とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

Pacific Crest Trail メキシコ国境からカナダ国境に至る長大な自然歩道

 先日、知人と話をしていて、彼の知らなかった側面を知ることとなった。真面目なばかりかと思っていた彼が、北アルプス等の山歩きをすることや、海外のトレッキング事情にも詳しく、とても勉強になった。

 普段は人の話などろくろく聞かない性向を持っているのだが、その道の専門家から話を聞くのは大好きだ。彼にはストックしてある最も美味しいコーヒーを淹れて、時間の許す限りトレッキングについて教えてもらった。

 彼の話の中でもっとも興味をそそられたのが、北米大陸ロングトレイル。北米には大陸を縦横に走る数千キロメートルにも及ぶ長大な自然歩道があるとのことなのだ。東部のアパラチア山脈を縦走するアパラチアン・トレイルや、太平洋側の山中をメキシコとの国境からカナダの国境まで縦断するパシフィック・クレスト・トレイルなど、スケールが大きい。話を聞いているうちに、こんなトレッキングも面白そうだなと、詳しく知りたくなった。

f:id:nayutakun:20200226162322j:plain

 アメリカでは3大長距離自然歩道が知られている。東部にあるのがアパラチアン・トレイル(Appalachian Trail)。南部のジョージア州を起点とし、アパラチア山脈を縦走するように14州をまたいで北米最東端のメイン州に至る全長3499 kmの長大なトレイルだ。このトレイルを、ゴール地点になるメイン州バクスター州立公園が閉鎖される10月15日までに踏破するのをThru-hikingというが、毎年2000人ほどが挑戦して10%程度が成功するのみだという。初めて踏破されたのは1937年である。

f:id:nayutakun:20200226162514j:plain

 アメリカの中央を縦断するのが、その名もコンチネンタル・ディバイド・トレイル(Continental Divide Trail)。大西洋と太平洋の分水嶺(Continental Divide)に沿って歩くトレイルだ。メキシコとカナダの間をつなぐトレイルで、南からニューメキシコ州コロラド州ワイオミング州アイダホ州モンタナ州と5つの州を通過し、距離は4989 kmと長い。Thru-hikingには6か月ほどを要し、毎年200人ほどが挑戦しているようだ。標高4000mを超えるロッキーの山々を通過し、標識のない原野の区間もある過酷なルートのよう。1977年にThru-hiking達成の記録が残っている。

f:id:nayutakun:20200226162530j:plain

f:id:nayutakun:20200226162548j:plain

 太平洋に近い西の山々を、メキシコ国境からカナダ国境まで南北に縦走する4260kmのトレイルがパシフィック・クレスト・トレイル(Pacific Crest Trail)である。最初にThru-hikingを達成したのは1970年か1972年とされている。Thru-hikingには4~6か月ほどを要し、ここ数年は毎年1000人ほどが達成している。通常はメキシコ側から出発し、トレイルが雪に覆われる前にカナダに到達するように歩く。

f:id:nayutakun:20200226162622j:plain

f:id:nayutakun:20200226162638j:plain

 3大トレイルの中でも、とくにパシフィック・クレスト・トレイルはハイカーの聖地とされているようで、2014年に公開された映画「Wild」(邦題:わたしに会うまでの1600キロ)では、パシフィック・クレスト・トレイルを歩き通しながら自分を見つめ直す女性の姿を描いている。

 Pacific Crest Trail Association(https://www.pcta.org)というものまで作られている。ホームページを覗いてみると、トレイルに関する様々な情報が提供されている。ホームページではthru-hikingの達成者を2600 milerと呼び、2019年のシーズンまでで7597人がthru-hikingを達成した同窓生としてリストが作られている。資料を見ると、thru-hiking達成者は2012年ぐらいから急激に増加していることが分かる。

 Pacific Crest Trailは、自然環境の保護のためにトレイルの区間ごとに歩く人数を制限(quota)しているようで、事前に申請を出して許可を得る必要があるようだ。また、山火事を防止するためのたき火の許可証や、キャンプを許された地域の情報、それから水場の情報も重要だ。長いトレイル上に物資をコースに近い郵便局などに局留めで郵送しておいて、受け取りながら先に進むという工夫も活用されている。このあたりはさらに詳しく情報を入手する必要がある。