とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

九州自然歩道ポータルサイトに物申す

 最近はちょっとご無沙汰しているが、週末に九州自然歩道を歩き始めて3か月ほど経過した。最北端の北九州市皿倉山から歩きはじめ、休日ごとの細切れではあるが、福岡県内の九州自然歩道はほとんど踏破するに至った。まったく暇なものである。でも、週末、これまで見たことのない九州の自然や風景に触れることができて楽しんでいる。

 たまたまであるが、2019年3月からFBS(福岡放送)開局50周年記念の「九州1周ヤマトホ!〜2936.9キロイタダキます!」という企画がスタートしている。お笑い芸人のコンビが九州自然歩道のすべてを踏破するというもので、一度だけ視聴する機会があった、なかなか面白い。「ヤマトホ」の影響で九州自然歩道を歩く人も増えてきたのではないかと思うが、残念ながらこれまで九州自然歩道を歩いてみて、あまり知られていないマイナーな山や、集落と集落をつなぐルートでは、ほとんどトレッキングの人と行き交うことはなかった。

 健康ブームの到来で山歩きをする人は増えているものと思われる。そのなかで、九州自然歩道を歩いてみようと思った人は、環境省九州自然歩道ポータルサイトのハイカーズマップhttp://kyushu.env.go.jp/naturetrail/index.htmlを利用している人が多いのではないかと思う。

 ご存じない方のために書いておくが、ハイカーズマップとは、環境省がインターネット上で公開している九州自然歩道の地図である。国土地理院が提供する日本全図を利用して、その上に九州自然歩道の主ルートを赤線で、副ルートを緑線で記載したコースマップとなっている。詳細なルート図が無料で提供されていることから、九州自然歩道を歩く方は、このハイカーズマップを利用している人も多いのではないかと思う。しかし、このハイカーズマップを使って実際に九州自然歩道を歩いてみて、いくつかの問題点を感じた。

 一つ目の問題点は、ハイカーズマップが県別の地図となっていることだ。九州自然歩道は総延長2976kmにもわたる長大な自然歩道のため、県別に整理したほうが利用しやすいことはわかる。しかし問題は、マップのコースが県別になっていて、県をまたいだ先のコースが記載されていないことである。歴史的に県境となった境界線は、山や川などの自然の地形によって、人の行き来や物流が遮断されたり希薄になるために発生した場合が多い。九州自然歩道は、九州の自然を体験するために設定されたコースが多いため、当然のことながら山や川に沿ったコースが多い。このため、まさにその山を体験するためのコース図の佳境のところで地図が分断されていることが多いのである。管理には県別が便利なことはわかる。また管理母体が環境省であることから考えると、県別に管理することを望む感覚も分かる。しかし、マップのユーザーの視点で考えたならば、県を超えたその先の情報がないと困ることが多いのだ。

 二つ目の問題点は、ハイカーズマップの情報が古すぎて、現状とは一致していないところがかなりみられることだ。九州自然歩道を横切るように新しい道路が開通したために、先に進めなくなってしまった箇所がある。九州自然歩道だったところに林道が作られ、コースが変わってしまったところがある。大雨等の自然災害のために、コース自体が消失してしまった箇所がある。

 また、本来のコースとされていたところとは異なったコースに誘導する九州自然歩道の標識が立てられた箇所がある。地図が作成された後に標識の位置が変わった可能性も、あるいは最初から地図が誤っていた可能性もあるが、これには大変困った。これまでに何か所か、地図と標識で誘導するコースとの大きな隔たりに気が付いたところがあり、地図上に記録を残しておいた。

f:id:nayutakun:20191204191542j:plain

イカーズマップのプリントアウト 筑前町の夜須高原記念の森から夜須高原カントリークラブに至る道は地図の自然歩道(赤)と標識の誘導(緑)がずいぶん離れている

f:id:nayutakun:20191204191828j:plain

上記の箇所に立てられていた案内地図 これとハイカーズマップが異なるのがわかる

 九州自然歩道の大部分は、未舗装の山道である。気象や開発でコースが変わったり、消失したりすることはあるかと思われる。山道は、定期的な伐採や石段の整備や、標識の点検が必要と思われるが、資材の運搬の困難な山道だから、滞ることもあるかと思う。あるいは2017年の7月の豪雨のような災害では、コースの再開が困難な場合もあるかと思われる。

 それでも、整備された九州自然歩道はこれからも多くの人たちに自然を楽しむ機会を与えるであろうし、健康の増進にも役立つものと思われる。あるいは整備された自然歩道を歩きたいという、他の地方の方や外国の観光客を呼び込むツーリズムにも使えるもので、地方の活性化や経済にも寄与できる。そのような方々に、安全に楽しく九州自然歩道を楽しんでもらうために不可欠なものは、地図、それもできるだけ現状の九州自然歩道を正確に反映したハイカーズマップではないかと思う。

 ハイカーズマップのサイトを見ると、九州自然歩道というものが環境省の優れた事業の一つであることがわかる。これからも多くの方々に九州の自然を楽しんでもらうためにも、ハイカーズマップの管理と、また同時に九州自然歩道そのものの整備・維持管理を進めていただきたいと思う。

 と、まあ、こんなことをブログで呟いていただけでは何も先に進まないだろうから、環境省出先機関と思われる九州地方環境事務所に、ハイカーズマップの誤ルート等について報告しようと思う。また、誤ルートやルートの修正について、ハイカーが直接通報できるような仕組みづくりを提案してみたいと思う。