とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

TJAR歩いてみた 13日目 濁沢大峰〜駒ヶ根

 本日はテントの中で4:00に起床。軽量化のためにシュラフを携行せずにダウンパンツとシュラフカバーのみのため、昨夜は寒くて何度も目を覚ましてしまった。明け方はとくに風が強く、稜線に近いところに設置したテントが浮き上がりそうになった。まずはカフェオレで身体を温めて、朝食のクラッカーを頬張る。

朝食はいつもカフェオレとクラッカー

 テントの外に出てみた。日の出時刻は20分ほど後の4:48。東の空が明るくなってきた。

現在の標高は2500m。雲海の空が明るくなってきた。

 撤収作業をしながら、日の出の瞬間を眺める。昨日はやむなくのビバークだったが、こんな光景を見られたのは幸い。南アルプスの向こうには富士山もくっきり見える。

南アルプスの山の上に富士山が顔を出す

 撤収を終えて5:25に行動開始。コースにはすぐに復帰できた。でもいま見てみても、ヘッドライトの光で進むのは困難な岩だらけの道程だ。TJARの選手達は野生の勘が鋭いのだろう。自分には無理。

機材はこれだけ

ここをガスの中、ヘッドライトで歩くのはね~。

 雲海の上の檜尾避難小屋が見えてきた。6:25に檜尾岳(2728m)に到着。ああ、あの小屋のテント場に泊まりたかった。もう少ししっかりと計画を立てないといけなかった。

檜尾避難小屋。このロケーション、最高。

檜尾避難小屋

 さらに稜線の道を進み6:56に大滝山(2708m)に到着。ポツリポツリと空木岳方面から進んできた登山客とすれ違うようになってきた。みな美しい稜線の道を楽しそうに歩いている。

フウロソウフウロソウ科

ツメクサ(ナデシコ科)

ナデシコナデシコ科)

 7:57に熊沢岳(2778m)に到着。10名ほどの集団が通り過ぎる。挨拶を交わす。「アンニョンハセヨ」。韓国からの登山者だった。昨年の北アルプスもそうだったが、外国からの登山客は爆発的に増えている。

こんな無名のピークがいくつも

右手には御嶽

熊沢岳

ハクサンイチゲキンポウゲ科

ミヤマキンポウゲキンポウゲ科

ヤマハハコ(キク科)

トリカブトキンポウゲ科

南アルプスの山々と富士山

 さらに快適なハイマツの稜線の道を進み、9:29に東川岳(2671m)を通過。美しい空木岳が鋭角な稜線をこちらに見せている。

ハイマツの稜線の道を空木岳に向かって進む

空木岳の稜線は厳しい鋭角

 東川岳からは一気に高度を下げて、9:49に木曽殿山荘に到着。ここは木曽義仲が越えたことで名付けられた峠の木曽殿越(きそとのこし)に因んだ名前。山荘に入って売店の500mlの飲料水を一気飲み。さらに500mlの水を2本購入。これで水は1500mlに増えた。下山までは持ちそうだ。

木曽殿山荘

 10:00に山荘を出発し、空木岳の稜線に取りかかる。間近に頂上が見えるのだが、勾配が強く、なかなか近づいてこない。山荘と頂上との標高差は400mほど。ときに大きな岩を越え、すこしづつ頂上に近づく。

木曽殿山荘から空木岳は間近に見える

ところがなかなか頂上が近づかない

ミヤマダイコンソウ(バラ科

 10:54に標高2782mの肩を通過し、11:34に空木岳(2864m)にようやく到着した。山頂には多くの人。人気の山だ。

ようやく肩を通過

なかなか大変な岩場

ようやく頂上に到達

 くやしいことにまたもや頂上ではガスに包まれる。名残を惜しみながら山頂を離れ、11:46に駒峰ヒュッテに到着して、コーラを一気飲み。汗をかいたときはコーラが最高。次に到着したトレラン3人衆も同じくコーラを一気飲みしていた。

イワカガミ(イワウメ科)

駒峰ヒュッテ

 駒峰ヒュッテからは12:10に行動再開し、奇岩とハイマツに囲まれた心地よい道を進み、12:32に駒石(2650m)に到着。ここには多くの人が歩を止めて記念撮影をしている。中には駒石の頂上に登って写真をとっている人もいる。こんな大きな石も氷河の力で運搬されたものなのだろう。まったく自然はすごい。

快適な道が続く

たくさんの奇岩がお出迎え

駒石。人の大きさに注意。

 駒石を通過して、ハイマツの茂みを下っていくと樹林帯が始まる。登山道はよく整備されている。12:53に空木平分岐(2540m)、13:28ヨナ沢の頭(2330m)と順調に進み、高度を下げていく。

ハイマツのトレイルに別れを告げる

トウヤクリンドウ(リンドウ科)

空木平分岐からは樹林帯となる

なかなかの急勾配が続く

 13:52から迷い尾根(2230m)に進む。ちょうどトレラン3人衆が先導して行ってくれているので迷うことはなく進むことができる。ここからは危険箇所が続くようで、小地獄、大地獄とおどろおどろしいネーミング。ただし鎖や階段が付けてあり、問題なく通過できる。

迷い尾根を進む

シモツケソウ(バラ科

クガイソウ(オオバコ科)

 14:44にマセナギ(1980m)を通過。このあたりから300名山達成の男性、愛知県から空木岳の登山に訪れた女性と一緒に話をしながら歩いて行く。ちょうどスピードが同じぐらいで、気持ちよく歩くことができる。男性の知り合いには6人ほどTJARに出場した人がいるよう。ご本人はフルマラソン3時間30分の壁が突破できずに、出場歴はないとのこと。いずれにしても素晴らしい。

 15:15に水場で小休止。この先はしばらく林道を歩き、15:55からショートカットの急勾配の道に進んで、16:34に池山尾根登山口(930m)に到着した。男性からは「駅まで車で送ろうか?」と言われたが、これは冗談。

この水は美味い

ローカルしか知らないようなショートカットを進む

 登山口で2人には別れを告げ、駒ヶ根駅までの6kmほどの最後のロードとなる。正面に南アルプスの山並みを眺めながら、ときに走り、ときに歩く。足の爪を痛めたようで、つま先が少し痛むが、こんなのはTJARに出場している選手に比べれば問題なし。

さて、ロードのスタートだ。

正面にはドーンと南アルプスの山々。デカい。長い。大変そうだ。

 最後の力を振り絞って17:45にJR飯田線駒ヶ根駅に到着して行動終了。今年の夏が終わった気分だ。

駒ヶ根駅すずらん通り

JR飯田線駒ヶ根駅

 昨年の夏と今年に分けて、富山湾のスタート地点から北アルプス上高地中央アルプスを経て、合計13日で駒ヶ根に到着した。2024年の本物のTJARは8月11日にスタートしたが、3日目には先頭の選手が、4日目にはリタイアした選手を除いたほとんどの選手が駒ヶ根を通過している。人間離れした超人揃いだ。それにしてもTJARとは過酷なレースだ。

 来年の夏に、TJAR最後の南アルプスを歩くのが楽しみだ。

2024年8月3日 TJAR歩いてみた 13日目 長野県木曽郡木曽町木曽駒ヶ岳山系濁沢大峰~長野県駒ヶ根市駒ヶ根駅 晴れ 23/14℃ 行動距離19.9km 行動時間12:10 獲得高度918m 44804歩 行動中飲水量3000ml