とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2021年2月13日 九州自然歩道 85日目 鹿児島県霧島市国分敷根~霧島神宮 ここが日本発祥の地

 今朝は桜島が真正面に見える海岸で6:00に目を覚ました。海抜は0メートル。暖かい。ただし、風が強く、撤収の際にはテントが飛ばされそうになる。錦江湾を隔てた桜島は美しいが、今日は笠雲がかかっている。たしか笠雲は天気が崩れるときの兆候。天気予報を見てみると、午前中の降水確率は30%から60%を行き来している。雨が降り始める前に歩き始めようと、すばやく撤収作業を終え、7:00に行動を開始した。

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桜島に笠雲がかかる

 まずは検校橋のたもとまで戻り、ファミマのイートインでコーヒーを飲みながらバッテリーに充電を行う。ありがとうファミマ。まぢコンビニは神。イートインでコーヒーを飲んでいると、ドアを開ける人の30%ぐらいが、車の中のゴミを捨ててから買い物に向かうのが分かる。コンビニのゴミの廃棄の手間や費用も大変なものだろうと思う。神を怒らせないようにしないといけないなと思いながら、バッテリーが90%になったのを確認してコンビニを出た。

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検校橋に戻る 山の上には展望台

 コンビニ前の交差点で信号を待っていると、通りかかった女の子が大きな声で挨拶をしてくれる。紫色のランドセルを担いだ、上顎に前歯が生えてきたばかりの小学生だった。挨拶を返しながら、「今日は土曜日だけど学校?」と尋ねると、「学校でーす」と大きな声で答えてくれた。自分がこの子の小学校の校長先生だったら、今日はこの子に挨拶賞を贈呈したいなと思いながら、青に変わった信号を渡りはじめた。

 国道504号線と国道10号線が重複する道路をしばらく歩き、高速道路の高架下をくぐる。その先から県道472号線に右折したのが7:40。ここからは、数キロにわたる直線道路を、国分の中心地に向かって歩く。最初は道路の両側は刈り取りを終えた田んぼだったが、しだいに人家や商店が増えてきた。ヘルメットをかぶった中学生も、自転車で通り過ぎる。今日は小中学校ともに開校しているようだ。県道472号線は交通量が多いが、さいわい歩道がある。

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国道10号線を進んで高速道路の高架をくぐる

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国分中心地まで真っ直ぐ進む県道472号線

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両側には田んぼが拡がる

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歩道が整備されているのがさいわい

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しだいに人家と店舗が増えてくる

 8:10には開店したばかりのジョイフルで朝食とした。ときどきバランスのとれた食事をしたくなる。いつもは朝に米を食べることはないが、今日はとても美味しく感じる。

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ジョイフルで朝食

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ときどきこんな朝食もいい

 8:34に行動を再開し、県道を先に進む。コース上の人家はさらに多くなる。この先、8:56に国分市街地で地図に従って右折し、狭い路地をすすむ。とくに史跡があるわけでもなく、景観がよいわけでもない。理由は分からないまま、地図に従い法隆寺の角に出て左折した。

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この先の細い路地を右に入る

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法隆寺の角に出る

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由緒のありそうな

 9:05に国分市民会館の交差点を右折し、国分マダムの集いの場であろう山形屋を通過して、県道60号線を一路北上した。ここからは、もう一回歩いたとしても思い出せないほど退屈な、これといった特徴のない、歩道があったりなかったりする道路をひたすら歩く。9:33に雨が降り始めた。しばらく我慢して歩き続けたが、9:48に重久集落の道路沿いにコンビニがあったため、飲料水を購入し、軒先でレインカバー装着した。まだ、雨具をつけるほどの雨ではない。しばらく休んで、すぐに行動を再開した。

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市民会館の交差点を右折して県道60号線がスタート

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国分のシンボル山形屋前を通過

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ここから先は記憶に残りがたい道路

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交通量が多く、雨も降ってきた

 国分から霧島神宮まで続く県道60号線は、本当に交通量が多い。地図を見ると、重久から先は九州自然歩道のルートと並行して川沿いに道があるのが分かった。重久橋の手前から、川沿いの道を進むことにした。車の騒音から解放されてのびのびと歩いていると、犬の散歩をする人やジョギングの男女が挨拶をしてくれる。川の土手には、ヒガンバナが葉の状態で茂っている。気をつけて観察しないと、ヒガンバナだとは気づかない。秋の開花に向けて、いまエネルギーを生産しているのだなと思う。歩くのはこういう道がよい。安全で静か。歩きながら「はーるのおがわは」とか鼻歌が出てきそうな道だ。振り返ると、つるんとした笠雲をかぶった桜島が見える。

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重久から川沿いの道を進むことにした

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県道よりも数倍心地よい道

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ヒガンバナの葉が生えている

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残念ながら川沿いの道はもうすぐ終点

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振り返ると桜島

 こんな心地のよい道もすぐに終わり、9:56には橋を渡って県道60号線に戻った。交通量が多く、市街地を離れるため、自動車の速度がかなり上がっている。しばらく歩道はない。

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県道60号線に戻ると一気に危険度アップ

 30分ほど進むと、10:31には旧道が並行して現れた。地図上では旧道が九州自然歩道に指定されているようだが、旧道はすでに廃道と化しており、歩くにはしんどい状態だった。このあたりから西側にのみ歩道がつけられており、安全面の不安はなくなった。ここから先にも、ときどき旧道の痕跡が現れる。しかし、いずれも歩くことのできるような状態ではない。反対側の山を見ると、斜面の崩落か所が何カ所も見える。岩ではなく、土の山のようだ。火山灰でできたシラス台地の山なのかもしれない。

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旧道の跡が現れた

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旧道は廃道化しており、進んだら痛い目に遭いそう

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県道は高規格化され、山側にのみ歩道が設置されている

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向かい側の山の土砂崩れの痕跡が生々しい

 10:53に関の坂の峠に到着した。標高は151m。峠の案内表示を読むと、この坂は、平成22年7月に1時間雨量126mmの降水で大被害を生じて、1年半をかけて復旧したという。これを読んでいるとき偶然雨が強くなり、ヒヤリとした。木の下で小休止しながら解説を読んだが、雨が強く降らずにすんでよかった。それにしても1時間降水量126mmとはすさまじい。しばらく休んでから行動を再開した。

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関の坂の峠

 11:04に峠の三叉路に到る。都城方面に向かう県道2号線は右に分かれるが、霧島神宮に向かう県道60号線を直進して進んだ。ここからはほぼ平らな道となる。11:07に牧神を通過中に急に雨が強くなってきた。やれやれ、雨具をつけなければならないかと思いながら、廃工場の軒先を借りて雨宿りしていたら、西の空が明るく見えた。しばらく待っていたら雨脚は弱くなり、歩くのに支障はなくなってきたので、雨具をつけずに行動を再開した。

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左の廃工場の軒先で雨宿り

 ここから先の道路沿いには、小洒落たカフェ、テイクアウト専門の焼き鳥屋、木質発電所など、気になるところが時々現れた。木質発電というのは耳慣れなかったので調べてみた。動植物由来の資源を使ったバイオマス発電の一種で、ここは主に間伐材を燃やして発電する施設だった。

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道路の勾配はなくなる

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気になるカフェ

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気になる木質発電所

 11:58には黒豚の館という名のレストランを通りかかった。山の中のレストランにもかかわらず、お昼の行列ができている。店を出てきた人に聞いてみたら、希少な種類の黒豚のみを提供する有名店のよう。それではと思って行列に並んで、カツカレーを食べてみた。美味しいとは思ったが、普段からそれほどよいものを食べているわけではないので、さして違いが分からず残念だった。

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行列のできる黒豚の館

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カツカレーを注文

 12:37に食事を終えて行動再開。ここからは坂を下り、日豊本線の線路を越えて霧島の市街地に入る。店舗や民家が増えてきた。川向こうには、別荘地のような赤い屋根の家が並んでいる。霧島神宮まで真っ直ぐ県道60号線が続く交通標識があらわれた。

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坂を下った先には霧島連山 あいにくの雲で隠れている

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日豊線跨線橋で越える

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市街地に入る

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川向こうには別荘地か

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霧島神宮が近づく

 13:12に霧島神宮駅前交差点を通過した。霧島神宮駅霧島神宮とは8km近く離れているので、まだ油断してはいけない。市街地の狭い道を北に進み、13:16には県道60号線から橋を渡って並行する農道を歩き始める。

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霧島の中心地の駅前交差点を通過

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市街地の狭い道を進む

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霧島川を渡ってのんびりした道に進む

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こちらの道の方が楽しい

 しばらくは集落の間を縫うようにして歩くが、圃場の整理をしてできたような直線道路に出てきた。直線道路の両側は刈り取りを終えた水田。右側に青い屋根の建物が見えた。あれが温泉の神乃湯だろうと狙いをつける。

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しばらく標識に従って進む

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圃場整理の直線路

 13:39に直線道路を突き当たったあたりの猿田彦神社に到着した。案内の看板には猿田彦の住まいと書いてある。全国に多数ある猿田彦神社の、あの猿田彦の住まいだろうか。それにしては扱いがやや小さいが、大隅半島の神話関連施設には驚かされることばかりだから、本物の住まいかもしれない。

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猿田彦神社

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全国に数ある猿田彦神社の中でも別格か

 ここから先は少し幅の狭い林道に近いような道を進む。標高は400m近くまで上がってきた。道路に沿って、由緒の正しそうな野上神社が出てきた。由来は分からないが、参道に並ぶ木々の威圧感が強いので、きっと有力な神社なのだろう。お詣りだけはしておいた。

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林の中を進む

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野上神社に立ち寄った

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小さいながら大切に管理されており、威厳がありそう

 しばらくは、家が点在する集落を進む。いくつか分岐があるが、そのつど標識が案内してくれる。人家が尽きたところで、片側1車線の舗装路に突き当たり、正面には九州自然歩道の案内図が現れた。ここから右折して坂を降り、霧島川に架けられた霧島橋を渡った。

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いくつか曲ながら進む

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標識が案内してくれる

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突き当たりに案内板

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坂を下って進む

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霧島川の霧島橋を渡る

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霧島川

 ほどなく、表参道直進、九州自然歩道左折の標識が出てきて、左に曲がって亀石坂に進んだ。きれいな石段を登り、15:04に霧島神宮の本殿に到着した。

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標識に従って左折

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100mほど進むと亀石坂に

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ここから石段が始まる

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石段を進むと

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霧島神宮の本殿に到着した

 本殿に参拝して、表参道を下った。境内には立派なご神木が祀られていた。境内を出たところには君が代に出てくるさざれ石の元になった石が飾られていた。鳥居をくぐって出た正面には桜島が鎮座している。ああ、桜島は沁みる。雄大な光景が目の前に広がる。

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本殿に参拝

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立派なご神木

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これが、巌となったさざれ石

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自然と頭を垂れたくなる

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霧島神宮からも桜島がくっきり

 表参道を先に進み、最後の鳥居をくぐった後は、朱塗りの橋を渡る。その先には霧島神宮温泉のロータリー。ロータリーの中央の石塔には、「日本発祥の地 霧島」と誇らしげに刻んであった。誰も文句は言えまい。そんな威厳を感じる霧島だった。

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鳥居をくぐって霧島神宮を後にする

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ここが日本発祥の地

 ロータリーにある霧島神宮バス停で、帰りのバスがあるのを確認したのが15:24。ここで本日の行動終了とした。

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バスの時間を確認してホッとする

 その後は、15:53のバスに乗り、霧島神宮駅前の3つ前の停留所の神乃湯温泉で降りて、ゆったりと温泉を堪能した。

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ずばり、神乃湯

 神乃湯温泉から駅までの1kmほどの道を歩いていたときに、オガタマノキを見かけたので写真を撮っていたら、男性から山登りかと声をかけられた。男性は来年仕事を辞めて山登りを始めるつもりという。山登りの機材についていくつか質問された。オガタマノキは男性の家の庭木とのこと。私が友人からオガタマノキはミカドアゲハの食樹として有名だと聞いたというと、これからは飛んできた蝶に気をつけて見ておこうという。

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オアガタマノキを見つけた

 ここからは15分ほどのんびりと歩いて、霧島神宮駅に17:20に到着した。乗車を予定していた列車は18:56発でずいぶんと早いが、これは駅前に「ただカレー屋やりたいだけ」という尖った名前のカレー屋があるのを確認していたので、タイミングが合えばここで晩ご飯と思っていたため。残念ながら本日は休業中だった。

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霧島川を見ながらのんびり歩く

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とっても気になった、ただカレー屋やりたいだけ

 やむなく霧島神宮駅に行き、駅の鳥居をくぐって、17:40の日豊本線特急きりしま15号に乗車して福岡への帰途に着いた。

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霧島神宮駅もいい味

 

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駅名標もいい味

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特急きりしまで帰宅

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2021年2月13日 九州自然歩道 85日目 鹿児島県霧島市国分敷根~霧島神宮 曇り時々雨 気温14/6℃ 行動時間7:23 距離25.7km 44251歩

復路交通:霧島神宮15:53-神の湯16:03/霧島神宮駅17:40日豊本線特急きりしま15号-鹿児島中央18:31/19:09九州新幹線さくら408号-博多20:43