とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年9月26日 九州自然歩道 53日目 熊本県下益城郡美里町砥用~八代市五家荘 九州最後の秘境を歩く

 今日は美里町の砥用から九州自然歩道に復帰。本数の限られたバスを乗り継ぐため前日の夜から熊本に前泊している。バスは砥用に8:00に到着し、しばらく民家の並ぶ街並みを歩き、次の目的地の五家荘に続く国道445号線との合流点に8:15に到着した。

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国道445号線に合流

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砥用の田んぼも黄金色に染まっている

 まずは15km先の東山本店という五家荘の入り口に位置する土産物店で昼食を摂ることを目標とする。片側1車線の舗装状態の良好な道路を、正面の山をめがけて進んでいく。道路の右には津留川の清流が流れる。国道の交通量は少なく、10分に1台程度。快調に歩を進める。

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今日の最初の目標はあの山を越えた向こう側

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国道445号線は津留川と並行して走る

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 1時間ほど歩いたところで風情のある、やまめ茶屋を通過。まだ営業していないようだ。次いで下津留の集落を通り過ぎる。下津留の集落は週に2便ある美里町コミュニティバスの終点。ここから先にバスは行かないということは、ここから先には美里町の管内の人家はないということだろう。まだ5kmほどしか歩いていない。

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やまめ茶屋を過ぎる

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下津留の集落を通過すると国道は狭くなる

 下津留から先は道路の傾斜がきつくなり、またセンターラインのない狭い道路に変わった。自動車はほとんど通らなくなった。道路の脇にニホンミツバチの巣箱がかけてあり、先ほど通過したやまめ茶屋のご主人が長い竹竿を持って巣箱の周囲に振り回している。話を聞いてみると、スズメバチニホンミツバチの巣を狙い、ミツバチを捕獲しているのを退治しているとのこと。たしかに巣箱の周りに大きなススメバチが飛翔している。竹竿の先に着けた粘着剤でうまく捕まえて撃退した。尻尾に長い針を持った凶悪そうなハチだった。

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やまめ茶屋のご主人の巣箱

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撃退したスズメバチは凶暴そのもの

 さらに先に進むと、今度は道路工事の現場に出くわした。道路の拡幅工事だと思うのだが、足場を組んで作業をしている。拡幅ならば足場などを組まずに盛土をしそうなものなので、気になって監督さんのような方に工法を聞いてみたら足場を組んでその中に発泡スチロールのような資材を敷き詰める新しい工法を採用しているとのこと。面白い。

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道路拡幅工事の現場

 スイッチバックを繰り返して先に進んでいくと、砥用の町がずいぶん下に見えてきた。現在の標高は845m。砥用が120mだったので、すでに725mも上ったことになる。道路の状況が良いのでそんなに上まで来たことに気が付かなかったが、植林の切れ目から空が見えるところに来ると、雲の底に近づいたことがわかる。

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スイッチバックしてどんどん高度を上げる

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雲底が近づき

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雲の中に入ってしまった

 11:34に標高1100mの二本杉展望所に到着した。残念ながら雲の中にいるため眺望はなし。

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二本杉展望所

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雲の中だった

 昼食を予定していた東山(とうやま)本店には11:44に到着した。ここでは赤鶏そばと赤鶏の串焼きを食べて、サツマイモの天ぷらをおやつに購入して12:35に行動再開した。

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東山本店

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赤鶏そば

 東山本店から先は五家荘のエリアになる。そしてここから八代市に入る。国道445号線は再び片側1車線の立派な舗装に変わる。道路の脇には紅葉の始まったカエデがみえる。ここは標高1000m。紅葉が早い。

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ふたたび立派な国道に

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カエデの紅葉が始まる

 2kmほどで国道を右に折れ、大金峰(だいきんぽう、おおがなみね、とも)の登山口に入る。10分ほど舗装路を歩き、登山道の木道を登り始める。整備状況は良好。と思ったら、しばらく道が流された区間があった。しかしそれもすぐに終わり、ふたたび快適な山道となる。

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国道445号線から大金峰の登山口に向かう

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登山道は整備されていた

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若干の荒廃区間

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すぐに心地よい山道に変わる

 大金峰の登山道は最近草刈りが行われたよう。新鮮なササの香りが残っている。1時間ほど歩き、13:56に標高1396mの大金峰の頂上に到着した。残念ながら山頂近くまで植林がなされているため眺望はなし。立派な名前の山なので、どんな眺望があるかと期待していただけに残念。

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登山道は最近手入れされたよう

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大金峰の頂上はちょっとガッカリ

 大金峰からは小金峰に向かう稜線の道を歩く。30分ほどで小金峰への分岐点に到着。標高は1320m。稜線の道はほとんどアップダウンがなく、整備状況も良好でとても快適だった。ここでは小金峰のピークを左に眺めながら、九州自然歩道のコースに従って、尾根伝いに高度を下げていく攻(せめる)登山口に向かう。正面には保口岳が見える。

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大金峰から小金峰への連絡路も整備状態良好

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小金峰

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保口岳

 攻登山口はきれいに舗装された林道との交差部分。ここで小休止の後、尾根道を下って攻集落に向かう。ここが今回初めての悪路で、山道はほとんど見えないが、かろうじてテープを頼りに先に進み、40分ほどで300mほどの標高差を下り終えた。

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攻登山口

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攻集落までの尾根道が若干の悪路

 攻には広い広場があり、ここからは概ね歩きやすい舗装路となる。自動車はまったく通らないので気にする必要はない。攻集落には2軒のポツンと一軒家があったが、すでに居住者はいないようだった。

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攻集落の広い草地

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ポツンと一軒家

 何回かスイッチバックをして高度を下げ、西の岩川に架かった攻橋(せめばし)を越え、対岸に渡る。ここから4kmほどで栴檀轟(せんだんとどろ)の滝。道路の下を流れる西の岩川は、山から流れ込む沢の水を集め、どんどん水量が多くなる。

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スイッチバックして高度を下げる

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攻橋を渡って対岸に

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西の岩川の水量が増えてくる

 17:20に栴檀轟の滝に到着した。道路の状況は良好なのだが、少し疲れてきたためスピードが出ない。明るいうちに有名な栴檀轟の滝に着くことができてよかった。落差が70mほどもある大きな滝で、下から眺めていると水しぶきで身体がだんだん湿ってくる。滝の音も轟の名にふさわしい。滝の正面に設置してある橋の上からゆっくり観察し、先に進んだ。

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落差70mの栴檀轟の滝

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橋から眺める

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まだ水しぶきを感じる

 だんだん日が落ちてきた。深い谷は暗くなるのが早い。しかも、街の明かりがないため、日が落ちたら歩くのは困難になる。栴檀轟の滝から30分ほど歩いたところで民宿の看板があったため、立ち寄ってみたが電気がついていない。

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日が落ちるのも、暗くなるのも早い

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民宿は休業のよう

 さらに先に進み、五家荘の集落を形成する仁田尾にある左座家という古民家の民宿を尋ねるが、水害のため施設が被害を受けて現在は宿泊を受けていないとのこと。やむなく18:30まで歩き、ようやく顔を出した月明かりでテントの設置を開始した。 

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左座家

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平地を探してさらに進む

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2020年9月26日 九州自然歩道 54日目 熊本県下益城郡美里町砥用~八代市泉町仁田尾(五家荘) 曇り 気温25/9 距離30.4km 行動時間10:50 平均速度3.3km/h 49924歩