とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

茶豆

 先週、友人から茶豆を頂いた。わざわざ職場まで持ってきてくれ、保冷剤と一緒にしてあるところをみると、かなり新鮮な逸品かと思われる。袋の中を覗いて「枝豆ですか?」と聞いたら、即座に「茶豆です!」と直しが入った。しまった。彼は茶豆愛で有名な新潟に長く住んでいたのだった。手元にあるのは新潟産の茶豆を急送してもらった物であることに間違いはない。

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頂いた茶豆

 残念ながら茶豆には詳しくない。産地や品種を聞くのを忘れてしまったが、新潟には「枝豆界の魚沼産コシヒカリ」なんて呼ばれる「黒埼産茶豆」などのブランドもあるようなので油断はできない。上手に処理して、大切に食べないといけない。この領域は不慣れなので、クックパッドで調べてから、調理に取りかかった。

  1. ザルの中に茶豆250gを入れ、水洗いして汚れを落とす。

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    まずは水洗

    2. 10gの塩を振り、よく揉んで細毛を除去する。

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    250gあたり10gの塩を振る。

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    塩で揉んで細毛を除去。

    3. フタ付きの鍋で1000mlの水を沸騰させ、30gの塩を加える。

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    蓋付きの鍋で1000mlの水を沸騰させる。

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    1000mlあたり30gの塩を加える。

    4. 茶豆を投入し、発色を観察しながら加熱する(今回は3分間)。

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    沸騰したお湯に茶豆を投入。

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    ずらした状態で蓋をする。

    5. 加熱した茶豆をザルに揚げ、素早くお湯を切る。

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    発色を確認してザルに揚げる。

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    あらかじめ用意した氷水。

    6. 氷水で数秒冷却して余熱を除去した後、皿に並べて団扇で力いっぱい扇ぐ。

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    氷水で急冷。

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    団扇で力いっぱい扇ぐ。

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    完成。

    上記の方法で調理したが大丈夫だろうか?間違っていたらごめんなさい。

 アセトアルデヒド脱水素酵素2欠損症の私は、ビールなどのアルコール類をほとんど飲むことができないので、茶豆に合わせて雪印のコーヒー牛乳をテーブルに載せた。「違うだろー」と言われてしまうかもしれない。でも、「枝豆にはビール」派の人でも、銭湯に浸かった後は瓶入りのコーヒー牛乳の蓋を開けて、左手を腰に当て、右手に持ったコーヒー牛乳をグキュッグキュッと喉を鳴らしながら飲んで、最後はプハーッってやるでしょ?ビールの飲めない私は、せめてもと思って、アレを再現したわけだ。

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今夜は茶豆にトリ軟骨の唐揚げ、トマトサラダ、それからコーヒー牛乳

 さて、頂いた茶豆の味だが、加熱時間を3分と短く設定し、かつ氷水で急冷したためアルデンテ。味が濃く、噛みしめると甘味をガツンと感じた。おいしい。止められないうまさで、コーヒー牛乳1000mlとともに完食。ごちそうさまでした。

 今回はついでに、まったく知識のなかった枝豆について調べてみた。まず、枝豆は大豆の未成熟な豆を食用とするもの。うん、これは知っていた。

 ダイズはマメ科ダイズ属の1年草で、学名はGlycine max。ここまで書いたところで、ダイズの学名がアミノ酸グリシンGlycineと一緒であることに気がついた。グリシンは動物性タンパクのコラーゲンの30%以上を占めるアミノ酸であるが、植物である大豆にはそれほど多く含まれないはず。Wikipediaで調べてみると、アミノ酸グリシンは、「1820年にフランス人化学者アンリ・ブラコノーによりゼラチンから単離され、甘かったことからギリシャ語で甘いを意味するglykysに因んでglycocollと名付けられ、後にglycineに改名された。」と記載があるが、大豆との関連についての記述はない。

 さらに調べてみると、公益財団法人不二たん白質研究振興財団のホームページに大豆の名の由来が書いてあった。以下に引用する。

「ダイズのラテン語学名はGlycine max(L.) Merrillですが、Glycine(グリキーネ)というのはギリシャ語の甘いという意味のglukusからきています。この植物の最初の命名者は Linne でインゲンマメ属に属するとしてPhaseolus Maxとしました。その後別属がたてられ幾つかの改名があって最終的にMerrillが命名したのですが、属名の意味が何が甘いのかは現在すでに明らかではなくなっています。また種小名のmaxも、もとはLinneが採集したスリランカ地方で豆という意味だったと言われていましたが、これも明らかではありません。さて、ダイズの野生種が発見されて、Glycine ussuriensis Regel, Maack命名されていますが、この名称からも明らかなようにダイズの原産地はウスリー河流域を中心とする中国東北部と考えるのが一般的に受け入れられています。栽培種ダイズは中国固有の作物として古代には菽という字があてられて‘そう’または‘しゅう’と発音され、soyという欧米語はこれに由来すると言われています。後漢の時代に許愼が著した「説文解字」によれば、菽の初文叔は大豆が結実した様を表わす象形文字であると解説されていますが、白川静「字統」では金文を分析して、この初文は戈の下から光が出ている様を表した白いという意味を持っているので、菽は単に音声を借りたものであると述べています。」(森田 雄平 京都大学名誉教授)

 これは勉強になった。ダイズの学名のGlycineもやはり甘いというギリシャ語に由来するようだ。しかし、その属に含まれるどの植物の何が甘かったのかは分からない。Glycine属、つまりダイズ属には他にどんな植物があるのか気になってきた。

 また、英語表記のsoy beanのsoyは、オランダが日本との通商を通じて17世紀に大豆を原料とする醤油をsoyaとしてヨーロッパに伝えたことに遡り、日本語の醤油が起源と考えられているかと信じていたが、soyの語源が醤油ではなく、古代中国の菽(そう、またはしゅうと発音)に由来する可能性があることまで分かった。

 ちなみに、先の文章を書かれた森田雄平先生は、京都大学食糧科学研究所の教授で、現在は退官。ペルオキシダーゼという酵素の結晶構造解析が専門で、「大豆蛋白質」の著書もある。茶豆について調べてみようと思ったのだが、ペルオキシダーゼか。ずいぶん遠いところまで来てしまった。今日はこれまで。