とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年10月17日 九州自然歩道 57日目 熊本県球磨郡水上村湯山温泉~球磨郡多良木町ブルートレインたらぎ

 本日は熊本県南部の球磨川源流域の湯山温泉からのトレッキング再開。今朝、福岡の自宅からは地下鉄、新幹線、高速バス、コミュニティバス、ローカルバスと5時間以上かけて乗り継いで、10:36にトレッキング開始地点に到着した。

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ようやくトレッキング再開地点に到着

 前回は五木村から白蔵峠を超えて球磨川源流域を目指したのだが、通行止めに阻まれて、本来の九州自然歩道のコースを30km近くショートカットして湯前(ゆのまえ)駅まで歩いている。今回は、未踏破のコースをなるべく短くすべく、湯前駅から未踏部分の九州自然歩道をバスで可能な限り遡ってから歩くことにした。

 人吉駅からローカルバスで1時間ほどかけてたどり着いた終点のバス停の名前が市房山登山口。あいにくの雨で、美しい独立峰の市房山(標高1722m)は今日はまったく見えない。晴れていたら登ってみたかったのだが、2019年7月の豪雨のために登山路が壊滅的な状況で、入山禁止になっている。バス停で雨具を装着して、湯前方面に向けて行動を開始した。

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正面に市房山が見えるはずなのだが

 湯山温泉は落ち着いた温泉の町。いくつかの温泉旅館と民宿、製材所、わずかな商店がある。町のメインストリートは石畳となっており、温泉町の雰囲気を醸し出している。

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 温泉街を過ぎると、九州自然歩道は国道338号線に合流する。にわかにダンプカーの往来が激しくなる。球磨川の水を湛えた市房ダム湖の上流部分に差し掛かるが、国道は無事なのだが、脇道には大きな崩落部分が見える。しきりに行き来するダンプカーは、さらに上流の道路工事のためだろうなと思いつつ、下流に向かって進む。

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 11:20に球磨川に架かるつり橋が見えてきた。橋長は100mを超えるような木製の本格的なつり橋だ。水輝橋という名で、風に吹かれて揺れて心地よい。橋の上からの景色は良いはずだが、あいにくの雨でいま一つの状態。河岸には木材がかなり堆積している。

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 つり橋を過ぎたところに弁当屋があり、昼食を食べながらしばらく休憩。その後はゆっくりと、緑色の水を湛えた雨の市房ダム湖の眺めを楽しみながら歩いた。

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 市房ダムのダム体には12:30に到着した。晴れていれば、正面に市房山が見えるであろうが残念。雲の切れ間に、ほんのわずかだけ頂上部分が見え隠れしている。

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市房山がわずかに見える

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 ダムからしばらく下っていくと、奥球磨ループ橋が見えてきた。標高差100mほどのスイッチバックを回避するために造られたのであろう360°のループ橋。村のシンボルのようで、展望台まで作られている。このあたり一帯は桜の名所のよう。

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 13:00を過ぎたあたりで、国道338号線沿いの村の中心地を過ぎて2kmほどの高橋集落で国道を左に折れ、球磨川を渡る。幸野ダムという小規模のダムが水を湛えている。

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水上村役場 ループ橋のすぐ下にある

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幸野ダム

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 幸野ダムからは球磨川の南岸を進むことになる。幸野ダムは取水口になっているようで道路に並行して水路が走っている。面白いことに、この水路は上部が覆われたパイプラインのような構造となって続いている。ところどころ側面を石垣で補強している。上部が開いた水路に天井を付けたわけではないと思われるので、土管のようなシールドを連結して作った水路なのだろうか。どこにも案内板がないが、構造や由来が気になる。

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幸野ダムから水路が始まる

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道路に沿って水路が続く

 13:52にトンネル構造の水路が水門から解放された部分にようやくたどり着いた。ここからはいくつかの方面に分岐して配水されているようだ。

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2kmほど進んだここでようやく水面が顔を出す

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 このあたりから九州自然歩道は右に折れる。しばらく進むと石段の先に鳥居が見える。石段を上がってみると、よく手入れされた里宮神社だった。市房神社の下宮のようだ。かつては湯前城が置かれたとされている。このあたりで雨が止んできたため、雨具を脱いでザックに片付けた。

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 ここからしばらくは、畑の中に家が点在するのんびりした歩道を歩き、14:30に湯前駅前のレストランの徳丸に到着した。ここには前回も訪れており、有名なチャンポンを頂いたが、今回はソース焼きそばの昼食とした。こちらはちゃんぽんほど洗練されてはいなかった。

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 昼食の後、15:00に行動再開し、九州自然歩道に戻る。刈り取りまつばかりの水田を眺めながら進み、県道33号線人吉水上線に合流した。

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球磨川を渡る

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 15:26に猫寺として知られる生善院観音に到着した。なんとものんびりした雰囲気の寺だが、由来を読んでみたらずいぶん通称とは異なることに驚かされた。

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猫寺

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 この先は多良木町に入る。県道の交通量はそれほど多くなく、のんびりと歩くことができる。球磨川に沿って、刈り取りを終えた水田を眺めながら下流に向かって進む。

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 16:10に青蓮(しょうれん)寺に到着。阿弥陀堂の茅葺が見事。

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青蓮寺阿弥陀堂

 この先は狭い街道路に沿って民家が並ぶ。ときおりダンプカーが通るが、軒先をかすめるようにして通過する。

 民家の間にりっぱな石蔵が見えたので覗いてみた。多良木町埋蔵文化財センターだった。地元の発掘物や相良藩の古文書などを展示している。石蔵がとても立派。キュレーターの方に聞いてみたら、昭和初期に建てられた農協の米の貯蔵庫だとのこと。このあたりは良田が多く、各所に貯蔵用の石蔵があるとのこと。

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 家並みを抜けたあたりが里城(さとんじょう)。ここから里の城大橋を渡って、球磨川を越える。多良木の中心地が見えてきた。

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 2kmほど歩き、17:30にくま川鉄道多良木駅に隣接した宿泊施設ブルートレインたらぎに到着した。ここは、かつて国鉄が運行していたブルートレインをそのまま宿泊施設として利用したもの。機材ははやぶさ。40年ぐらい前に乗った気がする。今日はいい夢が見られそうだ。

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2020年10月17日 九州自然歩道 58日目 熊本県球磨郡水上村湯山温泉~球磨郡多良木町ブルートレインたらぎ 雨のち曇り 気温15/8 距離20.6km 行動時間7:02 36742歩