とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2021年1月11日 九州自然歩道 74日目 鹿児島県肝属郡南大隅町島泊~南大隅町佐多岬~南大隅町大泊 夜明け前の佐多岬をひた走る

 テントの中で目が覚めたのが3:30。3連休の初日は悪天候のため錦江湾を横断するフェリーが運航されず、山川で1日足止めされた。連休2日目の昨日はリカバーしようと30km近く歩いたが、残りの休みは本日1日のみ。さて、今日はどうしようか。考えてみた。選択肢は3つある。

  1. このままがむしゃらに前に進む。野営地から佐多岬まで12km+佐多岬からコースを30km北上+コースを離脱して根占港まで8km=50km。根占港の最終フェリーは16:30。
  2. 前に進むのを諦めて帰る。野営地から根占港までショートカット=25km。ゆっくりスタートしても根占港の最終フェリーには十分に間に合う。
  3. 途中までコースを進みバスで帰る。野営地からバス停のある大泊4km+佐多岬往復12km=16km。大泊からの最終バスは8:00!

 1.の選択肢は超人コース。15kg近くの荷重で50km歩ける気がしない。

 2.は妥当な選択肢だが、消極的。

 3.の選択肢が良さそうだが、大泊からの最終バス、というか1日1本しかないバスが8:00発というのが難点。

 寝ぼけた頭で考えた。野営地から大泊まで4km歩いて1時間。大泊から佐多岬往復は12kmで3時間。ということは4:00に行動を開始したら、計算上は8:00のバスに間に合う。やってみようではないか。ということで、ヘッドライトをつけて撤収をはじめ、4:10に行動を開始した。

f:id:nayutakun:20210114142126j:plain

暗闇の中で撤収完了

 真っ暗な中を県道68号線のセンターラインを頼りに佐多岬に向かって進んだ。完璧な漆黒の野営地では、夜半はオリオン座の四角の中に30個ぐらい星が見えるほど晴れていたが、現在は曇っているようで、星は見えない。霧がうっすらと漂っている。ヘッドライトで標識が映し出される。佐多岬まで12kmだ。近い。

f:id:nayutakun:20210114142159j:plain

ヘッドライトを頼りに進む

f:id:nayutakun:20210114142243j:plain

佐多岬まで12kmの標識があらわれた

 島泊集落の入口を通過し、尾波瀬集落と思われる街路灯が道路の下に見えてきた。4:50に尾波瀬トンネルを通過した。そのまま休憩なしで歩き、5:20に大泊の集落に到着した。佐多岬8kmの表示がある。地図では九州自然歩道はショートカットコースをとるので1kmほど短く見える。

f:id:nayutakun:20210114142336j:plain

尾波瀬トンネルを通過

f:id:nayutakun:20210114142401j:plain

大泊には佐多岬8kmのゲートがあった

 大泊集落から10分ほど歩き、バスの始発点であるホテル佐多岬に5:40に到着した。バス停の位置を確認し、時刻表の確認を行った。1日1本だけのバスは、平日、土日祝日も運行していることを確認。これで第一関門突破。

f:id:nayutakun:20210114142449j:plain

バス停を確認

f:id:nayutakun:20210114142508j:plain

バスの時刻を確認。土日祝運休という場合も頻繁にあるので油断できない。

 のんびりしていたら6:00に近くなってきた。ホテルから佐多岬まではおよそ7km。歩いたら往復2時間以上かかり、バスには間に合わない。そこで、荷物を置いて、佐多岬まで走ることにした。ホテルから100mほど先に大泊キャンプ場がある。このキャンプ場に荷物を置いて、空荷で走れば余裕で間に合うはずだ。ザックからミカンを2つポケットに入れ、木製テーブルの下にザックをデポジットして6:00に佐多岬に向かって走り始めた。まだ真っ暗で、ヘッドライトの光を頼りにひた走る。大泊港の上には月が光っている。

f:id:nayutakun:20210114142632j:plain

大泊キャンプ場から港を眺める

f:id:nayutakun:20210114142710j:plain

キャンプ場のテーブルの下にザックをデポジット

 県道68号線の旧道を走り、大泊から田尻集落への峠を越える。標高差100mもないほどだが汗が出てきた。自動車はほとんど通らず、心地よく走ることができる。6:15には県道68号線の新しいトンネルとの合流点に出た。さらに10分ほど走り田尻集落の海岸線を通過した。水平線が少し赤みを帯びてきた。

f:id:nayutakun:20210114142804j:plain

佐多岬までの最後の田尻集落を抜けるころに空が明るくなってきた

 6:50ごろには、佐多岬にほど近い北緯31度線のモニュメントを通過し、佐多岬灯台にアプローチするトンネルに到着した。

f:id:nayutakun:20210114142924j:plain

北緯31度線モニュメントを通過

f:id:nayutakun:20210114143117j:plain

最後に人道トンネルがある

 トンネルを抜けると500mほど先の小高い山の上に展望台が見える。よく整備されたアプローチ路を走り、7:00ちょうどに佐多岬展望台に到着した。

f:id:nayutakun:20210114143157j:plain

トンネルの先には展望台が見えてきた

f:id:nayutakun:20210114143323j:plain

佐多岬展望台に到着

 連休の最終日には、本土最南端で日の出を見るぞと集まる人が30人ぐらいいると予想していたのだが、展望台には誰一人おらず拍子抜けした。でも、本土最南端の地点まで自分の足で歩いたと思うと感慨が深い。南の佐多岬灯台、東の種子島方面、西の開聞岳方面の写真を撮ってから、この地の空気を身体中に詰め込んで帰ろうと、大きく1回深呼吸した。

f:id:nayutakun:20210114143414j:plain

南には佐多岬灯台

f:id:nayutakun:20210114143513j:plain

東には目をこらせば種子島の町の灯が見える

f:id:nayutakun:20210114143601j:plain

西には開聞岳

 日の出時刻は7:17で、佐多岬で日の出を見てみたいと一瞬頭をよぎったが、もし日の出を見てから走り出したならば、向こう3日間ぐらいぐったりするほど力いっぱい走らないと間に合わない。0.3秒考えてあきらめた。バスは1日1本だ。長居すると墓穴を掘る。ここは本土最南端の地だ。7:03には大泊に向かって走り出した。

 佐多岬からはほどほどのスピードで休まずに走り続けた。すでに周囲は明るく、ヘッドライトはポケットに片づけた。田尻集落が眼下に見え始めたときに水平線から太陽が昇りはじめた。足を止めて写真を撮ったが、水平線には雲がかかっていたので、それほど悔しくはなかった。

f:id:nayutakun:20210114143811j:plain

帰り道は明るくなってきた

f:id:nayutakun:20210114143834j:plain

田尻集落付近で日の出の時刻を迎えた

 その後も明るくなった道をひたすら走った。景色は良い。自動車もほとんどいないので、このコースは走るのにおすすめのコース。予定どおり7:50には大泊キャンプ場に戻ることができ、デポジットした荷物を回収して、ホテル佐多岬に向かった。

f:id:nayutakun:20210114143926j:plain

キャンプ場に無事到着

f:id:nayutakun:20210114143948j:plain

すぐ先のホテル佐多岬にゆっくりと向かう

 7:58にバス停に到着し、ホテル玄関横の自動販売機で冷えたコカコーラを購入した。気温は6℃。寒くない。ゴキュゴキュッとのどを鳴らして飲んでいたら、バスがゆっくりと坂を登ってきた。

f:id:nayutakun:20210114171327j:plain

f:id:nayutakun:20210114144115j:plain

 2021年1月11日 九州自然歩道 74日目 鹿児島県肝属郡南大隅町島泊~肝属郡南大隅町佐多岬肝属郡南大隅町大泊 曇り時々晴れ 気温10/6℃ 行動時間3:49 距離17.9km 19708歩

 復路交通:ホテル佐多岬8:00-垂水港10:04/13:00-鴨池港13:50/14:05-鹿児島中央14:37/15:51-博多17:08