とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

長距離自然歩道愛好者必見!環境省EADAS

 先日、行政関係の方と電話で話しているときに、「環境省のイーダスというのがイイらしいダスよ」と駄洒落混じりに教えてもらった。「使ったことはないんですけど」ということだったが。なにがどういいのか分からなかったが、とても親切な方だったので、見てみた。とても良かった。これは、ひょっとしたら全国128±100名ほどの九州自然歩道トレッキングファンだけでなく、全国にひろがるもう少しだけ多い長距離自然歩道のファンにも有用なツールになりそう。そこで、皆さんに紹介することにした。

 イーダスとは環境省の提供するデータベースEADASのこと。何ができるかというと、皆さんお馴染みの国土地理院の地図データの上に、全国の長距離自然歩道のコースを表示できるのである。それに加えて、各地のキャンプ場や観光地、ジオパークなども表示できる。下の地図はEADASを使って国土地理院の愛知県東部の地図に東海自然歩道を表示したもの。さらにはキャンプ場や見どころも同時に表示している。なかなか便利ではないか。

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国土地理院の地図の上に東海自然歩道のコースを表示 もちろん拡大・縮小可能で、キャンプ場、景観地などの情報も併せて表示できる

  いやいや、東海自然歩道はスルーハイクのブログもたくさんあるし、本まで出ているからそんなのいらないや、という人がいるかもしれない。また、九州自然歩道には九州自然歩道ポータル ハイカーズマップという全コースの地図があるじゃないかという人もいるかもしれない。しかし、全国にはコースの地図情報が充分に提供されていない自然歩道がある。全コース踏破した人がいるのかどうかも明らかではないような自然歩道もある。1980年代の整備後に、メインテナンスがなされないまま廃道化しているところも多々ある。また、整備後にルートが変わっているにも関わらず地図情報に変更が反映していないところもある。実際に九州自然歩道を歩いてみて、そんなところを何度も経験し、正確な地図情報の重要性が身にしみて分かった。もし、今後、どこかの長距離自然歩道の、それも有名な山とかではなくてマイナーな里山コースや連絡路を歩いてみようと思う方がいたら、ぜひEADASを見てもらいたい。 

 環境省のEADASは、豊富な情報を国土地理院の地図に表示できるデータベースであるが、少し操作にクセがある。以下に順を追って操作法を解説するので、同じ手順で再現してみてもらいたい。 

 まずはGoogle等の検索エンジンで「環境省EADAS」と入力して検索してもらいたい。

環境省がEADASをリニューアルした、というプレスリリースが一番上に表示されると思う。URLはhttps://www.env.go.jp/press/104267.html

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最初に表示されるEADASのプレスリリース

  この画面を少しだけスクロールすると、EADASのURLが表示される。ここをクリックする。

 すると、環境アセスメントデータベースEADASのトップページが表示される。念のために、URLは https://www2.env.go.jp/eiadb/ebidbs/ である。

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EADASのトップページ

 ここで、「データベースを見る」のタブをクリックして、データベースのどの情報を見るのか選択する画面に移る。

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4つの機能が表示される。

  いろいろ機能があるが、自然歩道トレッカーが見るべきは地理情報システム(GIS)の「地図を見る」である。ここをクリックする。 

 すると日本地図の上に、「情報項目」、「凡例と表示設定」などと書かれたパネルが表示される。

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国土地理院の地図の上に大きなパネルが表示される。

 左の情報項目の中から、一番上の「全国環境情報」をクリックする。

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  自然的状況の中から、上から12番目の「景観および自然とのふれあいの活動の場の状況」をダブルクリックする。

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  景観および自然とのふれあいの活動の場の状況の中から、上から8番目の「長距離自然歩道」の右の「追加」をクリックする。

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追加するたびに右に凡例が追加されていく

  その他「キャンプ場」、「自然景観資源」など、ニーズに合わせて追加する。

 画面右上の「画面モード切替」をクリックして、地図の上のパネル類を見えなくする。

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  画面左の倍率バーを操作して、地図の縮尺を変化させる。地図上に現れる青い実線が自然歩道で、オレンジの三角でキャンプ場、その他の情報が表示されているのが分かると思う。基本的な操作はこのぐらいである。国土地理院の電子地図データ上に、各地の長距離自然歩道のコースが表示される。ただし、支線と本線の区別がない。このあたりは改善の余地がありそうだ。

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九州北端の九州自然歩道山口県の中国自然歩道のあたりを表示 青の実線の自然歩道の他に、キャンプ場、景観地などを表示

 

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地図の拡大もできる

 全国には、北海道自然歩道、東北自然歩道、東北太平洋岸自然歩道、中部北陸自然歩道、首都圏自然歩道、東海自然歩道、近畿自然歩道、中国自然歩道、四国自然歩道、九州自然歩道の10の長距離自然歩道が整備されたり、計画されているが、その中でコースの電子地図情報が提供されているところは多くはない。基本的には自然歩道は1日で歩くのに適当な距離のモデルコースが設定されており、スルーハイクをしたり、数日間の縦走をするのに必要な情報を欠いていることが多い。また、自然歩道の管理が都道府県単位で行われているようで、地図情報が県境の山で途切れたりすることも少なくない。

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全国の長距離自然歩道 青の実線が整備済みで、水色は計画線

 こういう状況下では、だれでもアクセスできる国土地理院の地理データに連続した長距離自然歩道のコースデータを表示できる環境省EADASは、自然歩道を縦走しようとするものにとっては必須のツールとなりそうである。