40年ほど前の話になるが、大学の時に山口県内を自転車で何度か走ったことがある。その時にショッキングに思ったのが山口県のガードレールが黄色いこと。とても目立つのだ。今回、中国自然歩道を歩いていると、あの時の思い出が蘇った。
山口県を訪れたことがある人はみんな、黄色いガードレールのことはご存じだろう。調べてみると、山口県に黄色いガードレールが設置されたのは、1963年に開催された山口国体をきっかけとしている。国体にあわせた道路整備の際に、当時の橋本正之県知事の下で、県管理道路(県道と一部の国道)のガードレールの色を県の特産であるナツミカンにちなんだ黄色に統一したことによる。このときの名残で、現在でも山口県の県道のガードレールは黄色が標準となっており、一部の国道や市道でも黄色いガードレールを見ることができる。
今回、中国自然歩道を歩いてみると、いたるところで黄色いガードレールを目にし、他県で標準の白のガードレールはかなり珍しい。黄色いガードレールを見ると、ここは山口県なんだなと実感する。
JAFのHP(https://jaf.or.jp/individual)を見てみると、路側に設置する「防護柵」の一つとして、ガードレールが分類されている。JAFによると、防護柵を車両用防護柵と歩行者自転車用柵の2つに分け、さらに車両用防護柵をガードレール、ガードパイプ、ガードケーブル、ボックスビームの4種類に、歩行者自転車用柵は乱横断防止柵と転落防止柵の2種類に分けている。
辞書を開いてみると、ガードレールは英語(米語)でも”guard rail”である。ところが英語版のWikipediaでは、日本のガードレールに相当する構造物を”traffic barrier”として解説し、北米では”guard rail”、英国では”crash barrier”として知られていると記載している(https://en.wikipedia.org/wiki/Traffic_barrier)。
ちなみに英語版のWikipediaで”guard rail”を見てみると、危険地帯や立ち入り禁止区域への侵入を抑止する境界としており、道路の付属物よりもより広い概念として使われている(https://en.wikipedia.org/wiki/Guard_rail)。
これに対して日本語版のWikipediaのガードレールの項では、「ガードレールは、車両の逸脱の防止等を目的として設けられる車両用防護柵の一種。」と記載されており、道路に関連した構造物に限定するニュアンスが強い(https://ja.wikipedia.org/wiki/ガードレール)。
さて、再び黄色いガードレールの話に戻ろう。最近では、国土交通省が景観に配慮した防護柵についての指針(https://www.mlit.go.jp/road/road/bougosaku/)を出しており、どこでもここでもとガードレールを設置するのは、景観を損なうから止めにしようかという提案をしている。ガードレールを設置しなくても済むような道路の設計をしたり、景観を損なう度合いの少ないガードケーブルを採用したりといった具体策が挙げられている。
そこで、黄色いガードレールだが、山の緑と色相のずいぶん異なった色のガードレールを設置すると、かなり目立ってしまう。ガードレールが目立つということは、より安全なのかもしれないが、緑の豊かな自然を愛でるのには目ざわりになる。これが、10日間ほど山口県内を歩いた実感である。