とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2021年2月11日 九州自然歩道 83日目 鹿児島県鹿屋市高隈ダム~霧島市福山町福地狐ヶ丘高原 20機の風車の並ぶ稜線をのんびり歩く

 今回の九州自然歩道トレッキングは鹿児島県鹿屋市郊外の高隈ダムからの再開。高隈ダムは鹿屋市の中心地区から北に15kmほどの景勝地である大隈ダムの南端にある。平日はこの地域には1日数便のローカルバスがあるが、土日祝日はバスの便がない。しかし幸運なことに、鹿児島空港から鹿屋までの高速バスが、高隈ダム近くの鹿屋カントリークラブの停留所で止まる。現在1日3便運行されているこの高速バスに乗るため、博多を6:10に出る新幹線に乗り、鹿児島中央から8:09の日豊線で国分まで行き、市役所前から高速バスに乗り継いで10:11にカントリークラブ前のバス停に到着した。

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まずは博多から新幹線

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鹿児島中央から日豊本線で国分まで

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国分からは高速バスで高隈ダムまで

 天候は曇り。現在の気温は14℃。当地の標高は275m。歩くと汗ばみそうな暖かさなので、ダウンジャケットを脱いで、サングラスをかけて、10:16に国道504号線を北に向かって歩き始めた。

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高隈ダムに近い鹿屋カントリークラブ

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まずは国道504号線を北上する

 5分ほど歩いたところで国道504号線は県道71号線に分かれるが、ここを左折して県道を進む。県道71号線は前回、高隈山系から大隈湖に下ってきた道路。先週は南岸の湖畔周回路を進んでダムまで歩いたが、今回は北岸の道路を歩くことになる。分岐点の交差点近くに白いピラミッドのような建物があり、宗教施設かマルチ商法の本部かとのぞいてみたが、林業関連の施設のようだった。

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すぐに県道71号線への分岐が現れる

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目印になるピラミッド

 県道71号線を500mほど進んだところで、牛根峠右折の標識に出会う。ここからは県道を離れて右折し、林道を進む。県道は交通量が多かったので、林道に入ってホッとする。舗装路で、整備状態は良好。人家はほとんどなく、牛や鶏の比較的規模の大きな飼育施設が道路に沿って点在している。風下を歩くと、その施設で飼育されているのが牛なのか豚なのか、それとも鶏なのかはすぐ分かるようになった。

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標識は丁寧に設置してある

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山間には飼育施設が多い

 ゆったりとした上り勾配の舗装路を楽しみながら歩く。交通量はときおり白い軽トラが通過し、ほんのまれに飼料運搬車と思われるタンクローリーのような形状のトラックが通るだけ。しだいに高度が上がっていき、木々の間からずいぶん下に大隈湖が見えてきた。11:12に標高412mの小さなピークを通過した。

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心地よい林道を歩く

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大隈湖が見えてきた

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小ピークが近づく

 そこからもさらにカーブを描きながら尾根に近い部分を登っていき、11:22に分岐のあるところに到達した。左方向は道路の崩落のために通行止め。今回進む牛根峠方面は通行制限がなくてホッとした。下方に見える谷はだんだん深くなってきた。道路脇の道標には輝北町と書いてある。おそらく合併前のものだろう。11:45には標高519mの峠に到達した。頂上近くからは遠くの山で風車が回っているのが見えてきた。

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左の路線は通行止めだった

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稜線の風車が見えてきた

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輝北町の境界か

 峠を越えた後は視界が開けてきた。目の前には牧草地が拡がる。地図には牧場との表記がある。岳野集落の牧場のようだ。この牧草地には放牧された牛は見られず、柵も設置されておらず、大型のサイロがあることから、飼料用の牧草を栽培しているのかもしれない。牧草地の向こうには高隈山系が見えてきた。あの一番高いのが大箆柄岳(おおのがらだけ)で、その左が小箆柄岳で、と地図を見ながら確認する。今日ぐらいの天気だったら、頂上からの眺望が楽しめたのにと、少し残念に思う。ただし、じゃあもう一回登ったら?と言われたら、しばらく遠慮しておくと答えたい。

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牧草地の先には高隈山系 試練の縦走の記憶が新鮮

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牧草地が拡がる高原

 岳野集落の辺りには広い牧草地が拡がり、異国のような雰囲気がある。サイロや赤い屋根の家などが、そのイメージをさらに強くする。牧草地の新鮮な空気を吸ってから先に進む。

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 岳野集落の中心にある道路が交差する位置には12:25に到着した。GPSを見ると標高は564m。ずいぶん上がってきた。交差点には丁寧に標識が設置してある。牛根峠の方向に右折する。

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大隅半島の標識は非常に丁寧

 岳野を過ぎると牧草地はなくなり、周囲の山にはスギとヒノキの植林ばかりになる。気になったのは、ここの植林にはスギとヒノキが混在していること。同じ科に属しているが、栽培適地は若干異なっていたような気がする。また、出荷の際にも混在させてしまいそうな気がする。人ごとながら気になってしまった。

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スギの苗が植えてある

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こんなところにもスギとヒノキが混在している

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スギ

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ヒノキ

 風車がずいぶん近づいてきた。以前の野尻野でも経験したが、発電用の風車は1分間20回転ほどで優雅に回っているように見えるが、近くに行くとかなりの騒音を発する。しかし、風車の設置してある辺りは伐採してあり景色がよい。今回は景色をとって、12:42から風車の下でサンドイッチとミルクティーの昼食とした。曇ってはいるが、鹿屋の平野の向こうには、大隅半島東海岸志布志湾が見える。

 昼食を済ませて12:56から行動を再開した。20分ほど歩くと牛根峠に到着した。ここは鹿屋市と垂水市が境するところ。西に山を下りれば錦江湾に向かい、桜島の付け根辺りにたどり着き、東に山を下りると鹿屋市街につながる。今回は稜線をさらに北に進む。このあたりから舗装状況が若干悪くなるが、歩きにくいというほどではない。

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牛根峠

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西に進めば垂水の牛根

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東に進めば鹿屋に戻る

 稜線の林道を進む。交通は軽トラがごくたまに通行する程度。静か、といいたいところだが、絶え間なく風車の音が聞こえる。巨人が頭上でブーメランを振り回しているかのようなこの音は、無機質で、暴力的。山道の先に風車が並んでいるのが見えてきた。その中央には風変わりな建物が建っている。これが本日の目標としている天文台輝北天球館のようだ。

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整備が若干悪くなった山道を進む

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もうフキノトウが顔を出している

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風車が並ぶ先がうわば高原

 13:57にふれあいの森への分岐を通過し、輝北天球館近くの風車のブレードが倒れている傍を歩いていたところ、前方から男性が下りてきた。挨拶を交わし、お互いに行き先を尋ねると、九州自然歩道完歩間近の佐賀からの男性だった。すでに西の福岡~佐賀~長崎~熊本~薩摩を終え、東の福岡~大分~宮崎~大隅を歩き進めているところだった。本日は大隅湖までということだった。これから自分の行く先の注意点やお勧めの民宿などいろいろ教えてもらう。宮崎はヒルの対策が重要そうだ。お互いに無事な完歩を祈り、握手を交わして14:25頃に互いの進路を歩き始めた。

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風車のブレードが横たわっていた。ここで九州自然歩道氏と遭遇

 広い芝生の原を登り、14:32に輝北天球館に到着した。天文台ではあるが、建築物としても魅力的。ここからは風車と桜島が一望できる。炊事棟やシャワーのあるキャンプ場がある。今日はここのテントサイトに泊まる予定で、トレイルセンターに行き、まずはソフトクリームで小休止。その後、キャンプの申し込みをしようとしたが、フリーサイトが水道の故障のために使用不可とのこと。まだ時間は早く、明るいため先に進むことにした。

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うわば高原が近づいてきた

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シンボルの天文台 輝北天球館

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快適そうなキャンプ場がある

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桜島が真正面に

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九州自然歩道のトレイルセンターも

 トレイルセンターからは15:03に行動再開。この先さらに10機ならぶ風車の下の山道を歩く。ところどころ舗装路もあり、快適に進むことができる。舗装路に出ると、火山灰がかなり降り積もっているのが分かる。奥歯をかみしめると、ジャリッと音がする。

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風車に沿って先に進む

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最後の風車は狐ヶ丘の上に

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ここからも桜島が美しく見える

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舗装路には火山灰が堆積する

 野営をするならば風車のないところがよい。以前の経験から強くそう思っている。15:54に最後の風車が設置してある狐ヶ丘を通過した。標高は499m。風が強い。しかも反対斜面では造成工事をしているようで、ブルドーザーやダンプカーの音がうるさい。野営適地を求めてさらに先に進む。

 300mほど進んだところで、公園を見つけた。林道からは少し山手に入り、自動車のライトが当たるようなこともない。本日はまだ十分に明るい16:09に行動を終え、テント設営を開始した。

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ここでゆっくり

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 晩ご飯にはペンネで作ったペペロンチーネとほうれん草と卵のスープ。簡単で美味しい。

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2021年2月11日 九州自然歩道 83日目 鹿児島県鹿屋市高隈ダム~霧島市福山町狐ヶ丘 曇り 気温14/6℃ 行動時間5:41 距離19.8km 34713歩

 

往路交通:西新5:36-博多5:50/6:10-鹿児島中央7:58/8:09-国分8:56/霧島市役所前9:22-ゴルフ場前10:16