本日は福山市郊外の本郷憩いの森キャンプ場で目を覚ました。シャキッと冷え込んでいるが、防寒対策は万全。寝袋は新調。使い捨てカイロを足下に投入。今回は寒くない。
ビスケットを食べながら写真の整理などをして撤収開始が7:20と遅くなってしまった。近隣の方々が散歩にやってくる時間になってしまい、なんとなく照れくさい。
朝のコーヒーを終えて、8:20に行動開始。キャンプ場から200mほど舗装路を歩いて、昨日離脱した中国自然歩道に復帰した。今日は北に向かって舗装路を大谷山に進む。
天候は曇りで、気温は3℃。日の出の時刻はとっくに過ぎているが、直射日光は当たらない。山は静かで、ときおり鳥のさえずりが聞こえるだけ。路面の状態は良く、3%ぐらいの緩い上りの勾配が続いている。自動車はまったく通らない。景色はさほど良いわけではないが、このまま無限に続いてもいいぐらい心地の良い状態の道。
天国に召されるときの階段か、地獄に落ちるときの無間が、こんな道だったらいいな。でも20kmに1カ所ぐらい自販機を設置して、80kmごとにコンビニを開設して欲しいな。これまでの所業を考えると、配属先はきっと地獄の方だろうな。なんてことを考えながら歩いていたら、ダートトライアルのバイクがカーブを曲がっていきなり爆音を立てて突進してきた。現実に引き戻される。
途中で非舗装の道も出てきたが快適さは変わらない。そのまま夢想を続けながら歩いて、9:20に大谷山への登山口に到着した。中国自然歩道から外れるが、今回は時間に余裕があるので、登ってみよう。というか、今回のコースはこの山に上りでもしないと高低差があまりに少ない。
大谷山登山道も舗装路だった。山頂には中継塔が立っているため、メインテンス用の車のためだろう。YAMAPでコースタイムを見ると、上りに40分、下りに20分。快調に登る。
9:42に大谷山山頂(401m)に到着。山頂付近は中継施設になっており、立ち入りができない。中継塔の周りをグルリと回って、三角点は発見。山名標は見つからなかった。その代わりに山頂近くには三七体の石仏が並んでいた。まとめて拝んだら、得をした気分がした。
同じ道を下って10:15に登山口に戻った。ここからさらに北に進み、10:36に県道157号線に合流して右折する。県道を1kmほど進んで、左折して鈴が池に進む。
鈴が池は非常にユニーク。なんと池全体がゴルフの練習場となっている。池の南に一列に並んだゴルファーが、池にボールを打ち込んでいる。池ポチャゴルフ場なのだ。どうやって池に落ちたボールを回収しているのだろう。
鈴が池からさらに進み、小高い山の上の福山ふれあいランドに到着。コロナの影響か、人気はない。キャンプ場があるのだが、営業はしていないよう。ここでは水を購入して先に進む。
この先も舗装路が続く。自動車はほとんど通らない。山間のため池を3つ通過して、12:03に標高159mの峠を通過した。
12:30に峠から下ったところで、弘法大師の水の看板を見つけて立ち寄ってみた。お寺の階段を上ってみると、ポリタンクに水を汲みに来ている人がいる。1リットル10円で販売しているよう。地図には温泉マークがあるのだが、温泉は営業していない様子。
管理人の男性が受付から出てきて、水を一杯飲んで行けと勧めてくれる。ここの水はラドンの含まれた冷泉の水だという。温泉の成分分析に20万円もかかったと教えてくれる。
弘法の水では男性としばらく世間話をして、12:50に行動再開。さらに舗装路が続く。福山の町が木々の間から見えてきた。前方から本日はじめての登山者が歩いてきた。こんな有名な山ではないところを歩いている人は珍しい。中国自然歩道歩きですかと尋ねると、そうだと答えが返ってきた。この先の絶景ポイントを教えてもらい、情報交換をして分かれた。
少し先で絶景ポイントへの分岐点となった。片道15分程度ということで立ち寄ってみた。ポイントは前方の木々が刈られた、福山市内が一望できるポイント。
絶景ポイントから元のコースに戻る。ここからは舗装は途切れ、砂利道となるが、道幅は広く、歩きやすい。砂利道は再び舗装路に変わり、14:33に八反田集落への分岐に到着した。
八反田から山守橋に進む経路は非常に難しかったので、全国の自然歩道トレッキングファンのために詳しく解説しよう。
地図の①の地点である。ここで道は西方向と東方向に分かれる。赤で示したEADASのコースでは西に進むようになっている。ところがこの地点の道標は地面に倒れ込んでいたものの、どちらかというと東を指している。ここは道標を信じて東方向の進路をとることにした。
②の地点まで来たところで、次の道標が出てきて、東の進路が正しかったことが確認できた。
③の分岐部には指示方向の文字が読めず、かつその指示版が針金でいい加減に留めてあるような道標が立っていた。自然歩道歩きではよくあること。ここは地図をグッとにらんで左折の一択。ほどなく八反田の家々が出てきた。
その次が八反田集落のメインストリートの中央に立つ④の道標。舗装路を直進すると、石鎚山という今まで出てきていない山の名前。左折が上山守を向いており、山守橋に向かうためには最も適切な選択肢と思われるが、現場にはそんな道はない。360°見回して、選んだ進路がこれ。庭先というか、家と家との間の路地である。
狭い路地をおずおずと進んでいくと、その先には⑤の廃屋、次いで⑥の廃屋が見えてきた。さすが国土地理院の地図は正確だ。
さらに踏み跡を頼りに先に進むと、⑦の地点に立つ道標が見えてきた。備後だ。いや、ビンゴだ。いやいや、ここは備後だ。
あとは谷間の道を進んでいくと⑧、時折、道標が現れ、麓の集落が近づくと道祖神の納められた小屋⑨を通過して、山守橋にたどり着くことができる。
参考までに、現在も広島県から配布(HPからダウンロード可能)されている自然公園等保全整備促進広島県協議会「自然歩道の利用ガイド」という、コアな自然歩道トレッキングファンが「中国自然歩道地図」と呼ぶパンフレットの地図の今回通過した八反田付近の抜粋がこれである。
中国自然歩道地図だけでは、オリジナルルートに忠実なトレッキングは困難で、国土地理院地図やEADASデータ、YAMAPの情報を駆使しないと、明るく楽しく健康的な自然歩道トレッキングができないことがお分かりになるかと思う。まあ、EADASデータも、今回のように当てにならないこともしばしばあるが。
これらの情報がありながらも、廃屋の中を進んでいく時は心細かった。しかし、その先で中国自然歩道の道標が出てきて安心した。現場第一主義である。14:40から八反田からの下降路にとりつき、15:00に山守集落に到着。集落の中を歩いて15:06に芦田川に架かる山守橋を渡った。
山守橋の人道を渡りながら、下流に長い沈下橋があるのが目に入った。沈下橋というのは増水時には水没する位置にかけられた橋のこと。これは渡ってみたい。30分ほど回り道をして、沈下橋を往復してからコースに戻った。水辺のすぐそばを歩くことができる沈下橋は楽しい。
ふたたび山守橋に戻ってからは、コースに従って町中を進み、15:48に万能倉南交差点を右折。国道486号線を東に2kmほど進み、光台寺橋から左折して加茂川に沿って北に進んで、本日のゴールの万能倉駅に向かう。
16:18に中国自然歩道を離脱し、16:25に万能倉駅に到着して行動終了。ちなみに万能倉の読み方は「まなぐら」で、難読駅で有名。ついでに1つ西の駅は駅家駅(えきやえき)で、これもすらりとは読めない。16:36の福塩線に乗車して福岡への帰途につく。今日は道程が楽しすぎて、昼ご飯を食べるのを忘れていた。
2022年1月30日 中国自然歩道28日目 広島県福山市本郷憩いの森キャンプ場~福山市万能倉 曇り 9/-1℃ 行動距離25.6km 行動時間8:03 獲得高度1050m 40595歩
復路交通:万能倉16:36福塩線-福山16:58/17:29新幹線さくら565号-博多19:06