていたくなるほど快適。道路脇には棚田の跡や、菖蒲谷村の跡が残されている。

ここからの林道は快適の一語

かつての集落の棚田跡

季節も天気も良かった

 快適良道をさらに進むと、10:50に菖蒲谷森林公園が出てきた。この林道は森林公園の維持のためのものだろうか。公園には芝の広場などが広がる。野営適地が多数あるが、キャンプ可能かどうかは不明。よく整備されているが、人はいない。もったいない。

菖蒲谷森林公園の芝生の上で寝てみたい

 11:04に花菖蒲園を通過。菖蒲の季節にはまだ少し早い。この先で南からの林道との三叉路を北に進み、11:18にエメラルドグリーンの大成(おおなり)池が目の前に拡がった。ここは山上の天国かと思えるほどの美しい池。300mほど池を見ながら北岸を進む。

花菖蒲園

花菖蒲園からしばらく進むと大成池

池に沿って進む

 池を過ぎると林道は途切れ、堤に作られた階段を下りて山中の道を進む。このあたりは道標がしっかり設置してあるので安心。

大成池の北端からふたたび山中に進む

 スギの植林の中を進むと木々の間に新池が見えてくる。ここも美しい。池を見ながら南岸を進み、芝の生えた堤の上を歩く。

木々の間に新池が見えてくる

この池も美しい

 堤の端まで来たところで、迂回を指示する標識。ここでねむいさんは崩落のあるオリジナルルートを進んでいるが、今回は「うかい」と書かれた迂回路を歩いてみる。いくらかアップダウンのある山道を進む。道標はこまめに設置してあり、踏み跡も多い。ただし、道標は近畿自然歩道だけでなく、地元のおすすめコースを示すものもある。

こちらはねむいさんの通過した崩落コース

よいこはうかいろにすすむ

ときどき近畿自然歩道以外の道標も出てくる

こちらはねむいさんのすすんだオリジナルルートの入口

 12:02に亀の池(きのいけ)に到着。この池は、大成池、新池のエメラルドグリーンとは異なり、濃い緑色。池の堤の上では、20名ほどの男女が昼食を摂っていた。皆さん元気が良い。私もここで昼食とすることとして、ガスコンロでお湯を準備した。

亀の池

ここで昼食

 30分ほどゆっくりしてから行動再開。20分ほどで亀山(きのやま、458m)に到着。ここは眺望なし。

亀山

 10分ほど進んだところで、城山城の礎石のある眺望ポイントに分かれて進む。13:07に城山城眺望ポイントに到着したが、新宮町が眼下に一望できる絶景ポイント。

城山城の礎石からは素晴らしい眺望

 ふたたびコースに戻る。ここで山道が2手に分かれるが、間違えやすい。真南に進むとその先に道標が現れる。この先はツツジが咲く稜線上の美道を進む。

的場山が次の目標だが、複数の道標が入り乱れて分かりにくい

稜線に入ると心地よい道になる

眺望も開けてくる

電波塔の建った的場山が正面に見えてくる

 13:46に382mの小ピークを越えてさらに進む。傾斜が45°ほどもある坂を汗をかきかき登っていると、正面から自転車に乗った男性が下ってきた。断って写真を撮らせてもらった。男性は笑いながら自転車で下っていったが、これは自分には無理。転倒したら下まで数十メートルも止まりそうにない。骨折必至。

こんなところを自転車に乗って!

一気に下っていった

 14:16に的場山(394m)に到着。山頂は南が開けており、淡路島まで見える。水分を摂りながら汗が引くのを待つ。

的場山山頂から播磨灘、淡路島を望む

 山頂からは14:26に行動を再開。かなりの急斜面を下る。さっきの自転車の男性はこの道を上ってきたのかなと、頭をよぎる。

山頂からの道もかなり急だ

 14:50に両見坂に到着。大きな灯籠が目印。ここからはねむいさんのコースを外れ、EADASのルートに従って北に進む。このコースは人があまり通っていないようでかなりの荒れよう。さいわい傾斜はあまりなく、道は推測可能。しかし、害獣防護柵を越えたら道は完全に消えた。最後の200mほどは倒木を乗り越え、藪をかき分けて15:09に龍光寺に到着。

両見坂の燈籠

ここからは薄暗い道を進む

最後は藪漕ぎ

 龍光寺ではお参りを済ませて、さっさと先に進もうと階段を下りていたら、男性から美術展を見学していかないかと声を掛けられた。お寺で美術展?と訝しがりながら本堂の中に進むと、絵画やミニチュアの茅葺きの家、サンドブラストでラベルを標したワインのボトル、万華鏡など、なかなかの力作が並ぶ。住職の男性に聞くと、いずれも檀家さんたちの作品だという。なかなかユニークな美術展を楽しませてもらった。お寺さんとのこんな交流も楽しいものだ。地方は高齢化が進み、元気のないところもいろいろ見てきたが、多くの集落に存在するお寺さんを中心に地域がまとまって活動するのもいい方策だと感じた。

龍光寺では美術展を見学させていただいた

4代目の住職さんと奥様と思しき美しい女性が案内してくれた

 龍光寺を辞した後は、三坂神社を経て、15:33に実業高校前の国道179号線に出た。しばらくは国道を北に向かって歩く。ここは、歩道はあるが交通量が多い。はやく脇道に進みたい。

阪神

龍野実業高校から国道に折れる

 栗栖川を越えたところで、国道から右に進み、揖保川の堤防の上を北に進む。のどかな光景が広がる。そのまま1kmほど揖保川に沿って堤上を進み、15:59に觜崎(はしさき)橋で揖保川を越える。

揖保川の堤防上を進む

觜崎橋

姫新線の鉄橋

 ここからは県道724号線となるが、歩道はなく、交通量が多く、非常に危険。ザックをかすめるように自動車が通り過ぎる。跨線橋でJR姫新線を越える。南に200mほど進めばJR姫新線東觜崎駅で、ここで離脱を予定していたが、まだ16:00と早いため、さらに進むことにした。

姫新線を越える。ここで東觜崎駅から離脱も可能。

 県道724号線をさらに進み、道路端の懐かしい匂いのする商店のアイスクリームで小休止。ここから先は歩道が設置されており、ホッとする。この交通量で歩道なしはあまりに危険。この先では、揖保乃糸資料館そうめんの里に立ち寄るがあまり魅力的なものはない。

懐かしいシャリシャリ食感のアイスクリーム

揖保乃糸の試食を期待した自分が悪かった

 16:42に鳥井橋で林田川を越え、16:55に国道29号線に合流して右折して進む。国道29号線ではふたたび歩道がなくなる。17:04に姫路市境を越えるが、いつか自動車にはねられそう。

街路樹にはハナミズキ

ときおり、ピンクのハナミズキも混じる

国道29号線に合流して姫路市に入る

歩道がなく、危険

 17:11に下伊勢に到達したところで、大津茂川に沿った道を見つけた。国道29号線から離脱して並行する農道を南下することにした。ここからは、自動車の通らない川沿いの快適な道を進む。

国道歩きは堪らず、下伊勢から脇道に進む

 1kmほど南に進み、17:30にふたたび県道724号線に合流して右に進む。さらに500mほど進んだところで、近畿自然歩道から離脱して県道420号線を南に進む。

県道724号線に合流

石倉交差点で近畿自然歩道を離脱して、県道420号線を南に進む

 山陽自動車道の高架の下をくぐり、17:49にJR姫新線の太市(おおいち)駅に到着して行動終了。姫新線には生まれて初めて乗車。ここまで進んでおくと、明日の行程が楽になる。

山陽自動車道の下をくぐる

近頃見なくなったレンゲ

JR姫新線太市駅に到着

2022年4月16日 近畿自然歩道3日目(通算175日) 兵庫県相生市矢野町森~姫路市太市 晴れ 17/7℃ 行動距離27.3km 行動時間8:49 獲得高度1037m 47611歩

往路交通: 西新5:36福岡市営地下鉄-博多5:49/山陽新幹線のぞみ2号-岡山7:43/8:11山陽新幹線こだま836号-相生8:27/8:38ウエス神姫バス-森公民館前8:51

2022年4月3日 近畿自然歩道2日目(通算174日) 兵庫県赤穂郡上郡町上郡~相生市矢野町森 おばちゃんの大きなおにぎり

 本日は兵庫県上郡(かみごおり)町の駅前の旅館で6:00に目覚めた。6:45ごろに朝食が用意されている1階の食堂に下りていく。どうも、宿泊客は自分一人だけだったよう。それでもおばちゃんは元気に給仕をしてくれる。

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旅館の朝食は力が出る

 ご飯を食べていると、「山に行くんだったら、おにぎり作ってあげよか?」と、返事も待たずにおにぎりを握り始めた。「中には梅干しを入れておくからな」と。巨大なおにぎりが2つ、カウンターに並んだ。「今日は天気がいいさかいに、水をようけ持って行かないかんな」と500mlのPETボトルの水も2本カウンターに並ぶ。さらに、「水はたくさん飲まんと命に関わるからな」と冷蔵庫から2LiterのPETボトルまで取り出してきた。こんなものを持たされたら大変だと、丁寧にお断りした。「アメちゃんもおいとくで」。ショウガ飴が3個並んでいた。ここはすでに関西の圏内に入ったようだ。

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おばちゃんが持たせてくれた、おにぎり×2、海苔×4、500ml水×2、アメちゃん×3

 予定よりも2kgほど重くなったザックを担いで、7:25に行動開始。まずは県道236号線を北上する。気温3℃。肌寒い。

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上郡から行動開始

 7:33に千種川に架かる上郡橋を渡る。そこからは左岸を走る国道373号線を上流に向かって進む。川の流れが澄んでいる。

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上郡橋を渡る

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澄んだ水が流れている

 7:42に隈見橋を通過し、さらに支流の鞍居川に架かる武見橋を渡る。鞍居川の川べりのサクラは満開。

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隈見橋横を通過

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武見橋を通過

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鞍居川沿いのサクラは満開

 大枝の集落からは千種川から離れて国道373号線を北上する。突然サイレンが鳴り響く。空襲警報のはずはない。8時のサイレンだった。まだこんな習慣の残っているところがあるのだと感心した。

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突然のサイレンにビックリ

 ふたたび千種川が左に見えてきた。ちょうど対岸の苔縄駅辺りを智頭急行線が通過していく。一度乗ってみたかったが、今回はその機会は見つからなさそうだ。

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千種川対岸の苔縄駅あたりには高架の智頭急行が走る

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 国道から離れて、9:00に赤松集落の折り返し地点に到着。ここからは智頭急行の川野原円心駅の方には向かわず、東の白旗山に向かう。難攻不落の落ちない城ということで受験生らに人気が高いよう。

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国道373号線から赤松集落に右折

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集落内で白旗城に鋭角に曲がる

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 9:14に白旗城登山口に到着。人気の山だけあって、踏み跡はしっかり着いており、整備も良好。害獣防御柵を通って登山道に進む。

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白旗城登山口も厳重な害獣防御柵で守られている

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登山道の整備状況は良好

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 10:00に山頂との分岐点に到着し、10:22に白旗山山頂(439m)に到着。山頂は白旗城本丸跡となっている。低山で灌木が茂っているため素晴らしい眺望というわけにはいかないが、ところどころの木々は伐採されており、眺めを得ることができる。

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分岐点から山頂を目指す

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本丸のあった山頂付近の木は眺望のために伐採されている

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 眺望を楽しんだ後、10:41に分岐に戻り、東に向かって急な坂道を下る。こちらはあまり人が通らないようで、落ち葉が厚く積もって滑りやすい。その後は、ところどころコンクリート舗装があったり、幅広い林道に合流したりで、快適に歩く。11:16に白旗山登山口野桑口に到着。

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ツツジが咲き始めている

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分岐点から鞍居に向かう道は最初は急坂

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舗装部分もあり

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防御柵

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二重の害獣防御柵の外に登山口

 2カ所の害獣防護柵を通過して、本村集落の中を歩き、市見田池を経て11:41に県道28号線に面した鞍居バス停に到着。

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本村集落を歩く

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鞍居小学校は137年の幕を閉じていた

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鞍井にはバス停があるが

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バス便の本数はそれほどでもない

 県道28号線を100mほど北に進み、すぐに県道449号線に右折する。鞍居川を広根橋で越え、広根の集落を抜ける。そのあとは1km近く舗装路を進み、三軒谷池に到着。エメラルドグリーンの水面に青空が映る。ここは魅惑的な光景の池。キャンプ場に最適。ここでしばらく休憩し、旅館のおばちゃんに作ってもらったおにぎりの昼食とした。

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県道28号線から県道449号線に右折

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県道を1kmほど進むと

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魅惑的な色の池が目の前に

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ここはキャンプ場にどうでしょう?

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おばちゃんが握ってくれたおにぎりは、デカい、美味い

 おにぎりを完食し、12:30行動再開。池から先は舗装は途切れ、山道になる。渓谷はきれいで歩きがいがある。ところどころ、間伐材が倒れたり、土砂で道が流された部分もあるが、丁寧にルートを示すピンクのテープが巻いてあり、踏み跡も見える。

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県道449号線はいつのまにやら消滅

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渓流沿いの道になる

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 13:20にさけぼとけ池を通過し、13:33に自動車の轍の見える林道に合流。ソシロガイチ池を右手に見て、13:45に平家塚ふれあい公園に到着。ここではサクラを見ながらしばし休憩。旅館のおばちゃんからもらったショウガ飴が喉にしみる。

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さけぼとけ池を通過

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林道に合流

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ソシロガイチ池を通過

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平家塚に到着

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サクラを眺めながらしばし休憩

 14:00に行動再開。ここからは道路を外れて山中の道に進むが、道標の通りに進めば問題なし。最初は源平の合戦の後、平経盛が隠れていたとされるジャンジャン穴。念のために穴に向かって「誰かいませんか?」と呼びかけてみたが、返事はなかった。安心した。一瞬、風が強くなって周囲の木々が揺れたが、多分気のせいだ。

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平家塚からはジャンジャン穴を目指して進む

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平経盛が隠れていたとするジャンジャン穴

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下に小野豆集落が見えてくる

 14:10に小野豆(おのず)集落から東の山に向かって舗装路を外れるが、この地点は標識が分かりにくいので注意がいる。集落からは50mほどの勾配を登り、稜線を伝って15:01に宇麻志神社に到着。

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小野豆からは舗装路を進んでしまわないように注意

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稜線の心地よい道が楽しめる

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馬酔木が香りを漂わせていた

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どこでも害獣防御柵

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宇麻志神社

 ここから県道449号線を北に進み、小河集落から県道を離れて東の山に進む。ここも道標がないので、地図を見ながら慎重に登り口を探す必要がある。小河川を渡った後は、道標が出てくるので心配は要らない。

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宇麻志神社から県道449号線に合流

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この右折ポイントには道標がない

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あえて言えばこのコンテナが目印

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やっぱり害獣防御柵

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小河川を越える

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その先に道標が出てくる

 80mほどの山を越え、瓜生小池、瓜生大池を通過して、害獣防御柵をいくつか越えると瓜生集落。八柱神社に手を合わせて、県道44号線を北に進んで、16:13に森公民館バス停に到着。本日はここで行動終了。

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山道を少しばかり進む

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瓜生小池が見えてくる

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防御柵を2回通過

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瓜生大池を通過

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またもや防御柵を通過

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八柱神社

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神社には多数の絵が奉納されている

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集落の先で県道44号線に合流

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森橋を渡ると近畿自然歩道は右に曲がる

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近畿自然歩道の右折地点を少し直進すると森公民館バス停

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 森公民館バス停は相生駅までのバス便が数多く出ている。昨日今日と、中国自然歩道と近畿自然歩道を先行して歩いているたかはしさんのYAMAPの歩行データを参考にさせてもらったが、ものすごく役に立った。先達はあらまほしきことなり。

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県道44号線のバス路線は便数が多い

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カラフルなウエス神姫バス

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相生から帰途につく

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2022年4月3日 近畿自然歩道2日目(通算174日) 兵庫県上郡郡上郡町上郡~相生市谷野町森 晴れ 15/1℃ 行動距離23.3km 行動時間8:47 獲得高度1093m 39333歩

復路交通: 森公民館16:14ウエスト神姫-相生16:30/17:00山陽新幹線ひかり513号-岡山17:16/17:23のぞみ39号-19:06博多

2022年4月2日 近畿自然歩道1日目(通算173日) 岡山県備前市八塔寺~兵庫県赤穂郡上郡町上郡 いよいよ近畿自然歩道、とうとう近畿自然歩道

 本日のトレッキングは岡山県備前市の八塔寺からの再開。八塔寺岡山県の東のはずれに位置しており、3kmほど東に進むと兵庫県に入る。兵庫県との県境からは近畿自然歩道の山陽コースの連絡路があるため、今回からタイトルは近畿自然歩道とする。自分の所業ながら、どこまで進むのやらドキドキワクワクハラハラ。誰かに止めて欲しい気持ちすらしてきた。

 八塔寺までは福岡から最速での交通を用いるが、福岡市営地下鉄山陽新幹線山陽本線と乗り継いで、最寄りの、とはいっても20kmほど離れた、吉永駅に到着したのが10:49。

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山陽本線

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吉永駅に到着

 八塔寺が観光地だからか、沿線の人口が多いからか、バスの便数は比較的多い。吉永駅からは11:10の備前バスに乗って、11:40に八塔寺に到着して行動開始。気温は9℃で肌寒い。

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塔寺のバス停に到着

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意外と便数は多い

 まずは県道426号線を東に向かって歩き始める。廃屋をいくつか通り過ぎ、その先はつづら折りの下り道となる。道路脇には石清水が流れており、ひんやりとした空気が流れる。

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県道426号線を東に進む

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廃屋を見ながら進む

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九十九折りの坂を下っていく

 12:00に滝谷集落に出た。ここは明るく開けた集落で、左手には立派な石垣の上にお屋敷が建っている。屋敷内がシジミチョウの繁殖地となっており、立ち入り禁止の札が何か所も掲げてある。集落の中心には筆塚がある。こんな山中の集落に筆塚とはと感心。どなたか学問の指導をした人がいたのか。

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滝谷ではこのお屋敷に目を奪われる

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集落の中心には筆塚

 滝谷集落には中国自然歩道の分岐がある。北から下ってくる中国山地横断ルートが合流する地点で道標が何か所にも現れる。今日はここから東に兵庫県境に向かって進む。あと2.3kmで中国自然歩道も終わりとなる。

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中国自然歩道の道標が建つ

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あと2.3kmで兵庫県

 滝谷集落のほんの少し南から、県道を離れて山中に向かう道に進む。少しだけ荒れているが舗装路。途中で滝谷神社に立ち寄る。

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滝谷からまた山中に進む

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滝谷神社に立ち寄る道だった

 小高い山を越えて、12:24に県道368号線に合流してさらに東に進む。東畑集落の家を眺めながらなだらかな舗装路を進む。12:40に兵庫県との県境に到着。この県境は峠や川ではなく、なだらかな上り坂の途中だった。いきなり、西新宿にようこそと、看板が迎えてくれる。

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県道368号線に合流

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岡山県最後の東畑集落を通過

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兵庫県佐用町に入った

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 県境から3分ほど歩いた峠の路傍に、天空高原と名付けられた休憩所がある。りっぱな石の椅子とテーブルもあるためここで休憩とした。コンロでお湯を沸騰させ、カップ麺に注ぐ。このところ毎回同じ昼食だが、安定して美味しい。

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天空高原と名付けられた休憩所

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 昼食を終えて13:10に行動再開。兵庫県に入っても、岡山県から続く県道368号線の名称は変わっていない。気のせいかもしれないが、岡山県よりも道の手入れがさらに良い。

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兵庫県に入って、こころなしか県道もきれいになる

 柳原池の濃い緑色の水に山が映し出される。池に端を発した秋里川に沿って下る。西新宿の集落の中の八幡神社にお参りする。

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柳原池

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秋里川に沿って進む

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集落の八幡神社に立ち寄る

 さらに県道368号線を進み、12:39に西新宿公民館の角から右折してダート道に進む。西新宿というとビル群を連想してしまい、違和感が強い。さらに、地図を探してみても東新宿がない。気になる集落名だ。

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西新宿!に違和感あり

 落ち葉の積もった山道を登っていると、正面から自転車の男性が下ってきた。挨拶を交わして先に進む。コースには自転車の踏み跡が付いている。よくこんな急坂を下ってきたものだ。

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山道の先から自転車が下ってきた

 ほどなく稜線のなだらかな道に出た。上郡アルプス縦走路の案内も出てきた。ここはなかなかの良コース。上郡アルプスの登山記録はYAMAPでよく目にするが、人気の理由が分かる。心地よい道が続いている。

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稜線の道は快適

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上郡アルプス縦走路

 この先はスイッチバックしながら高度を下げて、車両の轍の着いた林道に出た。また、上りが始まると林道の幅は狭くなる。ところどころの沢には、穴の開いたような木製の古い橋が架けられているが、整備状況は良好。

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こんな橋はご愛敬

 皆坂の集落に出ると、その先は舗装路となる。すぐ先の民家の下手に道標があり、舗装路から右手の山道に進む。あまり人が通っていないような山道を400mほど歩いて14:39に皆坂の滝に到着。残念ながら皆坂の滝は土砂で埋まって跡形もなかった。滝神社も壊れており、ここには立ち寄る必要はなさそう。

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皆坂集落の民家の脇から右折して皆坂の滝に進む

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滝神社に向かう

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滝は土砂に埋まっていた

 皆坂の滝から先の道も荒れているようだが、EADASデータに従って南に進んでみた。倒木が多い道であるが、先行者がテープを付けてくれており、踏み跡も見える。また、ところどころに兵庫県立山崎高等学校森林環境科学科の手作りの道標も設置してある。心がこもっていてありがたい。

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皆坂の滝の先は道が荒れている

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テープが導いてくれる

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高校生の道標も心がこもっている

 倒木を乗り越えて、14:58に無事に舗装路に復帰。舗装路への復帰点にも手書きで案内があったが、皆坂の滝には舗装路を進むルートで十分。あるいは、土砂で埋まった滝を見に行くことはスキップしても良い。

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舗装路に復帰

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高校生な親切なアドバイスもある

 15:00に頑丈な害獣防御柵を通過して石戸集落に入る。皆坂川に沿って進むと、ほどなく大鳥圭介の生家に到着。大鳥圭介京唄子と一緒の漫才の?と思ったら、漫才の方は鳳啓助で、こちらは大鳥圭介。明治時代の医学者・政治家だった。無学を恥じる。記念館は日曜のみ開館で、本日は内部を覗くことはできなかった。

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大鳥圭介記念館

 石戸集落の中を進み、15:18に県道451号線に合流した。このあたりはシカが多く、山の上からこちらをチラチラ覗く姿が見える。

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県道451号線に合流

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法面の上からシカがこちらをジロジロ見ている

 15:30に細念集落を通過。裏山のサクラの美しい妙隆寺にお参りしようと立ち寄るが、門が閉ざされていた。残念。その先の大避(おおざり)神社のコヤスノキを見学。日本ではこの近辺にしか分布していない貴重な植物らしい。トベラ科の常緑の木で絶滅危惧種。天然記念物に指定されている。木本にはからきし弱く、有り難みが分からない。

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妙隆寺は門を閉ざしていた

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大避神社を覗いてみた

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コヤスノキのありがたさは分からない

 ここからは県道451号線を離れて岩木川に沿って進む。倉尾集落、才原集落と進み、頭上を智頭急行の高架が釜ヶ谷トンネルに進入していくところを通過。

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岩木川に沿って進む

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智頭急行の高架下を通過

 高架をくぐったところで、岩木川千種川に合流する。コースは県道451号線となっているが、ここは千種川を見ながら川沿いの護岸の上を進むこととした。水の流れを見ながら気持ちよく歩く。

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千種川

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美しい川の流れ

 16:27に千種川から県道451号線を横切って集落の中に進む。集落の入口近くの須賀神社に立ち寄った後は、井上集落の中の道を進む。

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須賀神社にお参り

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井上集落を通過

 16:52に上郡の市街に出た。県道90号線を左折し、すぐに右に曲がって上郡駅に向かう。ちょうど智頭急行が入線してくるところだった。高架の線路から1両の車両が上郡駅に入線してきた。パラパラと乗客が降りて、ほとんどが山陽本線のホームの方に移動していく。

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智頭急行上郡駅に入線してきた

 17:00に上郡駅に到着して智頭急行の時刻表を見てビックリ。半分ほどがJRの特急の乗り入れなのだ。智頭急行の成り立ちについては調べてみないといけない。

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智頭急行上郡駅

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運行されている列車の半分はJRの特急

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JR上郡駅

 駅から3分ほどの旅館に着いたところで行動終了。荷物を部屋に置き、まずは晩ご飯に向かった。

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上郡のメインストリート

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宿に到着

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晩ご飯はすき焼き

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2022年4月2日 近畿自然歩道1日目(通算173日) 岡山県備前市塔寺兵庫県上郡郡上郡 晴れ 13/2℃ 行動距離17.6km 行動時間5:27 獲得高度468m 31242歩

往路交通: 西新7:38-博多7:51/8:15のぞみ12号-岡山9:57/10:11山陽本線-吉永10:49/11:10-八塔寺11:40

津山文化センター

 先日、中国自然歩道トレッキングのために中継地の岡山県津山市に行ったときの話。いくつか用事を済ませ、少し時間ができたので、名城として知られる津山城に立ち寄った。

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さくら祭り開催を翌日に控えた津山城

 本能寺の変で討ち死にした森蘭丸の弟の森忠政津山市の中心の鶴山(つるやま)に築いた山城の津山城は、津山市のシンボル。姫路城、松山城伊予松山城)と並び、日本三大平山城とされているが、前2城とは異なり、津山城は明治の廃城令によって天守や櫓は失っている。現在は2006年に再建された備中櫓が建造物として見られるだけであるが、遺された石垣や礎石を眺めるだけでも当時の威容が想像できるほど巨大。

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遺された石垣はさらに巨大

 そんな津山城の遺構のある鶴山(かくざん)公園を歩いていると、公園の北に聳える櫓のような建物、それも四角錐を重ねて地中に突き刺したような迫力のある建造物が目に入った。これが津山文化センターだった。コンクリートで作られた建築物だが、石垣の上に聳える姿は、津山城の石垣を背景に違和感がない。誰が設計したのか気になる。

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津山文化センター

 家に帰って調べてみた。津山文化センターは1965年竣工の鉄筋コンクリート構造の建築物で、設計は川島甲士建築設計研究室。施工は三井建設大阪支店。

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 この建築の最大の特徴は、日本の伝統的木造建築でも見られる斗栱(ときょう)構造に取り巻かれていること。斗栱とは「斗(ます)」と「肘木(ひじき)」で構成される組み物の構造で、軒が支える荷重を柱に伝えるように設計されている。この日本の伝統的な建築に見られる独特な形式をコンクリートで再現し、かつ1段、2段、3段と前方にせり出していく迫力のある姿にデザインしている。

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斗栱をもつ伝統建築の例

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この部分の構造

 戦災を受けていない津山の市街には、古い城下町の面影が残っている。津山城趾に天守閣を再建しようという活動が行われたこともあったらしいが、識者に否定されたようだ。そのかわりにというわけでもないだろうが、「われわれの集会場がほしい」という津山のご婦人たちの願いを端に発して、津山市民上げての基金で津山文化センターが建てられた。天守閣もいいが、それに代わる津山市民の心を集めるモニュメントとしても成功した建造物だと感じる。やもすると冷淡にも感じられる現代建築の手法を取り入れながらも、歴史ある津山城趾の情緒と品格を損なうことのないデザインに感嘆する。

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 勉強不足で恥ずかしい限りだが、川島甲士という建築家の名前は今回初めて目にした。経歴を調べてみると、1949年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、清水建設設計部等を経て、芝浦工業大学建築科の助教授を務めながら1957年に事務所を設立している在京の建築家。

 津山文化センターは川島甲士の40歳の時の作品で、日本国内の優秀な建築作品に与えられるBCS(Building Contractors Society)賞を受賞している。他の作品としては、同じくBCS賞を受賞した「西都原考古資料館」(1968)、「宮崎県営国民宿舎・青島」(1970)があるが、両者ともにすでに取り壊されてしまっている。その他には、東京都台東区の妙経寺、多摩市民センター、宮崎県婦人会館(ユースホステルサンフラワー宮崎)あたりが代表作のよう。機会を得たらじっくり見学してみたい。

津山、懐かしい

 タイトルには「懐かしい」と書いたが、じつは津山を訪れるのは始めて。この稿は、懐かしいと口からこぼれたその理由について記そうと思う。

 現在、中国自然歩道トレッキングは岡山県津山市の南南東25km、岡山市から北東に40kmぐらいの位置にある岡山県久米郡美咲町の周辺を歩いている。

 三咲町のあたりは、かつては町の中心を流れる吉井川の高瀬舟の水運で栄えた地方。明治時代からは、硫化鉄鉱の採掘される柵原(やなはら)鉱山が隆盛を誇り、柵原と南に10kmほどの山陽本線の和気、瀬戸内の海運の拠点の片上まで、採掘された硫化鉄鉱石と旅客を運ぶ片上鉄道が敷設されていた。

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柵原地区には現在も片上鉄道の施設が一部保存されている

 その後、柵原鉱山の鉄鉱石の産出量が減少するなどして片上鉄道は1991年に廃止となった。鉄道廃止後には柵原は公共交通機関の難所となっており、平日でも福岡からの同日最速到着時刻が14:05という、これまでの歩行地域では最も時間的にかかるところとなっている。

 ボトルネックとなるのが柵原までのバス路線。岡山から柵原まで北上するバス路線と、津山から南下して柵原に至るバス路線が選択できるが、いずれも本数が極端に少ない。そのため、今回は津山で3時間ほどのバス待ち時間ができることになった。

 バスの待ち時間に、津山にまつわる2つのイベントをすることにした。

 一つはブログの読者さんからのお勧めの、津山ではよく知られた「つゝや」の「五大北天まんじゅう」を食べること。店舗が津山駅からは3kmほどと少し遠いが、毎週末には30km近く歩いているので何のことはない。とうぜん歩き。

津山のメインストリート 今津屋橋通り

 津山駅から真っ直ぐ今津屋橋通りを北上すると「つゝや」はすぐに見つかった。落ち着いた佇まいの店。商品は「五大北天まんじゅう」のみ。潔い。

 5個購入。1個60円。断りを入れて店内を撮影させてもらった。店も、まんじゅうも、価格も、タイムスリップしたかのよう。

 「五大北天まんじゅう」の味は素朴。子供の頃から食べている、黒糖まんじゅうそのままの味。懐かしい味なのだ。これ、基本の味。死ぬ前に食べたいものスイーツ版の17位にランキングしておいた。

 さて、もう一つというのが、大学の先輩にご挨拶に伺うこと。これは、とても迷ったのだが。

 心中を正直に言うと、懐かしく、お目にかかりたい気持ちが40%。会うのが恐ろしい気持ちが30%。そして残りの30%は、津山に立ち寄りながら先輩に挨拶に行かなかったことが露見したならばどんな目に遭うか怖いという気持ち。合計したら、行く方に70%となったので、意を決して訪問した。

 その先輩というのが、大学に入学した際のラグビー部のキャプテンだった人。怖いのだ。

 今ではとてもあり得ない話だと思うが、大学に合格した3月の下旬、大学近辺を下宿探しのためにうろついているときに、このキャプテンと他の2名のラグビー部員に声を掛けられ、拉致されたのだ。

 大学に入ったらボクシングをしたいと思っていたが、ボクシング部はないからラグビー部に入れという。入部すると言うまで帰さないと、一人のラグビー部員の下宿に監禁された。下宿にはぞろぞろと人相の悪い部員たちが集まり、入部しますと言わされた。その日から連日1か月ほど3食無料で振る舞われた。結局、大学時代はラグビー部を務め上げてしまった。

 先輩の仕事場にはアポなしで訪問した。卒業してから何度かOB会でお目にかかっているが、今回は30年ぶりぐらいだ。受付で名乗ると、奥から出てきた先輩は「よく来てくれたな」と相好を崩して喜んでくれた。やっぱり来て良かったなと思った。

 とても元気にされていた。ラグビーをしていたときは驚異の体力だったが、現在でもトライアスロンのレースに出ているとのこと。すごすぎる。まったく当時と体型も変わっていない。でも、顔つきは当時よりもかなり柔和になっていた。

 先輩と会うと思い出すのが、1年生の秋のこと。風邪をひいて38.4℃の熱を出して大学を休んでいると、先輩が下宿まで迎えに来た。「走れば治る」と言われてグラウンドまで連れて行かれた。この日は2時間、走った。走って体温が発熱温度よりも高くなると、身体が楽になる現象を体験した。「走れば治る」というのはあながちウソではないかもしれない。真似はしない方がよいと思うが。

 コロナ禍の現在、「事務方からスタッフに発熱者が出たら自宅待機させろと言われるたびに、この言葉を思い出しますよ」と先輩に言うと、傍らで聞き耳を立てていた従業員の方を振り返って、「君たちは熱が出たら休まないといけないんだからね」とフォローしていた。

 これも思い出す。1年生の春のリーグ戦で、まさかの強豪校に勝ったときのこと。死ぬほど先輩から飲まされて、カウンターのマヨネーズでシャンプーされた。そのまま歩道でゴミ袋を枕に朝まで寝ていたこと。そんな話をすると、従業員の方をチラリと見た後、「そんな話はここでするな」と低い声で一言。一瞬だけだが、あの頃の顔に戻っていた。ヤバイ。やっぱり怖かった。

 20分ほど先輩の職場で、思い出、仕事のこと、現在のこと、いろいろ話をさせてもらった。玄関を出て、帽子を取って最敬礼してからトレッキングに向かった。玄関先で見送ってくれた先輩の目は潤んでいたような気がする。自分もあやうく落涙するところだった。バレないうちに慌ててサングラスをかけた。

 ああ、津山は懐かしい。

津山城のさくら祭りは翌日からだった