とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2021年5月15日 九州自然歩道 104日目 宮崎県西臼杵郡日之影町 日之影温泉駅~天岩戸~西臼杵郡高千穂町 高千穂ユースホステル 集合場所に行ってきたよ!

 今週の九州自然歩道トレッキングも、金曜日の夜に前泊した宮崎県日之影町日之影温泉駅TR列車の宿からのスタート。5:15に起床して、コーヒーを飲んでから、小雨の中を6:00に行動開始。200mほど進んでから、コーヒーカップを洗面台に置き忘れたのに気がついて走って取りに行ってきた。まったく、朝は頭がボーッとしている。

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高千穂線の駅名標が残る

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かつて高千穂線で使用されていた車両がホテルとして使われている

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高千穂線は日之影温泉駅を出るとすぐにトンネルの中に進んでいた

 気を取り直して県道6号日之影宇目線を上って青雲橋に向かう。トンネルを出てトンネルに入っていく高千穂線の鉄橋をくぐる。2005年に台風の影響を受けて廃線になってしまった高千穂鉄道だが、まったくすごいところを走っていた鉄道だ。いまさら後悔しても始まらないが、自分が九州に来たときには、まだ現役で走っていたのに、乗っていないのが残念無念。高千穂線と同様に、昨年、人吉辺りを歩いていたときに乗る予定だった絶景で知られる肥薩線の八代-吉松間も、直前の水害による被災のために乗っていない。いつでも乗れると思い込んでいたからだ。テツの諸兄からしたら、なんと馬鹿なことをと怒られてしまいそうだ。自分の周囲には鉄分の多い人間がいなかったのだ。テツの方から急いでこれだけは乗っておけとアドバイスを頂いたら、今後はなるべく素直に従っておこうと思う。

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五ヶ瀬川に沿って並ぶ日之影の街並み

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町から150mほど標高の高いところにある青雲橋を目指す

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15%の勾配の道を折り返しながら進む

 青雲橋には6:43に到着。橋のたもとには道の駅があるが、まだ開店前。ここからは、しばらく交通量の多い国道218号線の歩道を歩く。

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ようやく青雲橋に到着

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しばらく国道218号線を進む

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町は遙か下に

 7:17に波瀬集落まで来たところで雨が強くなってきた。バス停の屋根の下で雨具の上のみ装着して、ふたたび歩き始めた。

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景色を楽しみながら進む

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雨が強くなってきた

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雨の山も美しい

 7:27に国道沿いのファミリーマートに立ち寄り、朝食用のサンドイッチと昼食用のおにぎりを購入。店の前にザックを下ろして、カフェラテとサンドイッチの朝食とした。

 7:43に行動を再開し、100mほど先から国道218号線から右折して上野峠に向かう。しばらくは集落の中の舗装路を歩き、平底、一の水を通過する。

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この標識で国道218号線を離れる

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しばらくは集落の道を進む

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 8:10に上野峠と七折鍾乳洞との分岐に着いた。ここからは人家のない林道に入る。峠越えには悪路があるとの情報があり、また雨も強くなってきたので、ここで雨具のズボンも装着。靴下にはヒルの忌避剤も丁寧に塗布した。

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七折鍾乳洞との分岐点から左の上野峠に向かう山道に進む

 傾斜の急な舗装林道を上り始めた。すぐに動物避けの柵が現れたが、ここを通過してさらに勾配の強い林道を上る。途中から舗装路から非舗装路に変わるころには、標高は500mほどだったが、雲の中に入ったようで、周りの視界は悪くなる。

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すぐに柵に突き当たるがここは通過できる

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しばらくは舗装路を進む

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舗装は途切れるが、歩きやすい道は続く

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標高500mほどで雲の中に入ったようだ

 8:51には車の轍の付いた林道は終点となり、ここからは細い徒歩道となる。しだいに踏み跡は不鮮明となり、油断するとずり落ちてしまいそうなガレ場を500mほど歩いた。15分ほど歩いたところで再び林道が現れ、9:10に上野峠九州自然歩道の案内板に到着した。

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林道が終点になったところから、折り返すように徒歩道を上りはじめる

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最初は踏み跡が確認できたが

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ガレ場になると踏み跡は不鮮明になる

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荒れたところでは道を見失いやすい

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500mほどで前が開けて林道に出る

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峠に到着

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峠には九州自然歩道の案内板が設置してある

 峠から先は歩きやすい林道だった。しばらく林道を下ると、下の方に集落が見えてきた。9:50に自動車の通行のある舗装路との交差を横断し、さらに圃場の中の道を進んで、10:00に野方野集落に到着した。このあたりで雨が強くなり、道路沿いの尾の上大師堂でしばらく雨宿りした。太師堂の小屋の中には四国八十八カ所の幟が置いてある。

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野峠から先はすぐに歩きやすい道になる

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自動車の通行する舗装路を越える

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舗装された道を下っていくと野方野の集落に到る

 10:13に行動を再開し、すぐに高千穂と天岩戸(あまのいわと)との分岐に到着した。ここから天岩戸に向かって右折したところで、ちょうど男性たちが捕獲したイノシシを処理しているところに出くわした。許可をもらって作業を見学させてもらった。今朝、罠で捕獲したばかりの個体だとのこと。4人の男性が皮を剥ぎ、内臓を取り出し、肉を小分けにしている。手慣れた様子だった。今日はこれを焼き肉にするとのこと。美味しそうだった。

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九州自然歩道本線は野方野から左折して高千穂方面に向かうが、今回は右折して天岩戸(支線か?)に立ち寄る

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野方野ボーイズがイノシシを解体するところを見学

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野方野ボーイズの作業光景は楽しそうだった

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集落を北に進む

 野方野から舗装路を北に進む。10:31に立石の交差点を左折。坂を下った先の亀山城橋で岩戸川を越えた。橋の上から下に流れる川が見えないほど深く鋭角なV字谷だ。岩戸川の上流部分には天の岩戸がある。

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野方野の北の立石から左折する

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亀山城橋で岩戸川を越える

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展開角が30°もないような深いV字谷

 10:47にこの先の大野原交差点で県道と合流。交差点には農産物の直売所があったが、これといって気になる商品は見つからなかった。ここからは県道を北に進む。右手に「日向の黒馬」のコマーシャルで知られる神楽酒造。さらに進むと天岩戸交差点に到着。交差点の正面には交番があったが、ここも神社風。

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県道を進むと右手に神楽酒造

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交番も神社風

 11:09に天岩戸神社の鳥居前に到着した。雨がかなり強くなってきた。今日はちらほらと参拝客がいる程度。まずは西本宮に参拝。掲示を見ると、11:30から天岩戸のご神体を遙拝できるとのこと。しばらく集合地点で待っていると、若い神職の方が来て神社の後方の遙拝所に案内してくれた。ご神体の天岩戸は岩戸川を挟んだ向こう岸。千年以上前は洞窟だったらしいが、その後に風化が進み、崩れているとのこと。一帯は禁足地で、直接は見えないが、雰囲気は分かった。写真は不可。

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天岩戸神社の鳥居

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まずは本殿に参拝

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隣の神楽殿

 天岩戸を遙拝した後は、天岩戸に隠れてしまった天照大神を表に出すために神々が合議を行ったとされる天安河原(あまのやすがわら)まで行ってみることにした。西本宮から500mほど上流にある。西本宮の境内からいったん舗装路に出て、天安河原の看板から舗装路を川べりまで下りていく。岩戸川の河原に整備されたコンクリート路を上流に進み、切り立った崖を左に曲がるとポッカリと口を開けた洞穴が目の前に現れた。中には鳥居と小さな祠が見える。洞窟の中には小さなケルンが多数作られている。なんとなく効き目がありそうなので、自分もケルンの一つに石を置いてみようと、河原で小石を探した。ところが、みんな川から石を探すからだろう。手の届くようなところには石がない。やむなく飛び石伝いに上流に進み、川の中に手を突っ込んで、ようやく一つだけ石を手に入れた。鳥居の近くのケルンのうえに石を置き、願をかけておいた。

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天岩戸神社本殿からしばらく北に進むと天安河原への道に出る

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橋も架けてある

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岩戸川の上流に進む

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その先にぽっかりと口を開けているのが天安河原

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周囲にはケルンがたくさん積んである

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かなり上流までケルンが積んであるので、新しい石を見つけるのが難しい

 12:00には天安河原から引き返し、12:11に参道の小洒落たカフェに席を取り、ランチとした。ベランダにはペチュニアのハンギングがセンスよくぶら下げてある。昼食には牛肉麺を頂き、しばらく休憩した。

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カフェのベランダでランチ休憩

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牛肉麺は可もなく不可もなく

 雨はなかなか弱くならない。しかたなくびしょ濡れの雨具を再び装着し、12:43に折り返しの道を歩き始めた。

 天岩戸神社の表参道を歩いていると、面白い古本屋を見つけた。無人の古本屋で、棚の本にはコメントが書いてあるカードが挟んである。気に入ったらガチャガチャで支払えと。そこまでは普通なのだが、よかったら自分の本を持ってきて、コメントを書いたカードを挟んで棚に入れておけと。こうすれば、人から人に気に入った本が手渡しでき、店主は場所代としてガチャガチャを購入してもらうということになる。注文の多い料理店のようだが、自分も気に入った本を勝手に人に渡す性格なので、こんなわがままな本屋が近くにあったら役に立つ。

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天岩戸神社の表参道で見つけた古本屋

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まだ本の数は少なく、注文は多いが、ユニークな試みだ

 本屋を出て天の岩戸橋を渡り、天岩戸東本宮にも参拝。こちらは神職の方の説明では、天照大神が岩戸を出て最初に居を構えた地とのこと。社殿は質素なのだが、境内にはピンと張り詰めた雰囲気が漂う。

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天の岩戸橋を渡る

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東本宮にはピンと緊張感が漂う

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天岩戸は深い谷の向こうの禁足地

 野方野から歩いてきた舗装路を戻る。13:45には、あまりに雨が強いため、途中の立石集落の大師堂で雨宿りをさせて頂いた。このあたりは集落ごとに太師堂があり、いずれも室内がきれいに清掃されている。

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立石集落の太師堂で雨宿り

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中は清潔・快適

 小雨になったのを見計らって、14:20に行動再開。高千穂のあたりでは田植えの時期は標準的なようで、まだ田んぼに苗は植えられていない。雨の中で、棚田の緑が映えている。

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高千穂ではまだ田植えが始まっていない

 野方野集落を通過し、14:26に県道204号線に合流した。ここからは岩戸川の南岸を高千穂に向かって歩く。途中で高千穂鉄道の鉄橋が見えてきた。美しい橋だ。

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圃場の美しい集落を進む

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集落の下の方にはかつて鉄道の走っていた高千穂鉄橋が見えてきた

 15:15に県道204号線から北に曲がり、雲海橋を渡る。川の水面までは100m以上ある。本当に深い谷間だ。こんなところまで太古の人がどうやって到達したのか、不思議でならない。

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県道204号線から国道218号線雲海橋に曲がる

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この深い谷を古代の人は上ってきたんだなと

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雲海橋を渡ると、日之影から高千穂に入る

 15:50に木立に囲まれた高千穂ユースホステルに到着した。ここで本日は行動終了。親切なホストの女性に迎えられ、すぐにお風呂に入って、雨で冷えた身体を温めることにした。

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高千穂ユースホステルに到着

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2021年5月15日 九州自然歩道 104日目 宮崎県西臼杵郡日之影町 日之影温泉駅~天岩戸~西臼杵郡高千穂町 高千穂ユースホステル 雨 22/18℃ 行動時間9:57 行動距離27.0km 41594歩