とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

すきま散歩 ローマの泉

 本日もローマに滞在。午後は用事があるが午前中は空いているため、ローマの市街地をジョギングしよう。コースのテーマはローマの泉。ローマ中心部の西に位置するヴァチカン近くまで地下鉄で行って、東に向かって有名どころの泉を見ながらホテルに戻るように走ってみよう。

 ホテルを6:10にスタートして、最寄りのCastro Pretorio駅から地下鉄B線に乗車。地下鉄の表示はマクドナルドのよう。

ローマ地下鉄B線のCastro Pretorio駅から乗車。マクドナルドのよう。

 Termini駅でA線に乗り換えて、ヴァチカンへの最寄り駅のOttaviano駅で6:38に下車。地下鉄は便利だが、どの車両にもGraffitiが描かれていて、ちょっと危険な感じがする。

Termini駅で地下鉄A線に乗り換え

地下鉄はちょっと怪しい感じ

ヴァチカン最寄りのOttaviano駅で下車

門前市は開店準備中

 すぐにヴァチカンの城壁が見えてくる。城壁の内部はヴァチカン市国なのだが、ヴァチカン城といった方がピッタリな感じ。城壁のトンガリ具合が五稜郭のよう。

すぐにヴァチカンが見えてくる

難攻不落のお城だ

 城壁を反時計回りに進む。200mほど進むとヴァチカン美術館の入口。時間があったら中も見てみたい。

ヴァチカンの壁伝いにジョギング

ヴァチカン美術館への入口

 さらに城壁を伝って進む。周辺は住宅地。東京でいったら内堀周辺を歩いているようなものかな、などと考えながら進む。

城壁がずーっと続く。周囲は普通の住宅地なのが不思議な感じ。

 途中で橋のような構造物がヴァチカンに向かって延びている現場に出た。気になって階段を上って見に行ってみた。そこにはヴァチカンに続く鉄道の引き込み線が敷設されていた。法王がお出ましになるときにでも使われるのだろうか。

橋がある

ヴァチカン内に続く鉄道の橋梁だった

 この先は柱廊を抜けるとどこかで見たような光景。そう、トム・ハンクス主演の映画「ダ・ヴィンチ・コード」三部作の第2弾「天使と悪魔」に出てきたサン・ピエトロ広場だ。カトリックの総本山サン・ピエトロ大聖堂前のこの広場で、反物質の爆発が起こったんだっけ。

城壁が途切れたところで柱廊になる

ここに出た

 広場には2つの噴水。まずサン・ピエトロ大聖堂に向かって左側の噴水が1667年に製作されたベルニーニの噴水。右の噴水は1400年代に作られたマデルノの噴水。対になっているように見えるので、同時代の同製作者のものかと思ったが、意外なほど時代が異なる。

左にベルニーニの噴水

真ん中にはサン・ピエトロ大聖堂

右にはマデルノの噴水

 広場の中央に聳えるオベリスク(記念碑)は高さ25m。紀元前1世紀にアレクサンドリアで建てたものを、紀元前40年頃にローマ皇帝カリグラがエジプトから運び、16世紀後半にサン・ピエトロ広場に移されたとされている。

広場の中央にはオベリスク

 バチカンとイタリアの国境とされる天使の門をくぐって南に進むと、テベレ川沿いに見えてくるのがサンタンジェロ城。イタリア語ではCastel Sant'Angeloで、聖天使城とも呼ばれる。135年にハドリアヌス帝によって建設が開始している。

サンタンジェロ城

 五芒星の形の公園内に5角形の通路で囲まれた敷地があり、その中に四角い城壁で囲まれた円形の城。到着したのは7:25で開門は9:00のため中には入れず。公園内にはハドリアヌス帝のブロンズ像が建てられている。

ハドリアヌス

 サンタンジェロ橋を渡って、路地を縫うように南に進む。ほどなく7:45に着いた広場がナヴォナ広場(Piazza Navona)。左手に教会(Sant’Agnese in Agone)を見て、手前がムーア人の噴水(Fontana del Moro)、中央のオベリスクを抱いた噴水が四大河の噴水(Fontana del Fiumi)、北にあるのがネプチューンの噴水(Fontana del Nettuno)。いずれも意匠が素晴らしい。

ローマの路地は複雑

ナヴォナ広場

ムーア人の噴水

四大河の噴水

ネプチューンの噴水

 さらに東に150mほど路地を進むと現れるのがパンテオン(Pantheon)。ローマ神を祀る万神殿で、初代パンテオンは紀元前25年に建造されたが火事で焼失し、現在のものは2代目。それでも現在のパンテオンは皇帝ハドリアヌスによって118~128年にかけて再建されたものだから、日本のどの古墳よりも古い。

パンテオン

 古墳つながりでいうと、アウグストゥスはこれを自分のための神殿にしようと考えていたようだが、市民の反発を避けて万神殿に変更したとも考えられている。

 パンテオンは正面から見ると柱廊を持った方形の建物のように見えるが、実際は43mの円形の建物で、上部に半球状のドームを載せている。これを古墳時代よりも前に造ったって、まぢスゴすぎ。

これが古墳時代の建造物とは

 パンテオンの前にはこれまた恐ろしげな意匠の噴水(ロトンダ広場の噴水、Fontana del Pantheon)。噴水前には飲料水が常時流れていて、観光客がPETボトルに汲んで飲んでいた。一口飲んでみたが美味しい水だった。

ロトンダ広場の噴水

観光客が飲んでいた

 パンテオンから東に200mほど進むとスックとそびえる塔が見える。これがマルクス・アウレリウスの記念柱(Colonna di Marco Aurelio)。首相官邸のキージ宮の前のコロンナ広場((Piazza Colonna)に建っている。記念柱は193年に完成したとされているが、それ以前の可能性もある。ここにある噴水がFontana in Piazza Colonna。記念柱広場の噴水。隣のショッピングアーケード(Galleria Alberto Sordi)ではユニクロが開店準備中。

マルクス・アウレリウスの記念柱と記念柱広場の噴水

 ユニクロのそばを通り抜けて狭い路地を進むと、あの噴水に到着。そう、ここがトレビの泉(Fontana di Trevi)。まだ朝の8時なのにすでに多くの観光客が集まる。

開店準備中のユニクロ

トレビの泉には早朝にもかかわらず多くの人

世界で一番有名な泉だろう

 トレビの泉からは北に向かって500mほど進む。まず、ミニニャネッリ広場の真ん中に高い塔(Column of the Immaculate Conception、無原罪の御宿りの柱)が現れ、その向こうにはスペイン広場。「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンが腰を下ろしてジェラートを食べるあの階段の広場。階段の前にある噴水がバルカッチャの噴水(Fontana della Barcaccia)。

無原罪の御宿りの柱

バルカッチャの噴水とスペイン広場の階段

ここに腰掛けてジェラートを食べるんだね

 スペイン広場の階段を駆け上がると、そこにはメディチ家のお屋敷(Villa Medici)。見学ツアーもあるようだ。ヴァチカンが向こうに見える最高のロケーションだな。

メディチ家のお屋敷への門

一部は美術館となる

メディチ家のお屋敷はヴァチカン・ビュー

庭も素晴らしい

 今日はお屋敷の横を素通りして、陸橋を渡って、ボルゲーゼ公園(Villa Borghese)の中を走る。公園にも噴水がある。壁の水を汲んで飲んでいるランナーもいる。

橋を渡って公園に進む

ときどきランナーが走る

この水を飲んでいる人もいた

公園にも噴水

 しばらく公園の中を走り、ボルゲーゼ美術館(Museo e Galleria Borghese)の角を曲がって公園の外に出る。

ボルゲーゼ美術館

 公園を出るとローマの城壁の外だった。城壁の外を走ってピア門(Porta Pia)からローマ市街に戻る。

城壁に沿って走る

堅牢そうな城壁だ

ピア門から市内に戻る

 ピア門近くの果物屋で朝食のフルーツを購入。ホテルに戻って、シャワーを浴びてから、フルーツを食べて仕事に行こうか。

ホテル近くで果物屋を見つけた

2024年3月16日 ローマ市街地ジョギング 曇りときどき晴れ 18/9℃ 行動距離11.3km 行動時間2:42 獲得高度217m 24771歩 行動中飲水量0ml

すきま散歩 遺跡巡り ローマ

 昨日はフィレンツェからローマに移動。本日は昼から用事があるので、早朝にローマの市街地を軽くジョギング。

 ローマ・テルミニ駅(Roma Termini)にほど近いホテルを6:15にスタート。角ごとに警察官の立ったイギリス大使館の角を曲がってチェルナイア通り(Via Cernaia)を南に進む。

イギリス大使館のお屋敷周辺には警察官が多い

 通りに沿って通産省(Ministry of Economy and Finance)と防衛省(Ministero della Difesa)の建物。いずれも歴史を感じさせる。

通産省みたいな

防衛省

 古代ローマの遺跡をそのまま利用したかのような国立考古学博物館(Museo Nazionale Romano)を過ぎた先が共和国広場(Piazza della Repubblica)。

国立考古学博物館

共和国広場

 ロータリーの中央には大きな噴水。ナイアディの泉(Fontana di Naiadi)と名付けられている。ナイアディとはギリシア神話に登場する妖精のこと。ここでは湖の妖精、川の妖精、大洋の妖精、地下水の妖精が現れるとされてる。

ナイアディの泉

 ロータリーの北側部分にはサンタ・マリア・デランジェリ・エ・デイ・マルティーリ聖堂(Santa Maria degli Angeli e dei Martiri)が面している。ローマ帝国時代のディオクレティアヌス浴場跡を利用して建てられた大聖堂。中に入ってみたいが、まだ開門前。

サンタ・マリア・デランジェリ・エ・デイ・マルティーリ聖堂

 ロータリーの南にも半円形の柱廊が扇状に拡がる。柱廊の間を通るのがナツィオナーレ通り(Via Nazionale)。ここを真っ直ぐ南に進む。

ナツィオナーレ通りを南に進む

 左に見えてくるのはセント・ポールズ ウィズイン・ザ・ウォールズ教会(Chiesa di San Paolo entro le Mura)。ローマに建てられた最初のプロテスタント教会1880年建造。明るい色調のレンガが特徴。

セント・ポールズ ウィズイン・ザ・ウォールズ教会

 次に右に現れるのが歴史を感じさせる半地下の教会、サン・ヴィターレ聖堂(Basilica dei Santi Vitale)。4世紀に建てられ、402年教皇インノケンティウス1世により改築されたとあるので、ずいぶんと歴史がある。これって日本の古墳のほとんどより古いんだよなと思いながら通り過ぎる。

サン・ヴィターレ聖堂

 その隣に建つ立派な建物がエスポジツィオーニ宮殿(Palazzo delle Esposizioni)。1883年に完成した、ローマでは比較的新しい建築物。美術館などとして利用されている。大きすぎて歩道からでは全景が入らない。

エスポジツィオーニ宮殿

 さらにナツィオナーレ通りを南に進むと左に現れるのがイタリア銀行本店(Bank of Italy Palazzo Koch)。1893年に完成。内部は見学できるようだが、まだ営業時間外。

イタリア銀行本店

 ナツィオナーレ通りが右に曲がるところから真っ直ぐ階段を下りると、トラヤヌスの記念柱(Colonna Traiana)が正面に見える。ローマ皇帝トラヤヌスダキア(現在のルーマニア周辺を支配した部族)戦争(101~106年)での勝利を記念したもので、113年に完成。高さは30mで、直径3.7m、40トンの大理石を20個積み重ねてできている。さすがにこのころローマにも重機はないよね。どうやって作った?日本はそのころ弥生か縄文時代。唖然とするばかり。

トラヤヌスの記念柱

 記念柱のあたりはトラヤヌスのフォルム(Foro Triano)、トラヤヌスの市場(Mercati di Traiano Museo dei Fori Imperiali)と呼ばれる遺跡群。フォルムは英語ではForumとなり、公共広場ぐらいの意味。市場の方は本気のショッピングセンターだったよう。デカいよ。今のイオンに負けないよ。

トラヤヌスのフォルム

トラヤヌスの市場

 さらにその南に建つのはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂(Monumento a Vittorio Emanuele II)。国父の祭壇(Altare della Patria)とも呼ばれる。1911年に完成した建造物で、イタリア王国を成立させたヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の偉業を讃えるために、その息子であるウンベルト1世の治世に建設が開始されている。新しい。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂

 この先はテアートロ・ディ・マルチェッロ通り(Via del Teatro di Marcello)を南に下るとコロッセオのような建物。これはコロッセオではなく、マルケッルス劇場(Teatro di Marcello)という古代ローマのコンサートホール。皇帝アウグストゥスが紀元前13年に完成させ、紀元前12年に供用開始。ローマ帝国崩壊後は廃墟となっていたが、現在、上層階はリノベされてアパートになっているそうだ。はぁ?高松塚古墳の石室に壁紙貼って住むような感覚かいっ?想像もできんわ。どんな人が住むんか?

マルケッルス劇場

アパートはどこだ?

 さらに進むとテベレ川に突き当たる。ちょうど薄い雲をとおった光が差し込んできて絵画のよう。右に見える橋はファブリキウス橋(Ponte Fabricio)。川中島はティベリナ島(Isola Tiberina)。

テベレ川

 テベレ川に沿って南に進むと、ほどなく尖塔を持った教会が見えてくる。これがサンタ・マリア・イン・コスメディン教会(Basilica di Santa Maria in Cosmedin)。「ローマの休日」に出てくる「真実の口」がある教会だ。まだ朝の7時前と、早すぎて中には入れないが、柵の向こうに真実の口が見えるようにしてある。あの口の中に手を入れて、自分は嘘をついたことがないことを証明できるのに、今日はお預け。残念。

サンタ・マリア・イン・コスメディン教会

真実の口

 教会からは東に進路を変え、チルコ・マッシモ(Circo Massimo)という古代ローマ時代の競技場の遺跡の中の草地を走る。いまでも陸上トラックのように整備されている。

チルコ・マッシモ

チルコ・マッシモ

 この先でグレゴリオ通り(Via dis Gregorio)を北に進むとコンスタンティヌス凱旋門(Arco di Costantino)が見えてくる。

コンスタンティヌス凱旋門

 さあ、その先に見えるのが皆さんご存じのコロッセオ(Colosseo)。言わずと知れた円形闘技場で、ティトウス治世の80年に完成している。蝶形187.5m、短径156.5mで高さは48m。収容人数は推定で5万から9万人弱。現在のアリーナと比べて遜色のない大きさだ。

 剣闘士競技や野獣狩りを見世物として市民の娯楽に供していたというが、ちょっとその感覚はわからない。ちなみに剣闘士競技は434年まで、野獣狩りは523年まで実施記録が残っている。

 コロッセオ広場から北の丘の上に上る。皇帝ネロの黄金宮殿(Domus Aurea)があるが、営業時間外で中には入れず。その先にはトラヤヌスの浴場跡(Trajan’s Bath)。

トラヤヌスの浴場跡

 さらに北に進むとサンタ・マリア・マッジョーレ教会(Basilica Papale di Santa Maria Maggiore)。ここも5世紀に創建されている。

サンタ・マリア・マッジョーレ教会

 この先は路地をクネクネと進むとオペラ座(Teatro dell'Opera di Roma)。時間が合えば、オペラかコンサートに行きたいが、どうも今夜はないようだ。残念。

オペラ座

 この先はローマ・テルミニ駅を通り過ぎ、8:07にホテルに帰着。心地よい朝のジョギングだった。

テルミニ駅

2024年3月15日 すきま散歩 遺跡巡り ローマ 曇り 18/6℃ 行動距離8.5km 行動時間1:51 獲得高度126m 17727歩 行動中飲水量0ml

すきま散歩 夕暮れのフィレンツェ

 フィレンツェ滞在3日目の仕事が終わった。明日の朝にはここを発つことになる。名残惜しくて、最後に市街地をそぞろ歩き。

 17:00に着替えてホテルを出発。フィレンツェの中央駅サンタ・マリア・ノヴェッラ駅前。駅の前に立つサンタ・マリア・ノヴェッラ教会にも夕日が差してきた。

サンタ・マリア・ノヴェッラ

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

 教会の少し北にあるセントラルマーケットに到着。散歩前にフードコートで軽くお腹を満たしておく。クリームパスタのトリュフのせと、ラザニアの入ったコロッケのような揚げ物。飲み物はパイナップルとココナッツミルクのノンアルコールカクテル。

セントラルマーケット

クリームパスタ。最後にトリュフとパルミジャーノをたっぷりとかけてもらった。

アランチーニ(イタリアコロッケ)。中には挽肉と米。

ノンアルコールのパイナップルカクテル

 食事の後はサンタ・マリア・ノヴェッラ教会前の広場から市街地を南に進み、サンタ・トリニタ橋(Ponte Santa Trinita)でアルノ川に出る。ちょうどサント・スピリト教会(Basilica di Santo Spirito)の向こうに夕日が沈むところ。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会前広場

サンタ・トリニタ橋

サント・スピリト教会の向こうに夕日が沈む

 ヴェッキオ橋(Ponte Vecchio)は夕日に照らされている。橋の上に並んだ宝飾店の通りにはまだ多くの人が行き交っている。

ヴェッキオ橋

ヴェッキオ橋の上は宝飾店街

 ウフィッツイ広場の前を通って一つ南のアッレ・グラッツイエ橋(Ponte alle Grazie)で左岸に渡り、サン・ニッコロ門(Porta San Niccolo)から丘を登る。頂上にあるミケランジェロ広場に着いたのは18:40。すでに日は完全に沈み、西の空が薄い紫色に染まるのみ。

アッレ・グラッツイエ橋

ミケランジェロ広場に到着

 広場中央のダビデ像に挨拶し、アルノ川の向こうのドゥオモ(Duomo、サンタマリア・デル・フィオーレ大聖堂、Cattedrale di Santa Maria del Fiore)、サンタ・クローチェ聖堂(Basilica di Santa Croce di Firenze)をしっかりと目に焼き付ける。

ダビデ像に最後の挨拶

温かい光でライトアップされた町並みが美しい

サンタマリア・デル・フィオーレ大聖堂を網膜に焼き付ける

サンタ・クローチェ聖堂もしっかりと

 ミケランジェロ広場からの帰りはヴェッキオ橋を歩く。宝飾店街はすでに閉店している。歴史を感じさせる木製のシャッターを眺めながら路地を北に進む。

ヴェッキオ橋の商店街はすでに営業終了

歴史と風格を感じるシャッター

 最後にサンタマリア・デル・フィオーレ大聖堂の美しい大理石のファサードをじっくりと眺めてホテルに戻る。

2024年3月13日 フィレンツェ 曇り 14/7℃ 行動距離7.9km 行動時間2:52 獲得高度127m 行動中飲水量200ml 14399歩

すきま散歩 アルノ川に沿って フィレンツェ

 本日はフィレンツェ滞在3日目。仕事の前に町の中心部を流れるアルノ川に沿ってジョギングしよう。

 6:15に駅前のホテルを出発。日の出時刻は6:30だが、空が雲に覆われてまだ暗い。市電の経路に沿って進む。最初に現れるのはプラート門(Porta al Prato)。

ホテルを出発

プラート門

 バスターミナル近くの観覧車の横を通り過ぎるとアルノ川(Fiume Arno)。フィレンツェの町を東から西に流れる川で、西のピサの町に進み、リグリア海に注ぐ。目の前の橋はヴィットリア橋(Ponte Alla Vittoria)。

ヴィットリア橋

 川沿いに快適な道があるのだが、意外なほどジョギングの人影がない。みんな夜が遅いのか?アルノ川に沿って西に進む。

アルノ川に沿って走りやすい道がある

 次に現れるのはトランヴィア橋(Ponte della tramvia)。ここは市内電車の行き交う橋。

トランヴィア橋

 この先の右手には植物園か農事試験場のような雰囲気の緑地。あとで調べてみたら競馬場(カシーネ競馬場、Ippodrome delle Cascine)だった。なーるほど。

右手には深い森

競馬場だった

 次に現れる人道橋はPasserella Dell’Isolotto。イソロットの歩道とでも言うのかな?この脇には胸像が建っているので近づいてみてみると、George Washingtonだった。アメリカの初代大統領の胸像がなぜここに?ワシントン生誕200年を記念してというようなことが書いてあるが、それにしてもなぜ?

イソロットの歩道

George Washington像だった

 さらに川沿いの歩道を進む。次に現れたのはなんとドストエフスキーの像。これも関連がわからない。イタリアとドストエフスキーって175°ぐらい方向が違うように思えるのだが。

 この先には大きなインディアノ橋(Ponte Alle Indiano)が見えてきた。おそらく橋の名の由来になったインドの方の胸像。誰なのかわからないが。

インディアノ橋

この方にちなんででしょう

 右から合流するムグノーネ川(Fiume Mugnone)を小さな橋で渡って、インディアノ橋の真下に設置してある人道橋を渡る。橋脚にはGraffitiが描かれているが、なかなかハイレベル。アート作品として成立している。きっと知っている人には知られているだろうな。

ムグノーネ川

橋の真下に人道橋

橋脚に描かれたGraffitiのレベルが高い

 アルノ川を渡り、今度は左岸を引き返す。

 ほんとうに格好のジョギングコースだ。トランヴィア橋、ヴィットリア橋と通り過ぎ、アメリゴ・ヴェスプッチ橋(Ponte Amerigo Vespucci)で右岸に渡る。

トランヴィア橋ではちょうど市電が通過

アメリゴ・ヴェスプッチ橋

 狭い路地を歩いてフィレンツェ中央駅に到着したのはちょうど8:00。シャワーを浴びてから仕事に行こう。

2024年3月13日 フィレンツェ 曇り 17/7℃ 行動距離10.8km 行動時間1:48 獲得高度122m 行動中飲水量0ml

すきま散歩 朝のフィレンツェ

 出張でイタリア・フィレンツェ滞在中。仕事前の早朝のすきま時間に古い町並みを散歩する。

 5:00に起床してシャワーを浴びる。ジョギングの格好を整えて6:32からフィレンツェの中央駅になるフィレンツェサンタ・マリア・ノヴェッラ駅からスタート。気温は7℃。風はなく、半袖のTシャツでも寒くない。駅の正面の立派な尖塔を持つ教会がサンタ・マリア・ノヴェッラ教会。

サンタ・マリア・ノヴェッラ

駅前には超低床型の市電が行き交う。奥に見えるのがサンタ・マリア・ノヴェッラ教会

 古い町並みを東に向かって古い町並みを進む。電柱が立っていないためか、景観がスッキリしている。

町には電柱がない。ぶら下がった電線は街灯のため。

 石畳を剥がして工事をしている。地中に施されているであろう上下水道、ガス、電気、通信などの様々な配管をどうやって処理しながら工事を進めるのか興味津々。

土中には配管が行き交っている

 そうこうするうちにフィレンツェ大学に到着。大学の南に接してアカデミア美術館。ここはミケランジェロダビデ像が中央にドンと配されていることで有名。

フィレンツェ大学

アカデミア美術館所蔵のミケランジェロダビデ像。後日撮影。

 アカデミア美術館から南に下るとサンティッシマ・アンヌンツィアータ広場。飾られているのは海の怪物の噴水(Fontana dei mostri marini)。半魚人をモチーフにしたピエトロ・タッカによって17世紀に作られたちょっとグロテスクな作品。後ろに見えるのがフェルディナンドⅠ世の騎馬像。ジャン・ボローニャニよって製作に着手され、ピエトロ・タッカによって完成したとされている。鋳造に使った材料は海賊から奪った大砲の砲弾を溶かしたものだとか。

サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場

海の怪物の噴水

フェルディナンドⅠ世騎馬像

 そこから路地を進むと見えてくる美しい建物が、フィレンツェでもっとも有名な通称Duomo(ドゥオモ)で呼ばれるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。全長153m、幅90mで最も高い部分は114m。大理石とレンガでできたゴシック・ルネッサンス様式の巨大な建築物だ。1296年に着工して、1436年に完成。日本でいうと着工期は鎌倉時代のど真ん中で、完成期は室町時代の真ん中。応仁の乱とかやってる頃にこんな建物作っちゃっている。すげー。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂とジョットの鐘楼

 横に立つのは高さ84mのジョットの鐘楼。正面に向き合う八角堂はサン・ジョバンニ礼拝堂。いずれも大理石のモザイク模様が素晴らしい。

 ドゥオモの広場から南に進むとレプッブリカ広場。さらに進むとアルノ川のほとりにでるが、ここに架かる橋がヴェッキオ橋。早朝の現在はシャッターを下ろしているが、橋の上には宝飾店などがずらりと並ぶ。

レプッブリカ広場

ヴェッキオ橋

 川沿いに東に100mほど進むとウフィッツイ広場に出る。広場の両側に並ぶのがウフィッツイ美術館。美術の教科書に出てくるビーナスの誕生の絵が収蔵されている美術館だ。

川に沿って100mほど進む

ウフィッツイ広場。両側の建物がウフィツィ美術館

ウフィツィ美術館所蔵でもっとも有名なのはボッティチェッリヴィーナスの誕生だろう。教科書に出ていたよね。後日撮影。

 そのまま東に向かって川沿いを進み、アッレ・グラツィエ橋でアルノ川を渡る。川の真ん中の橋脚には現代美術のオブジェと思われる人形が据え付けられている。作品名はわからない。

アルノ川は西のピサの方向に流れる

アッレ・グラツィエ橋

 左岸に渡り、500mほど東に進むと右手にレンガでできたサン・ニッコロ門が見えてくる。門のところから山手に上っていく。ポッジ広場の泉を眺めながら小高い丘の上に上ると、そこがミケランジェロ広場。フィレンツェ随一の眺望が見られるポイント。

サン・ニッコロ門

ポッジ公園の泉

ミケランジェロ広場からの眺めはフィレンツェ随一

 ミケランジェロ広場の名のとおり、ミケランジェロの代表的な彫刻であるダビデ像が広場の中心に鎮座している。広場から北の眺望が素晴らしい。近くでは大きすぎて全体像がつかめなかったドゥオモや、町の東の荘厳なサンタ・クローチェ教会が一望できる。

広場の中央にあるダビデ像

ドゥオモ

サンタ・クローチェ教会

 ミケランジェロ広場でしばらく眺望を楽しんだ後、丘を下ってSan Niccolo通り、Costa San Giorgio通りと路地を巡る。Costa San Giorgio 19のガリレオ・ガリレイの家を探すためだ。たぶんここだろうというところまで探し当てたが、現在は他の方が住んでいるよう。不審者と思われないうちに退却した。

San Niccolo通りからガリレオの家探し開始

多分このあたりだが表示や目印が見つからない

 ヴェッキオ橋の西まで走って、次のサンタ・トリニータ橋でフィレンツェの中心街に戻る。

サンタ・トリニータ橋を渡る

中世に迷い込んだような気分

サンタ・トリニータ広場

 サンタ・トリニータ広場を通り過ぎると、その先にはサンタ・マリア・ノヴェッラ広場。広場の手前にはTartarugheのオベリスク(記念塔)が建つ。Tartarugheとはイタリア語で亀。オベリスクがその下の亀を押しつぶすかのように建てられている。

Tartarugheのオベリスク

 広場の正面にはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のファサード(正面観)。大理石の端正なデザインだ。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

 教会横の路地を抜ければ中央駅になる。およそ2時間、8kmほどの散歩は終わりとなる。

2024年3月12日 フィレンツェ 曇りときどき晴れ 16/7℃ 行動距離8.3km 行動時間2:07 獲得高度164m 行動中飲水量0ml 15944歩

すきま散歩 ソウル 汝矣島

 土曜日は昼まで仕事。正午前には仕事場を出て福岡空港に急ぎ、午後からソウルに出張。同夜はソウルの友達と仕事をし、その後は一緒に食事という楽しい時間を過ごした。

福岡からは離陸後30分ほどで韓国の上空に到達する

 本日の日曜日は仁川国際空港から出発する12:50の飛行機まで時間がある。朝は滞在しているホテルからほど近い、ソウル市内を流れる漢江(はんがん)の汝矣島(よいど)という中之島をグルッと一周走ることにした。

 窓の外を見ると天気は快晴。Tシャツに短パンをはいて、ランニングシュースの紐を結ぶ。外に出るとシャキッと冷え込んでいる。6:50にホテルをスタート。

地下鉄新吉駅のすぐそばからスタート

 地下鉄1号線の新吉(シンギル)駅から東に曲がってソウル橋を渡ると、金融街の島が見えてきた。また、この島には韓国国会議事堂があることでも知られている。

ライオンのシンボルのソウル橋を渡ると汝矣島

橋の向こうは金融街

 橋を渡りきった先の左手にはKBS韓国放送公社の建物。その先には国家議事堂の丸いドームも小さく見える。

KBS韓国放送公社

 汝矣島の外周になる汝矣西路(ヨイソロ)を時計回りに進む。KBSを過ぎるとガラス張りの宇宙船のようなKBSホールが見えてきた。

KBSホール

 さらに韓国国会議員会館を通過。なんとなくどこかの国の議員会館に似ている気がする。家賃はいくらぐらいなんだろうかと想像してしまう。

韓国国会議員会館

 国会議事堂へと続く韓国国会疎通館らしき建物の裏門は開いていたので入っていこうかと一瞬考えたが、警備の方達が立っている。やめておこう。

 国会議事堂の裏手を通過して、汝矣島の西端からカーブして北の汝矣西路を進む。漢江に近い道を走ると身体が冷えてきた。

韓国国会議事堂の裏手を通過

汝矣西路は桜並木

 汝矣島を半周回って、島の中央を南北に貫く汝矣大路(ヨイデロ)を横断。汝矣島公園の看板が見える。

汝矣大路

汝矣島公園

 汝矣大路を渡ると汝矣東路(ヨイドンロ)に変わる。今度は金融街の辺縁部分をのんびりと進む。

 汝矣島の東端には63ビルという名の高層ビル。時計の3時の部分に到着。

63ビル

オブジェもおしゃれ

63ビルの隣には高級そうなRichnesiaアパートメント

 さらに汝矣東路を進むとTrump Worldなるビル。さらにTrump World Ⅱ。これらもTrumpさんのものなのか?ちょっと違和感を感じる。

Trump World

ドームを頂いた韓国国会議事堂が正面に見える

 ソウル橋の手前にはセッカン生態公園の上に歩道橋が架かっている。灌木の林の上を通り過ぎると、その先はオリンピック道路の上。さらに新吉駅まで進んで汝矣島一周が完成。

汝矣島セッカン生態公園に架かる歩道橋

オリンピック道路

新吉駅に戻る

2024年3月9日 汝矣島一周 ソウル 晴れ 11/3℃ 行動距離7.6km 行動時間1:19 獲得高度97m 14636歩 行動中飲水量0ml

廃線跡巡り 国鉄佐賀線

 週末の自然歩道歩きは、現在の再開地点が京都丹後と山梨の2か所となり、土日の2日の休みだけでは実行が困難になってきた。今回からはすきま時間の有効活用として、日本各地の廃線跡巡りを新企画として採り入れたいと思う。

 本日は博多駅から7:51発の鹿児島本線快速に乗り、鳥栖で各駅停車に乗り換えて8:58に瀬高に到着。この駅は国鉄佐賀線の起点となっていた駅。1987年に廃止となった佐賀線は、佐賀駅瀬高駅までの24.1kmを結んでいた鉄道。筑後川に架かる橋梁は、船舶の通行のために中央の橋桁を上げる昇開橋として有名で、画像では何度も見ていたが、これまで訪問の機会がなかった。今日は筑後川昇開橋と佐賀線の駅の跡を探すことを目標としてこのコースを選択した。

博多から出発

鹿児島本線の快速に乗車

鳥栖で各駅停車に乗り継いで瀬高に到着

瀬高駅

 この瀬高駅は、1931年の佐賀線の開業当初は矢部川駅として、筑後柳河駅間の8.6kmの起点となっていた。現在は瀬高駅と名を変えているが、佐賀方面の西から駅に進入してきたであろう佐賀線の線路の痕跡は、1987年以降に舗装された直線あるいは緩いカーブを持つ道路として存在しているのではないかと駅前広場から見渡してみた。人が歩いていれば尋ねてみようかとも思ったのだが、あたりに人影はない。確信は持てなかったが、駅前から北北西に真っ直ぐ延びる舗装路に向かって9:05に1歩目を踏み出した。

瀬高駅から北西に延びる道路が真っ直ぐだったから。

 方鉾橋を過ぎ、作出交差点から左折して、今町に向かって直線路を進む。新しい舗装路で、なんとなく線路があったような気がする。根拠はない。

信号を左折してさらに直線路を進む。舗装が比較的新しく、真っ直ぐだったから。

 住宅の間を通り抜けて廣田八幡神社にお参り。その先の矢部川の堤に上がる。

廣田八幡神社

矢部川の堤防に上る

 9:35に大和堰に到着。佐賀線はこの辺りで矢部川を越えていたはずだが、橋梁の痕跡は見当たらない。

大和堰。徒歩で渡ることができる。

 大和堰を渡り、対岸の堤を歩くと線路の築堤の痕跡が見つかった。ここで矢部川を越えて、なだらかな斜面で平地に降りていたようだ。

矢部川の西岸に進むと線路のための築堤らしき構造が見えてきた

このあたりが線路の路盤かな?

 ここからは県道96号線八女瀬高線を真っ直ぐに進む。両側には牧草地が広がる。佐賀平野は水田が一面に広がるイメージだったが、稲作の間に牧草を生産しているのか、あるいは減反の結果なのかと気になる。

県道96号線を進む。佐賀の道路は真っ直ぐ。

道路の両側は牧草地。稲作100%の佐賀平野のイメージ(思い込み)とは異なる。

 クリークに架かる金屋久(かなやきゅう)橋を渡った先の県道上に、瀬高駅から1つ目の三橋駅があったことを示す石碑を見つけた。瀬高駅を出発してからちょうど1時間。県道の交通量は少なく、歩道も広いので、快適に歩くことができる。

ところどころにクリークがあり、橋が架けられているのも佐賀平野の特徴。

三橋駅跡

真っ直ぐな道が続く

 さらに県道96号線を西に進む。再びクリークに架かる松田橋を渡る。道路脇は牧草地。右手奥には沖端川の堤防が見えてきた。10:20に二つ河小学校南交差点を通過した先に百町駅跡。三橋駅と同じ御影石でできた石碑。上品な書体で駅名が刻まれている。

牧草地の奥には堤防が見える

百町駅跡

まだまだ真っ直ぐ

 それにしても、平坦で真っ直ぐな道が続くものだ。いつもは藪漕ぎの自然歩道に文句を言っているのに、こんな快適な歩道を歩かせてもらって贅沢すぎるぐらいだが、どこまで歩いても景色が変わらない。時折現れるクリークぐらいがわずかなアクセントとなる。

景色が変わらないこと

 出畑橋で川幅の狭い二つ川を越えたあとは、新御鷹見橋で川幅の広い沖端川を渡る。この辺りは汽水域なのか、川は深そうな泥濘で埋まっている。

新御鷹見橋で沖端川を越える

汽水域のような泥の目立つ川

 10:52に有明海沿岸道路の高架下をくぐり、さらに真っ直ぐ進む。11:00に西鉄大牟田線の矢加部駅の高架下をくぐる。西鉄の高架の桁下が低いため大型車が衝突する事案が多いのか、橋脚や桁下にはくどいほど注意の記載が書かれている。

有明海沿岸道路

西鉄大牟田矢加部駅の高架。この注意書きの表示と一部だけ新しい桁を見ると、やっちまったコンテナ車が多いような気がする。

 11:12にはYOU遊の森公園に到着。公園内には筑後柳河駅の駅名標がある。ベンチに腰を下ろし、レモンティーとパンの休憩とした。

YOU遊の森公園

筑後柳河駅跡

ベンチで小休止

 11:30に行動を再開。しばらく住宅の間を歩いていたが、クリークまで歩いたところで茂みの中に路盤が残っているのを発見。クリークの手前には橋梁跡も見られる。

沖は田川の水門か?

路盤発見

ここにクリークを越える橋梁が架かっていたよう

コンクリート構造も残っている

 クリークに架かっていたであろう橋梁はすでにないが、クリークの先にも路盤が続いているのが見える。新小坪橋を渡って、クリークの先の線路跡を歩き始める。バラスが下に敷かれた路盤の道は、なんとなくクッションがよい。たぶん気のせいだが。

線路の路盤の上はなんとなくクッションがよく感じる

 しばらくは、いかにも線路跡だと感じる直線的で平らな道を歩く。こんな時間が廃線跡巡りの醍醐味なんだろうなと心に浮かんできた。ゴルフ練習場の先のクリークでは、線路が越えたであろうセメント構造やキロポストのような木造構造物が道ばたに残っている。こんな宝探しの気分を味わう。

楽しい廃線歩き

ゴルフ練習場を通過

クリークを越えるコンクリート構造とキロポストのような木製の標

ここも線路のような

 右に有明海沿岸道路が近接してきた。自動車道路には入れないため、グルッと回り込んだ大川東IC交差点の角に立つ企業の前に東大川駅跡の標識を見つけた。

右に有明海沿岸道路

左は牧草地

クリークを迂回

交差点に東大川駅

 この先は国道209号線に平行した路盤構造のような道を草を払いながら歩くが、圃場の中に消えてしまった。やむなく有明沿岸道に並行した道を歩く。

こっちかな?

これかな?

圃場に変わってしまった

有明海沿岸道路の高架脇を歩く

 ときおり高架の真下に、クリークを越える鉄路の跡が残されている。

高架直下に線路の跡が残っている

 12:40に幡保南交差点のセブンイレブンに立ち寄る。この先の高架下にも橋梁の跡。有明海自動車道路は左に緩いカーブを描いて曲がっていくが、歩道にはそのまま真っ直ぐ進む道が連続している。散歩中の女性に尋ねると、まさにここを佐賀線が走っていたという。50cmほど盛り上げた路盤が残り、道路周辺に散らばったバラスが鉄路を思い起こしてくれる。

もう一つ発見

有明海沿岸道路は左に緩いカーブを描く

真っ直ぐ延びる道の両脇にはバラスがあるよ

こっちに進んでいたな

 13:07にハローワーク北駐車場内に筑後大川駅跡を見つけた。ザックを下ろしてアップルティーで小休止。

ハローワーク

駐車場内に筑後大川駅

 13:20に行動を再開。小保交差点を過ぎ、13:25に新花宗橋で花宗川を越える。佐賀線は花宗川を花宗川橋梁という跳ね橋で渡っていたようだが、遺構は見つからない。

新花宗橋

花宗川を越える

 この先はDesign Promenadeという現代アートを並べた小道を歩き、13:35に筑後若津駅に到着。隣にある大川昇開橋温泉は休業中のよう。もう筑後川昇開橋は目の前だが、じっと我慢して下流部にあるもう一つの気になる構造物の花宗水門を見学に行く。この位置からは本日のメインイベントの筑後川昇開橋の全体を俯瞰することができる。

Design Promenade

筑後若津駅跡

大川昇開橋温泉

花宗水門

花宗水門からは筑後川昇開橋が俯瞰できる

 14:10に筑後川昇開橋に戻り、佐賀に向かって筑後川の上を歩き始める。昇降部の手前には小さな小屋が建っていて、中から男性が出てきてパンフレットを渡してくれる。今でも昇降はできるという。「今日はウォーキングの人が多いからできないけどね」と。残念。

筑後川昇開橋

ここを列車で通りたかった!

 昇降部分を過ぎた先には福岡県と佐賀県の県境。ここが筑後川の真ん中になるのか?渡り終えたところには諸富駅の駅名標が建てられていた。いやー素晴らしい橋だった。返す返すも、国鉄佐賀線時代にここを列車に乗って渡らなかったことが後悔される。

 筑後川昇開橋を渡り終えた後は、国道444号線を横切って真っ直ぐ伸びる徐福サイクルロードを進む。14:36に諸富文化体育館を通過して、国道208号線に架かる立体交差を越える。線路だったサイクリングロードの両側には桜の木が植えてある。あと1月もしないうちに素晴らしい光景が広がるだろう。

諸富文化体育館

諸富文化体育館

両側には桜並木

その先には牧草地が拡がる

 15:12に光法駅跡に到着。これで「みつのり」。人の名前のよう。ホームの一部も残されている。クリークの周りには牧草地が多い。

 県道266号線を横断して、15:33に南佐賀駅跡に到着した。ここは駅名標の建ったホームと、駅舎を再現したようなトイレ、線路の一部も残されている。時刻表を見ると、当時も1時間に1便ほどもないダイヤグラム。通勤通学には制約がありそうだ。

 南佐賀駅跡のある南佐賀公園で徐福サイクルロードは終わり。ここからは舗装路の大財藤木線を歩く。道路沿いに丸ぼうろで有名な北島の店舗を見つけた。ここでお土産を購入。佐賀線偲橋を渡る。欄干には鉄道。

大財藤木線

北島で名物の丸ぼうろをお土産に購入

佐賀線偲橋

 16:00には曙橋からコースを外れて左折して佐賀江川に沿って佐賀城内に進む。せっかくだから、佐賀城のお堀端を歩いて、本丸歴史館に立ち寄るためだ。

線路を外れて佐賀城内に向かう

佐賀城のお堀端を進む

佐賀城西南隅櫓台

佐賀城本丸歴史館

歴史館入り口に展示してあるアームストロング砲

 佐賀城本丸歴史館を30分ほど見学し、16:45から行動を再開。17:00には曙橋に戻って、佐賀線の痕跡を探す。

ひな祭りの最終日

今泉今右衛門の作品も展示されている

佐賀城趾城門

名君と慕われる鍋島直正公像

佐賀江は水運にも使われていたようだ

 17:07に田代二丁目交差点を通過。このあたりに東佐賀駅があったらしいが、遺構らしきものは何もない。

田代二丁目交差点あたりに東佐賀駅があったようだが遺構はない

 この先は現存する長崎本線に向かって北上する。長崎本線との交差部には佐賀線の線路があったような橋脚の断端が見えた。おそらくここから佐賀駅構内の高架につながっていたのだろう。

長崎本線の高架

高架につながっていただろう線路の断端が残されている

 17:33には佐賀駅に着いて行動終了。17:42の長崎本線各駅停車に乗車して、福岡への帰途についた。予想したとおり、廃線歩きは楽しい小旅行だった。

2024年3月3日 廃線跡巡り 国鉄佐賀線 福岡県みやま市瀬高駅佐賀県佐賀市佐賀駅 晴れ 12/-2℃ 行動距離30.5km 行動時間8:27 獲得高度18m 43641歩 行動中飲水量400ml

往路交通: 西新7:30-博多7:43/7:51鹿児島本線快速-鳥栖8:26/8:31鹿児島本線各駅停車-瀬高8:58

復路交通: 佐賀17:42長崎本線各駅停車-鳥栖18:12/18:13鹿児島本線快速-博多18:43