4:00に初めての山小屋泊の朝を迎えた。周りの部屋からはすでにガタゴト音がしている。山の朝は早い。カーテンを開けると東の空が明るい。天気予報では雨だったが、嬉しい誤算。急いで朝食を済ませて7:45に行動開始。
出かける前にベテランぽい人に天気を聞くと、11時ぐらいまでは持ちそうだとの返事。山荘の裏手の山道から三俣山(みまたやま)の山裾の急斜面を上る。坊ガツルの湿原がずいぶん下の方に見えてきた。
8:15に急坂を上り終え、一面の砂で覆われた北千里が浜に到着した。真っ平らな河原のような地形だ。右手の山は植物の生えていないむき出しの山。頂上付近から噴煙が上がっているのが見える。子供連れの女性が石を拾っている。硫黄が含まれているので集めているとか。振り返ると堂々とした山容の三俣山(1744m)。今日は最後にここに上りたいなと思いながら、分岐点のスガモリ越の位置を確認して先に進む。
北千里が浜の平らな斜面が終わるとゴツゴツの岩が大量に転がった斜面となる。しばらく急斜面と格闘して、火口の縁と思われるところに8:50に出た。ここが久住別れという久住連山の西の山々をつなぐ交差点のようなところ。
久住別れからは東に稜線を進む。最初の目標は天狗が城。狭い稜線の道を進む。天狗が城の下には濃い緑色の水をたたえた御池が見えてきた。狭い稜線のわりには難なく進み、1780mのピークには9:26に到着した。
ここからはゴロゴロ石の積み重なったガレ場を登り、9:42に九州本島内で最も高い中岳(1791m)に到着。坊ガツルは遙か下に見える。
中岳の頂上からは右手に御池を見ながら南に進む。桃源郷とはこんなところだろうかと考えながら進む。ガレ場を上った先が稲星山(1774m)。到着時刻は10:17。ガスが出てきて、風が吹き始めた。
頂上から1kmほど先に久住山の山頂が見える。標高差100mほど下って100mほど上ったところだ。11:00に久住山(1787m)の頂上に到達。
このあたりからガスが立ちこめたり、小雨が降ってきた。11:35に久住分かれまで戻り、避難小屋で小休止して、今後の計画を考えることにした。
久住別れから近いのは星生山。名前がいい。稜線には岩が立ち並び、姿も良い。西千里ヶ浜まで進み、直登コースを上って12:22に星生山(1762m)の山頂に到達した。山頂からは噴煙の出るところがよく見える。ここで、山小屋で作ってもらった弁当を拡げて昼休みとした。
星生山からの下りは、コースを変えて稜線を下ることとした。岩稜帯を越えるコース。晴れていたら気持ちが良さそうだが、ガスでどのコースを選んだら良いか分かりにくい。風も危険なほど吹いてきた。大粒の雨も降ってきた。急いで、しかし慎重に歩を進め、13:18に久住別れの避難小屋に待避して雨宿りすることにした。意外なことに避難小屋には誰もいない。すでにみんな下山したのだろうか?外は大雨となり、風が強く吹き付ける。雷鳴も聞こえてきて地獄の風景に変わる。
雨が少し弱くなった頃を見計らって、14:00に行動を再開した。すぐ後ろからザイルを持ったベテラン風の若者が下りてきた。聞けば法華院温泉山荘でアルバイトをした経験のある岩登りのエキスパート。星生山の岩場にコースの下見に来たとのこと。雨が強くなったので今日は岩登りを諦めて下山するという。心強い。
雨は強くなったり弱くなったりを繰り返す。上るときには砂浜のようだった北千里が浜には、くるぶしぐらいの川が流れている。滑らないように気を付けながら下りて、15:03に法華院温泉山荘に無事に帰着。行動終了とした。
雨はさらに強くなる。周囲の人の携帯から緊急避難速報の音が鳴っている。尋ねてみると台風9号が直撃しているとのこと。私の携帯は鳴らないまま。携帯電話のキャリアを見直す必要がありそうだ。
九州自然歩道112日目 2021年8月8日 大分県竹田市久住町法華院温泉山荘~中岳~稲星山~久住山~星生山~法華院温泉山荘 曇りのち大雨 25/18℃ 行動距離10.8km 行動時間7:21 25228歩