とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

匂蕃茉莉 花言葉は浮気な人

 福岡の冬は意外と寒く、夏はわりあい暑い。暖房やエアコンを入れなくても過ごしやすく感じる時期はそれほど長くはないのだが、梅雨入り前のこの時期は比較的快適な時期で、夕方などは窓を開けると網戸から入ってくる風が心地よい。5月から7月にかけては網戸で過ごすことも多く、庭で花を付けた匂蕃茉莉(ニオイバンマツリ)が家の中までその芳香を届けてくれる。

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 ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉、Brunfelsia latifolia)は、南米原産のナス科ブルンフェルシア属の常緑樹。江戸時代に日本に渡来した際に、香りのある(匂)外国(蕃)からのジャスミン(茉莉)ということで、この和名が付けられた。初夏に直径4cmほどの5弁の花を多数付ける低木である。九州では露地で栽培することも可能で、庭先でもよく見かける。私の家の庭でももう何年も元気に過ごしてくれ、また9月頃に返り咲きもしてくれる健気なやつである。

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 ニオイバンマツリの花には2つの特徴がある。1つは、くるりと巻かれたつぼみが開いたばかりの咲き始めは濃い紫色であるが、翌日ぐらいにはその紫色が薄くなり、数日で白い花に変わるという特異的な色の変化である。これは、花に含まれる紫色の色素アントシアニンが分解されることによって生じるもの。

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紫色、薄紫色、白としだいに変化していく

 この花の持つもう一つの特徴が強い香り。ジャスミンに似たその香りは一度経験したら忘れられない。ニオイバンマツリはナス科で、本物のジャスミンはモクセイ科ソケイ属であることから、かなり縁遠そうにみえるのだが。隣に植えた羽衣ジャスミンの香りを凌駕するほどニオイバンマツリの芳香は強く、風のない日の夜は2階の窓から香りがやってくるほど。

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隣に植えた羽衣ジャスミンは匂いではまだ負けている

 香りといえば、ジャスミンの芳香はバラ、スズランとならぶ三大花香とされているが、その成分には酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、リナロール、ジャスモン酸メチルなどに加えて、極微量成分としてインドールスカトールが含まれている。最後の2つは単体で嗅ぐと強烈な糞尿の臭い。極低濃度に希釈して添加すると、花の良い香りに変わるのが不思議だ。

 ニオイバンマツリの英名は、Yesterday Today and Tomorrow。花の色が日に日に紫から白へと変化していくところからだろう。そして、花言葉は浮気な人。これも日ごとに変わる花の色からと思われるが、私は信じている。こいつはそんなに悪い奴ではない。