とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2022年2月12日 中国自然歩道32日目 岡山県高梁市備中町布瀬~天神山~高梁市成羽町吹屋 成羽川は流れる、たおやかに流れる

 本日は昨日に引き続き中国自然歩道トレッキングで、32日目になる。岡山県高梁市備中町布瀬の旅館で目を覚ました。なかなか快適な宿で、料理が美味く、量もたっぷりあった。10以上ある部屋は満室だった。こんな山奥の民宿にどんな人が泊まるのだろうと、食事の際にそれとなく会話を聞いていると、すべてクライマーだった。それもロッククライミング。民宿の東1kmほどの川沿いに有名な岩場があるよう。みんな山系の服を着ているが、トレッキングで見かける人たちとは、どことなく雰囲気が異なる。

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旅館の朝食はいいな

 今朝は6:30に朝食を済ませて、7:15に行動開始。民宿から成羽川に沿って少し下り、志藤橋を越えて左岸のトロッコ道の跡を上流に向かって歩き始める。

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成羽川に沿って少し下る

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志藤橋で成羽川を越える

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左岸を上流に向かって進む

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ロッコ道を歩く

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 いつ歩いても、トロッコ道というのは快適だ。たいてい川沿いに設置してあり、眺めが良い。傾斜は緩く、歩いていて疲れることがない。幅は2mほどで、狭すぎず広すぎず、自動車の通行はできない。ときには素掘りのトンネルや切り通しなど、ちょっとした変化も楽しめる。トレッキングには最高の条件だ。でも同時に、ここにレールが敷設してあって、鉱石や木材を積んだトロッコが小さな機関車にひかれているところを見てみたかったなと、つねづね思う。

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ロッコ道最高!!!

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 3kmほどトロッコ道を歩いて、8:18に黒鳥ダムに到着した。ダムの横の畑で農作業をしている男性と挨拶を交わすと、かつてこの黒鳥ダムで中国電力の発電の仕事をしていたという。こんな小さな、落差の少ないダムで発電していたとは意外だが、下流域の数百軒の家の電気はまかなえるほどの発電量はあったとのこと。

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黒鳥ダム

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 ついでに黒鳥の山の上の方にあるトンネルのような穴について尋ねてみた。それは大理石の採掘のための穴だとピンポイントで教えてくれる。いや、勉強になった。

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ダムの上の山の穴は大理石の採掘のため

 8:45には阿部山集落の山手にある浄福寺に参拝し、安部山橋を渡って右岸の県道33号線を上流に向かって進む。県道33号線は、交通量が比較的多いにもかかわらず、歩道がなく危険。中国自然歩道は対岸のトロッコ道をそのまま進むように設定すればいいのではないかと思いながら、川戸、下長谷、井川の集落を通過する。

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阿部山集落の浄福寺

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庭園も良かった

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阿部山橋を渡って右岸の県道33号線に戻る

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県道33号線には歩道のない部分が多い

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沈下橋を発見

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 県道33号線が備中トンネルを通過するところで、自然歩道は川沿いの旧道に向いて進む。旧道は切り通しや岩をオーバーハングにくりぬいた部分があってそれなりなのだが、対岸には岩をくりぬいた道が見えるだけに恨めしい。

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備中トンネル

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中国自然歩道はトンネルではなく、旧道に進む

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対岸の岩をくりぬいた道を歩きたかった

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旧道もそれなりに景色は良いのだけれども

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オーバーハングの岩もあって

 ところが旧道を100mほど進んで、こちらに誘導した理由が分かった。全通橋という橋を見せたかったのだ。大正8年に完成しているこの橋は、切り立った断崖の上に作られており、当時は難工事だっただろう。当時の機材で、どんな手法で作ったのか想像できない。

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旧道の全通橋

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何のことはない短い橋に見えるが

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数十メートルの高さの崖の上

 旧道を通過した後はふたたび県道33号線を500mほど歩く。県道が真っ直ぐ坂本方面に向かう惣田集落から、県道を離れて左折して田原ダムに進む。田原ダムは放水中で、水の音が心地よく響く。

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惣田集落から県道437号線に進む

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坂を上ると田原ダム

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本日放水中

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発電用のタービンの回る音が聞こえる

 10:00から田原ダムのダム湖に沿って、右岸を上流に向かって進む。いちおう県道437号線となっている。かなり荒れた状態だが、歩くのには問題はない。対岸には県道107号線が走っているが、こちら側の眺めの方がよさそう。田原ダムの水は濃い碧色。

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県道437号線を北上

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 上流に新成羽川ダムが見えてきた。重力アーチ式のダムとしては日本最大とのことである。11:06にダム近くの休憩所のベンチで昼食とした。旅館で用意してもらった弁当は、美味しく、量も多い。いい宿に当たったものだ。

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成羽川ダム

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休憩所のベンチで昼食

 昼食を終えて、11:45に行動再開。12:00に新成羽川ダムを渡り、県道107号線の走る左岸を遡って上流の佐原目集落に向かう。昭和43年のダム建設時には、300戸近くの家が水没したとのこと。この集落は、移転してできた集落なんだろうか、それとももともと谷を100m以上も上ったこの場所にあったのだろうか、などと考えながら進む。

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 集落の入口で県道から右折して岩谷川に沿って舗装された林道を上り始める。日当たりの良い、心地の良い林道。

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集落の手前から右折して山に進む

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快適な林道をグングン上る

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 13:09に林道を上りきったところで、奥郷の三叉路を右折。20分ほど歩き、本郷集落で観音寺にお参りする。ちょうどここの店舗前に自販機があったため、飲料水を購入して小休止。

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高台に集落が見えてきた

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観音寺に参拝

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本郷集落の唯一の店舗

 本郷集落からは広い田んぼや畑の続く北方集落を過ぎ、565mの峠を越えたところで2車線の林道に合流する。中国自然歩道の表示はそのまま舗装路を天神山の頂上近くまで歩くのだが、昨日今日とほとんど舗装路歩きで、いささか食傷気味。今回は北方集落の先の天神山登山口から自然歩道を外れて、ここは登山道を歩くこととした。

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北方集落を進む

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標識はあるが、ところどころで地図と一致しない

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天神山林道に出る

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天神山林道から登山道に進む

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 14:22から南にある天神山登山口から上り始めた。人気のある山のようで、手入れの状態は非常に良く、しっかりとした踏み跡が着いている。16丁が頂上の天満宮とのことで、ほどほどの傾斜の山道が続く。12丁で左の山頂に向かって進み、14:58に天神山山頂(777m)に到着。残念ながら眺望はなく、三角点の撮影だけ済ませて先に進む。

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素晴らしく手入れの良い登山道

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頂上には眺望なし

 今度は先ほどの分岐点から天満宮に向かい、天神様にお参りを済ませた。それから、すぐ下の天神林道に出たが、舗装された天神林道はここで行き止まり。地図を見ると、中国自然歩道はこの先は雪に埋もれた階段を下っていくよう。

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頂上近くの天満神社

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 南登山道とは異なり、東に進む登山道は急勾配の階段。しかも登山道はかなり傷んでおり、雪が積もっているうえに、石がゴロゴロ転がっている。5合目ぐらいまでは荒れた状態の道が続いていたが、そこから下の状態はやや改善。16:06に天神山登山口に到着した。

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5合目ぐらいまでは少し苦労した

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5合目から下はスムーズに進む

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東の登山口に到着

 ここからは県道33号線に合流して左折して坂元集落に向かって進む。500mほど進んで、集落の中に入る前に右折して下組橋で坂本川を越えて林道に入る。

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県道33号線に合流して北上

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集落に入る前に右折して山中に進む

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こんな案内も

 スイッチバックしながら高度を上げて林道を進むと、吉岡銅山の遺構が残っていた。これはガイドにはない拾いもの。精錬所や入坑口の跡を堪能してから林道に戻る。

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快適な林道を進む

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少し勾配のきついところもある

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水路が設置してある

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坂本の町が下に見える

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この汚れた看板をみて躊躇したが、

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分け入ってみたら、、、ペトラ遺跡を発見した気分

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おいおい、ここはもっと大々的に宣伝すべきだろう

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 この辺りはEADASの地図とコースは若干異なるが、現地に出てくる標識に従えば間違いはない。16:57に林道は県道85号線に合流して、吹屋に向かって右折して進む。ゆっくりした上りが続く。

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坂を登り切ると県道85号線に合流

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そのまま進むと

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吹屋集落への道が見えてくる

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 17:15に吹屋の中心街のベンガラ色の保存家屋の並ぶ街並みの中程から左に曲がり、吹屋小学校の跡を過ぎた先が今回お世話になる吹屋ふるさと村のバンガロー。ネパールカレーの弁当を手にしたオーナーさんが、にこやかにお出迎えしてくれた。

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吹屋には昔からの家並みが保存されている

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2012年に閉校するまで日本最古の小学校校舎として使われていた旧吹屋小学校

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本日の宿 吹屋ふれあいの森ヴィラ

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カレー弁当の夕食を用意してもらっていた

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2022年2月12日 中国自然歩道32日目 岡山県高梁市備中町布瀬~天神山~高梁市成羽町吹屋 晴れ 13/-2℃ 行動距離30.4km 行動時間10:14 獲得高度1708m 48988歩