とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2021年3月6日 九州自然歩道 88日目 鹿児島県霧島市霧島神宮~高千穂河原~高千穂峰~霧島東神社~宮崎県西諸県郡高原町御池キャンプ場 ついに鹿児島のラスボス制覇

 今週の九州自然歩道トレッキングは鹿児島県霧島市霧島神宮からの再開。博多から6:45の九州新幹線さくら401号に乗り、鹿児島中央駅できりしま6号に乗り換えて、9:36に霧島神宮駅に到着。霧島神宮駅前を9:51に通過する鹿児島交通バスに乗り、10:05に日本発祥の地、霧島神宮に到着した。天候は曇り。気温は15℃と心地よい。身支度を調えて、10:10に行動を開始した。

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きりしま6号で霧島神宮駅に到着

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バスで15分ほどの霧島神宮に到着

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日本発祥の地から行動開始

 今日は霧島神宮には立ち寄らずに、温泉の並ぶ通りを東に進む。本来の九州自然歩道のコースは、北に進んで新燃岳、中岳を経て、高千穂河原に進むのだが、新燃岳の噴火に伴う通行制限のためこのコースをとることはできない。やむなく今回は、霧島神宮からいったん東に進んでから、北上することにした。まずは霧島神宮の境内に沿って東に進むと斉田が現れた。斉田とは、神様に供える米を栽培するところ。圃場はきちんと整備されており、現役で使用されているようだ。そのまま進むと10:15に国道223号線との三叉路に出た。ここから北に進路を変える。

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霧島神宮温泉街を通過

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霧島神宮斉田の脇を過ぎる

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しばらく国道223号線を歩く

 10:19に都城に向かう国道223号線から左に折れて、県道480号線を進む。この道には天孫降臨の道との木製の標識が立てられている。周囲には針葉樹の植林はなく、自然のままあまり手を入れていないと思われる広葉樹が広がっている。10:47に高千穂嶽道(おたけみち)の方向に向かう分岐が出てくるが、ここは直進してまっすぐ高千穂河原に向かう。

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左の県道480号線に進む

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天孫降臨への道

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心地よい樹林帯の中を進む

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左に曲がると前回の高千穂嶽道に出るがここは真っ直ぐ

 ここから先も広葉樹に囲まれた快適な舗装路を進む。ときおり自動車が通行する程度で、それほど交通量はない。勾配があるため汗ばんできた。何度かカーブを曲がりながら次第に高度を上げていく。霧島神宮から高千穂河原まではおよそ8kmあるが、1kmごとに標示がある。道路の前方に高い山が見えてきた。高千穂峰だ。頂上部分には雲がかかっている。雲は厚く、いつ降り出すか分からない色をしている。

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カーブを描きながら高度を上げる

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高千穂河原までの距離が表示される

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正面に高千穂峰が見えてきた

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もうすぐそこに高千穂峰が見える

 森の向こうに見える高千穂峰がずいぶん近づいてきたなと思ったら、勾配が緩やかになり、11:50に高千穂河原に到着した。駐車場を抜けて、小休止をしようと高千穂ビジターセンターに立ち寄る。センターのドアを開ける前に、施設の職員さんと思われる女性が出てきて、高千穂峰に登るのは初めてかと尋ねる。今日は20名ほどが登山中、ほらあの辺りに見えるだろう、と指さして教えてくれる。ここまで2時間近く休憩なしで歩いてきたので、ザックを下ろして一休みしようと思ったが、この女性が親切に登山計画書を書いてくれて、雨が降り出しそうだからここに名前と連絡先を書いたらすぐに登り始めなさいとさっさと送り出される。親切なのか、せっかちなのか、その両方だろう。せっかくの快適そうなセンターだったが、パンフレットだけザックのポケットに入れて、水も摂らずに登山口に進んだ。

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高千穂河原に到着

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りっぱなビジターセンターがある

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ラスボスが潜んでいそうな高千穂峰の全景がようやく見えた

 12:00に鳥居をくぐって、かつての霧島神宮跡にお参りしてから、山道を歩き始めた。登山道の状態は良好で、とても歩きやすい。しばらくは階段の付けられた道を歩くが、しばらくすると周囲の木々はなくなり、溶岩がそのまま固まったような褐色の岩のコースに変わる。傾斜は急だが、適度な間隔で固化したままの岩の突起があり、靴が滑らず歩きやすい。

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鳥居をくぐって登山開始

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まずは霧島神宮跡に手を合わせる

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お社のあるところよりも神々しさを感じる

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登山道にとりつく

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整備状況は極上

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砂礫と溶岩の道に変わる

 ところどころの岩にコースを示す黄色ペンキが塗られているが、その辺りの岩はくぼんでいて、さらに歩きやすい。すでに登頂を終えた方たちが、ポツリポツリと下りてくる。西の方を見ると中岳が見えるが、新燃岳は霧に隠れていて見えない。

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黄色のペイントを目印に進む

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中岳が同じぐらいの高さに見えてきた

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すでに高千穂河原ははるか下に

 霧島神宮から2時間以上休みなしで歩き続けているのでかなり疲れてきた。攣りそうになる下腿部を伸ばしてもう一踏ん張り。景色は最高によい。霧がかかったり、薄くなったりする。風は弱い。

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ゴツゴツの岩を息を切らしながら進む

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振り返ると美しい山並み

 12:50に火口の辺縁部分にとりついた。御鉢と呼ばれるところだろう。火口の中心部まで覗くことができ、蟻地獄のように見える。ここから先は火口に沿って歩いて行く。たぶん馬の背かと思うが、いろいろなところで聞いたように2,3メートルの風が吹いたら落ちそうで怖いと言われているほどではなく、幅が3mほどもある快適なコースで拍子抜けした。北アルプスキレットのようなスリリングなところを歩けるかと期待していたのに。

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御鉢にさしかかる

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馬の背を進む

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火口の真ん中まで見える

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岩にはレーザー反射器が設置してある

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御鉢を上から眺める

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馬の背の左は中岳に向かって砂礫の急斜面

 それでも、馬の背は右には火口、左には砂礫の急斜面の絶景を楽しめるコースだった。10分ほどでここを抜けて、540年まで霧島神宮が建てられていたという霧島神宮元宮にお詣りしてから山頂に進み始める。山頂には濃い霧がかかったり、薄らいだり、残念ながら眺望はあまりよくない。

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馬の背を過ぎて霧の中に山頂が見えてきた

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元宮にも手を合わせる

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ここから先は少し歩きにくい

 元宮から先の登山道は、これまでとは変わって崩れやすい砂礫の道。木製の階段が付けられていたが、ほとんど崩れていた。霧で先がよく見えない中を進み、13:38に高千穂峰(1574m)の頂上に到着した。

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150mほどの標高差を進む

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ほどなく頂上に到着

 頂上でまず見たかったものが天の逆鉾。(あまのさかほこ)。ニニギノミコトが地をかき混ぜ、降り立つところを指すのに使ったとされる鉾で、1mを超えるような鉾が頂上に立てられ、祀られているのを始めてこの目で見ることができた。新婚旅行でやってきた坂本龍馬が引き抜いたとされているが、いまはそんなことはできないように周りは立ち入り禁止の柵が作られている。

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これが天の逆鉾

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いまでは直接触れることはできない

 着いた当初は霧で周りがほとんど見えなかったが、少し明るくなってきた。頂上近くには他の登山者が10名ほどいて、思い思いの場所で昼食を摂っていた。南側の斜面には避難小屋が設置してある。中を見てみたかったが、ドアが堅く、簡単には開かないようだったので諦めた。

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南の斜面には避難小屋

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中は覗けなかった

 西側の斜面に行ってみると、いま上ってきた登山道とその下の火口の御鉢が見えた。風はまったくの無風。山頂付近の登山客のしゃべる声しか聞こえない。鳥も飛んでいない。不思議なことに、小バエのような飛翔動物がいやに多い。この時期に、こんな気温で、こんな標高で不思議だ。西の斜面を見ながら、カップラーメンとおにぎりの昼食を摂ることにした。ラーメンに小バエが飛んできた。88日も山の中を歩いていると、小バエは気にならなくなってしまった。

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西に御鉢と登山道が一瞬現れた

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山頂で昼食

 昼食の後でもう一度山頂をぐるりと1周歩いてから、14:05に東側の登山口から下山を開始した。霧島東神社の下山標識からすぐに階段が続き、コースはわかりやすい。濡れた丸太の階段は滑りやすく、両手のストックを使いながら下りていった。すぐに雲の中に突入し、視界が悪くなる。風は無風のまま。鳥の声も聞こえず、自分の声も周りの霧に吸収されてしまうような不思議な感覚。

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霧島東神社にむかって下山

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木道が遙かに続く

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すぐに雲の中を歩き始める

 14:48に二子石(ふたごいし)に到着した。二子とは言うものの、2つ以上の石があり、どれが二子なのか分からないなと思いながら小休止。佐賀県産の麗紅という比較的新しい品種の柑橘を2つ食べて、喉の渇きを癒やす。高千穂河原で水の補給をしなかったので、サーモス中の300mlほどの残りの水はなるべく手を付けずに残しておきたい。

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下山路も快適

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二子石に到着

 15:00に行動を再開。しばらくは勾配の急な階段を下りる。さらに霧が濃くなり、足元をよく見て下りないと危ない。15:38に九州自然歩道の標高940mの標識が現れた辺りから、勾配が少しなだらかになる。

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しばらく傾斜の急なところを進む

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樹林帯に入ると勾配は緩やかになる

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ところどころに九州自然歩道の標識も立つ

 大きな倒木があるところには迂回路が設置してある。先行者の記録には東の登山道は荒れ気味だと書いてあるものもあったが、地元のボランティアさんたちの活躍のおかげだろう、しっかり整備されていた。15:57には標高750mの標識を通過。勾配の緩い歩きやすい道が増えてきて、心地よく進む。

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倒木の残るところには迂回路

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概ね快適なコース

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熱帯の雰囲気も漂う

 16:15ぐらいに山道にしめ縄が現れ、その正面に広がる高原(たかはる)の町が目に飛び込んできた。神域から下界に戻ってきた気分がした。下りたところは霧島東神宮の駐車場で、ここが高千穂峰の東登山口になる。今日は1台も自動車が止まっていない。下山中に誰とも会わなかったはずだ。このコースはアプローチが長く、健脚向きだ。

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ここで神域は終わりか

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眼下には高原の町

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登山道入口

 しばらく舗装路を歩いて、16:42に霧島東神宮に到着。L字型の参道を進んで、本殿にお詣りした。霧島東神宮も霧島神宮と変わらず、寺社の規模としてはこぢんまりとはしているが、荘厳な雰囲気が漂う。ところで、このL字型の参道だが、霧島神宮太宰府など、大きな神社ではよく見かける気がする。どんな意味があるのか、後で調べてみよう。神社の境内からは、御池(みいけ)が下に見える。今日は御池のほとりのキャンプ場に宿泊の予定。

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霧島東神宮の鳥居をくぐる

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L字型の参道を進むと本殿

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重厚な社殿

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境内から御池が見える

 霧島東神宮を出て、舗装路を下る。御池まで1.6kmの標示がある。17:17に御池キャンプ場に到着。湖畔の美しいキャンプ場。すでに10組ほどがテントを設置している。ここで行動終了とし、テントの設営を開始した。隣には鹿児島から来たという3人の男性が楽しそうにバーベキューをしている。車で機材を運んでいるようだが、大型のテントではなく、一人用のテントを3つ設置している。善さそげな人たちでよかった。

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ここから300mほどでキャンプ場

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このキャンプ場は景色、設備ともに非常に良い

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御池もゴミはなく美しい

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快適な一夜を過ごせそう

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2021年3月6日 九州自然歩道 88日目 鹿児島県霧島市霧島神宮~宮崎県西諸県郡高原町霧島東神宮 曇り 17/7℃ 行動時間7:09 16.9km 36683歩

 

往路交通:西新6:21福岡市営地下鉄-博多6:35/6:45九州新幹線さくら401号-鹿児島中央8:25/8:49日豊本線特急きりしま6号-霧島神宮駅9:36/9:51鹿児島交通バス-霧島神宮10:04