とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

珈琲焙煎 違いが分からない男

 珈琲は好きだ。どのぐらい好きかというと、毎日2杯飲むぐらい好きだ。朝、仕事場に着いた時と、昼食の後の2杯だ。それ以上飲むことはめったになく、またその2杯を欠かしてしまうと、もの足らなく感じる。その程度だ。

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 ここまで書いて、どのぐらい珈琲が好きかということをどうやって定量的に表現しようかと考えた時に、gという単位が頭に浮かんだ。グラムだ。cgs単位系の基本単位であるgramのことだ。cgs単位系はセンチメートル(centimetre)・グラム(gram)・秒(second) を基本単位とする単位系で、料理の世界で使われる大さじ一杯、千切り、粗熱などという単位系に比べると、この世の事象を説明するのにはすこぶる都合が良い。

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 そこで、gを用いて、自分がどれぐらい珈琲が好きなのか表現を試みてみる。1日の珈琲消費は平均すると2杯で、1杯につき10gのコーヒー豆を使用することから、珈琲消費は20gとする。

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 これに対して、私の好きな食べ物の筆頭格は果物である。果物はザックリいって、毎朝500g消費している。ここで、珈琲と果物を比較してもよいのか疑問が生じる。答えは明白。問題はない。なぜならば、コーヒー豆はアカネ科コーヒーノキ属の植物の「果実」なのだ。毎日の果物の消費量500gに対して、コーヒー豆の消費量は20gであるので、私の珈琲の好きな程度は、フルーツの1/25程度と考えればよいこととなる。

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 などと、珈琲のことを考える際にも、くだらないことが頭に湧き上がってしまうので、なかなか先に進まない。好きも嫌いも、頭の中の脳神経細胞ニューロンの電気信号やその相互作用と考えれば、cgs単位系で説明できても良いような気がするが、そうは簡単にはいかないようだ。

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 珈琲の話に戻るが、このぐらい好きな、というか、この程度しか好きでない珈琲のことをもう少し知りたいと思い、コーヒーの焙煎教室に通ったことがある。普段は人の話などろくに聞かないくせに、自分の知りたいことは貪欲に知りたがる性向があるのだ。

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 焙煎教室では、まずはいろいろな産地のコーヒー豆を焙煎して、その特徴を教えてくれた。正直に言うと、さっぱり違いが分からなかった。2回目の教室では、2種類の産地の豆だけであるが、先生が浅め、中ぐらい、深く焙煎したものの味の比較をしてみた。ほんの少しだけ違いが分かった。3回目の教室では、自分で1種類の豆を浅く、そして深くの2つの段階に焙煎してみて、その味の比較を行った。

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 自分で焙煎したコーヒーはあまり美味しくなかった。浅煎りの豆は、色が薄く、草の臭いがして、まったく珈琲らしい味がしない。青臭い大豆のすまし汁のような味だ。深煎りの豆は、焦げた炭のような味が強く、これも珈琲とはかけ離れた炭の煮出し汁のような味だった。焙煎とは難しいものだなと感じた。

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 これでこの日の教室は終了だったのだが、最後に、浅煎り豆で抽出した珈琲と、深煎り豆で抽出した珈琲を何の気なしに混ぜて飲んでみてびっくりした。これが美味しいのだ。浅煎り豆の青臭い草の匂いは消え、珈琲独特の馥郁とした香りに変わっている。炭のような苦いばかりの味はなくなり、香ばしく深みのある味に変わり、うっすらと甘さを感じる後味まである。間違いなくこれが一番美味しい。

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 焙煎教室に参加してみて分かったことがいくつかあった。

  1. 焙煎はコーヒー豆を煎るだけの行為ではあるが、奥が深いものがあり、熟練者のように、あるいは自家焙煎の店のような味はなかなか出せるものではない。
  2. 焙煎が浅すぎると青臭く、深すぎるとただ苦いだけ。
  3. 浅煎りと深煎りをブレンドすると美味しくなる。珈琲の味は、その点からすると足し算に従う。

 以上のことが3回の焙煎教室への参加で分かったこと。たった3回ではあるが、自分には生豆の焙煎は向いていないような気がしたので、先生には申し訳なかったが、これで焙煎教室はやめてしまった。近所の自家焙煎の店で購入した珈琲の味は、自分で焙煎した珈琲の味より、つねに美味しくなりそうな気がしたからだ。違いが分からない男には、これぐらいで十分だ。