とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

九州自然歩道132日目(通算283日) 長崎県平戸市木場〜生月島館浦 潜伏キリシタンの郷にお邪魔しました

 今回は九州自然歩道未踏部分のさらに末端になる平戸島から生月島にかけてのコースを週末に歩く。平戸島世界遺産にも登録されており、観光の名所なのだが、福岡からの公共交通機関を利用した便は悪い。金曜夜から松浦半島の付け根にあたる伊万里に前泊して、始発の松浦鉄道を利用して平戸に向かうことにした。

福岡から、市営地下鉄、JR筑肥線、JR唐津線、JR筑肥線と乗り継いで伊万里に向かう

JR伊万里駅

 伊万里のホテルで紹介された洋食屋さんのハンバーグが美味しかった。

 土曜日は4:40に起床して、5:20にホテルを出る。松浦鉄道伊万里駅はすぐのところ。5:39発の佐世保行の始発列車に乗る。

松浦鉄道伊万里駅

始発列車に乗車

 定刻どおりの6:45に、松浦鉄道たびら平戸口に到着。

 駅前から始発となる7:00発の西肥バスに乗車。平戸の中心地区では高校生を乗せて、九州自然歩道再開地点の木場バス停には7:45に到着。国道383号線を西に向かって歩き始める。

国道383号線を歩き始める

 10分ほどで国道から林道深川木場線に右折して、右手に棚田を眺めながら勾配のある坂を上り始める。峠を過ぎると正面にきれいな三角錐の山頂が見えてきた。ここが鯛ノ鼻。次の目標地点だ。

林道深川木場線に右折

国道沿いにはちょっと風変わりな無人販売

棚田の石垣を眺めながら進む

峠を越える

鯛ノ鼻が見えてきた

 深川の集落を進む。8:35に深川の三叉路を通過。ここはいま田植えの最中のよう。水を張った田んぼには、植えたばかりの苗が並んでいる。

深川の三叉路

田植えの盛期

 9:02に大越峠を通過。ここが林道深川木場線の終点となる。県道19号線を越えて、鯛ノ鼻に向かって進む。

大越峠

大越から鯛ノ鼻に進む

 正面に鯛ノ鼻を眺めながら快適な林道を進み、9:46に鯛ノ鼻と安満岳(やすまんだけ)との分岐を通過。雨がポツリポツリと落ちてきた。

正面に鯛ノ鼻を眺めながら

鯛ノ鼻と安満岳の分岐

 鯛ノ鼻に立ち寄るのを止めようかと迷ったが、雨は強くはならないと判断して先に進む。10:00に鯛ノ鼻園地との分岐を通過して山道に取り付く。

鯛ノ鼻と鯛ノ鼻園地との分岐

最初は良い道

ジャコウアゲハオオハンゴンソウ(キク科)を楽しむ余裕もあった

 最初はコースがハッキリしていたが、その先は藪状態。テープがときおり見えるのが幸いだった。10:23に鯛ノ鼻山頂(447m)に到着して、岩の上に乗って北向きの眺望を楽しんだ。

このさきはちょっと苦労しました

 20分ほどかけて分岐点まで戻り、10:50に鯛ノ鼻園地に到着。こちらの方が眺望は良かった。

鯛ノ鼻園地

眺望良好

 さらに11:10に安満岳との分岐に戻り、頭上からの雨音を聞きながら山道を進む。安満岳は世界遺産の重要な構成要素のようで、山道がよく整備されている。宗教的な雰囲気の漂う石柱を通過した先はコンクリートの階段が敷設してある。

再び安満岳との分岐に

安満岳の石柱

さすが世界遺産と思わせる整備の良さ

 11:27に神社の本殿かと思うばかりの安満岳休憩所に到着し、後ろに控えた白山比賣(しらやまひめ)神社にお参りした。この山は潜伏キリシタンの宗教とそれ以前からの山岳宗教が癒合した場所のよう。山頂の石造物の雰囲気が異なる。

安満岳休憩所は木の香りが新しい

白山比賣神社

神社後ろの石造物

 11:34には神社の裏手の安満岳山頂(536m)に到着。山の北面は絶壁。眼下には春日集落の棚田。その向こうには生月大橋でつながった生月島が見える。

山頂からは絶景

イカヅラ(スイカヅラ科)

 パンを食べながら山頂で休憩。一息ついてから、雨が強くなる前に白山比賣神社の裸足参りと呼ばれる石積の参道を鳥居まで下る。

裸足参り。250mの石積み参道。

 12:20に鳥居に到着したが、この先は大きな石が転がる歩きにくい道。表面が平らな石が多いことから、かつては石段があったのではないかと思うが、油断すると足をくじいてしまいそう。浮き石に気をつけながら下って、12:30に白山比賣神社参道入口に到着した。

白山比賣神社参道入口

 ここから先は九州自然歩道を外れて潜伏キリシタンの集落として知られる山野集落に向かうことにした。道辺の花を眺めながら快適な舗装路をのんびりと進む。

山野集落まではきれいな舗装路

イカカヅラ(キョウチクトウ科

キキョウソウ(キキョウ科)

 集落の入口近くで田植えをしている男性から「調査か?」と呼び止められた。思い過ごしだと思うが、外部の人間に向ける視線が厳しいような気がする。

 13:00に山野天主堂に到着。石に刻まれた潜伏キリシタンの受難の歴史を読んでみると、あの視線は仕方がないものかとも思われる。

山野天主堂

 山野集落から先の地図は山道を示す破線。しばらくはコンクリート舗装路だったが、13:20に右折して山道に入ってからは受難の道だった。いまでは山野集落には東からの舗装路がつながっているが、地形を考えるとかつては西からのこの山道がメインだったはず。

山野から春日に続く道

キケマン(ケシ科)

山野から春日への交通は大変だったはず

 13:56に舗装路に合流して一息ついた。眼下には春日の棚田が拡がる。しかしこの春日集落も受難の集落。棚田の真ん中には丸尾山が残っているが、ここが破壊されたキリシタン墓地の痕跡。当時の苛烈な歴史がいまも残されている。

春日の棚田。中央には丸尾山。

丸尾山

 14:10に丸尾山の山頂のお堂にお参り。棚田を眺めながら14:17に県道19号線に復帰した。

丸尾山で手を合わせる

 14:34に春日トンネル(339m)に入る。このトンネルは2019年に完成したばかりなので、それまではトンネルの上の峠を通っていたはず。春日、山野ともに、周囲からは隔絶されていた土地だ。

春日トンネル(339m)

 トンネルを抜けた先に見える島が中江ノ島。ここは潜伏キリシタンが処刑された島で、聖地とされているところ。無人島で、現在は上陸が禁止されている。祭礼の際に聖水の採取が行われ、お水取りとされているようだ。

江ノ島

 14:38に県道42号線に合流し、左折して生月大橋を渡る。1991年に開通した全長960mのトラス橋(三角形の組み合わせ構造をした橋)。中央の支間長は400mあり、スッキリと、美しい。薄い青色の塗装も風景となじんでいる。

生月大橋

 生月大橋を渡り終える直前から雨が大粒に変わった。本土最西端のコンビニのイートインで休憩をしようかと訪れたが、イートインは閉鎖中。やむなく先に進む。

雨が強くなったり小雨になったり

 漁村によく見られる狭い路地を曲がりながら丘の上の山田教会に15:30に到着。

狭い路地をクネクネと上る

山田教会

 ここからは風力発電のブレードの回る山間を歩き、16:05に桜大橋で九州自然歩道を離脱した。

ヨメナ(キク科)

ここで九州自然歩道から離脱

 本日の宿泊は生月島の中心の館浦。4kmほど海岸沿いの道を戻り、16:48に予約した宿にたどり着いて行動終了。気持ちの良い女性が迎えてくれた。

安満岳と鯛ノ鼻を眺めながら進む

左右には牧草地が拡がる

オオキンケイギク(キク科)

舘浦に着く直前に本格的に降り出した

2024年6月8日 九州自然歩道132日目(通算283日) 長崎県平戸市木場〜生月島館浦 行動距離32.4km 行動時間8:58 獲得高度1343m 50544歩 行動中飲水量600ml 

往路交通: 西新17:15福岡市営地下鉄-唐津18:34/18:48筑肥線-伊万里19:36 伊万里前泊、伊万里5:39松浦鉄道-6:45たびら平戸口/7:00西肥バス-木場7:45