とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

廃線跡巡り2 国鉄勝田線

 本日は1日だけのお休み。すきま時間を有効に使うべく、1919年から1985年まで福岡市博多区吉塚駅糟屋郡宇美町筑前勝田駅とを結んでいた国鉄の勝田(かつた)線の廃線跡を辿ってみることにした。

福岡市内から乗り継ぎなしのバスで行ける

 大濠公園バス停から西鉄バス34番の原田橋行に乗車。終点の原田橋には9:57に到着。このバスはかつての勝田線に近い路線を走るバスで、勝田線の終点の勝田駅跡近くまで運んでくれる。

原田橋がかつての勝田線の終点の最寄り

 バス停から一段下りたところが原田緑道公園。ここが勝田線の終点の筑前勝田駅跡。公園には枕木を利用したと思われる階段が設置してある。緑道はちょうど線路の路盤ほどの幅。勾配もカーブも緩やかで、まさに鉄道の廃線跡を利用した緑道。

舗装路から一段下りたところから線路跡と思われる場所が始まる

筑前勝田駅

ちょうど鉄路の路盤の幅

 原田緑道公園をしばらく歩くと、四王寺坂緑道公園と名を変える。道沿いのユキヤナギが咲き誇っている。レッドロビンの色づきもいい。ご近所の方々が心を込めて手入れしているようだ。

 次は貴船緑道公園と名前が変わる。いの川に架かる午橋を越えると、両脇の家が近づいてくる。宇美町の中心が近づいてきたようだ。

ここを鉄道が走っていたのか

列車が走っていた場面を思い浮かべると思わず頬が緩んでしまう

 10:42に宇美町立武道館を通過。すぐ隣にはマルト醤油という歴史のありそうな店舗が並ぶ。

宇美町立武道館

マルト醤油

 この先は香椎線の宇美駅が右手に見える。香椎線は現役のJRの路線。不思議なことに勝田線の宇美駅は少し先の住宅街の中にある。宇美駅跡と思われるあたりには遺構はない。

香椎線宇美駅

宇美駅ロータリー

勝田線は宇美駅ロータリーから住宅の間を縫って進んでいたよう

勝田線宇美駅跡は住宅地の中

 宇美川を宮井手歩道橋で渡る。渡った先はこんもりとした丘になっている。傾斜がきつくて、このまま直線で進んでいたと考えるには不自然だ。ちょうど通りかかった男性に尋ねてみた。地元の方で、勝田線に乗ったことがあり、廃線後もその後を歩いたことがあるという。

宮井手歩道橋

鉄道遺構らしい

歩道橋から先の丘はちょっと勾配がきつすぎる

 男性が言うには、宮井手歩道橋は勝田線が通っていたコースをそのまま人道橋に架け替えたもので間違いはないとのこと。またこの丘は、廃線後に新しく作られた舗装路のために盛り土がされたよう。間違いなくこちらを線路が通っていたと教えてくれた。ありがたい。

 現在は舗装路となった立派な道を進んで、11:08にセブンイレブンに到着。隣の空き地が下宇美駅跡。バス停名は下宇美で、駅の跡地は遊休地になっている。

下宇美駅跡

 さらに廃線跡を進む。右手に大きな前方後円墳が見えてきた。これが光正寺古墳。全長54mの大きな古墳で、魏志倭人伝に出てくる不弥国の盟主の墓ではないかとする説がある。ロマンがある。

光正寺古墳が見えてきた

光正寺古墳

 この先の跨線橋の下には列車のススで汚れた跡がある。さらに先には、志免町の松ケ丘団地に建つ給水塔。バグダッドカフェのよう。

跨線橋の下にはスス

松ケ丘団地給水塔

 右手にコンクリートの大きな建造物が見えてきた。ちょっと立ち寄ってみる。ここは旧志免鉱業所竪坑櫓。高さ47mのコンクリートの建造物で、地下430mまである坑道まで人員を昇降したり、石炭の搬出に使われていたという。志免町のシンボルである。

旧志免鉱業所竪坑櫓

第八坑本卸坑口

 廃線跡に戻って少し進むと、12:17に志免駅跡に到着。ここは志免鉄道記念公園として当時の面影が残されている。

志免駅跡

 この先には大きなイオンモールができており、鉄道の痕跡は消されているよう。しばらく進むと黄色くペイントされた舗装路が出てきた。ここが勝田線の跡のようだ。13:00に上亀山駅跡あたりを通過。亀山バス停が道路脇にある。

亀山駅

並行するバス路線に駅名を残す

 この先は志免緑道と名を変える。13:15に御手洗駅跡と思われる広場を通過。遺構はない。

このあたりが御手洗駅跡

 釜屋交差点から県道607号線を渡って真っ直ぐ北に進む。さらに柚須西交差点を越えて進むが、このあたりには線路があったことを窺わせるような意向は残っていない。

釜屋交差点

多分このあたりに線路があったのだろう

 13:28に篠栗線柚須駅を通過。かつて勝田線は篠栗線とこのあたりから並行して線路が敷設されていたよう。柚須駅は勝田線が廃線になってから、篠栗線の駅として新たに設置された駅。柚須駅から山陽新幹線の高架までは線路が残っている。

篠栗線柚須駅

篠栗線が通過

柚須駅から先には線路が残る

山陽新幹線高架

 14:12に宇美川にかかる社領橋梁を眺めながら新六甲橋を渡り、14:30に吉塚駅に到着して行動終了。

社領橋梁

2024年3月20日 廃線跡巡り 国鉄勝田線 晴れ 11/7℃ 行動距離17.1km 行動時間4:28 獲得高度60m 26276歩