今回の九州自然歩道トレッキングは、JR三角線の石打ダム駅から再開。定刻通り8:05に三角線の列車は石打ダム駅に到着し、ワンマンのため最前方のドアから切符を手渡しながら下車した。出発する列車の前方に回って写真を撮りながら見送ったら、ポッと軽く汽笛を鳴らして挨拶を返してくれた。
前回は蚊の攻撃に悩まされたため、今回は虫よけスプレーを用意して準備万端。露出した部分にたっぷりとスプレーして、行動を開始した。駅の周囲には数戸の家屋があるのみ。商店はない。舗装された山道を進んで、8:30に石打ダムに到着した。
ダム湖は緑の水を湛えた静かな水面。ユニークな形状をしたダム資料館が建てられている。残念ながら開館時間は9:00からのため、今回はパス。上流にさらに進むとすぐにダムの管理棟が見えてきた。この建物も面白い形。資料館とダムの管理棟の設計者は後で調べてみよう。
ダムの上流の川は本当に小さな流れ。その流れの上流に向かって進むと柑橘系の畑が道の両側に拡がってきて、9:13に千房の集落に着いた。数戸の家があるだけだが、山の斜面には多くの柑橘の木が植えられている。
さらに歩を進めると、比較的大きな林道に合流し、ここで椅子を出して小休止。気温は32℃まで上がり暑いため、木陰に入ると蚊がたくさん集まってくるが、皮膚の上にとまることはない。今日は安心して小休止することができる。道路の脇にはきれいな形の栗のイガが顔を覗かせる。
舗装された林道を進み、9:47に大岳山への分岐部に出た。ここから右折して大岳山への道に入るが、道中には柑橘畑が広がる。柑橘畑の中を楽しく歩いていたところで、急にあたりが暗くなり、大粒の雨が降り出した。今日は予定よりもかなり速いペースで進んでいるため、エノキの木の下でしばらく休憩することとした。15分ほど雨宿りしていると、雨は小降りになってきたため、バックパックにカバーをつけて再び歩き始めた。歩き始めたところで、オオムラサキが1頭ひらりと舞っているのが見えた。
再び柑橘畑の中を進み、スイッチバックしながら高度を上げていくと、イノシシ除けの電線で先がふさがれ、道が途切れてしまった。地図を確認したが、この方向で間違いはない。思い切って藪の中に歩を進めていくと、木製のステップを付けた道が現れた。道に間違いがないことがわかり安心した。ここから先は、木製のステップのついた山道を進み、11:00に大岳山(477m)の山頂に無事に到着した。山頂に着いた頃には雨は上がっていた。残念ながら山頂付近は樹木が多く、ほとんど眺望はない。サーモスの中の冷たい水を飲みながら小休止して、稜線に沿って下り始めた。
稜線を下り始めると八代海が見え始めた。海が見えると嬉しくなる。さらに進むと山道は終わり、舗装路に出た。そこから1kmほど進み、12:06に県道58号宇土不知火線との合流地点に出た。ここからは整備状況の良好な県道を進むが、幸い自動車の通行はほとんどなく、快適に歩くことができた。
12:43に数戸の家の集まった網引の集落に着いた。ここには自動販売機があるのではと期待していたが、残念ながら見当たらず、橋の袂の木陰に折り畳み椅子を出しておにぎりと野菜スティックの昼食とした。川に下りて水に足をつけることができないかと道を探してみたが、どこも高さのある護岸工事が行われていて残念ながら川の水に手を触れることはできそうになかった。
13:00に行動再開し、標高400mを少し超えるぐらいの阿保峠に向かって歩き始めた。道路の状況はほぼ良好。舗装はしてあるが、ほとんど自動車は通行していないようで、落ち葉と砂利に覆われたところが多い。網引の集落がかなり下に見えてきたところで13:50に峠を越した。
峠の先の山間に貯水池があらわれた。ここでは数羽のカモが羽根を休めていた。餌付けしてあるようで、近づいても逃げない。ここからは道の向こうに三蔵の集落を見ながら先に進み、宇土の市街地が木々の間に見えてきた。
道路の標識に轟水源の標示が見えたので、道を折れて水源池に向かう。ここは名水として知られているところで、ぜひその水を飲んでみたかった。水源には15:07に到着した。ここには多くの人が集まり、ポリタンクに水を汲んでいる人たちもいた。サーモスに水を汲んで飲んでみたが美味しい。子供たちは水源の下の水溜りで水遊びをしていた。私も靴を脱いで、ズボンをたくし上げて水の中に足を浸けてみたが、非常に冷たい。気持ちがいいが、5分もすると足が痺れてくるほど冷たい。子供たちは水着で水を掛け合ったりしているが、とても真似はできそうにない。
轟水源で体を冷やしてから、再び猛暑の中を歩き始めた。15:50に西岡神社にお参りし、16:30には宇土城址の山の上から宇土の市街を眺めた。しかし、暑い。今日は町の中で、テントを張るところを見つけるのも大変そうだし、何より夜間も気温が下がらず気持ちよく眠ることはできそうにもないため、宇土城址からホテルの予約をして部屋を確保した。
17:00にはホテルにチェックインして、市街を散策して、たまにはきちんとした夕食を摂ることにした。宇土は小さいが歴史を大切にした、なかなか居心地の良い町だった。
2020年8月8日 九州自然歩道 39日目 熊本県宇城市三角町石打ダム駅~宇土市本町 晴れ時々雨 気温32/26 距離23.0km 行動時間8:49 平均速度2.8km/h 38909歩