今日は東京出張で、会議を終えた後、都内に住む娘と待ち合わせて晩ご飯に行った。今夜のお店は東京足立区鹿浜の焼肉スタミナ苑。歴代の首相も並んだという知る人ぞ知る焼肉の名店。寺門ジモンもお勧めとか。
最寄り駅は京浜東北線の東十条で、20:00に娘と待ち合わせ。スタミナ苑は東十条から4km近く離れており、タクシーに乗って7分ほどの住宅街の中にその店は現れた。昭和レトロの感のある店構えだが、店の前にはやはり行列が。幸い金曜日の夜にしては奇跡的に行列は短く、店の前のベンチにすぐに座ることができた。1時間待ちは覚悟していたのだが、20分ほどで店の中に案内された。
店の中も、昭和レトロの店構えと変わらず、テーブル席と小上がり、それから奥に座敷が配置されたレトロな内装。清潔ではあるが、オシャレ感はまったくゼロ。飲み物を注文したのち、お肉の注文を。親切な店員さんのアドバイスに従って、煮込み、ハラミ、赤身、ヒレ、ホルモン盛り合わせ、レバー、シイタケとピーマン、テグタンスープとコムタンスープ、それからご飯。残念ながら大好物のタンは、本日は売り切れだった。
煮込みはまったく水を使っていないという濃厚な味。味噌味と塩味があったが、珍しい塩味を選択して正解。ハラミ、ヒレともに、サシがたっぷりと入った、良質な脂肪の甘みを感じる。産地は聞き忘れたが、A5のランクの肉とのこと。ホルモンも、丁寧に処理された新鮮なもので、クリスピーな食感が心地よい。とくにハツとギアラが美味しい。
後半に提供されたのがテグタンスープとコムタンスープ。周りを見ていると、これらのスープは締めの一品として食している人が多いよう。特筆すべきはテグタンスープ。韓国で定番のテグタンスープは、タラを使った唐辛子のきいた真っ赤な鍋料理のようなスープのイメージだが、スタミナ苑のものは牛肉の塊とさまざまな野菜を長時間煮込んで、唐辛子で味付けしたもので、タラの味はしなかった。店員さんに聞くと、サトウキビの粉末を加えた野菜を数回にわたり煮込んで、4種類の唐辛子を加えて味付けしたものとか。言ってみれば、濃厚なつけ麺のたれのようなタイプで、非常に魅惑的な味がする。ご飯を投入して食べても美味しそう。
2時間弱で食事を終え、店を後にしたが、さらにこの店の魅力は店員の対応だろう。どの店員も愛想がよく、おいしく食べられているか気を使ってくれる。これだけ食べて、会計は2人で16000円。このクラスの肉を提供されて、安いほうではないかと思われる。各種の飲食店ランキングで常に上位にランキングされるスタミナ苑の魅力は、レトロな店構え、良質な肉、質の高いサイドメニューに加え、店員の対応だと感じた。
さて、それにしてもこのロケーションはどの駅に行くにしても不便だ。店から大通りまで150mほど歩いて出てから、1台のタクシーがようやく停まってくれた、と思ったらこのタクシー、急に50mほどバックしてから、我々の目の前まで戻ってきてからドアを開けてくれた。聞くと、この交差点は右左折の通行区分違反の取り締まりの名物交差点とか。このため、交差点の黄色の線の終わるところまでバックしてから、あらためて我々を乗せて、違反となるのをクリアしたとのこと。赤羽駅までの10分ほど、この運転手さん、都内の通行区分違反の取り締まりの名物交差点についてひとしきり語ってくれる。と、その時、「アッ」と声を出したかと思うと、メーターの入れ忘れに気が付いたようで、もうすぐ赤羽駅に到着するという今になって、タクシーメーターのスイッチを入れた。赤羽駅に到着したときはほぼ初乗り運賃のまま。これで結構ですからというところに千円札を渡し、恐縮する運転手さんを後に、赤羽駅から埼京線に乗り、都心のホテルに戻った。
今日は最後まで楽しい一日だった。
追記
スタミナ苑のサカナ感のしないテグタンスープが気になって調べてみた。もともとのテグタンスープは、韓国語で「テグ=鱈」の「タン=鍋」、つまり鱈の鍋のこと。これとは別に、韓国の大邱(テグ)市の名物スープも、大邱市以外の人々がテグタンと呼んでいたそう。本場韓国では、大邱のスープの方は現在では「タロクッパプ」と呼ばれるようになっているとのこと。この大邱スープが、日本でだけ現在もテグタンと呼ばれているため、日本では2種類のテグタンスープが存在しているとのことでした。