とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年1月26日 九州自然歩道 16日目 厳木~桃川 

 昨夜は結局、テント泊だった。厳木(きゅうらぎ)の市街地にあった温泉で夕食をとり、温泉で身体を温めた後、意を決して、冷たい雨の降りしきる町に出た。しばらく町の中を彷徨して、人気がなく、かろうじて雨が直接当たらない場所を探してテントを張って就寝した。野営中の雨は心を萎えさせる。一晩中、フライシートを打つ雨の音が聞こえ、明日のコースは短縮しようかとか、いっそのこと2日目はキャンセルして、ゆっくり温泉に浸かってから、まだ乗車したことのない唐津線に一度乗ってみようかなどと弱気なことを考えながら朝を迎えた。

 6:30にテントの外に出てみると、雨は止んでおり、次の目標地の女山が頂上まで見える。俄然やる気がわいてきて、手早く撤収を済ませ、7:11に行動を開始した。

 まずは舗装路を歩き、九州自然歩道の笹原峠まで復帰したのが7:30。ここからは山道が始まる。道には大きな石がゴロゴロしており、倒木も多く、あまり人が通った痕跡がない。

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笹原峠で九州自然歩道に復帰

 8:00に女山登山口に到着し、30分ほど進むと、大きな池が見え、8:45に池のほとりのキャンプ場に到着。ここは多久市船山キャンプ場。この時期は閉鎖しているようだが、整備状況がよく、何より景色がいい。雲海の向こうの天山を正面に眺められるキャンプ場のベンチに座り、地元のベーカリーのパンの朝食を気持ちよく済ませた。それにしてもこのキャンプ場の景色は素晴らしい。いつかここにテントを張って一日過ごしてみたい。

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船山キャンプ場の近くの池

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船山キャンプ場 正面が昨日登っていた天山

 キャンプ場の裏手から登山道が続くが、ここはかなり急な登り。女山の頂上に向かってグイグイと高度を上げ、9:49に頂上(標高695m)に到着。ここも眺望がすばらしい。北に天山、南には有明海雲仙普賢岳まで見渡すことができる。頂上はかなり狭く、油断すると落ちてしまいそう。麓にはきれいな棚田が広がっている。

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女山の頂上

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 女山を下ると、峠には大きな池があり、ほとりにはキャンプ場がある。ここは八幡岳キャンプ場。船山キャンプ場よりもやや規模が大きいが、ここも閉鎖中。キャンプ場から八幡岳の登山口が始まる。八幡岳の頂上まではほぼ直登のコース。2回ほど車道と交差し、11:26に多数のアンテナが並ぶ八幡岳の頂上(標高764m)に到着。ここも眺望がすばらしい。しばらく景色を楽しんだ後、昼食とすることとした。

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峠の湖

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八幡岳キャンプ場

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八幡岳山頂

 

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 バーナーでお湯を沸かし、昨日の残りの棒ラーメンを食べようと探すが見つからない。やむなくパスタを茹でて、パスタソースと絡めて食べたが、これは正解だった。棒ラーメン以上の味だった。次回もパスタを1食分用意することにしよう。パスタを平らげた後は、ドリップコーヒー。山の上の食後のコーヒーは至福の一服。天気が良く、眺望が良い時は、コーヒーのおいしさが2倍に感じられる。

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山上のパスタ

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そして、コーヒー

 ランチに30分をかけて楽しんだのち、12:06に行動開始。八幡岳からの下山路は石畳の道だが、下り始めた直後に石畳の周囲に青々とした葉が目立つようになってきた。気を付けて見てみると、これはオオキツネノカミソリの葉だ。夏に花を咲かせたオオキツネノカミソリは、冬から春にかけて葉をつけて球根に栄養を蓄え、その葉が枯れた夏に突然花を着ける(オオキツネノカミソリの巻参照)。八幡岳も福岡の井原山と並び、オオキツネノカミソリの群生地として知られているが、ここは井原山以上の群生が見られそうだ。

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オオキツネノカミソリの葉

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7月下旬にはここが群生地になりそう

 八幡岳の下山路は、かなり厳しいルート。谷沿いを進むが、大雨の影響からか、ところどころルートが消失したり、土石流に埋まっていたりする。

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ときどき土石流でコースが消失

 八幡岳から2.7kmの下りを1時間半以上かけて下り、13:43に川内峠に到着。ここでは車道と交差するはずであるが、途中でルートが消失しており、誤った方向に進んだようで、最後はしばらく藪漕ぎしてようやく車道の峠にたどり着いた。

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多少の藪漕ぎも

 川内峠から眉山まで3.0km。地図を見ると、稜線に沿ってゆっくり上る道のよう。地図のとおり、整備された山道が、稜線に沿って続く。頂上に向かう最後の500mほどはコースがはっきりしない。14:57にようやくのことで518mの眉山(びざん)の頂上にたどり着いたが、ここは眺望がまったくなく、スキップしてもよいピークであった。

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眉山の頂上はがっかり

 眉山からの下りのルートも状況は悪い。ところどころルートが消えており、藪漕ぎになってしまう。藪の中からイノシシが逃げていく音がする。

 ようやくのことで開けたところに出たが、ここが眉山キャンプ場。広いキャンプ場だが、ここも閉鎖中。ところどころ消えるルートをたどり、しばらく進むと、整備された林道にたどり着く。この林道は幅が広い簡易舗装路で、快適に下る。しばらく進み、車道と九州自然歩道に分かれたため、九州自然歩道の標識の方向に進むが、すぐにルートが消えて、完全な薮になった。しばらく藪漕ぎをしてルートを探し、ようやく目標の池のほとりにたどり着いた。

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眉山キャンプ場

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快適な林道

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桃川への最後のアプローチは、寅さんのオープニングにでも使えそうな風景だった

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桃川の神社

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筑肥線は本数が少ない

 その後は順調に目標の神社にたどり着き、最終目標の桃川(もものかわ)駅には16:51に到着。予定時間より1時間早く到着したため、駅前の唯一の食堂に入り夕食を済ませてから、2時間に1本しかない筑肥線に乗って福岡への帰途についた。

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2020年1月26日 九州自然歩道#8 2日目 厳木~桃川 曇り 気温12/8 距離22.2 行動時間10:36 平均速度2.37 41931歩