とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

秋王 完成度の高い種なし甘柿新品種

 知り合いからカキを頂いた。秋王(あきおう)という品種である。最近登録されたばかりの新品種で、これまでにデパートの地下の食品売り場で見かけたことはあったが、高価だったこともあり、食べたことはなかった。

 朝食用に買い置きしてあった早生富有柿と比較すると、より平たく、大ぶりなことがわかる。甘柿で初めての完全種なしだそうですよ、と渡された。早速、試食してみた。

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左が秋王 右はスーパーで購入した早生富有

 収穫してから日を経ていないようで、外皮は固く、身が締まった状態。4つに切ったが、なるほど、まったく果物ナイフが種に当たらない。

 皮を剥いて、一口食べてみた。サクッと軽い歯ざわり。富有柿にあるようなねっとりした食感や、わずかな繊維も感じない。リンゴのフジのような軽快な歯ざわりだ。そして、食味は非常に甘く、さわやかな後味。これは優良品種だ。しかも、甘柿につきものの種がなく、とても食べやすい。あっという間に、一つ平らげてしまった。

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皮をむいた秋王 たしかに種はなかった

 これまで、カキについて系統的に調べたことがなかったので、少し調べてみることとした。まず、今回の秋王について。

カキ 「秋王」(福岡K1号)

品種登録出願第25342号 福岡県開発品

 福岡県農林総合試験場が、種子親に着色が良く収量性の高い甘柿の代表格「富有」と、花粉親に大果でサクサクした食感の「太秋」を交配して育成し、平成24年4月に品種登録された世界初の九倍体種なし甘柿。収穫期は10月中旬~11月上旬で、「富有」よりも早く、「太秋」とほぼ同時期。果重は300gを超える大玉で、果実糖度は約20度。サクサクとした食感で果汁が多く、鮮やかな橙赤色、種なしで食べやすいのが特長。早期落果が多いのが難点。

次に、カキ全般について。

 カキノキ(Diospyros kaki Thunb.)は、カキノキ科カキ属の落葉樹で東アジア原産の固有種。学名にも和名の発音と同じ kaki の名が使われている。

 沖縄県を除く日本の全都道府県で栽培されている。柿の栽培面積が多い県は和歌山県、福岡県、奈良県の順で、福岡県は甘柿栽培では全国トップ。

 カキの品種は多く、1000を超えるとも言われ、渋柿と甘柿に大別される。

 甘柿は渋柿の突然変異種と考えられている。未熟時は渋いが熟すに従い渋が抜け、甘みが強くなっていく。1214年に神奈川県の王禅寺で偶然発見された禅寺丸が、日本初の甘柿とされている。甘柿の代表的な品種は、富有と次郎、御所。富有は岐阜県瑞穂市居倉に原木がある。次郎は静岡県森町に住んでいた松本次郎吉に由来する。御所は奈良県御所市が発祥。

 いま気になるカキの品種は、岐阜県が2015年に開発した新品種「ねおスイート」。JA全農岐阜が糖度が25度以上ある優良品を「天下富舞(ふぶ)」とブランド化したものが、今年の初競りで2個54万円で競り落とされたと話題になった。いずれも高糖度の新秋と太秋を交配させて育成された新品種とのこと。それにしても糖度25度とはすごい。一度食べてみたい。