とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年3月6日 九州自然歩道 22日目 伊佐の浦~つがね落としの滝 

 未明から寒くて何度も目が覚めた。現在使用している夏用のシュラフではまったく歯が立たない寒さで、九州では初めて経験した寒さだった。明け方には寒さに耐えきれず、ガスバーナーを少し焚いてテントを温める必要があるぐらいだった。

f:id:nayutakun:20200307111333j:plain

フライシートが霜と結露でガチガチに凍ってしまっていた

 6:00を過ぎ、ようやくあたりが明るくなってきたところでテントから出てみると、テントの外側の防水シートのフライには真っ白に霜がつき、テント内部から発生する水で結露した部分はカチカチに凍結していた。昨日は雲量0の快晴だったため、放射冷却が起きたようだ。また、テントの設営地も、川に沿った湿気の多いところだったためだと思う。それにしても寒かった。このあたりの標高は200mほど。1月に縦走していた、標高1000m近い、雪の残った背振のほうが気温は低かったと思うが、今回は3月に入り油断してTシャツの上には薄い7分袖のみだったのが敗因の一つ。

 早めに出発して身体を動かして温かくなりたいとは思いながらも、なぜか撤収には手間どり、8:00に行動開始。簡易舗装がされた林道を、伊佐の浦ダムに向かって歩きはじめる。1kmほど川沿いに上ったところで九州自然歩道の標識が出て、渡河地点を示している。橋はない。渓流の石を伝って対岸に渡る。

f:id:nayutakun:20200307111527j:plain

浦川の渡河地点

 そこから先は、整備状況の良い山道を登る。ただし傾斜は割ときつく、先ほどまでの寒さはまったく感じなくなる。

f:id:nayutakun:20200307111608j:plain

石畳で整備された山道だが傾斜はきつい

 山道のピークを越えたところで自動車道の下をくぐる。ここからは地図上では150mほど進んだところで川を越えて対岸に渡り、山を上るようになっているが、とりつき口がわからない。ここかと思われるところに踏み跡が見えたので、しばらく進むが藪に阻まれ先には進めない。やむなくもと来た道をさらに奥に進んだところで九州自然歩道の標識が出て、う回路に誘導される。ここは、地図よりも迂回距離が長いようだ。う回路の谷にも、全体に霜が降りている。

f:id:nayutakun:20200307111659j:plain

自動車の通る橋が見える

f:id:nayutakun:20200307111726j:plain

谷あいは霜で白一色

 そこからは尾根伝いの快適な山道を進む。

f:id:nayutakun:20200307111814j:plain

快適な山道が続く

f:id:nayutakun:20200307111916j:plain

景色もよい

f:id:nayutakun:20200307111947j:plain

足跡はイノシシのもののほうがはるかに多い

 9:30に4km地点の九州自然歩道の分岐点となる牧場に到着した。ここは無人となってしまった牧場のよう。日当たりの良いところに腰掛け、昨日購入してあったちらし寿司の朝食とする。

f:id:nayutakun:20200307112028j:plain

廃墟となってしまっている牧場

 しばらく小休止の後、歩きはじめるが、ここでは標識が途切れ、自然歩道のとりつき口がわからない。ここの分岐は少しわかりにくく、どちらの道をとってよいのか迷う。この辺りは電波が届いておらず、GPSが動作しない。地図を確認して、方角を合わせて道路を選んで進む。カーブの状態が地図とだいたい一致していたため安心していたが、地図上にない分岐が出てきたため、ここからどちらに進もうか迷う。

f:id:nayutakun:20200307112103j:plain

道に迷っている途中で見つけた池 赤く染まっている

 しばらく南に進んだところで、牛舎のところにいた女性に聞いて、だいたいの位置を把握できた。県道122号線を東に進み、白岳集落に進んでしまったようだ。仕方がないので、さらに東に進み、県道205号線に出て1.5kmほど南下し、九州自然歩道に復帰した。

f:id:nayutakun:20200307112201j:plain

きれいな国道 自動車の通行もほとんどなく快適

 自然歩道はここで県道205号線に合流しているが、2車線のきれいな道路だが交通量はほとんどない。10:30ぐらいに山内集落を通過した。ここにはバス停があるはずだが、みあたらない。さらに進むと10:43に三差路に突き当たり、広い道路に合流した。ここで、バスが目の前を通り過ぎる。さいかい交通のバスだ。バスが運行しているのは確認できた。

f:id:nayutakun:20200307112255j:plain

無人販売所の隣で飼われていたポニー

 三差路から右折して、立派な舗装路を下り、10:55に次の分岐点となる白藤橋バス停に到着した。ここには屋根付きの立派な待合施設がある。時刻表をチェックし、昼食とする。昼食は、朝食の残りのちらし寿司と、これも買っておいたブリの竜田揚げ。

f:id:nayutakun:20200307112338j:plain

久しぶりに見たバス停

f:id:nayutakun:20200307112400j:plain

時刻表はこの通り

 このバス停では、ようやく電波の到達が確認できたため、ブログの記事のアップロードを試みる。しかし、電波が弱く途中でダウンしてしまう。

 昼食後は11:54にスタートした。白藤橋からは南に向かって細い道に左折して、下り道を進む。ここも舗装路。1kmほど下ったところで、九州自然歩道の標識に従い、自動車の通行が禁止された雪浦ダムの周回路に入る。ここは交通がないため荒れ放題になっている。この道路は途中で未舗装部分があったり、倒木などがある。しかし、大した問題もなく、雪浦ダムには12:45に到着した。

f:id:nayutakun:20200307112434j:plain

雪浦ダム

f:id:nayutakun:20200307112503j:plain

f:id:nayutakun:20200307112543j:plain

 ここからは雪浦の町に向かっての下り道。行こうかどうしようか迷ったが、西海市の推すホゲットウ石鍋製作所遺跡に向かって2kmほどの往復をすることとした。ここは室町時代に使途の分からない石鍋を制作していた遺跡があるとのこと。今回行かなければ一生来ることはないと意を決して山を下る。ところが、遺跡の入り口近くと思われるところに1枚の標識が立てられているだけ。石鍋標本も資料館も、また現場へのアクセス道さえない。ここは、ひょっとしたら教育委員会が発掘作業をしたものの、保存や盗掘防止のために意識的に公開していないのかと思うほどの秘匿性であった。何もなく引き返す空しい1時間だった。

f:id:nayutakun:20200307112646j:plain

ゲットウに関する唯一の展示

 標高差を50mぐらい回復し、14:14から雪浦分岐をスタートした。ここからは渓流に沿った山道に入る。山道の状態は良好。傾斜の急なところには石段が取り付けてある。

f:id:nayutakun:20200307112725j:plain

雪浦分岐からの山道

 14:52に無名ピークを超えるが、ここは木々に囲まれ眺望はなし。15:00に井出の尾堤に出る。林の向こうに緑の水が見える。

f:id:nayutakun:20200307112811j:plain

井出の尾堤

 さらに緩い勾配を上り、5分ほどで黒似田堤に到着する。ここを通過して、ふたたび山中の道に入る。右手に焼山、左手に無名峰に囲まれた谷あいを歩く。気持ちがよい。

f:id:nayutakun:20200307112851j:plain

黒似田堤

 17:00ぐらいに雪浦市街の2kmほど上流部の集落に到着した。10軒ほどの家が傾斜地に点在する集落。ここには自販機があるかと期待したが、なにもなくて残念。今日は朝から補給の機会がほとんどなかった。

 1.5km先に名所のつがね落としの滝があるとの看板がある。ここは九州自然歩道の支線にあたるので覗いてみることとした。駐車場から砂防ダムを渡り、100mほどのトンネルをくぐって滝に至る。そこそこの水量のある、形の良い滝だ。

f:id:nayutakun:20200307113017j:plain

つがね落としの滝に至るトンネル

f:id:nayutakun:20200307113045j:plain

名所 つがね落としの滝

 川の横に小さなキャンプサイトがあったので、そこにテントを設営した。滝の音が煩いが、自動車の音よりは快適。水、トイレがあるのがありがたい。

 

2020年3月6日 九州自然歩道#11 2日目 伊佐の浦、西海市~つがね落としの滝、西海市 快晴 気温12/0 距離30.0km 行動時間10:57 平均速度2.74km/h 43972歩