2週間ぶりの九州自然歩道トレッキングは宮崎県美郷町からの再開。今回は土曜日の午前中まで仕事が入っていたため、午後の飛行機で宮崎空港まで移動。宮崎空港から日向市駅まではJR日豊本線を利用。日向市から美郷町までは宮崎交通バス。ほとんど待ち時間がない乗り継ぎができる最速パターンで移動したのだが、自宅を午後2時前に出て、美郷町の旅館に到着したのは午後8時前。宮崎はマジ遠い。
もし、飛行機以外の公共交通機関を利用したならば、本日中には日向市までしか到達できず、トレッキング再開地の美郷町には翌日の昼過ぎになる。ボトルネックとなるのがバス。人口が集積し、大型の商業施設のあるJR日向市駅周辺と美郷町とを結ぶ便が1日3便しかない。本日乗車しているのは3人のみで、終点が近い美郷町まで乗車したのは私一人。地方ではバス便数が少ないが、利用者も少ない。
地方の公共交通機関は何処も目を覆わんばかりの惨状だが、ここ美郷町もかなりの衰退ぶり。町の中心の行政機関の所在地を結ぶ公共交通機関が1日3便というのは、これまで九州自然歩道を歩いたなかでも、もっとも厳しい状況。西郷、北郷、南郷という、九州山地の中の長閑な村が合併してできた美しい郷という名を冠した町の行く末が気に掛かる。
それはさておき、本日は美郷町の中心地の旅館で5:00に目を覚ました。気温は8℃と寒い。6:30と早めに用意してもらった朝食をとり、7:08にご主人が見送りに出てくれるなか、行動を開始した。現在はカラッとした晴れ。風が強く肌寒い。
まずは国道388号線を進む。300mほどで右折しなければならないところを調子に乗って400mほど進みすぎたところで気がついて引き返した。地図やGPSを確認して行動しなければいけないのだが、天気が良いとつい勢いが出てしまう。7:23に町道102号線を右折して、前回、九州自然歩道を離脱した神門原(みかどばる)集落に向かう。7:34に九州自然歩道離脱地点に到着し、右折して普通林道幸地線に進む。
この林道は西郷の西に聳える日蔭山(897m)の中腹を横切る。しばらくはスギの植林の中に敷設された快適な舗装路を歩く。スイッチバックを繰り返しながら高度を上げていく。7:50に非舗装の林道に変わったが、路面の状態は良く、快適に歩く。植林の途切れたところからは、九州山地のどこまでも続く山脈が見える。
8:46にはふたたび舗装路になり、9:11に栗林に出た。この栗林は10年ほど前に歩いた蛸鹿(おすみおう)さんがずいぶん苦労したと報告しているところ。GPSを見ながら慎重に進む。このあたりは九州自然歩道の標識は見当たらず、また鹿避けのネットで行く手を阻まれたりして、たしかにコースはとりにくい。栗林を抜けた後で行き先を完全に見失ったが、GPSを頼りに伐採された木々で隠れていたコースをようやく見つけることができた。
栗林の後しばらくは、斜面をトラバースする山道。植林の伐採を終えた後で、前面が開けていて景色が良い。山の麓には耳川を堰き止めてできた西郷ダムも見えてきた。
しばらく山道を進み、9:41に大斗(おせり)の滝に進む林道との分岐に到着した。ここから滝に向かって斜面を下っていったら、滝の上部辺りに出たが、木々が邪魔になって滝はほとんど見えない。本来はこのコースから滝壺まで下ることができるようなのだが、この先の道は崩落しているようで通行止め。やむなくいったん林道まで引き返し、迂回路を1kmほど進んで、滝壺近くの駐車場からきちんと整備された遊歩道を上流に向かう。
10:30に大斗の滝の下部に到着した。70mほどの落差のある雄大な3段の滝で、周囲を緑に囲まれて美しい。九州自然歩道は滝の右側から下りてくるようだが、現在は整備中で進入禁止となっていた。駐車場の正面には拝水(ささげみず)の滝もあり、大斗の滝とともに修行に使われていたよう。駐車場から100mほど下ったところにおせりの滝キャンプ場と管理棟があり、ここで小休止とした。
11:01に西郷ダムに堰き止められてできた西郷湖にかかる小原橋を渡り、対岸の集落に出た。このあたりで空が急に暗くなり、にわか雨が降ってきた。集落の女性からせっかくなのに雨が降ってきたと声をかけられる。西の空は晴れているので、雨具は着けずに、木の下を歩いてなんとかやり過ごしたら、再び日が差してきた。
小原橋から舗装路を300mほど進んだところで、舗装路は北に向かって曲がるところを九州自然歩道は直進している。ところがその下り口が分からない。しばらく、行きつ戻りつして、ようやく木に結びつけられた赤テープを見つけて、そこから西郷湖の湖畔に沿って東に進み始めた。地図の上では300mほどしかない山道だが、最初は道が付けられていたが、ところどころ崩落していたり、廃道になっていたりして、なかなか苦労した。
11:55にようやく西郷ダムに到着した。ここからの道は自動車の轍が見えるので大丈夫かと思ったら、またもや数カ所の藪漕ぎ。1kmほどに30分かかり、12:30に立石集落に到着した。
立石では行動食のクラッカーで昼食とした後、12:52から普通林道立石赤木線の舗装路を北に向かって歩き始めた。行動を再開してすぐ、13:09に三叉路から右折して普通林道立石線に進んだ。この林道は木立に囲まれた非舗装路で、1か所崩落箇所があったが、その他は問題なし。
14:26には林道椎屋谷線の舗装路と合流した。自動車の通らない勾配の強い舗装路を快適に進む。晴れてはいるのだが、ときおり雨がパラパラと降ってくる。風は強く、肌寒い。気温は12℃と低い。
15:11に舗装路から山道に右折する。ここからしばらくは非舗装路を進む。15:38に山頂近くの若宮造次郎公園に到着した。公園はパラグライダーのテイクオフグラウンドとして使用されているよう。幅50mぐらいの斜面がきれいに伐採されている。これまで歩いてきた珍神山(うずがみやま)、尾鈴山、尖山(とがりやま)、日蔭山などが一望できる。
ここからはしばらく舗装路を歩いて、15:56に造次郎山(733m)の山頂に到着した。山頂には数本のアンテナが立つが、山名票はなく、山頂と思われるところには三角点が設置してあった。山頂近くには良好な眺望はなく、風が強く寒いため先に進む。
舗装路を歩き、16:10に小太ヶ墓峠から右に、村道106号坂元諸塚線に折れて下り始める。右折した林道は薄暗く、峠の曰くありげな名前もあり、心細くなる。
4kmほど人気のない林道を下り、17:09に坂元集落に着いた。ここからは町道223号線を進む。集落の圃場はすべて柵で囲われている。家が近くなると道路脇の花が増えてくる。道路脇に11人乗りの漁船が置いてある。
17:27に米花集落を通過し、17:32に膳所が谷で宇納間に続く国道388号線と合流した。交通量の多い、とはいっても1、2分に1台程度だが、を1kmほど進んで17:54に宇納間市街地の外れにある西野々農村公園に到着して行動終了とした。
日没時間は18:56でまだ明るい。公園の片隅にテント設営を終えて、宇納間の市街地に行ってみることにした。市街地には歴史のありそうな旅館があったが、すでに廃業しているよう。食堂が2軒あったが、本日は営業していなかった。店舗はAコープと他に1軒あったが、休日は休業のようだった。町の中心地から参道に進み、365段の階段を上って宇納間地蔵尊に参拝してからテントに戻ることにした。
2021年5月2日 九州自然歩道 100日目 宮崎県東臼杵郡美郷町田代 美郷町役場~東臼杵郡美郷町北郷区宇納間 晴れときどきにわか雨 15/8℃ 行動時間10:47 31.6km 54316歩
往路交通:
福岡空港15:05ANA4669 -宮崎空港15:50(25分遅れ)/16:31JR日豊本線-日向市18:10(33分遅れ)/18:38宮崎交通神門線浜砂橋行-19:18道の駅とうごう/19:19-美郷町役場19:39(前泊)