とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2022年12月18日 中国自然歩道73日目(通算226日) 島根県松江市鹿島町北講武〜松江市美保関町北浦 日本海の荒々しい潮風と心優しき運転手さん

 本日は松江駅前のホテルで5:30に起床。シャワーを浴びて気合いを入れる。テレビをつけると、松江地方には大雪警報だと盛んに繰り返している。念のために持ってきた厳冬期用のアンダーウェアを着込む。

 7:00にホテルをチェックアウト。駅前のローソンで食料を大目に買い込んで、7:55の一畑交通バス御津線に乗車。乗客は1人だけ。

 8:42に鹿島ふれあい館バス停に到着。雪が降っている。ダウンジャケットのファスナーを一番上まで上げて行動開始。

昨日の温泉はまだ営業前

 講武川沿いの歩道を東に向かってのんびり歩く。並行する県道は通行量が多い。歩道の水たまりは凍っている。

水たまりは凍っている

 9:01に古殿(ふるたん)で上講武橋を渡って県道に合流。9:16に山奥という文字どおりのバス停から、県道264号線を離れて左に進む。

県道に合流

山奥から山に上る

 高架の下を巻いて上り、新道トンネルの南に出る。トンネル入口の左の中国自然歩道らしき緑色の道標がコンクリートの階段に誘導する。

新道トンネル

中国自然歩道の案内板あり

 正面には倒木が道を塞ぎ、波瀾万丈かと覚悟を決めかけたら、左手に中国自然歩道の道標が現れ、直径10cmの丸太を使った標準木段が続いていた。

正面に倒木が現れて万事休すと覚悟を決めた

左に道標があって一安心

 20分ほど快適な山道を上っていく。汗をかき始めた頃、舗装された林道との分岐部に到着。ここで厳冬期用のアンダーウェアを脱いで小休止。

意外ときちんと整備されている

林道と接する部分

ここで厳冬期用アンダーウェアを脱ぐ

 ここから林道には入らず、大平山への登山道に進む。稜線に沿った快適な登山道。10:13に稜線の展望台に到着。宍道湖の眺望あり。

快適な登山道

途中に展望所もある

 この先は丸太ではなく、モルタルでできた人工の木段に変わる。快適な林道で高度を上げ、10:27に大平山(503m)山頂に到着。

南の宍道湖方面の眺望あり

 山頂付近は雪が数cm積もっていた。眺望は南向きのみ。風が猛烈に吹いて寒い。早々に先に進む。

 大平山から東に向かう登山道も整備状況が良く快適。10:49に岩横手林道を横切り、再び山道に進む。

林道を横切る

さらに山道を進む

 11:03に滝空山(475m)に立ち寄るが、海のある北側はほとんど眺望なし。南には澄水山、三坂山と続く稜線が木々の間から顔をのぞかせる。

稜線の右のアンテナが澄水山で、左の気象ドームが三坂山

 稜線の快適な道を進む。11:30に澄水山(502m)の山頂付近を通過するが、航空機の管制施設があるようで、一帯は立ち入り禁止。残念。

澄水山山頂は立ち入り禁止

澄水山からは舗装路となる

 ここからは舗装路となる。風が強く、昨日の雨のためか路面は凍っている。11:38に電波塔、11:54に気象レーダーのある三坂山(535m)を通過して先に進む。時折、目の前が真っ白になるほど雪が降りつけてくる。

テレビ局のアンテナか?

道路はカチンコチンに凍っている

 12:39に林道北山線と県道枕木山線の分岐に到着。ここは枕木山登山のためか、あるいは華蔵寺(けぞうじ)参拝のためか、広い駐車スペースがあり、綺麗なトイレが設置してある。

アンテナが枕木山山頂

分岐点には立派なトイレ

 分岐から東に200mほどと、枕木山の頂上は近いのだが、なぜか中国自然歩道のコースは県道を南に1kmほど迂回する。着いた先は華蔵寺の参道入口だった。長い石段を上り、立派な仁王門をくぐる。門の中には見事な造作の仁王様が睨みをきかせている。

県道を南に迂回

華蔵寺の参道入口

立派な仁王門がお迎え

 その先には大きな石像が据えられている。こういうのを見るたびに、重機のない時代によくもこんな仕事をしたものだとつくづく感心してしまう。

巨大な石で作られた石像

 境内に入り、薬師堂、本堂とお参りする。本堂の屋根と前庭は雪で真っ白。幻想的。

 寺の脇を通り過ぎ、ツルツルに凍った舗装路を進む。最後にコンクリートの階段を上って、13:23に枕木山(453m)の山頂に到着。くるぶしほどの雪が積もっていた。

枕木山山頂への最後の上り

 枕木山からは北の海岸の千酌(ちくみ)に下っていく山道があるはずだが、取り付きが見つからない。雪で踏み跡が隠れているのかもしれない。GPSで目星をつけたあたりにコンクリートの道標らしきものがある。ここから枯れ木を踏みしめながら下り始めると、不自然に木が倒れていたりして、どことなく人が歩いた気配がある。GPSで方向を確認しながら慎重に歩を進め、100mほど先でピンクのテープが現れてホッとした。

道ばたのこれが登山道の目印かと思われる

踏み跡かな

ここまで来て一安心

 ここから先は意外と整備状況の良い山道となる。木段が整備され、中国自然歩道の道標も出てきた。勾配の急な木段を快適に下っていく。

 14:02に舗装された林道に合流し、千酌(ちくみ)川に沿って下る。遠くに海が見えてきた。まだ1kmほどもあるはずなのだが、ここまで海鳴りが聞こえてくる。

海が見えてきた

ここまで海鳴りが聞こえる

千酌の町

 千酌の集落を通り抜け、14:25に集落の中で右折して進む。集落を抜けて14:32に県道に合流。15:00ぐらいにこの県道を通過するコミュニティバスに乗らないと、本日中に福岡に帰り着けない可能性がある。月曜は仕事だ。北西の風に背中を押されながら、休まずに歩く。

 県道を振り返ると千酌港に押し寄せる白波が見える。海岸近くの海は鮮やかな碧色なのだが、沖合の海面は鉛色。冬の日本海は厳しい。

 観音崎トンネルを越えて、バス停があると予想していた北浦集落の県道を歩くが、バス停の案内表示が見つからない。ちょうど前から近づいてきたマイクロバスが停まってくれた。運転手さんが窓を開けて、道路の反対側の小屋を指差す。「その中で待っておいたら、あと20分ぐらいで折り返してくるよ」。対向車線を走るバスの運転手さんが、自分を見て、バス停を探していることがなぜわかったのか不思議だ。でも、風の避けられる小さな小屋の中でPETボトルの水を一口飲んでホッコリとした。

 15:07の定刻どおり、その運転手さんの運転で白いコミュニティバスがやってきた。乗客は一人だけ。「熊本の人吉から引っ越して20年も経ったんですよ」という運転手さんとの会話が弾む。いかにも優しそうな人だ。そそり立つ岩に付けられた鎖をよじ登って絶景を楽しむのもいいけれども、こういうひとときも自然歩道トレッキングの楽しみだなとしみじみ感じる。

2022年12月18日 中国自然歩道73日目(通算226日) 島根県松江市鹿島町北講武鹿島多久の湯〜松江市美保関町北浦 雪 2/0℃ 行動距離20.3km 行動時間6:05 獲得高度1034m 33908歩 行動中飲水量200ml

往路交通: 松江駅7:55一畑交通バス御津線-鹿島ふれあい館8:40

復路交通: 北浦15:07美保関コミュニティバス笠浦線-美保関バスセンター15:22/15:50一畑交通バス美保関線-松江16:33/17:00JR特急やくも26号(25分遅れ)-岡山19:39(30分遅れ)/19:48新幹線のぞみ49号(著しい遅れのため先着のみずほに21:00に乗車)-博多21:30(予定より77分後の22:47に到着)