弟のセットアップで、オートキャンプに行ってきた。ところは岩倉ダムキャンプ場。長野県最南部の、愛知県との県境に近い長野県下伊那郡売木村にある。
村の中心部から自動車で5分ほど離れたところにある中部電力の水力発電用の岩倉ダム。このダムによってできた幅100m、奥行き300mほどの小さな湖の道路脇の広葉樹の林を間伐して作られた、こじんまりとした山間のキャンプ場である。設備は、水場とバイオトイレのみで、いまはやりのオートキャンプ場のように、車を芝生のサイトの隣に直接乗り入れて、AC電源が設置してあり、手ぶらで行ってもBBQセットのある売店がある、といったところではない。
ちょっと遅めの午後4時半に到着した。V字谷の日没は早い。湖の畔にスペースを確保して、さっそくテント設営を開始した。テントはColemanのワンポールテント。モンゴルのゲルのようなタイプのテントで、構造が簡単なため、設営がとても楽。居住スペースの真ん中にポールが立つが、天井が高く、居住スペースが広い。暗くなる前に、バーベキュー用のかまどの設営まで終えてから、とりあえず近くの温泉こまどりの湯まで浸かりに行った。
温泉から帰って、炭を熾してバーベキュー開始。メニューは焼肉とサンマ、それからみそ汁と白米。炭火で焼いたサンマの味は格別だ。ガスで焼いたのでは、この味は出ない。子供のころ、サンマだけは七輪で庭て焼いたのを食べていたのを思い出す。
夕食の後は、しばし焚火を楽しみ、熱いお茶を飲んで、シュラフに潜り込んで就寝。秋の深いこの地では、すでに虫の音は聞こえなくなっている。夜中にシカの鳴き声が遠くに聞こえるのみであった。11月の南信州の冷え込みは厳しく、5℃まで下がったが、スリーシーズン用シュラフとマットで、温かく眠ることができた。
翌朝は6:30に起床。雲量0の快晴。テントの前の湖の水面に朝霧が漂う。正面の山には広葉樹の黄葉、紅葉が美しいモザイクを形成し、青空に映える。
朝食の前に、湖の周囲と岩倉の集落をぐるりとめぐる6.5kmのウォーキング。カケスが頭上を舞っている。ハトより一回り大きく、羽根には黒と白の模様に青のアクセントが付いており、尾羽が長い姿の良い鳥であるが、残念なことに鳴き声だけが、ジェージェーとしわがれた声。
散策路には、春先の新芽が美味で山菜の女王とも呼ばれるウコギ科のコシアブラ、紫色の小さな果実が美しい野生のムラサキシキブなどがちらほら見られる。
岩倉集落には花の谷という名のブルーベリー園がある。6品種ほどのブルーベリーが植えられ、食べ放題と持ち帰りのパック1つで大人500~1000円。あまりに良心的な価格設定。安すぎる。弟はここでブルーベリーを買って、ジャムなどを作っているとのこと。
稲の収穫を終えた岩倉の集落では、はざに掛けられた稲がチラホラと見られる。天日干しの売木米として道の駅などで売られているそうだ。きっと、太陽の匂いのする美味しい米だろう。
8500歩の朝のウォーキングを終え、火を熾し、焼き鳥と汁物、白米の朝食を食べる。
その後は、昼過ぎまでひたすらに焚火に枯れ木をくべて、火を眺めて過ごしてから、帰途についた。
完璧な週末のキャンプだった。(2019年11月3~4日)