とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年5月31日 脊振山系縦走 4日目 糸島市羽金山~糸島市福吉

 昨夜は夜半からポツポツと雨が降り出し、明け方近くにはかなりの雨が降っていた。周囲が明るくなる5:30頃には小降りになっていたため、水場まで顔を洗いに行き、シリアルとコーヒーの朝食とした。

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山での定番の朝食になりつつあるシリアル

 朝食中にまた雨脚が強くなってきた。行動開始しようか迷うところ。ノロノロとパッキングを開始したところで、雨が弱くなってきた気配がしてきたため、ザックに荷物を詰め込んで、テントを撤収して7:11に行動を開始した。

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 野営地の標高は644m。羽金山の標高は900m。コースマップを見ると完全に直登。東京タワーの展望台まで階段を使って歩くようなものなんだろうなと思いながら、レインウェアを着て、足にはゲーターをつけて、ぬかるむ山道に足を取られながら、7:44に羽金山山頂付近のフェンスに到着した。

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 羽金山の頂上付近はフェンスで囲まれており、進入が制限されている。これは、山頂に総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構が運営するはがね山標準電波送信所が設置されているためである。

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 ご存じの方が多いとは思うが、日本の標準時と標準周波数(標準電波あるいは標準周波数報時電波とも)ははがね山標準電波送信所と、福島県おおたかどや山標準電波送信所大鷹鳥谷山山頂付近にある)から送信されている。羽金山のアンテナは地上高200mで、大鷹鳥谷山のアンテナは250mのため、羽金山が負けているような気がするが、羽金山の標高は900mで大鷹鳥谷山は794mであるため、羽金山の方がアンテナの頂上高では少し勝っている。大鷹鳥谷山からは40kHzの長波が50kWの出力で送信されている。波長は7495mほどとなる。羽金山は60kHzで同じく50kW。波長は約4997m。この2つの標準電波送信所で日本全土をカバーしている。せっかくならば、大鷹鳥谷山の周波数を50kHzにしてくれたら、東西日本の交流の周波数と数値が似ていて憶えやすいのになと思った次第。

 フェンスに沿ってぐるりと400mほど西に進むと、はがね山標準電波送信所への舗装されたサービス道路と正門が現れる。正門には、送信所内への立ち入りは9:30~16:30と記載されている。現在の時間は7:58。残念ながら、今回は山頂への到達は諦めて、先に進むこととした。

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 しばらく雨に濡れた草地の中の山道を進む。藪を通過するたびに水しぶきが飛んでくる。しかし、雨自体はだんだん小降りになってきた。稜線から見える緑の山々が美しい。

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 30分ほど歩いて8:24に河童山(874m)の頂上に到達した。ここからはなだらかな稜線の先に、今日の最終目的地の近くにある女岳、浮嶽を眺めることができる。

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中央付近の高い山が浮嶽で、その右が女岳

 ここから先の山道は、広葉樹の勝った稜線の道と、斜面に植えられた杉の植林の中の道を交互に繰り返しながら進む。途中に福岡想山会の設置した背振山系全山縦走コースの標識が現れる。

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コースのところどころに生える山椒

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葉をつまむと木の芽の香りがする

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 10:23に荒川峠に到着。ここは舗装された林道と縦走路との交差点で女岳(めだけ)への登山口となる。ときおり軽トラックが通行する。ここで荷物を下ろし、行動食をとりながら休憩。雨はようやく止んだ。

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 コースマップを見ると、荒川峠から女岳の頂上までは所要時間が1時間45分ほどで、小さなピークの稜線を伝い、最後に150mほどの直登がある。頂上が晴れていたら、湿ってきた靴下を乾かしたいなと思いながら登りはじめる。山道には、時期はちょっと過ぎているが、タラの芽やワラビ、ゼンマイなどの山菜が生えている。

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タラの芽

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ワラビ

 最後の直登部分をクリアした先には、青空の見える女岳(748m)の頂上があった。頂上には11:52に到着した。木々に覆われて北方向しか眺望はないが、糸島半島が美しく見える。ここでは靴下を乾かしながら、昨日のブログの更新を行う。昨夜の野営地はアンテナ0。原稿を作るところまではしていたが、送信する機会がなかった。

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女岳の頂上の木々の切れ間から見える糸島半島

 女岳の頂上には40分ほど滞在し、少し乾いた靴下を再び着けて、荒谷峠に向けて下山を開始。20分ほどで舗装路と交差する荒谷峠(540m)に到着した。ここからは浮嶽が正面に見える。

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荒谷峠

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荒谷峠から臨む浮嶽

 荒谷峠から浮嶽へのコースは2通りある。一つは忠実に稜線を伝っていく山道で、もう一つは途中まで舗装路を使い、東の登山口から登山道に入る方法。以前、稜線の山道を進んだことがあったが、踏み跡がほとんどない藪漕ぎの連続で痛い目に遭った記憶がある。稜線の山道の入口をみてみると、入口が判別できないほど荒れている。安易なコースとなるが、今回は舗装路を使って登山口まで進むこととした。

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 浮嶽に向かう舗装路は眺めが良い。浮嶽を眺めながら快適に歩き、30分ほどで広い草地の駐車場のある東登山口にたどり着いた。

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東登山口の駐車場

 ここからはステップのある直登コース。100m以上の標高差の等高線が密に並んでいる。途中に白龍稲荷と、大岩展望台という浮嶽のシンボルのような眺望の良い岩がある。大岩展望台では、ようやく晴れた日差しの中の糸島の町々を眺めることができた。しかし、この大岩は亀裂が入っているため、いつ崩落するかヒヤヒヤしながら立つことになる。

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登山道はほぼ直登ルート

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白龍稲荷

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大岩展望台からの眺め

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岩の先端はいつ崩落するかドキドキ

 浮嶽(805m)の頂上には14:00に到着。感心するのは、この山頂の祠の周囲がいつ行ってもきれいに清掃されていること。ここは麓にある浮嶽神社の上宮になるが、どの登山道を使ってもそれほど楽な道のりではない。氏子の皆さんか宮司さんが尽力されているのだろうか。大変なご苦労だと思う。

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いつも掃き清められている上宮

 浮嶽からタラタラとした下り道を白木峠へと向かう。難所はないが眺望もない。距離は長い。15:34にようやく白木峠に到着した。ここは糸島と佐賀を結ぶ交通量の多い県道との交差部分。小休止の後、最後の1座となる十坊山に向かう。

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十坊山登山口

 十坊山までは30分ほどであるが、わりと傾斜のきつい直登路。登山口にあった金剛杖を借りて滑りやすい道を上り、16:10に十坊山(535m)の頂上に到着。これで、2回に分けてではあるが、背振山を起点として背振山山系の西端となる十坊山までのほぼ全山を縦走したことになる。最後には晴れてくれて良かった。

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ようやく見えた十坊山山頂

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最後の1座

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この巨石が十坊山のシンボル

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晴れた日は唐津が見える

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糸島半島も一望できる

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浮嶽も女岳も

 十坊山からは福吉の集落まで下りのみとなる。40分ほどで山道は終わり、糸島の名産の甘夏の植えられた畑の中を通って集落に着く。

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糸島には夏みかんの畑が多い

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浮嶽は地域の守り神のよう

 縦走路の終着点はまむしの湯。17:20に到着し、虫に刺されたのか赤い斑点がいくつもできた手足をお湯の中でゆっくり伸ばし、縦走を終えることとした。

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お風呂のあとはまむしサイダー

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2020年5月31日 脊振山系縦走 4日目 糸島市羽金山糸島市福吉まむしの湯

雨のち曇り 気温25/20 距離18.0m 行動時間10:11 平均速度1.78km/h 37049歩