生搾りオレンジの自動販売機に初めて遭遇したのは、2011年のスペイン出張の折りだった。マドリッドでの会議の中休みが一日あり、Renfeという高速鉄道に乗ってローマ時代の水道橋で有名なSegovia(セゴビア)を訪れたときのこと。
駅の売店にオレンジジュースの販売機が置いてあった。上部のバスケットに置かれたオレンジが自動的に機械に投入され、半分に切られたと思うと、圧搾された生搾りのジュースが下の注ぎ口から出てくるタイプのものだった。トロリと甘く、爽やかで、素晴らしく美味しいオレンジジュースだった。
次に生搾りオレンジの自動販売機に遭遇したのは10年ほどの時を経た2020年の長崎県西海市。九州自然歩道トレッキングの途中で西海橋を渡り、道の駅さいかいミカンドームに立ち寄ったとき。
スペインの時と同じZumexのオレンジジューサーで、「はるか」を5個ほど搾って飲ませてくれるサービスがあった。香りが強く、甘さと酸味のバランスが絶妙なはるかのジュースは、バレンシアオレンジとはひと味違い、脳天の先にまで届くほど美味しかったが、青果店では一玉100円以上もするような高級柑橘のはるかを生で搾って飲ませてくれるような機会にはその後巡り会うことはなかった。
ふたたび感動するほど美味しいオレンジジュースに遭遇したのは2023年の東京出張の帰り。浜松町からのモノレールが羽田空港第2ターミナルに到着し、前方の階段を上った先にそれがあった。
見慣れないオレンジとグリーンの自動販売機。何だろうかと近づいてみると、Fresh 100% Orangeと書いてある。前面の透明パネルの奥にはオレンジがずらりと並んでいる。生搾りオレンジジュースの自動販売機だとピンときた。
さっそく500円玉を投入。上のケージから下の歯車様の機械にオレンジが降りてきて、圧搾される。しばらく待つと、取り出し口のコップの中には絞りたてのオレンジジュースができている。スペインで飲んだのと同じ味だった。美味かった。5秒で飲み終えた。
自販機の名はFeed Me Orange。調べてみると2021年7月にはこのイギリス製の自動販売機は渋谷マルイに日本1号機が導入されていたようだが、コロナ禍の影響もあり、触れる機会はなかった。
このオレンジジュース、メチャ美味い。クセになる。