今回のウォークのテーマは高低差。これまでは舗装路の平坦路を中心に、距離、荷重、天候が身体に与える影響を検討してきた。そこで今回は、ある程度の負荷をかけた状態で長距離を歩行した場合はいかほどであろうか経験してみることとした。
目標とするのは福岡県下最高峰の背振山。ただし、この山に登るのではなく、この山の中腹にある板谷峠を経由するコースを考えた。脇山、板屋、五箇山を経由して那珂川の温泉清流までのコース。だいたい40kmほど。靴はSalomonのトレッキングシューズ。バックパックはKarrimor 30Lで、今回もツェルト、シュラフカバー、コンロ等を携行し、荷重は合計12kg。さてどうなることか。
福岡市営地下鉄七隈線に乗り、地下鉄野芥駅に8:27に到着。野芥駅から早良街道の7kmは交通量が多いが歩道は整備されている。しかし、交通量が多い道は歩いても楽しくない。人工音が多すぎる。
10:20に7km地点の脇山地区に到達。この地区は優良なお米を生産することで知られており、総和天皇即位の際には献上米として奉納されている。新米の時期には、この地区のJAにお米を買いに来るが、ときどき素晴らしい食味の米にあたることがある。
ここまでは平坦だが、ここからは上りのワインディングロードとなる。道の横には、椎原川の清流が涼しげに流れる。
脇山入口から3km上ってきた椎原集落にはコンクリート打ち放しの正体不明の建物がある。気になったので見に行ってきた。これはなんと、音楽ホールであった。タオ・ホール。風と光の小さな音楽ホールと看板に書いてある。パンフレットを見ると、ベヒシュタインのグランドピアノを備えた70平米の音楽ホールとなっている。コンクリートの建物だが、周囲の自然と調和しており、とても上品な造り。前面に大きな採光窓をとってあり、安藤忠雄設計といわれたら、そうかもと頷いてしまいそうな感じ。たぶん違うでしょうけど。素敵な建物だけれども、アクセスは悪いですよね。本当に素敵な建物で、ここで室内楽なんて聴けたら、最高でしょう。でも、終わった後に晩ご飯を食べに行くところがなーい。でも、こんなホールには頑張ってほしいな。マルタ・アルゲリッチさんが紅葉を見に来て、ついでにここで1時間半ぐらいピアノを弾いてくれます、なんてことが起こらないかな、とか夢想しながら先に進む。
20km地点の標高563mの板谷峠までは上りが続く。歩道もないが、交通量は少なく、道路は木々に囲まれており歩行には快適。脇山から先はは補給がないので、注意がいる。
板谷峠を越え、板谷集落に点在する人家を抜けると福岡市立背振少年自然の家がある。ここには宿泊可能。ここにようやく自販機がある。
その先23km地点の五ケ山どうふは豆腐料理バイキングが美味しい。ここは2018年に竣工した五ケ山ダムの貯水が開始し、いつのまにか山中の豆腐屋さんが湖畔の豆腐屋さんに変わってしまっている。
25km地点の五ケ山ダムの堰堤付近にはMont-Bellのショップができている。
また、ダムによっていくつかの集落が水没しており、道路もループ橋への付け替えが行われている。
板屋からは那珂川町に向かって下り道となる。南畑ダムが見えてくるが、このあたりの道路は、景色は良いが歩道がなく、交通量が多いためやや危険。
さらに1時間ほど歩いて那珂川温泉清流には18:50に到着。温泉に浸かって、疲れた筋肉をゆっくりとほぐした。
清流からは、天神、博多駅行きの無料バスがあり利用できる。この40kmのコースを12kgの荷重で歩いたが、翌日まで消耗感が残存した。ただし、靴のサイズがあっており、中敷きを調整したこともあり、足の裏にはまめできていない。12kgは長距離歩行にはやや重い。快適な歩行には荷重の低減が重要と実感した。
2019年7月6日 野芥~那珂川 曇り 気温28/24 野芥駅8:40~那珂川温泉清流18:50 距離40.55km 行動時間7:30 平均速度5.40km/h 消費カロリー1929kcal