とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

クラスター cluster

 最近気になる単語。デスクトップに入れてある英辞郎で"cluster"を引いてみると、名詞では、1.(果実・花などの)房、塊、2.(同種の物・生物などの)集団、一団、3.(天文)星団。英語圏では日常的に使われている単語である。私の仕事では、クラスター解析という集団を特定の性質で分類する統計手法としてなじみがある単語。フィラデルフィアに住んでいたとき、アパートの階下のおじさんがcluster of childrenがスクールバスから降りてきたと言っていたり、近所のFarmers marketでおばちゃんからone cluster of grapesを買ったりした記憶があるぐらいの一般的な言葉。ところがCOVID-19の現在の日本においては、クラスターとは感染者集団を指すようになった。

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昨日購入したA cluster of grapes

 3月の頃は、新聞には「クラスター(患者集団)」とか「クラスター(感染者集団)」とかわざわざ括弧をつけて書いてあったような気がするが、いまはクラスターときたら説明なしで新型コロナウイルス感染患者集団を当たり前のように想起しなければならなくなった。本来ならばdisease clusterだろ?とか、集団感染だろ?とか言ったら、非国民とでも呼ばれそうな雰囲気。

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クラスター解析の結果の例

 みんなが心を一つにして立ち向かわなければならないことも分かるが、いま手元にある新聞のコロナ関連記事に出てくるクラスターという単語を、「集団感染」あるいは「感染集団」と読み替えても、問題なく読める。3月の終わりぐらいには、河野太郎防衛相が「なんでカタカナ?」とか言っていたみたいだけど、まったく同感。諸手を挙げて賛成。

 クラスターと言い換えるのは、「集団感染」というと危機感を煽りすぎるため、カタカナの持つ清潔、先進的、科学的、というような語感を使って、国民を安心させるためなのかなと勘ぐってしまう。でも、正確に情報を伝えるべき新聞まで同調してしまったのはいかがなものだろう。文字数に敏感なはずの新聞が、4文字から5文字に増えるのにもかかわらず使用しているのだから、どこかで用語の使用指針でも出たのだろうか?オーバーシュートも然り。ロックダウンも。

 カタカナはときに怪しい。部屋の隅の方でコソコソ言っているのが聞こえてきたので説明を請うたら、「小さなインシデントが発生したので、迅速に対応してソフトランディングを目指します。」なんて返答だったので、彼が不在の時に何のことだろうかとそれとなく周囲から事情を聞いてみたら、「わりとやばめな事故を起こしてしまったので、すぐに偽装して隠蔽する」と読み替えた方がよさそうな事案だったりしたから。読み替えが容易なカタカナを用いている場合は、とくに怪しい。