とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年3月1日 九州自然歩道 20日目 隠居岳~西海橋 

 隠居岳キャンプ場は快適だった。昨夜は雨の降らないところを見つけてテントを張り、ご飯を炊いて夕食。雨の音が聞こえなくなったところで外に出てみたら、雲の間からシリウスベテルギウスが美しく輝いていた。

 しかしながら6:30に起きてみると小雨が降っている。ゆっくりと支度をし、昨日の残りのおにぎりの朝食を済ませる。このキャンプ場には水道があったため、魔法瓶一杯に熱湯を沸かして入れておいた。これでどこでもコーヒーが飲める。

f:id:nayutakun:20200301180046j:plain

隠居岳キャンプ場から望む佐世保早岐の市街地

 雨に当たらないところでテントを乾かし、パッキングを終え、展望台に行って佐世保の全景を眺めてみる。早岐針尾島との間の水道がよく見える。西には佐世保の町も見える。このまま小雨のままでいてくれたらいいなと思いながら8:14にキャンプ場を出発する。

f:id:nayutakun:20200301180147j:plain

奥の針尾島との間に水道(早岐瀬戸)が見える

 キャンプ場からは舗装された林道が続く。交通量は少ない。ときおり軽トラックが通り過ぎるのみ。杉の植林を抜けると早岐の町が見えてくる。正面には針尾島の山々が見える。この道は見晴らしがよく、交通量が少なくて快適だ。つづら折りの林道を先に進むと人家がチラホラと見えてくる。

f:id:nayutakun:20200301180331j:plain

 快適な道をそのまま進んでいると、目印と思っていた貯水池が正面に現れた。本来はこの池の500mほど西を進むはず。地図を見たところ、九州自然歩道は500mぐらい手前で右に折れている。残念ながらここには標識が見当たらず、誤ってまっすぐ進んでしまったようだ。ここから東に進み、九州自然歩道に復帰を試みた。

f:id:nayutakun:20200301180358j:plain

こちらが本来の九州自然歩道

 ほどなく、次の目印の西九州自動車道との交差部にたどり着いた。ここから九州自然歩道に復帰。この道も、簡易舗装がされた快適な道だ。西九州自動車道の下を潜り抜けてから1kmほど進んだところで踏切を通過する。車1台がようやく通過できるほどの幅の狭い踏切で、事故が起きないものかと気になったので写真撮影。そこに電車が通過したので撮影したら、なんと伊万里行きのMRの列車だった。松浦鉄道佐世保までのはずなのに、早岐まで直通運転しているようだ。さすがに涙ぐましいような営業努力をしているなと感心。

f:id:nayutakun:20200301180438j:plain

驚異的に狭い踏切

f:id:nayutakun:20200301180511j:plain

JRの線路をMRが通過してビックリ

 踏切から500mほど進んだところで10:10に観潮橋を通過。橋の下には川のような流れがあり、一見すると川にかけられた橋のように見えるが、ここは早岐針尾島の間の海の水道、早岐瀬戸に架けられた橋。佐世保湾大村湾を結ぶ水路のため、干満の差で川のように水が流れている。

f:id:nayutakun:20200301180555j:plain

早岐針尾島を結ぶ観潮橋

f:id:nayutakun:20200301180625j:plain

川のように水が流れる

 ここからは早岐瀬戸に沿った交通量の多い道路を進む。景色は良いのだが、狭い道路で、交通量が多いので楽しい道のりではない。しばらく進み、車道が山手に進むところで、九州自然歩道早岐瀬戸に沿って農道を進み始める。

f:id:nayutakun:20200301180707j:plain

針尾島から早岐早瀬を隔てて眺める早岐市街

 農道の両側は水田と思われるのだが、田植えの前のこの時期にすでに水が満ちている。こんな状態で土が作れるのか少し心配になる。さらに進むと、水田のようなところにレンコンがいくつか転がっている。ここはレンコン栽培に利用されているんだと納得。

f:id:nayutakun:20200301180754j:plain

すでに水が満ちている水田

f:id:nayutakun:20200301180817j:plain

レンコンを発見

 ここからは再び車道に合流して、歩きはじめる。しばらくバス通りを歩いていると、江上町の交差点近くでセブンイレブンを見つける。周囲には人家はほとんどないが、交通量が多いためだろう。ちょうど12:00となったので、ここでおでんと肉まんを購入して昼ご飯とする。セブンイレブンWiFi環境があるから助かる。ここでたまったメール類を一気にダウンロードしておいた。

f:id:nayutakun:20200301180905j:plain

こういう道を晴れた日に歩くのが最高

 江上町交差点から2kmほど進んだところで、九州自然歩道の地図に従い、左に折れて車道を離れて林道に入る。標識はなく、荒れ果てた道に先行きが心配になる。九州自然歩道は、名の通った山の登山道は整備状況が優れている。無名の山は荒れ果てていることもある。整備状況が非常にばらつくのが、登山道と登山道との間のアプローチ路。標識がまったくなかったり、人家の軒先を通ったり、工事で道が消失していたり。今回も、そんなような嫌な予感のする雰囲気。このルートには人の通った痕跡が少なく、道端には大量のゴミが廃棄してある。そんな道を下って、早岐瀬戸の堤防まで出た。自然歩道はほとんど消失した状態。堤防の脇をすり抜けるようにして進むが、時折、樹木が生い茂り通過が困難になる。そんなところではずいぶん遠回りをして藪の中を進むことになる。

f:id:nayutakun:20200301180944j:plain

このあたりで嫌な予感が

f:id:nayutakun:20200301192558j:plain

地図には先が続いているが、物理的にはここで行き止まり

f:id:nayutakun:20200301192704j:plain

わずかな隙間を見つけて先に進む

f:id:nayutakun:20200301192733j:plain

無理をして進んだのは早岐瀬戸がとってもきれいだったから

 堤防に沿って、なんとか地図上では右に折れて山を登る地点らしきところまで到達したが、山の斜面を見ると、イノシシの泥遊びの痕跡と、数名の人間が斜面を泥まみれになりながらかろうじて登ったような痕跡がわずかに確認できるのみ。意を決して、道なき斜面を登り始める。20分ほどかけて、なんとか崖の上までたどり着くと、そこはミカン畑。ミカン畑には業務用の簡易舗装されたサービス路が見える。しかし、ミカン畑の周囲には、イノシシ除けの柵とイノシシ除けの電線が張り巡らせてあるので、ミカン畑には容易に入ることはできない。あたりを見回し、柵の一番低いところを乗り越えようと決心し、バックパックを外して先に柵の向こうに放り入れた。次いで、電線の上に上着を架けて感電しないように注意し、柵を何とか乗り越えた。200Vの電線注意と書いてあり、ビリっと来たら痛いだろうなと冷や汗が出た。

f:id:nayutakun:20200301192841j:plain

ここで万事休し、けもの道を這いあがる

f:id:nayutakun:20200301192954j:plain

這い上がった先にはミカン畑が

 ミカン畑のサービス路に入ってからは快適だった。ところどころにイノシシ除けの柵があるが、人が通ることができるように、カギを開けて通過できる。ミカン畑の向こうには早岐瀬戸が流れている。南向きの斜面はすべてミカンが栽培されている。それも、興津、佐世保、上野、原口など、これまで目にしたことがない新品種のようだ。ちょうど雨が止んで、うっすらと日が差してきた。ミカン畑の向こうには、昨日登ってきた隠居岳が見える。

f:id:nayutakun:20200301193050j:plain

早岐瀬戸に面した南斜面はミカン畑

f:id:nayutakun:20200301193125j:plain

隠居岳がはるかに見える

 ミカン畑を過ぎると、再び車道に合流する。交通量は多いが、歩道があるため安心だ。しかし、これまで山の中を歩いてきたため、車によって発生する人工音が煩く感じる。8kmほど車道部分を歩いて西海橋に15:18に到着。1日3便しかないバスが15:14に出たばかりだった。

f:id:nayutakun:20200301193235j:plain

美しいアーチの西海橋

f:id:nayutakun:20200301193306j:plain

左は新西海橋

 次の18:14のバスを待つ間、ホテルのロビーでゆっくりさせてもらう。次のバスの時間まで3時間。地方の公共交通機関の惨状を目の当たりにした。

 

2020年3月1日 九州自然歩道#10 2日目 隠居岳キャンプ場、佐世保市西海橋西海市 雨 気温12/0 距離    22.2km 行動時間7:09 平均時速3.31km/h 33462歩