とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年12月19日 九州自然歩道 70日目 鹿児島県南さつま市坊津今岳~枕崎市枕崎駅 丸木崎からの坊津の海の荘厳な眺めは必見

 本日は枕崎駅の近くのホテルからのスタート。枕崎までは福岡から最速で5時間弱で到着できるのだが、枕崎からトレッキング再開ポイントの坊津町今岳までのバスの本数が1日4本と少ないのがネック。前泊しないと午後1時ぐらいからのスタートとなってしまう。やむなくホテルに前泊することにしたが、土地の料理を楽しんだり、観光地を訪れたりすることもできるので、それほど悪いことではない。

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前泊の夕食に食べた鰹のたたき

 枕崎駅前から8:25の鹿児島交通バスに乗って出発。バスは国道226号線を北上してトレッキング再開地の今岳に向かうが、今回はバスの路線がほぼトレッキングのコースになる。枕崎駅前から終点の今岳まで乗客は自分一人だけ。申し訳ない。

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枕崎駅前からバスに乗る

 今岳には定刻の9:20に到着。九州自然歩道はここから国道226号線を南下して枕崎に向かうのだが、今回は先週、今岳のバス停で話しかけられた今岳神社の管理を代々100年以上されてきたという女性のお勧めの今岳に、まずは登ってみることとした。

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今岳に到着 後方に見えるのが今岳

 国道226号線を1kmほど北上し、今岳への登山道への分岐点に到達した。ここからは未舗装の道だが、轍が付いているところから、ときどき自動車は進入してきているよう。最後の150mほどは、ロープの張られた岩場を上り、頂上(268m)の神社に到着した。山の最上部は神社を守るための木に囲まれているため眺望はなかったが、山道の途中からの眺望は良好。頂上では少しだけ水を飲んで、のどの渇きをいやして、すぐに下山を開始した。

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今岳への登山道

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途中の眺めは良好

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今岳頂上の祠に到着

 今岳の集落を10:39に再び通過し、今度は国道226号線を南下して坊津久志(ぼうのつくし)に向かう。木々の切れ間から海が見える。歩道はないが、交通量は少なく、危険を感じることはない。

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今岳を後にする

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国道226号線を南に進む

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久志の海が見えてきた

 眺めを楽しみながらゆっくりと歩いて、11:23に坊津久志の集落に到着。山の上には風力発電の風車がゆっくりと回っている。久志の集落を抜けて海岸沿いの道を歩く。潮騒が心地よく耳に響く。久志の浦の出口には小島が並んでいるのが見える。久志港近くには立派なアコウの木が2本立っている。この木は福岡で見ることはまずない。

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久志の集落の山では風車が回る

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波の音が心地よい

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湾の出口に小島が浮かぶ

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道路沿いには立派なアコウの木

 久志からは峠に向かい、しだいに高度を上げる。国道226号線が丸木崎トンネルに入るところには向かわず、トンネルの上に続く旧道に進む。この旧道は丸木崎の先端まで行く眺めのよいコースで、バスの通り道でもある。半島の先端の草島岩礁や丸木浜キャンプ場の砂浜が見える。岬の先端を回り込んだところにある丸木崎展望台には12:18に到着した。ここからは泊浦の湾内に浮かべられた養魚施設が見え、周囲をトビが気持ちよさそうに飛翔している。

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峠を超えると丸木浜が見えてきた

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岬の先端の岩も見えてきた

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丸木崎展望台の眺望が素晴らしい

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泊浦に浮かぶ養魚施設

 丸木崎展望台からゆっくりと高度を下げていき、トンネルから出てきた国道226号線を横切って泊の集落の中に進む。ここは百戸ちかくの家の並ぶ比較的大きな集落だ。背後の山の上には7基ほどの風車がゆっくり回っている。このあたりも風の強いところなのだろう。家の多くはコンクリートの塀で囲まれている。

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丸木崎から泊の集落に降りてくる

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泊の山でも風車が回る

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泊浦も透明度が高い

 泊は谷崎潤一郎の家の家政婦さんの出身地で、谷崎は泊出身の女性をとても気に入っていた。家政婦さんが辞めた後、当時の坊津町長さんに次の家政婦も泊から斡旋して欲しいとの手紙を送っている。泊にはどんな気立てのよい女性がいるのだろうかと町の中を探しながら歩いたが、残念ながら道端で女性を見つけることはできなかった。

 泊漁港は岬に囲まれた波の静かな漁港で数隻の漁船が係留されている。湾の向こうには先ほど歩いてきた丸木崎の岩壁が見える。こちらから丸木崎を見ても景色がよい。

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泊漁港

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泊浦の向こうに丸木崎

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丸木崎の断崖から見た景色が素晴らしい

 泊漁港の先の泊トンネルを抜けたところにある輝津館という坊津歴史資料センターには13:16に到着した。ここでは坊津が遣唐使の拠点として使われてきた歴史や、密貿易で栄えてきた経緯などを知ることができる。輝津館のテラスからは、坊津のシンボルである双剣岩を望むことができる。でも、じつを言うと思ったよりも小さくてがっかりだった。

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坊津の歴史を伝える輝津館

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中央近くに見えるのが双剣

 輝津館の受付は女性だった。ようやく泊の女性に会えた。しかし、このあたりにどこか食事のできるところはないかと尋ねるが、枕崎までないとにべもない答え。谷崎潤一郎のようにここからお手伝いさんを迎えることはなさそうだ。

 もう午後1時を廻り、お腹は確実に空いてきた。今岳からここまでの間に食堂は5つ以上あったが、いずれも営業していなかった。地図で集落がたくさんあるからどうにかなるかと食料は持参していない。コースから少し外れ、中坊の集落の中を探してみると、2軒の食堂はいずれも営業しておらず、1軒の和菓子屋さんが営業していた。やむなく、和菓子をいくつか購入し、眺めの良い所で食べようと歩を先に進めた。

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中坊の集落

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太鼓橋

 14:50に枕崎市と坊津町との間の耳取峠に到着した。ここは枕崎の市街や開聞岳まで一望できる眺望のよいところ。ここでホテルから持参したお茶と一緒に和菓子の休憩とした。耳取峠とは変わった名前だなと解説の表示を読んでみると、昔はこの峠で罪人の耳を切り取っていたことからつけられたとする説があるとのこと。眺めとのギャップにビックリした。

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坊津を離れて峠が近づいてきた

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耳取峠から枕崎の市街地と開聞岳を眺める

 おやつの後は国道226号線を快調に歩き、枕崎市の境界を越えた。15:20に春日で国道226号線から右折して立神のある岬に向かう。のどかな田園風景の中を歩くが、12月なのにもう菜の花が咲いていた。菜の花の先には本坊酒造の工場が見える。

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枕崎市に入った

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国道を離れて菜の花の中を岬に向かって進む

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本坊酒造の工場が見えてきた

 岬の先端には平和公園があった。この岬を越えて多数の特攻隊が南の海に散っているのだ。白い石塔には個人の名が刻まれていた。いずれも自分よりもずいぶん若い。

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平和公園に続く道 白い石塔の一つ一つに若人の名が刻まれている

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慰霊碑の向こうには南シナ海

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夕日のきれいな海岸だ

 16:06に岬の先端の立神岩に到着。この辺り一帯は火の神公園となっており、キャンプ場もある快適なエリア。東には開門岳が正面に見える。いつかここにテントを張って、朝日に照らされる開聞岳を眺めながらコーヒーを淹れてみたい。

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枕崎のシンボルの立神岩

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東には開聞岳が聳える

 立神岩からは海沿いに進み、枕崎の市街地に向かう。その名もズバリ、かつお公社というお土産店をのぞき、鰹の生節をお土産に購入した。その後は薩摩酒造の酒蔵に立ち寄り、17:23に枕崎駅近くのホテルに到着して、本日の行動を終了とした。晩ご飯は、まずは地元の有名店の喜久屋食堂のさつま黒豚のカツ丼。これは美味かった。

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海沿いに枕崎の市街地に向かう

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かつお公社でお土産購入

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薩摩酒造の蔵に立ち寄る

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腹ぺこのおなかにさつま黒豚のカツ丼が効いた

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2020年12月19日 九州自然歩道 70日目 鹿児島県南さつま市坊津今岳~枕崎 雨のち晴れ 気温11/5℃ 行動時間8:03 距離30.7km 46905歩

往路交通: 博多16:44九州新幹線さくら559号-鹿児島中央18:09/18:38鹿児島交通バス枕崎行-枕崎20:09 前泊 翌8:25鹿児島交通バス今岳行-今岳9:20