東京駅を起点として新橋駅に至るまで、丸の内、銀座、築地、新橋界隈の著名な建築物を巡る一筆書きの旅の7つ目の建造物。銀座4丁目から晴海通りを南に向かうと、昭和通りとの交差点近くに立つのが歌舞伎座。
(7) 歌舞伎座(第5期) 中央区銀座4丁目12-15 設計:隈研吾
歌舞伎座は、名実ともに日本を代表する歌舞伎専用劇場。絢爛豪華な桃山様式の建造物で、入場する人を夢の世界に連れて行ってくれるかのよう。
2013年2月竣工の現在の歌舞伎座は、1989年に開設された歌舞伎座(第1期)からは第5期に数えられる。設計は隈研吾で、施工は清水建設。低層部分のデザインは1924年竣工の第3期歌舞伎座の桃山様式の外観を受け継ぐ形で、地下4階地上29階建てのオフィスビル「歌舞伎座タワー」を併設したものとなっている。
第4期の歌舞伎座は、戦災を受けて消失した第3期の外観デザインを生かして吉田五十八が設計を担当し、清水建設の施工で1950年に竣工している。その後、60年間という歴代の歌舞伎座建造物の中でもっとも長きにわたって銀座のランドマークとして親しまれてきた。2002年には国の登録有形文化財に登録され、保存の要望も出されていたが、老朽化と耐震性、バリアフリー化の要求などにより2009年より建て替えがなされることになった。
私が学生の頃は第4期の歌舞伎座だったのだが、最上階には立ち見席があり、比較的手頃な価格で鑑賞できた記憶がある。同世代の学生と思しき者が立ち見の大半を占めていたが、年寄りじみた趣味だなー、とお互いに眺めていたような気がする。