とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2023年1月21日 東海自然歩道20日目(通算231日) 岐阜県揖斐川町かすがモリモリ村〜鍋倉山避難小屋 雪の山小屋で青空を見上げながら本を読むよりも贅沢な午後って世の中にある?

 今回の自然歩道トレッキングは東海自然歩道。天気予報では、ここ数年で最強の寒波が来襲とさかんに脅すので少し緊張する。

 金曜日の夜から岐阜に前泊。このところの東海自然歩道トレッキングのおかげで、岐阜駅前の様子はだいたいわかってきた。

 5:00に起床。シャワーを浴びて濃いめのコーヒーを飲む。テレビのニュースを見ながら果物の朝食をとる。

 となりのコンビニで食料を購入してザックに詰め込み、7:40にホテルを出発。

 JR岐阜駅から7:56発の東海道線に乗車。8:08に大垣に到着して、乗り換えの時間に大垣駅の謎の3番ホームの撮影を行う。ここは島式のホームの4番線の西側の先頭部分を切った形で3番線ホームを設置してある。切り欠きホームと言うらしいのだが、非テツ系の私には不思議な光景。

岐阜駅から東海道線特別快速に乗車

長良川鉄橋を越える

大垣駅に到着

4番ホーム西側先端にある東海道線美濃赤坂支線の3番線切欠きホーム

 大垣駅ではいったん改札を出て、8:26発の養老鉄道に乗り換える。ふだんは通勤通学に使われる編成なのだろう。3両の列車に私を含めてたった2名の乗客で申し訳ない気分。車窓から化石のメッカ金生山(かなぶやま、きんしょうざんとも)の採石場を眺めながら、8:50に終点の揖斐(いび)に到着。

養老鉄道大垣駅は別の駅舎

 駅前から8:55発の揖斐川町ふれあいバスに乗車。これまた乗客は2名。9:14にかすがモリモリ村に到着して行動を開始した。

揖斐川町ふれあいバス

ふれあい村は診療所兼温泉施設兼食事施設兼物品販売施設

 デポジットしたガス缶を回収してから県道32号線に戻り、9:26に前回離脱した東海自然歩道の分岐点から歩き始める。

モリモリ村から谷の向こうに雪を纏った鍋倉山が見えてきた

前回はここで東海自然歩道から離脱

 ここからは県道を離れ、高橋谷川に沿った、狭く、やや荒廃した舗装路。水力発電の取水のための堰堤を過ぎたあたりからは舗装がなくなる。川の流れは美しい。雪が降ってきた。

県道から谷山廃村への道に進む

水力発電の取水用の堰堤

 10:08に混野辺(こんのべ)橋を通過。三倉上ケ流林道と合流し、きれいなアスファルト舗装となる。雪が強くなってきた。

混野辺橋で三倉上ケ流林道と合流

 10:37にずいぶん前に廃村となっているはずの谷山集落を通過。思いのほか荒れ果ててはおらず、定期的に手入れする人がいるよう。整備された林道もそのためなのかと思う。故郷を思う人の気持ちを感じる。

谷山集落

集落の歴史が刻まれている

 谷山集落から先は完全な山道となる。ところどころ崩落箇所があるが歩行には支障はない。雪はチラホラと舞う程度。道にもほとんど積もっていない。

谷山から先は山道に

 スギの植林を抜け、高度が700mほどになったあたりからうっすらと雪が山道を覆い始めた。11:23に崩壊寸前の橋を一つ、もう一つと通過。木が腐って隙間から川が見える。落ちそうでヒヤヒヤする。慎重に進む。

スリリングな橋

2つめの橋を越えたら川を離れて進む

 橋を過ぎたあたりで川の流れから離れ、稜線に向かう道をジグザグに上っていく。小さな茶色の鳥が先導してくれる。名前がわからない。カメラを向けると怖がって逃げてしまう。茂みから飛び出したメスのキジが谷の向こうに飛んでいった。

小さな鳥が先導してくれた

 12:11に稜線に出た。高度は900mほど。一気に雪が深くなった。30cmほど積もっているようだ。ミドルカットのシューズがスッポリと隠れるほど。足を取られるので、ストックをザックから取り出した。

標高900mあたりから雪が深くなる

 周囲は一面の雪。汚れのない白。誰の踏み跡もないと思ったら、小柄な女性ほどの足跡が出てきた。道から外れて進んでいくところを見ると、シカの踏み跡だろうか。

小柄な女性が先を歩く?

ヒト科ではなさそう

 高度が上がるにつれてさらに雪は深くなり、雪溜まりを踏んだら一気に腰ぐらいまで沈んでしまった。深いところで積雪は1mぐらいある。山道の部分は柔らかい雪を踏むとちょうど膝ぐらいで踏みとどまる。

 東に見えるのは御嶽山だろうか。雪に覆われたひときわ美しい山が見えてきた。雪に沈み込む足を、一歩一歩抜きながら歩くため消耗が激しい。それでもなお、こんな美しい道のりはもっと長く楽しみたいと思う。

正面奥にはひときわ高い御嶽山(3067m)

 稜線からは青空が見えてきた。落葉した広葉樹の間を縫うように進み、13:34に鍋倉山避難小屋に到着。鍋倉山山頂のほんの南。小屋は東海自然歩道の整備事業の一部として建てられたようだ。とても綺麗で、中も広い。掃除も行き届いている。

避難小屋が見えてきた

 さっそくお湯を沸かし、昼食とした。食後は外のベンチでコーヒーとした。青空と雪。ほぼ無風で、無音の世界。至福のひととき。

食後は外のベンチで

珈琲美味し

 予定ではもう少し先まで進もうと思っていたが、こんな素敵な小屋で半日ゆったりと本を読むのもいい。ここで行動を終えよう。

 たぶん半径5kmにはヒト科の生物はいない。空は透き通るように青く、山は汚れを知らないように白い。文庫本を2冊持ってきてよかった。静寂の中の山小屋で、窓から青空を眺めながら贅沢な午後を過ごそう。

静かに、静かに日が暮れていった

2023年1月21日 東海自然歩道20日目(通算231日) 岐阜県揖斐郡揖斐川町かすがモリモリ村〜鍋倉山避難小屋 晴れときどき曇り 5/-1℃ 行動距離9.2km 行動時間4:17 獲得高度1041m 18868歩 行動中飲水量100ml 

往路交通:福岡空港18:55ANA3866便-中部国際空港20:10/20:37名鉄ミュースカイ-神宮前20:58/21:01名鉄特急-21:37名鉄岐阜 岐阜前泊

JR岐阜7:56-大垣8:08/8:26養老鉄道-揖斐8:50/8:55揖斐川町ふれあいバス-かすがモリモリ村9:14