とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

南水 甘さ歯ごたえがたまらない優良品種

 

 今年も信州の友人から果物が届いた。ここ数年、秋になると芸術的な南信州産の果物を送ってくれる。友人というのはJAの関係者だから、果物の目利きのプロなのだ。間違いはない。

 今年、クール宅急便で手元に届いたのは大玉の梨の南水(なんすい)。スーパーなどでもよく見かける幸水豊水、新水のいわゆる三水に似た赤梨系の品種だが、南水は1990年に品種登録された新しい品種で、しかも8割が長野県で栽培されているため、これまで食べたことのない品種だ。2L相当と思われる大玉が箱に12個入っている。果皮の斑点は豊水のようには目立たず、比較的つるりとした姿だ。

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届けていただいた南水

 早速皮をむいて食べてみる。。。。甘い。これは今まで食べた梨の中で最も甘い。そして果汁が非常に多く、ジューシー。果肉の中の石細胞は赤梨の中では比較的少ないほうで、果肉のざらつき感が少なく、歯の間に挟まるような粒を感じない。これは梨の中で最高の品種ではないかと思った。また今年も芸術的な果物を送ってくれてありがとう!と感謝しつつ、2個目も平らげてしまった。

 ここまで書いたところで、梨についてはあまり系統的な知識がないなと気が付いたので、ちょっと調べてみた。梨はバラ科ナシ属で、原産地は中国。和ナシ、中国ナシ、洋ナシに大別される(中国ナシは食べたことがない)。このうちの和ナシは、中国原産のものが中国、日本、朝鮮半島、台湾に野生種のヤマナシとして分布するものを基本種としてできた栽培品種の総称。登呂遺跡でも種子が見つかっていることから、弥生時代には食用とされていたと考えられる。

 和ナシを日本では一般にはナシというが、果皮が赤みを帯びた赤梨と、二十世紀のような緑色の果皮を持った青梨に分けられる。青梨の代表品種が1888年に千葉県で発見された二十世紀。赤梨の代表品種の長十郎は1893年川崎市で当麻長十郎によって発見されている。一時期は全国の栽培面積の8割を長十郎が占めていたが、その後の早生の優良種の開発のため、長十郎は衰退の一途をたどっている。

 梨界に大変革をもたらしたのは、1959年登録の幸水、1965年の新水、1972年の豊水のいわゆる「三水」である。これらの早生種の普及は、晩生種の長十郎から急速に栽培転換をもたらすこととなり、2010年統計では幸水(40%)、豊水(27%)、新高(10%)、二十世紀(9%)と、これら4品種だけで86%を占めるまでになっている。

 さて、今回頂いた南水についてさらに調べてみた。新水と越後を掛け合わせて作られた赤梨の中生種で、1990年に長野県で品種登録された。最初に交雑されたのが1973年で、20年近くかけて長野県農業試験場下伊那分場において選抜、育成されている。品種名は「南信州の清涼さと南アルプスの崇高さ」をイメージしてつけられたとのこと。果肉は白く、サクサクとした歯ごたえで、果汁が多い。糖度が極めて高く、中心部の酸味も少ない。貯蔵性に優れ、常温で1か月、冷蔵で3か月、氷蔵で6か月の貯蔵が可能。収穫期は9月下旬から10月上旬。栽培が難しい品種のため、、高い技術レベルが必要。長野県での生産が90%を占める、とのことでした。

 素晴らしい、JAみなみ信州。これは超優良品種です。と呟きながら、3個目の南水を剥きはじめました。