今朝食べたモモは頗る美味しかった。福岡県産のモモで、白鳳系だということまではどうにか分かる。おそらく日川白鳳あたりだと思うのだが、自信はない。そのぐらい、素人にはモモの鑑別は難しい。
どうかモモ農家の皆さん、販売の際には品種や産地が分かるように表示してください。美味しい品種や産地、それから生産者の名前を心に留めておきたいし、できれば良品を生産する方から来シーズンも買わせて頂きたいからです。と、モモ生産者の皆さんにメッセージを送りつつ、モモの栽培がどんな工程を必要とするのか調べてみた。モモは本当に手間のかかる果物なのだ。生産地や品種で日程や工程は異なるが、ザックリと。
1.剪定
- 剪定は各枝に日光がよく当たるように樹形を整えるために12月~2月頃に行う。
- 弱い枝、日光をさえぎる枝、垂れ下がっている枝などを切除する。
2.施肥
- 1月~2月に肥料を施す。
- 蕾をつける時期に芽出し肥という形で行うものもある。
3.摘蕾
- 桃の一枝には何十個もの蕾がつき、開花する。
- 開花前に蕾を選別除去し、適正な開花数を確保する。
- 貯蔵養分を無駄な開花のために浪費することを防ぎ、最終果実の肥大を促進させるため。
4.授粉
- モモは本来、自家受粉によって受精するが、花粉が少ない品種、まったく無い品種、自家では結果しない品種があり、それらは人工受粉をする必要がある(白桃系の白桃、浅間白桃、川中島白桃など)。
- 一般的には、予め花粉の多い品種の蕾から採取した葯(やく、雄しべの先の花粉が入った袋)を開葯器で開き、花粉を取り出して、雌しべの先端に付着させる。
- 授粉には毛ばたきを使って手作業で行う方法とミスト状にして噴霧する方法がある。
5.摘果
- 最終的には一枝に1~2個着果させるだけであるため、授粉後に結果したものをさらに選別する。
- 短果枝(10㎝以下)に1個、中果枝(30㎝以下)に1~2個、長果枝(30㎝以上)には2~3個の果実を残すように摘果するのが目安。
6.袋掛け
- 袋かけは、満開後40~50日頃の果実がピンポン玉くらいの大きさになった頃に開始する。
- 病害虫の被害やヒヨドリの食害から果実を守り、薬剤散布の回数を削減することや、果実の表面を強風や強い日差しから保護して果皮の傷や裂果を防ぐこと、果実の葉緑素を退化させて着色を鮮やかにしたり、白色のモモを生育するなどの目的がある。
- 無袋品種とよばれる袋掛けをしなくても栽培可能な品種と、袋をかけないと裂果(亀裂が入る)してしまう品種(有袋品種)がある。
- もともと桃は無袋で栽培が行われていたが、完熟期が高温と重なるため直射日光が強すぎて果皮が傷みやすいことと、害虫が付きやすいという特徴があり、袋掛けが有効な予防策として普及した。
- 無袋桃は、見た目は良くないが、糖度が高く、香りに優れるが、傷がつきやすいため秀品率が下がるという最大の欠点がある。
- 白桃には、遮光性の高い袋を掛けて完全に白い桃にして、ギフト用に栽培する手法をとったものもある。
- 有袋桃は味が無袋桃に劣るが、果皮が美しく、皮が薄くて食べやすく、貯蔵しやすいといったメリットもある。
7.除袋
- 一般的には収穫前3~5日には除袋(袋を外す)を行い、着色を促す。
- 袋の下半分だけを除去してから、地面に反射シートを敷いて、太陽光を反射させて当てる農法もある。
- 除袋後は果実がむき出しになるため、収穫までの間は病害虫防除には注意が必要となる。
8.収穫
- 収穫のタイミングの見極めは難しいようである。
- モモが全体的に赤色に色づいた時期が収穫となる。
モモは樹上で完熟する果実なので、樹上完熟果が最高に美味しいはず。樹上完熟果は半日ぐらいしか持たず、また樹上で過熟すると落果してしまう。それゆえ、出荷されるモモは完熟前のモモしかないはず。一度でいいから樹上完熟のモモを味わってみたいものだ。
参考文献:
吉田賢児:モモ栽培の実際、農山漁村文化協会、1980.
ももの作業講座:https://eat-a-peach.jp/sagyoukouza/kouza_hukurokake.htm
ふえふき旬感ネット:https://www.fuefuki-syunkan.net.html