とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

ヒガンバナ 現在鋭意生産中

 以前、秋のお彼岸の頃に、収穫の時期を迎えた稲の実る田の畔(あぜ)に鮮やかな赤い花が映えるヒガンバナの話を書いた(曼珠沙華 突然現れて忽然と消える の巻参照)。独特な生活史を持ち、夏までは地表に姿を見せることはなく、夏の終わりに花茎が地上に突出し、彼岸の頃に突然開花するため、葉見ず花見ず(ハミズハナミズ)の別名を持つ。

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秋の彼岸頃に咲き誇るヒガンバナ

 現在、2月であるが、野山をトレッキングしていると、秋にヒガンバナが花を付けていただろうなと思われるようなところに、濃緑色の葉が茂り、早春の陽光を独り占めしているのをよく見かける。これまでは、この葉がヒガンバナであることは意識していなかったが、秋に咲くヒガンバナを思い出しながら眺めてみると、この葉が何のために、それもこの時期に繁茂しているのか、彼らの巧みな戦略がぼんやりとわかってきた。

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2月の田んぼの畔で緑の葉を伸ばすヒガンバナ

 田んぼの畔は日当たりが良好で、雑草が旺盛に繁殖する場所である。春になればキク科やイネ科の雑草が伸びだしてきて、現在のヒガンバナの葉をすぐに覆い隠してしまうだろう。彼岸花が花を咲かせる秋には、イネ科の植物が俄然元気になってくる。2月の現在は、ヒガンバナの近くで葉を広げているのは、オオイヌノフグリホトケノザのような比較的背の低い植物のみ。ヒガンバナは他の植物が葉を広げる前に、葉緑体をたっぷり含んだ緑色の葉を広げて、来る秋の開花のために、今は球根に栄養を蓄積している。

 君らは、みんながまだ寒さに震えている時期に一生懸命働き、来る秋への備えをしているのだな。なかなかしっかりした心がけではないか。