前回までは2回にわたり、どれぐらいの距離の舗装路を歩くことができるのかというテストを行ってみた。40km歩くと少し疲れること、30kmならば連日歩けるぐらいの疲労であることが確認できた。しかし、これまでの2回のトライアルは小型のデイパックのみを担ぎ、負荷のほとんどない状況。今回は、実際に荷物を持って歩いた際にはどのぐらい身体的な負担を感じるのか、肩の状態や、足のまめのでき具合を検証するため、デイパックの中に10kgのバーベルを入れて、合計13kg程度の負荷をかけて歩いた際の身体状況を観察することとした。
地下鉄終点の貝塚駅で降りて、10:00に行動開始。目指すは漢委奴国王印の金印が出土したとされる志賀島。
3km地点の香椎浜埠頭を33分で快調に通過。このあたりは博多港に荷揚げされるコンテナを搭載した大型トレーラーの通行が多いが、道路状況が良く、歩道も広いため問題はない。
5km地点の埋め立て地のアイランドシティには高層のマンションが屹立する。壁面の黒いマンションは、どことなくSpace Odysseyのmonolithを連想させる。
6km地点には移転して新しくなった中央青果市場がある。11:30となったため、ここで昼食とする。市場関係者用の食堂が一般にも開放されているので、そこで従業員向けの定食をいただく。
8kmからは海の中道に入る。このあたりは志賀島へと続く雁ノ巣の直線道路。競技用の車いすの車列が超高速で脇を通り過ぎる。
12kmにはマリンワールド海の中道。家族連れで賑わう水族館を通り過ぎる。
18km地点からは志賀島に続く海の中道最先端部分の1kmほどの砂州のみでできた道路で、一部は満潮時には海水で区切られるために橋になっている。本来はここが海の中道で最も美しい部分であるはずだが、電柱がずらりと並んでいるため無粋なことこの上ない。せめてこの部分だけでも、電線の地中埋設はできないものかと切に思う。
左に玄海島を眺めながら志賀島の西岸を北上し、5kmほどで最北端の勝馬の海岸に出る。この海岸は水が青く透き通っており、とてもきれい、海岸の松の緑が映える。
ここから志賀島の東岸を進む。博多湾の穏やかな海面に面した西岸と異なり、志賀島の東岸は玄界灘のしぶきを感じる荒涼とした風景。人家や商店は皆無。岩も強い波しぶきで洗われている。
15:30に志賀島をぐるりと一周回り、志賀島神社に到着。これで志賀島ウォークは終了。志賀島の埠頭からフェリーきんりん号で博多埠頭に戻った。
10kgのダンベルを担いで歩いてみたら、やはり重かった。デイパックの肩紐が肩に食い込んで痛い。10kgの負荷がつらいというより、リュックのヒモが食い込むのがたまらなく痛い。負荷をかけて長距離を歩くことを考えるならば、身体に優しいバックパックの購入を考えないといけないなとの結論に達した。
後日、「海の中道、志賀の島を巡るみち」は美しい日本の歩きたくなるみち500選に選ばれていることを知った。出張から飛行機で帰るたびに、福岡空港に着陸する前には海の中道の上空を飛び、美しい砂州だなと感じ入るが、今回は初めてこの道を歩いてがっかりした。一つは、志賀島とをつなぐ繊細な砂州の部分の風景が電柱で台無しであること。飛行機では気づかないが、実際にここを歩くと電柱というものがいかに風景を壊しているかがよくわかる。せめてこの部分だけでも電線は地中に埋設してよと言いたくなる。もう一つは、志賀島の周回道路を暴走するオートバイの多さ。これは五月蠅いことこの上ない。おそらく週末だったことから、オートバイの数も多かったことだと思うが、周回道路には段差のある歩道はほとんどなく、路側帯も狭く、オートバイの暴走はうるさいだけでなく危険である。
福岡市の誇る観光スポットの一つで、金印が発見されたことでも全国的に知られる志賀島であるが、ここを訪れる観光客の多くは、私と同じような印象を持つのではないかと思う。少なくとも、オートバイの多い週末に志賀島周回道路をウォーキングすることはお勧めできない。
2019年6月22日 貝塚~志賀島周回 曇り 気温28/23 距離29.16km 行動時間5:52 平均速度4.96km/h 補給地 コース上に多数存在