とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

古湯温泉 ぬるい、もう一回

 前回の2020年1月19日の九州自然歩道#7のトレッキングは、佐賀県の古湯温泉で終えているため、今回のトレッキングは古湯温泉から再開となる。せっかくなので、古湯温泉を堪能してからトレイルに復帰しようということで、古湯温泉に一泊してからスタートすることとした。

 金曜日に仕事を終えてから、福岡から高速バスで佐賀市内まで移動。そこからさらにバスを乗り継ぎ、古湯温泉に到着。前回のトレッキングの後で身体をほぐした英龍温泉に宿泊施設があったため、ここに宿泊することとした。

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 英龍温泉は古湯温泉のほぼ中心に位置する、地元の方が入湯しにくる銭湯のような存在。なんと番台前の入湯券の自動販売機に、1泊2食5800円の券がある。安い。

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 案内された部屋は3階の10畳ほどもある畳敷きの部屋。窓からは古湯温泉ののどかな街並みが見える。部屋にはトイレ・洗面台はなく、共同になっている。風呂も1階の大浴場。

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 夕食は部屋に運んできてくれた。カレイの煮付けとすき焼き風のもの。あとは小鉢。ご飯をお替りして夕食を済ませる。

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 夕食の後は温泉に入湯。地元の方が4人ほど入っている。10m×10mほどの浴室で、それほど広くはない。洗い場は4カ所のみ。露天風呂はない。

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 古湯温泉の最大の特徴は、ぬるいこと。ここ英龍温泉も39℃しかない。例えるならば、11月の上旬の夜にお風呂に入ってから寝ようと思って自動給湯ボタンを押したままソファで寝落ちしてしまった3時間後、ようやく目が覚めてお風呂に入ったところ、底の方に冷たい水が溜まっていたのでかき混ぜたらこうなってしまったというぐらいの温度。浸かっていてもなかなか身体が温まらない。ところが、地元の方は何も気にならないようで、ぬるいお湯の中で目をつぶってゆっくり手足を伸ばしている。温泉は無色透明アルカリ性で、すこしヌルっとした感触。江戸っ子が入ったら怒り出しそうな温度のお湯に、佐賀の地元民は、ゆっくりゆっくりと気持ちよさそうに手足を伸ばしている。

 英龍温泉の源泉は英龍泉。川上実相院の英龍僧正が創堀した温泉とされている。英龍温泉に掲げてある偏額は、僧正の真筆。正式には富士町第一源泉(英龍泉)。泉質はアルカリ性単純温泉、泉温29.3℃、pH9.22。さすがに29.3℃の温泉に浸かることはできないため、39℃まで加温してあるが、このぬるーいお湯が身体によいとされている。

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 今回は入湯していないが、もう一つの有名な源泉は鶴霊泉。始皇帝の命を受けて不老長寿の霊薬を求めてこの地にやってきた徐福が神のお告げで見つけた温泉が鶴霊泉の泉源とか。その後天災で泉源が埋没していたが、寛政3年(1791年)に地元の庄屋が、傷を得た鶴が泉で足を癒して飛び立つのを見つけて、泉源を再興し鶴霊泉と名付けたとか。こちらも36℃とぬるいアルカリ性単純温泉。源泉名は富士町第二源泉(鶴霊泉)。

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 ちなみに英龍温泉にはもう一つの富士町第四源泉(徐福泉)から温泉が引いてあり、39.5℃の温泉を41℃まで加温してある。しかし、こちらの浴槽には地元の方はあまり入らない。

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 地元の方たちと同じように、1時間ほどもゆっくりと浸かったのち、脱衣所で着替えていると、不思議なことにだんだん身体が暖かくなってきた。

 温泉の後は、温まった身体で古湯温泉を探索に出たが、10分ほどでぐるっと一周して英龍温泉に戻ってしまった。夜の8時を過ぎると、飲食店も土産店もすべて明かりを消している。空にはオリオン座が光っている。俗世のことはすっかり忘れることができる温泉だった。

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