とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

TJAR歩いてみた 12日目 木曽駒高原〜濁沢大峰

 本日はTJARコース歩きの12日目。木曽駒高原の国民宿舎で4:30に起床。まずはのんびりと温泉に浸かってから7:28にようやく行動開始。この時点では、目の前の木曽駒ヶ岳に登るだけだとたかをくくっていた。案の定、あとで痛い目に遭うことになった。

お世話になった国民宿舎

 高原の道を進んでいく。7:53に木曽駒オートキャンプ場を通過。この先は森林公園の山道を真っ直ぐ進む。まだ別荘地が続く。

高原の道を進んでいく。周囲はゴルフ場と別荘地。

オートキャンプ場を通過

木曽駒森林公園の先からいったん山道に進む

 再び舗装路の林道木曽駒山麓線に入り、長野県水産試験場を通過。なかなか登山口が現れない。

長野県水産試験場を通過。

 8:56に冷水公園にたどり着いた。ここのゲストセンターはTJARの選手たちが仮眠をとるところだ。

木曽駒冷水公園

皆さんのんびりとキャンプしている

このゲストセンターで選手達が休憩していたな

 この先のコガラ登山口には9:10にようやく辿りついた。登山届を記入してポストに入れる。ここからが福島Bコースと呼ばれる木曽駒ヶ岳への登山道の取り付きになる。

コガラ登山口にようやく到着。スタートが遅すぎる。

登山届を記入して投函

今回は熊鈴装着済み

 太陽は真上から照りつけるが、幸い登山道は広葉樹に覆われている。また登山道に沿ってせせらぎの音が聞こえ、涼しい風も吹いてくる。

福島Bコース、なかなか快適ですやん?

オニユリユリ科

しばらく林道が続く

 9:57に林道終点となり、ロープの架けられた渡渉地点を渡る。水量は少なく、ミドルカットのブーツの中が濡れることはない。

林道の終点で徒渉。冷たい水で顔を洗う。

 ここからは本格的な上りとなる。汗をかきかき、10:20に4合目を通過。10:52に4合半の力水の水場を通過。口を湿らせ、顔を洗って汗を流したかったが、残念ながら水場は枯れていた。

徒渉地点から先はかなりの急坂

雨宿りにはよさそうな

力水は枯れていた

 小休止の後に11:00に行動再開。勾配がきつく、1合目ごとに5分ほどの休憩を取りながら進む。

セリバシオガマ(ハマウツボ科)

本日好天

 11:29に5合目に到着。5分の小休止をとり、12:02には6合目に到着した。

急坂続きでへばってきた

キオン(キク科)

 12:37には見晴台を通過。御嶽山が正面に聳えている。天気は良好。暑い。

見晴台

ここから御嶽が正面にドーン

 12:48には7合目避難小屋に到着した。木の香りのするとてもきれいな避難小屋。薪ストーブまで備え付けてある。中のベンチをお借りして、昼食のパンを頂いた。ここで水が補給できるかと期待していたのだが、残念ながら飲用不可の手洗い水のみ。

7合目避難小屋

素晴らしく美しい小屋

ここで昼食休憩

 避難小屋からは13:05に行動再開。だんだん下界では見慣れない花が増えてきた。珍しいので立ち止まっては写真を撮る。ほとんど名前は知らないので、種名を調べるのは帰ってからの楽しみにとっておく。

ゴゼンタチバナ(ミズキ科)

ヤマブキショウマバラ科

ヤマハハコ(キク科)

駒ヶ岳の山頂が近づいてきた

 植物の写真を撮りながらのんびりと歩いていたら、大きな荷物を担いだ男性に追いつかれてしまった。挨拶を交わして先に進んでもらう。

トリカブトキンポウゲ科

メタカラコウ(キク科)

オオヒョウタンボク(スイカヅラ科)

サンカヨウ(メギ科)

コウリンカ(キク科)

なかなか先に進めない

 13:40に7合半を通過。ここには山姥という名の石室があり、中から涼しい風が吹いてくる。鎌を持った山姥が出てくるかと心配だったが、石室の中を覗いてみると雪が残っていた。ここから吹き出す風が冷たく心地よかったのだ。

山姥。石室の中から冷たい風が吹いてくる。鎌を持った山姥が出てきそうな。

石室の中には雪が残っていた

 14:00にようやく8合目を通過。ここも水場は枯れていた。少し下ったところに谷川が流れる音がしたが、なんとか持ちそうなので、そのまま通過。ようやく木曽駒ヶ岳の頂上が手の届くようなところまで近づいてきた。

ようやく8合目

カラマツソウ(キンポウゲ科

アカバナ(アカバナ科

シオガマギク(ハマウツボ科)

8合目からだんだん岩が大きくなる。氷河で削られてできたカール末端の大きな岩の堆積したモレーンを通過しているようだ。

 さあ、あとは標高差100mほどのカールを登れば9合目だというところで、先ほど前に行ってもらった男性に追いついた。ザックが20kgもあってへばっているよう。今日のテント場を尋ねると、自分の予定していたテント場の宝剣岳よりもさらに2時間以上先の檜尾岳避難小屋を予約しているとのこと。木曽駒ヶ岳には何度か登ったことがありそうな口ぶりなので、自分も目標を宝剣山荘のテント場から檜尾岳避難小屋のテント場まで行けるような気がして、目標地を変えることにした。

このカールの上まで上れば頂上はもうすぐだ

イワツメクサナデシコ科)

ミヤマダイコンソウ(バラ科

ウメバチソウニシキギ科)

オタカラコウ(キク科)

チングルマバラ科

カールはなかなかの急勾配

 カールは思いのほかきつかった。1時間ほどもかけて上り、15:13に9合目の玉乃窪山荘に到着した。売店で水を補給しようかと思ったが、山荘のご主人が親切にも水を分けてくれた。2リットルをわずか100円で補給できてラッキーだった。すぐに男性も合流し水を補給。10分ほど休憩して先に木曽駒ヶ岳の頂上に向かった。

玉乃窪山荘に到着。ご主人から水を分けてもらった。ありがたい。

 奇岩の並び立つ登山道を登っていく。ガスが上ってきては消えていく。

玉乃窪山荘から木曽駒ヶ岳山頂を望む

登山道に神社

奇岩が並ぶ登山道

 木曽小屋を過ぎ、16:06にようやく木曽駒ヶ岳山頂(2956m)に到着した。予定よりも2時間ほど遅れている。残念ながら頂上に着いた途端にガスに包まれてしまった。お腹が空いたので、頂上であんパンを食べてから16:25に行動再開。

木曽駒ヶ岳山頂(2956m)

残念ながらこのタイミングでガスに包まれてしまった。こちらは御嶽が見えるはずの北側。

中岳、宝剣岳と続く南側にもガス

パンを食べて小休止。密閉されたパンの袋がパンパン。

 木曽駒ヶ岳からは頂上山荘に向かって下っていく。すでにテントが50張近く設営されている。

頂上山荘に向かって下っていく。正面は中岳。

 テントを横目で眺めながら、16:51に中岳(2925m)を通過。

頂上山荘に近い好立地のテント場。

中岳(2925m)を通過

 中岳の先に見えるのは宝剣山。鋭く天に突き刺すような山容だ。

剣岳が見えてきた。手前が宝剣山荘とテント場。

 17:00に宝剣山荘脇を通過。くだんの男性がテントの設営に取りかかっている。聞けば、檜尾岳にはたどり着けそうにないので、テント場はキャンセルして、ここにテント泊するように方針を変えたとのこと。いまさら、そんな。。。

宝剣山荘を通過

ここはヘルメット装着区間

 一瞬、ここでテント泊しようかと迷ったが、先に進むことにした。頑張れば薄日の残るうちに檜尾岳に到着できる可能性がある。

 宝剣岳にとりかかる。登攀技術のない方はご遠慮との看板があるが、鎖がしっかりと施してあり、危険なところはない。17:25に宝剣岳山頂に到着した。ここは山名標がなく、賽銭箱が設置してあるだけ。ザックを下ろして、お賽銭を投げ入れて、手を合わせる。

鎖場が続く

剣岳山頂に到着

ヘルメットを脱いで手を合わせる

 南には駒ヶ根ロープウェイの千畳敷駅、千畳敷ホテルの赤い屋根が見える。西にはこの先のルートが見えてきた。長い稜線だ。

南は千畳敷カール。

東には島田娘から空木岳に連なる稜線が続く

 時間はあまりない。宝剣岳からは迷わず先に進む。上から見ると美しい稜線に見えたが、なかなかハードな岩場が続く。

しばらくはゴツゴツの稜線

ときに鎖場

南はカールに切れ落ちる

 18:07に三ノ沢岳分岐を通過してからは、低いハイマツの生えた快適な稜線の道に変わった。ゆっくりと楽しみながら歩きたいが、そんな時間はない。日没時刻は18:52だ。

三ノ沢岳分岐

三ノ沢岳。こちらには進まない。

正面に見える島田娘に向かって走る

 稜線の道を走る。18:15に極楽平(2827m)を通過。振り返ると氷河によって削られた雄大なカールが見える。カールの端には、氷河によって押し出された岩石の堆積したモレーンが形成している。自然の力は素晴らしい。

のんびり歩きたい良い道だ

振り返ると千畳敷カール

小さなカールの末端にはモレーンが形成している

 そんなことを考えながらひたすら走る。18:25に島田娘(2858m)を通過。ここまでは道は良い。ただし、行く手にはガスがかかってきた。

美しい道だ

でも完全に日が沈んでしまった

前方には濃いめのガスが湧いてきた

 ハイマツの道から、大きな岩がゴロゴロ転がるコースに変わってきた。すでに日没は過ぎ、ヘッドライトの明かりを頼りに進む。岩をよじ登り、19:20に濁沢大峰に到着。

だんだん岩が大きくなる

ヘッドライトが霧に反射して、コースを見つけるのが難しくなってきた

濁沢大峰に到着

 この先もしばらくは岩を乗り越えながら進む。遠くには檜尾岳避難小屋の明かりらしきものもチラリと見えたが、すぐにガスにかき消された。濃いガスに包まれて、ヘッドライトの光が届かない。しばらく目印を探して先に進んだが、ガケの先端に出てしまった。戻ってみたが正しいコースが見つからない。ガスはどんどん濃くなって、冷たい水滴が身体にまとわりつく。

 19:49にはこれ以上進むのは危険と判断し、稜線の岩陰の安全そうなところを探す。風が吹きさらす稜線の影になる1畳ほどの岩の間を見つけてビバークすることとした。20:03に行動終了。残念無念。

岩の間を見つけてビバーク

2024年8月2日 TJAR歩いてみた 12日目 長野県木曽郡木曽町木曽駒高原〜木曽駒ヶ岳山系濁沢大峰 晴れ 34/18℃ 行動距離17.4km 行動時間12:34 獲得高度2390m 34615歩 行動中飲水量3000ml