2023年5月6日は、東海自然歩道トレッキングを予定よりも1日早く繰り上げて弟の山小屋に泊まらせてもらうことになったところまでは前回の話。
鶯巣駅からは道路を歩いているタヌキにあったこと以外は、老女にふたたび巡り会うこともなく、のんびりと温泉に浸かって21時半ぐらいには山小屋に到着した。
山小屋滞在中は、周辺に食堂などがないこともあり、弟が食事の用意をしてくれる。弟は几帳面で、料理が上手。今晩も手早く鍋を準備してくれたが、一口だけと追加で用意してくれたのがコシアブラご飯。山菜のコシアブラを刻んだ油揚げと一緒に炒めたものをご飯に混ぜ込んだもの。これがすこぶる美味しかった。
コシアブラはウコギ科の高木で、その若芽はタラの芽と並ぶ山菜の女王とされているが、話には聞いていたものの、これまで食べたことがなかった。
弟と山に行くのは夏が多く、コシアブラの新芽が食用になる4月5月頃に一緒に山に行ったことがなかったことも理由だ。道路脇に自生しているすでに硬い葉をつけたコシアブラの木を見ては、どんな味だろうと思っていた念願がようやく叶った。
今回、弟は下ごしらえしたコシアブラご飯の素を福岡の自宅にも送ってくれた。炊きたてのご飯に混ぜて頂くと、芳醇な山の香りが鼻腔を抜けて行くのが分かる。クセはやや強いが、味わいの深い滋味を感じる。これまでに食べた山菜の中でも群を抜いた素晴らしさ。
コシアブラは福岡のスーパーではこれまで見かけたことはない。山でのみ味わうことのできる大きな喜びだ。