1月3日に太宰府天満宮に初詣に行った帰り、境内にある余香殿の横を通りかかった時に、かるた競技大会という立て看板に体が反応した。「ちはやふる」とかいうマンガの影響か、競技かるたが盛んになってきているらしいが、そのマンガを読んだことも、競技かるたの現場も見たことがない。たしかNHKで試合中継を放映していたような気がするが、ルールもよく分からなかった。しかも、早すぎてどちらが取ったか分からない瞬殺だったような気がする。興味が湧いて、会場内に入って見学させてもらった。
会場はTシャツ・ジャージの男女の熱気でムンムン。体育会系の臭いがした。2名の対戦がざっと50組ほど同時に行われていた。読み手のわずか数文字の発声で、全組の手が動く。早い。どちらが取ったか分からないスピードだ。
競技かるたの公式ルールをWikipediaで調べてみた。ザックリと説明すると次のようになる。
- 字札50枚をよく混ぜてから25枚ずつ取り、それを自分の陣地に3段に並べる。
- 15分間の暗記時間をおいて競技開始。
- 字札に先に触れたら「取り札」になる。
- 敵陣の札を取ったら自陣の札を1枚「送り札」できる。
- 読まれた札のある陣と異なる陣の札に触れると「お手つき」になり、相手から1枚札を受ける。(お手つきの概念は一般的な解釈とは異なるところに注意)
- 自陣の札が全部なくなったら勝ち。
100枚の札のうち50枚しか使わないこと、一般的には異なった札に触れることをお手つきとすると思うが、競技かるたでは異なった陣に触れなければOKということ、自陣の札がなくなったら勝ちというところが特徴的。
家で初めて百人一首のかるた取りをしたのは小学校4年生か5年生ぐらいだったと思う。坊主めくりでは母と勝敗が拮抗しているのに、かるた取りでは全然勝てなかった。そのうち、母の取り方があまりに早く、ときには下の句を読み始める前にフライングして取ってしまっていることに気がついた。母に聞いたところ、札を半分ぐらいは覚えているとのこと。かるた取りというのは、基本的には上の句のみを聞いて、下の句の札を取るものだと教わった。
悔しかったので、ノートに百人一首を全部書き出して覚えた。ノートの最初の歌はこれ。今でもすぐ思い出せる。
権中納言定頼の
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木
これといって好きだったわけではないが、たまたまケースの一番上にあった札ということ。
中学校3年生のときに、クラスのマドンナ的な存在の女の子と何かの拍子で百人一首の話をしたことがある。好きな歌はどれ?と聞いたら、瞬時に返ってきた。
逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり
ズキュンときて、今でもこの歌は忘れられない。