「最近、山歩きをしてるんですよ」と、山登りを趣味にしている知り合いに話してみた。そこで、装備について話しをしたら、吹き出された。キスリングのザックにホエブスのストーブを詰め込んで、みたいなのは、ふた昔前のスタイルだそうだ。そりゃそうだ。私の山登りの記憶は1985年まで遡るのだから。知り合いの一人、ヒマラヤに毎年トレッキングに行くというヒマラヤ氏から、「シャツはBVDの綿シャツでしょ?」「タオルは黒川温泉でもらったタオルでしょ?」とからかわれたが、否定はできない。BVDじゃなくてユニクロ、黒川温泉じゃなくて川棚温泉というところ以外は、ずばり正解だからだ。
トレッキングでは、荷物を担いで長距離を歩く。これまでのトライアルの結果から、学生時代のように25kgの荷物を持って何日も縦走するというようなことは、もうできそうもないので、できるだけ軽く快適に、というところに焦点を置いて装備を揃えることを考えた。
まずはテント。学生の頃、単独で行動するときはツェルトという緊急避難用の簡易テントを使っていた。ポールのない、1層式のテントで、すこぶるコンパクトだ。しかし、ポールがないため、樹木にロープを括りつけたり、ポールの代用となるような木を調達しないと、三角形のいわゆるテントのような形にはならない。低山ならばなんとかなるが、森林限界より上になると、快適な空間を確保することはできない。ヒマラヤ氏から、「最近のテントは小さいから一度見に行ってみなよ」と勧められた。そこで、近所の登山用品店Mont-bellに行ってみた。店員さんのお勧めはMont-bell Stella ridge 2(ステラリッジ テント2 本体 ¥29,200 1.43kg+ステラリッジ テント2 レインフライ ¥12,000 360g、1.5人用)。小さい。イメージしていたテントの1/3ぐらいの大きさだ。しかも、軽い。設置は3分程度でできてしまう。これは買いだ。
次に寝袋。学生の時は夏山しか登らないこともあって、寝袋は使っていなかった。かわりにシュラフカバー、つまり寝袋の上にかぶせて防水性を強化するカバーだけを持ち歩き、虫刺されを防ぐためと思って使っていた。20歳の自分は、すこしの寒さには耐えられ、また当時の学生が買えるぐらいのレベルの寝袋は、ザックの1/3を占めるぐらい大きかったからだ。日本百名山全山踏破したというもう一人の知り合いに、夏山にシュラフは持たない主義、と言ったら笑われた。「30年前のシュラフカバーと今のシュラフは同じぐらいの大きさだよ」って。百名山氏お勧めの好日山荘に行って驚いた。本当だった。ペットボトルよりも一回り大きい程度だ。速攻で買ってしまった。いまはトレッキングにシュラフ持参。快適だ。
レインコートも探してみた。唐津ウォークでブルーマンになってしまった、30年経過の東レエントラントのレインコートは、もう着る気分にはなれないためだ。これまたびっくり。上下を合わせても、500mlのPETボトルよりも小さい。
その他にも、デジタル小物類、ノートPCと電源コード、非常食、着替えも必要だ。
いま思案中なのが、コンロを持つべきか、諦めるべきか。朝のコーヒーは魅力的だし、アルファ米を冷たい水で戻して食べると美味しくないし。でも、コンロとガス缶で1kg近く、また使用済みのガス缶を家までずーーーっと持って帰らなければならないのがいちばん癪に障る。
現在、コンロを除いた上記の装備でトレッキングしているが、ザックを入れた総重量は10kgちょうど。
前時代的装備のときにはシュラフなしにもかかわらず14kgあったから、かなり楽になった。