とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

人のセンベイを割るな

 東海自然歩道トレッキングの中継地での出来事。三重県御在所ロープウェイ麓駅に到着し、福岡への帰途につくためのバスを待つ1時間ほどの間、ターミナルに立ち並んだお土産店や軽食を売る店をのぞいていた。

 気になったのが、湯の山温泉名物「大石焼」と書かれた店舗。大石とは、この地に縁のある大石内蔵助に因んだものだろう。やわらかい煎餅とは面白そう。

 しばらく観察していると、ロープウェイで御在所岳の山頂から降りてきた観光客がときおり買い求めている。中にはリピーターなのか、「温かい焼きたてを頂戴!」と店主に声を掛けている人もいる。

 店舗前をそ知らぬ顔をして通過しながら、横目で値段を確認すると、1枚150円とお手頃価格。試しに1枚買ってみようと、思い切って店主に声を掛けると、「焼きたてですよ」と言いながら作業台の上の紙の包みの中から1枚の煎餅を取り出した。

 そのまま渡されるのかと、小銭入れから取り出した150円を握りしめて待っていると、店主はこちらに背を向けて作業台の上でなにやら煎餅に処理を施してから、ビニール袋に入れて手渡してきた。

 その大石焼がこれ。焼きたてのやわらかい煎餅を、はさみで半分に切ってある。

 袋を渡された瞬間、思わず店主に聞いた。「なんで切ったの!?」。

 「食べやすいように!」と答えが返ってきた。こちらの怒気を感じたのかどうか、「どうせ食べるんでしょ?」と強めの口調で重ねてきた。

 納得がいかない。煎餅は切らずともビニール袋に入る大きさ。半分に切られた煎餅を突っ返そうかとも思ったが大人げない。

 渋々と口に入れた煎餅そのものは、やわらかい食感が面白く、生地にたっぷり入ったゴマの香ばしさと、真ん中に乗せられた山椒の葉のアクセントも効いていて美味しかっただけに残念。硬さはナポリタイプのピザクラストとかわらない。はっきり言おう。丸ごとでも食べにくいとは思えない。もう一度聞きたい。なぜ切った?

 湯の山温泉は、1970年に公開された「男はつらいよ」第3作のロケ地。柴又帝釈天参道の手焼き煎餅の店で、店主が「ハイヨ」と言いながら、煎餅を目の前で割って寅さんに手渡しする場面が頭に浮かんだ。「このトンチンカンのベラボーめ。いったい何だったってセンベイを割って渡しやがるコンコンチキがいやがんでー。。。。。。」

2022年10月10日 東海自然歩道13日目(通算214日) 三重県鈴鹿市椿大神社〜菰野市湯の山温泉 秋雨や越すに越されぬうつべ川

 本日の東海自然歩道トレッキングは三重県鈴鹿市椿大神社(つばきおおかみやしろ)からの再開。本殿でお参りを済ませて7:13に行動開始。

 雨の降る境内を東に進む。弓道場の柵を越え、苔むした道に入る。ここはまだ広い境内の中の一部のようで、かつて修行僧がこの辺りに居を構えたと書いてある。熊野古道のような厳粛な空気が流れる。とはいっても、熊野古道には行ったことはないが。

境内を東に進む

弓道場を過ぎる

シダの道を通過

 スギ林の終点には池。その先には茶畑。雨に煙る茶畑に設置されたワナに一頭のシカが捕えられていた。頭を激しく柵にぶつけて暴れるが、どうにもならない。姿が愛らしいだけ憐れさを誘う。

 8:20に内部川(うつべがわ)の右岸に到着。ここから東海自然歩道の道標は川辺の草地の中を下流に向かって誘導する。ぬかるみに足を取られ、靴の中が湿ってくる。500mほど進んだ砂防ダムの手前で、道標は不自然に川の方を指す。ここが渡渉地点のよう。対岸の砂地までは20mほど。しかし、昨日からの雨で膝上ぐらいまで増水している。雨も強くなってきた。靴だけでなく、ズボンも脱いで、ザックを頭の上に載せないと渡れそうにない。

内部川の右岸に出る

ぬかるんだ道を下流に進む

微妙な道標だがここが徒渉ポイントのよう

昨日からの雨で増水している

 ここは渡渉できないと判断し、さらに下流に進む。地図には川に何カ所も橋のような構造物が描かれているが、すべて破線。これは砂防ダムの記号か?いずれも徒渉できるような所ではない。その後も徒渉可能なところを探して下流に進むが、だんだん川幅が広くなってきた。

徒渉可能場所を探して下流に進む

 とうとう1kmほども進み、新名神高速道路の橋脚下まで来てしまった。雨の降らない橋脚の下で一句浮かんだ。「秋雨や越すに越されぬうつべ川」。

高速道路の橋脚下で雨宿り

 こんなことを言っている場合ではない。地図で確認してみると、さらに1kmほど下流に進まないと橋はない。進むか、あるいは戻ってズボンを脱いで徒渉するか。結局のところ、最初の徒渉ポイントから50分ほども歩いて、昭和橋を渡って左岸にたどり着いた。

さらに下流に進むさらに下流に進む

最初の徒渉ポイントから2kmほどの昭和橋で内部川をようやく越える

 少し遠かったが、晴れ間が見えてきて気分も明るくなってきた。左岸には桜の並木。春はきれいなことだろう。少し先の畑にはショウガが植えてある。ちょうどトラクターが土を掘り起こして、その後を追いながら作業者が収穫をしている。収穫の際に折れたりするのだろうか。ショウガの香りが漂ってきた。

左岸を歩き始めたら晴れ間が見えてきた

川沿いの畑からショウガの香り

 9:43に最初の徒渉地点の対岸にたどり着いた。往復4km以上の迂回だった。ところがここから北に進むはずの東海自然歩道も通行止めになっている。なんということかと思ったが、迂回路が丁寧に標されていた。案内に従って進む。

徒渉ポイントを対岸から見る

 ほどなく正規の東海自然歩道に復帰した。瀬戸用水という歴史的な遺構に沿ったルートのようだが、湿気が多く、ヒルの襲来が心配。遺構は気になるが、足を止めずに先に進む。

東海自然歩道に復帰

瀬戸用水の遺構があるか

これか?

 10:03にもみじ谷の入口に到着。文字どおり楓の植えられた谷を登っていく。着いた先が宮妻荘旅館。ここのベンチを借りて小休止。雨具を脱ぐと、Tシャツの上をヒルが這っている。慌てて撃退する。どこから入ってきたのだろうか。旅館の女将さんが出てきて世間話を交わす。自分も年に2、3回ヒルにやられるとこぼしていた。

もみじ谷

谷を登ると料理旅館

 10:29に行動を再開。舗装路を快適に進む。右手には一面の茶畑が市街地まで続く。晴れ間が出てきて心地よい。

その先の茶畑は見事

どこまでも続く

 舗装路のまま10:44に雲母岳登山口を通過する。雲母(きらら)橋を通過した先は、砂利道に変わる。幅4mほどの快適な林道が続く。標高は340mほどで、晴れ間が覗かせるが、暑くはなく、汗も出ない。

快適な林道を進む

雲母橋

ここからは砂利の林道となる

 道は再び舗装路に変わり、11:16に茶屋の上不動尊に到着。石段を登りお参り。冷たい山水が引いてあるが、飲用ではないと明記してある。手と顔を洗い、先に進む。

茶屋の上不動尊

 11:27に分岐に到着。左の林道湯森谷線に進む。幅4mほどの良好な舗装路。法面の補修をしているが、問題なく通過できる。

 工事現場の先の道路脇に2頭のカモシカが立っていた。すぐにカメラの用意をするが、間に合わない。グィッグィッと、シカとは異なる声を出して斜面を駆け下りていった。

法面工事の現場を通過

右の路肩にカモシカを見つけたが写真撮影は間に合わず

 舗装路を快調に進み、どんどん高度を上げていく。12:00に路傍休憩所に到着。ここまではほとんど眺望はなかったが、麓あたりまで見えてきた。ここで15分ほど小休止。

 行動再開後に林道雲母ケ峰線との分岐を通過。この先は路面に落石が増え、交通量が極端に少ないことがわかる。12:46に標高546mの峠を越えるが、この先も緩い上りが続く。

林道雲母ケ峰線との分岐を通過すると路面が荒れ始める

 13:05に林道の終点に到達。ここからは非舗装の山道に一変する。道標の数は少なくなり、コースは水流で深く抉れている。砂礫の道を気をつけながら下る。ときどき壊れた道標に手製風の道案内が出てくる。また、ときおり階段が現れるが、コースの行き先が不明なところがある。

林道はここで終点

正規の道標はここまで

抉れたような道になる

足下は崩れやすい

ときおりこのタイプの道標が現れる

 谷を下って川の音が聞こえてくるあたりで、コースが完全に崩落。その先に手すりが見えたのでそちらに進むと、木製の橋があった。地図と照らし合わせると東海自然歩道とは異なる巻き道のよう。

途中でコースは消失

その先に橋があったがぐるりと巻き道に進むよう

 少し戻ると、コースと思しきあたりにロープが設置してあり、谷底を歩くことができそう。靴を濡らしながら谷川の中を進み、13:35に大きな砂防ダムに到着。このコースがEADASのコースと一致している。

谷底に進むためのロープを見つけた

靴を濡らしながら先に進む

どっぷりとくるぶしまで水に浸かるしかない

砂防ダムに到着

 砂防ダムは落差が大きく、簡単に下ることはできそうもない。周囲を眺めると、ダムの右に道が見える。崖をよじ登り、道に出た。こちらはさきほどの巻き道とつながっているよう。

砂防ダムの右上に見えた道までよじ登る

 砂防ダムから先は踏み跡がかなりしっかりついている。道標も出てきた。13:50に潜戸の滝を通過して、14:02に湯の山温泉に到着した。

ようやく道標が現れる

潜戸の滝を通過

湯の山温泉が見えてきた

 三滝川に沿って温泉旅館が点在している。鄙びた温泉街を上流に向かって進み、14:24に赤い大石橋を渡って大石公園に到着。ここは忠臣蔵大石内蔵助に因んで名付けられたよう。

大石橋を渡ると大石公園

 大石公園からは山道に進み、青滝神社を経由して、100段ほどの石段を下って14:46に蒼滝に到着。岩を伝って水しぶきを浴びる心地のよい滝だった。

再び山道に

蒼滝

 蒼滝からはいま下ってきた石段を登り、青滝神社からロープウェイを見ながら山道を下って15:17に御在所岳ロープウェイ山麓駅に到着して本日の行動を終了した。

ロープウェイを見ながら下る

麓駅に到着

ここで行動終了

東海自然歩道13日目(通算214日) 三重県鈴鹿市椿大神社菰野湯の山温泉 雨のち曇り 24/13℃ 行動距離20.9km 行動時間8:03 獲得高度906m 38318歩 行動中飲水量600ml

復路交通: 御在所岳ロープウェイバス停16:00-湯の山温泉駅16:10/16:19近鉄湯の山線近鉄四日市16:46/16:47近鉄四日市アーバンライナー-17:18近鉄名古屋/17:31名鉄名古屋-18:03中部国際空港/ANA449便20:00-福岡空港21:45

2022年10月9日 東海自然歩道12日目(通算213日) 滋賀県甲賀市鈴鹿峠〜三重県鈴鹿市椿大神社 秋の田の 刈り穂の道の 尾花を纏い わがパンツは 露にぬれつつ

 本日は鈴鹿峠で5:00に起床。標高は371mで、気温は9℃ぐらいと寒い。吐く息が白い。今回は、新しく買ったSOLのESCAPE Liteという保温機能に優れたというシュラフカバーの性能を試そうとシュラフなしで来たが、無謀だった。夜中に何度も寒さで目が醒めてしまった。ガスコンロでお湯を沸かして、カフェオレとオールレーズンの朝食をとり、6:21に行動開始。

鈴鹿峠の周囲は茶畑

カフェオレで朝食

今回の装備一式。テーブル中央のオレンジの包みがSOL Escape Liteという軽量のシュラフカバー

ヒル対策のため、行動前にはソックスの中にズボンの裾を入れて吸血生物忌避剤のDEETをたっぷり噴霧する。

 鈴鹿峠からは東海道を離れて東に進む。三子山に向かう急な木段を登る。6:49に小さなピークに到達。ここからは東の三子山には向かわず北に斜面を降りていく。ここまで登った努力をすべて無駄にするような急な階段を下ったところで、南から来た林道と合流。

鈴鹿峠からは東に進路を変える

三子山に向かって登る

どんどん上る

標高500mほどの小ピークで北に転進

一気に下る

下り終えたところで南から来た林道と合流

 右には笹路川が流れる。ほどなく幅4mの高規格の砂利敷の林道となり快適に進む。さらに7:17に右からの林道と合流した先には、川を眺めながら天国のような道が続く。

素晴らしい林道

美しい林道

こんな道がいつまでも続いて欲しい

 そんな幸せな道は1kmも続かない。舗装路に合流したところで道標にしたがって右折するとその先は薮。朝露をたっぷりと含んだ胸丈のススキでびしょ濡れになる。200mほどで藪を抜け、パンツがたっぷりと湿り気を含んだところで舗装路との交差点に出る。ここで頭に浮かんだのが昨日の壬申の乱の発端となった天智天皇。「わが衣手は露にぬれつつ」。

舗装路に入った途端に北東に転針

刈り穂の田を進む

藪に突入

舗装路にたどり着いたときには、わがパンツは露に濡れつつ

 この先は細い舗装路を進み、砂利敷きの林道に直進する。足元がぬかるみ、悪路になるかと心配したが、両側のスギ植林の管理は良好で、林道もほどほどの整備状態だった。

しばらく舗装路を歩けるかと思っていたら、

ふたたび藪かと身構える

きれいな農道に変わって一安心

 7:52に2車線舗装路に合流し、大平橋を渡って山女原(あけびはら)集落に進む。上林神社を通過し、集落を抜けたところに建つ、あけびはら山の子ハウスの軒先に荷物を下ろして小休止。

大平橋を渡る

山女原の集落に進む

あけびはら山の子ハウス

 8:11に行動再開し、しばらくは舗装路を進む。立派な害獣防御柵を2つ越え、大きな貯水池から先は山道に変わる。しばらく尾根道を歩き、8:48にかもしか高原(562m)に到着。楽しげな名前から、高原ロッジでもあるのかなと思ったが、施設は何もなし。説明板が立つだけだった。

かもしか高原に向かって上る

ここがかもしか高原かと拍子抜けした

 この先も尾根筋を上り下りして、下った先が安楽越の峠。ここが滋賀県三重県の県境。9:14に到着。ちょうど三重県側から坂を登ってきた自転車2台とすれ違う。

かもしか高原から安楽越までは尾根筋の道

わりとアップダウンがあり、安楽に越すことはできない

安楽越の峠

 安楽越から先は舗装路の長い下り坂。ワインディングロードが続く。自動車は通らず、ときおりロードレーサーが登ってくる。自動車の少ないこの坂は、自転車愛好家のメッカのようだ。

安楽越から石水渓までワインディングロードが続く

安楽川が右に見えてくる

 谷の下の方から安楽川の水の音が聞こえ始める。右手に安楽川の流れが見え始めた先が臼杵山登山口とのT字路。ここを右折したところから石水渓が始まる。

臼杵山登山口

その先の橋を渡って右折すると石水渓

 水の流れは碧く、水底の岩盤は白い。美しさに目を奪われ、なかなか先に進めない。特に目を引くのは三ツ流と名付けられた3連の小滝。

三ツ流を下流から眺める。道路左手に鬼が牙登山口

 鬼が牙登山口を通過し、10:15に川向こうに小さなキャンプ場。ここは営業をやめているよう。その先に石水渓バンガロー、さらに道路の左手にキャンプ場。ここに自販機あり。

橋を渡った先にキャンプ場(跡?)

バンガローもある

その下流にオートキャンプ場

管理棟に自販機あり

 カーブを曲がると正面に新名神高速道路の高架が見えてくる。高架の真下まで進んだところで左折してコンクリート舗装路をゆっくりと登っていく。

新名神高速道路の高架下で左折

舗装路を上っていく

 茶畑を眺めながら北に進み、害獣防護柵を抜けると、右手には坂本の棚田が見えてくる。残念ながら現在はすべて刈り取りを終えてしまい、いささか地味な状況。棚田の最上部にある坂本集落を通り、11:22に坂本農村公園の展望台で棚田を眺める。

茶畑の脇を進む

坂本の棚田

展望台から棚田を眺めたが、刈り取り後はちょっとむなしい

 坂本から先はアスファルト舗装路を進み、12:04にメモリアルパークのベンチで小休止。ずいぶんと広い霊園だが、墓石は半分も建っていない。管理人もおらず、いささか不思議な風景。

坂本から峠を越える

ちょっと気になるお寺さん

その先に広く眺めの良いメモリアルパーク

 12:15に行動を再開して坂を下る。この辺りで雨が降り出し、レインコートを装着。セメント工場の先から道標に従って左の山道に進むが、途中で道標がなくなる。太陽光発電パネルの間を縫って、EADASの示す方向に進み、12:44に正福寺の分岐に出た。先行しているジョンさんの行跡を見てみると、山の手コースを進んでいるよう。

坂を下ってセメント工場を通過

その先の左手に道標

道標の指す草むらに突入

1回だけ東海自然歩道の道標出現

太陽光パネルの間を縫って進む

 正福寺からは県道11号線を北に進む。巨大なソーラー発電所が右手に見える。左から山手を下ってきた東海自然歩道が合流。

県道11号線に合流

右手には広大な太陽光発電施設

左の山手から東海自然歩道が合流

 13:00に新名神高速道路の野登トンネルの入り口の上を通過。雨がずいぶん強くなってきた。心細くなってきた。

新名神高速道路野登トンネルの上を通過。雨が激しくなってきた。

 13:15に小岐須集落で左折。ここから茶畑の中の迷路のような道を辿る。途中で道標を見失い、しばらくスギ林の中を彷徨う。ほどなくコースを見つけ、13:35に桃林寺に到着。

小岐須集落

その先が茶畑を刈り込んだ迷路

その先で本当に迷った

 このお寺は手入れの良い庭を持った、上品な名刹。門前には東海自然歩道のためのトイレとベンチもあって好印象。

桃林寺

 桃林寺の先は再び山中に進む。雨は強く、なかなか厳しい。15:55に鍋川沿いの道に出て、飛び石伝いに川を渡る。14:10にコースを少し外れた椿大神社の参道に出て、雨宿りもかねて椿会館に立ち寄って昼食休憩。名物のとりめしと茶そばの定食を頂く。

雨の中をふたたび山中に

鍋川沿いの道に出る

飛び石伝いに参道に進む

参道の椿会館で昼食休憩

 14:50に椿会館を出る。椿大神社(つばきおおかみやしろ)に向かうが、雨にもかかわらず参拝客が多い。場違いな雰囲気を心の中でみんなに謝りながら参拝。さて、この雨の中どうしたものか。トホホ。

椿大神社から北に500mほどのキャンプ場に来てみたら

砂防ダム建設のためかキャンプ場が消失していた。HPには予約なしでも宿泊可となっているのに。

2022年10月9日 東海自然歩道12日目(通算213日) 滋賀県甲賀市鈴鹿峠三重県鈴鹿市椿大神社 曇りのち雨 19/11℃

行動距離23.8km 行動時間8:57 獲得高度1119m 39474歩 行動中飲水量800ml

2022年10月8日 東海自然歩道11日目(通算212日) 三重県伊賀市柘植駅〜滋賀県甲賀市鈴鹿峠 東海自然歩道ではここは外せない。地味ながら自然歩道とはこういうものなのかと堪能できる一日。

 本日は前泊地の南草津のホテルで5:50に起床。ホテルで朝食をとり、コーヒーを片手に出発。駅前のファミマでおにぎりを3個購入して、7:17のJR琵琶湖線に乗車。

まずは琵琶湖線。シンボルカラーは水色。

 隣の駅の草津で、7:28の草津線に乗り換え、終点の柘植には8:23に到着し、8:32に行動開始。

草津からは草津線に乗り換え。

シンボルカラーは草色

中間の貴生川駅

貴生川で8両編成の後方4両を切り離す

貴生川は信楽高原鐵道の始発駅でもある

柘植駅に到着

柘植駅では関西本線と連絡する

関西本線のテーマカラーは紫

柘植駅で下車して行動開始

 関西本線の線路に沿って南に200mほど進み、踏切を超える。数件の家を通過し、プラントを過ぎると、山中に入る。

駅の南で踏切を渡る

道沿いのこのプラントが目立つ

 路肩に白い軽トラックが止まっている。荷台を見るとどうも猟に来ているよう。挨拶を交わして聞いてみると、シカの罠をパトロールに来たという。この辺りの農地は害獣にひどく荒らされているとのこと。鈴鹿峠まで歩く予定だと言うと、気をつけてと送り出してくれた。

防御柵が設置してあるが食害は多いという

 倉部川に架かる橋を越えて、9:07に東海自然歩道の分岐に到着。本日はゾロゾロ峠に向かって林道余野線の快適な舗装路を東に進む。

倉部川を渡る

右は柘植駅に、左はゾロゾロ峠に

手入れのよいスギ木立の中を進む

 500mほど進んだあたりで、壬申(じんしん)の乱古戦場の看板が見える。壬申の乱天智天皇の後の日本中を巻き込んだ内乱だったっけ?今では、ここが?という感じの山の中。

ここが古戦場か

 9:23にゾロゾロ峠への分岐に到着。ここから先の峠に向かう道は、「源義経木曽義仲追討の道」と歌舞伎にでも出てきそうな名が付けられている。広場にはトイレと駐車場あり。

奥余野森林公園

源義経木曽義仲追討の道

 源義経木曽義仲追討の道は谷川に沿った整備状況のよい山道。坎霞渓(かんかけい)と名付けられているが、そこまで景色が良いわけでもない。

 それほど汗をかくこともなく、9:58にゾロゾロ峠に到着。名前の由来がわからないが、気になる。峠からは右の関町に進み、すぐ左に折れる。この左折地点がややわかりにくい。この先の斜面は崩れており、滑り降りないように気をつけて進む。

ゾロゾロ峠

右、左と曲がる

斜面が崩落している

 この先は加太川の上流部分に沿った山道を進む。このあたりには標識が少なく、気をつけておかないと渡渉地点を見失いやすい。

標識が少なくなる

小さな徒渉を繰り返す

だんだん渓相が良くなっていく

 11:20に加太不動滝と大日滝を通過。加太川には美しいポイントが多数ある。

不動滝

大日滝

 滝から少し進むとひらけた芝の広場があり、説明板が設置してある。ここで小休止。

 11:31に行動を再開し、北のバンドウ山に向かって加太川右股上流に進む。ここからは山道ではなく、整地された幅1.5mn林道。道に沿った加太川の渓相は良好。だんだん高度が上がり、川が見えなくなり、12:23に西島越の峠を通過。

不動滝の次はバンドウ山が目標

道は良い

素晴らしく良い

もっと歩きたい

西島越の峠

 その先の砂防ダムの上で昼食とした。このあたりはヒルの生息域なので、草むらや土の上には長時間立ち止まっていられない。

西島越の先には砂防ダム

コンクリートに腰掛けて昼食

 12:40に行動を再開し、幅の広い林道を進む。両側をスギ植林に囲まれた道を進む。

加太川右俣を上流に進む

心地よい

 13:20に舗装路に合流し、左折して坂を上る。坂を越えたところで、直進する加太駅に向かう道から分かれて、左の蛇谷川に沿った山道に進む。

加太駅に向かう舗装路に合流

坂を下った先で、左の山道に入る

林道蛇谷線を上流に進む

 13:44に橋を渡って山中に進む。グイグイ高度を上げていき、尾根筋の道を進む。14:08に高圧線の鉄塔下で小休止。

橋を渡って東の山中に進む

かなり急な木製階段を進む

尾根筋を進む

高圧線を横切る

 その後は尾根筋のアップダウンのある道を進み、14:44に舗装路に合流。右に牛谷川を眺めながら、幅4mの快適な舗装路を進む。

尾根筋ながらアップダウンはある

舗装路が見えてきた

沓掛に向かう舗装路を歩く

 15:05に中津川に架かる籬(まがき)橋を通過し、中部電力の施設を過ぎたのちは2車線の舗装路に変わる。

籬橋には数戸の集落

中部電力の巨大な施設

施設の先は2車線道路

 15:26に国道1号線と交差。さほど交通量のない国道の上を歩道橋で渡り、ほんの少しの藪漕ぎののち、旧東海道の沓掛に入る。

国道1号線に合流

東海自然歩道専用の歩道橋とは贅沢な

このあたりの国道1号線は交通量が少ない

その先には茶畑と少しの藪

沓掛の旧東海道に合流

 左に鈴鹿川を眺めながら街道の道を進み、15:54に廃校となった小学校を活用した鈴鹿然の家で小休止。天体観測用のドームが目立つ。自然の家の前には鈴鹿馬子唄会館の魅力的な建物。

左には鈴鹿川

街道筋の面影が残る

鈴鹿峠然の家

鈴鹿峠馬子唄会館

東海道五十三次の道標が立ち並ぶ

 16:20に坂下の宿場を過ぎる。往時は多くの往来があっただろうが、現在は本陣、脇本陣の跡が残るのみ。店舗、食堂などはなく、自販機2台のみ。

坂下宿

 立派な山門を構えた法安寺に立ち寄った後は、16:36に国道1号線に合流と思いきや、右折して激坂の山道に進む。これが箱根峠と並ぶ東海道の西の難所の鈴鹿峠かと思うと、足が攣ってきた。

法安寺の山門

その先で国道1号線と再合流

東海自然歩道国道1号線には進ませてくれない

右手の激坂を上る

まだ上る

さらに上る

左の国道のほうが楽そうに見える

 17:08に片山神社に立ち寄る。長い石段を登ってみたが、社殿は焼失したままだった。この先は国道1号線の橋梁の下を潜り、最後の登りを踏ん張る。

石垣の立派な片山神社

残念ながら社殿はなく、小さな祠があるだけ

国道の橋梁の下をくぐる

これが往時の石畳か

 日没は17:17で、盗賊でも出そうな雰囲気になってきた。17:24に鈴鹿峠に到着。近江と伊勢の境界石、東海道の礎石が並ぶ。

日没を過ぎた

かつては鈴鹿峠では盗賊が暗躍していたという

 茶畑の中をしばらく進み、17:30に鈴鹿峠路傍休憩所に到着して本日の行動を終える。この先の国道1号線鈴鹿トンネルの出口からは大型車の排気音が聞こえてくる。

鈴鹿峠路傍休憩所に到着

現在は灯の点らない常夜灯が迎えてくれる

向こうには国道1号線

2022年10月8日 東海自然歩道11日目(通算212日) 三重県伊賀市柘植駅滋賀県甲賀市鈴鹿峠 曇り 20/13℃

行動距離24.1km 行動時間8:56 獲得高度1300m 41290歩 行動中飲水量1000ml 

往路交通: 西新16:38福岡市営地下鉄福岡空港16:57/18:10ANA420-大阪伊丹空港19:35/19:50空港リムジンバス-京都20:37/21:16琵琶湖線南草津21:33(前泊)

南草津7:17琵琶湖線草津7:20/7:28草津線-柘植8:23

2022年9月25日 自然歩道ウォーカーの休日 靉本水没顛末記

 今回はタイトルこそ「休日」としたが、「悪夢」とでもつけたかった。

 2022年9月24日の東海自然歩道10日目のトレッキングは、ご覧になった方もいるかと思うが、写真がなく、またGPXデータも保存されていない。

 3連休初日の9月23日は、台風15号が向かってきているところを大津から紫香楽宮まで歩いたのだが、1日中大雨に打たれている間に、iPhoneの調子が次第に悪くなってきた。具体的には、昼食の際に充電をしようとLightningケーブルを差し込んだところ、「Lightningの端子から水分が検出されましたので充電できません。ケーブルを外してください。」といった内容の、これまで雨天歩行時には何度か現れたことのある警告が出てきた。

いま思えば、歩き始めて1時間ぐらいでいやに写真に曇りが生じていたな

 こんなときには、禁じ手かもしれないが、ドライヤーで乾かすと復活したことがある。昼食のそば屋のトイレを借りたところ、案の定、ハンドドライヤーが設置してあった。これでしばらく乾かし、再度Lightningケーブルを差し込んだら、「Lightningの端子から水分が検出されましたが、緊急の場合には充電が可能です。」といった内容の表示が現れた。この表示ははじめてだった。躊躇いつつも、食事の間30分ほど充電を行い、80%ぐらいまで充電量が復活したところで店を出て、トレッキングを継続した。

 次に異変に気がついたのが、ゴール間近の紫香楽宮跡。礎石のみが残る遺構だが、できるだけ細部まで記録しておこうと写真を撮り始めたら、すぐに残りの充電量が10%を切った。モバイル電源をつないで充電を試みるが、何の反応もしない。嫌な予感がしたが、残り3枚ほど写真を撮影したところでiPhoneは電源が落ちてシャットダウン。そのまま同日ゴールの信楽高原鐵道紫香楽宮跡駅からの帰途についた。

最後の方はボケボケでフォーカスが合わなかった

 南草津のホテルに戻ってから、ドライヤーで乾かしていたら、なんとか電源が入り、充電が開始した。ところが充電量が19%から増えない。さらには、液晶画面の右下と左上に黒い影が生じてきた。これ以上電源を入れていたらまずいと判断し、電源をシャットダウンした。

 そこで今朝に到る。iPhoneは電源を入れても、ウンともスンとも言わない。どうも、やっちまったようだ。

 ということで、昨日9月24日の滋賀県甲賀市紫香楽宮跡から三重県伊賀市柘植に到る東海自然歩道10日目のレグは文字情報のみ。それでも残しておきたかったのは、後に続く人がいるようなので、コース状況や迷いどころ、自販機の位置などを伝えたかったから。もう、自然歩道歩きとその記録は仕事のような義務感を感じてしまうのだ。

せめてもと思い、地図に道標等の記録を書き込む

 さて、JR柘植駅から草津線に乗り、終点の草津駅を経由して南草津駅に降りたのが17時ぐらい。明日のトレッキングはスマホなしでもいいから、時計だけでも買って、チェックポイントの通過時刻だけでも記録に残そうと、駅前の商業施設に入ったら首尾よく100均ショップで時計が見つかった。

 よしよしとほくそ笑みながらエスカレーターを下ると、その横にはスマホ修理屋の屋台が出ている。直れば儲けものと預けてみたら、やはり水没だという。1時間ほどで起動できるようにはしましょうと言うことで、食事を済ませてショップに戻ってみる。充電スイッチ部分が水没で完全に壊れているよう。再充電はできないが50%残量の電池をつなげたので、動作している間に機種変更をしたらどうかと勧められる。現在の時刻は18:30。

 修理屋が電話を掛けて、営業している店を探してくれる。スマホショップの多くは19:00で閉店するだろうと思ったら、隣の草津駅の近くに21時まで対応できる店舗があるという。

 修理代金を支払ってタクシーに飛び乗った。100mほど走ったところで、草津駅ならば今は道路が渋滞中だから電車の方がだんぜん早いという。すぐに南草津駅に戻ってもらい、草津駅近くのスマホショップには19時過ぎに到着した。

 現在使用しているiPhoneと同程度のスペックのものが1機あった。他の選択肢はなし。即決して機種変更。20時には手続きを終えて、あとはホテルのWi-Fiで水没iPhoneから新iPhoneにデータ移行をするのみとなった。

 南草津のホテルに戻り、マニュアル片手にデータ移行を行う。なんとかBluetooth接続し、データが転送され始めたのを確認して、シャワーを浴びる。髪を乾かしてもまだ転送が続いている。テレビをつけっぱなしで、そのまま朝まで寝落ちしてしまった。

 さて、本日9月25日の4:30にハッと目が覚めた。新iPhoneを起動させてみた。なんとデータ移行に失敗していました。「初期状態に戻すよ」みたいなボタンが表示されている。

 次いで、水没iPhoneを起動させてみた。電池切れで死んでいました。凹みました。

 しかし、凹んでばかりもいられない。善後策を検討。

 1つ目の選択肢は、このまま死んだ水没iPhoneと動かない新iPhoneを持ったまま東海自然歩道11目のレグに出発する。歩いている間は楽しいかとは思うが、GPSデータも写真も残せない。さらに心配なのは、福岡に水没iPhoneを持って帰ったら復活できる修理屋がすぐに見つかるかどうか分からないこと。これはリスクが高すぎる。

 2つ目の選択肢は、昨日利用した南草津の修理屋の開店を待って、電池の再装着を依頼し、草津iPhone購入店でWi-Fiを使用してデータ移行を行うこと。ハイ、今回は後者を選びました。

 ホテルを10時にチェックアウトし、すぐに修理屋に向かい、11時に電池をつなぎ替えたiPhoneを受け取って草津のショップに直行。予約客で一杯のところを2時間待ってデータ移行を手伝ってもらい、1時間でデータ移行を終えた。14時に新iPhoneの動作確認。昨夜と同じ手順で実行したが、前回なぜ失敗したのか分からない。Wi-Fiが遅すぎたのだろうか。

 帰りの飛行機は20:00中部国際空港発。今日は凹みすぎて、残りの時間を楽しく過ごそうという気力は湧いてこない。

 せめてもと思い、草津駅に行き、本日は乗車予定のない草津線の列車を撮影。次いで、草津から中部国際空港まで、新幹線を使わない鉄道経路を検索。琵琶湖線米原まで行き、東海道本線に乗って大垣で乗り換えて岐阜まで。岐阜からは名鉄に乗り換えて中部国際空港という3時間弱の旅が良さそうだ、ということで現在、中部国際空港でPCを開いている。

草津線には乗らずに列車の写真だけ撮影

草津からは琵琶湖線に乗車

米原に到着

東海道線に乗り継ぎ

車窓には伊吹山

大垣に到着

さらに東海道線

岐阜に到着

JR岐阜駅と名鉄岐阜駅は歩いて10分ほどの距離

名鉄列車に乗車

中部国際空港から福岡に帰る

 これもA Day in the Life

2022年9月24日 東海自然歩道10日目(通算211日) 滋賀県甲賀市紫香楽宮跡~三重県伊賀市柘植 伊賀甲賀靉本滅浄忍道

 今回は東海自然歩道10日目のレグだが、写真がほとんどなく、また自分の歩行したGPSデータも保存されていないことをまずお詫びしたい。前日の雨中歩行でiPhoneが水没して死亡してしまったのだ。このあたりの顛末は、もう少し心の傷が癒えてきたら書くことにしよう。

 本日は基本的には文字情報のみのトレッキング記録とする。時計もないので、情報は路面状態と道標が主体。風景描写には筆力が不足していることも自覚している。つまらなかったらすっ飛ばしてもらいたい。

 本日は南草津のホテルで6:00に起床。スマホがないので、目覚ましなしで起きてみたら、この時間だった。iPhoneのスイッチを入れてみたが、動作しない。しかたがない。出発準備を整えて着替えを済ませる。

 6:50にホテルを出発し、南草津から7:17の琵琶湖線に乗る。一駅で草津に着き、7:28発の草津線に乗り換える。草津線の写真を見せられないのが残念。草色なのだ。テーマカラーなのだろうが、「草色」。どストレートで草色としか表現できないこの色の車体を皆さんにお見せしたかった。

翌日、草津駅で撮影した草津線の列車。まさに「草色」だろう。

 貴生川には7:58に到着。ホームの反対側で待つ信楽高原鐵道に乗り換える。信楽高原鐵道の写真もお見せできないのが残念。テーマは忍者。カラーは紫。8:04に紫香楽宮跡駅に到着して、行動を開始。駅の自動販売機が本日の行程のほぼ最後の自販機となる。

 1面ホームのみの無人紫香楽宮跡を出て、踏切を渡る。踏切のすぐ先の左手から木製の階段の続く山道に入る。傾斜のきつい階段が50段ほど続く。その後は稜線を伝うなだらかな山道に変わる。4つほど小さなピークを迎えるが、3つめと4つめのピークからは、かつて紫香楽宮があったであろうところを木々の間から見ることができる。

持参の地図に情報をメモ。自分でも読めないか所あり。

 正面から新名神高速道路の自動車の音が聞こえ始める頃から、急な階段を下る。下り着いたところが隼人橋。EADASのプリントアウトを見ると橋を渡った国道367号線にコースを示しているが、隼人橋のたもとにある道標は川を渡らずに隼人川の左岸を進むように指している。今日はGPSが使えないので、現地の道標に従って進むことにする。左岸の道は隼人川に沿った快適な道で、国道を歩くよりは、こちらを選択して正解だと思う。隼人川は川底が白い岩で覆われた美しい川。流れる水は澄んでいる。川の向こう側から、信楽高原鐵道の列車が通過する音が聞こえる。

 500mほど進んで、つめた谷橋から新名神道路の高架下を潜って南に折れる。最初は500mほど舗装路だったが、非舗装の林道に変わる。さらに進むとエノコログサが膝丈まで延びた道に変わり、山道の中央が雨でえぐれたようになってくる。500mほど山道を進んだところで道は二股に分かれる。ここには道標はない。迷いどころ。地図を睨んで左に進む。

 このさきは荒れた谷となる。谷川に沿った泥濘む道を進んでいく。峠が近づいたところで、植林された何本ものスギの幹に紫色のテープが巻かれているのに気がついた。巻かれているのは30~40年生ぐらいの伐採にはやや若いぐらいのスギ。何故だろうと考えながら歩いていると峠に着き、ここで東海自然歩道の道標が現れた。左の道を選んで正解。ホッとした。道標には次の目標地の岩尾池まで4.1kmと書いてある。

 峠までの上りが泥濘んだ荒れ谷だったのに比べて、下りは美しい林道となる。その林道もしばらくすると簡易舗装に変わり、しっかりした舗装路に突き当たってそこから左折して進んだ。後方から自転車が音も立てずに抜き去っていった。挨拶を交わす間もない。

 舗装路の両側にはスギの植林。右のスギ林の手入れが見事。均等に間伐され、枝打ちをされた幹はすっくと伸びている。下草はきれいに刈ってあり、ずっと向こうまで見通せる。そんな光景を眺めながら坂を下っていたら、風景は黄金色の穂をなびかせた圃場に変わり、杉谷集落の中心に着いた。

 つめた川に架かる新田橋を越えた後、県道132号線を右折して南に進む。この辺りは左右ともに水田。100mほど進んだところに屋根のあるベンチが設置してあったため、本日最初の小休止。集落に入っても東海自然歩道の道標はこまめに設置してある。このベンチも東海自然歩道ウォーカーのためのもののよう。うれしい。

 県道132号線を1kmほど進むと、正面に岩屋池が現れた。緑の水面に青い空が映る。県道は池の右を進み、歩道は池の左側を池に沿って進む。途中で30mほどのトンネルを通過。路面は土で滑りやすい。

 トンネルを抜けた先に芝生の堰堤があり、そこにテントが一張り。キャンプOKなようだ。堰堤の南はそのまま大沢池につながる。今度は池に沿って進まず、東の山中に進む。

 勾配の強い山道を登っていく。地図では真っ直ぐ東に延びているが、左右にいくつもの脇道が現れる。植林の管理用に作られた道のようだ。400mほどのピークに東海自然歩道の説明板が設置してある。ここで北に方向を変え、今度は一気に下り。北にある昭和池をチラリと眺めながら進むと、山道から砂利敷きのきれいな林道に変わり、左からの林道と合流した後は舗装路に変わった。

 舗装路を曲がりながら高度を下げていく。右手にノボリオ池、その先は黄金色の水田。このあたりは近江米の産地のよう。狭い路地に東海自然歩道の道標が現れ、それに従って右折。集落の中を道標に従って進む。その先が少し迷いどころ。道標の指す先が民家の庭先。間違えたかと思って戻って矢印を確認したが、何度見直しても民家を指し示している。気をつけてみると、緑の旗がその先に点々と立っている。どうもこの旗が東海自然歩道に誘導しているよう。民家の先を通らせてもらい、害獣防止柵を通過して、栗畑の中を進むと舗装路にたどり着いた。このあたりはEADASのコースとはずいぶん異なる。舗装路を進むと200mほどで次の目標地にしていた明王寺が見えてきた。

 明王寺には11:40に到着。小ぶりな寺院ながら、庭の手入れがきれい。しかも境内に「東海自然歩道歩行者休憩所」という銘の小屋が建てられている。きれいに清掃された小屋のベンチで昼食とした。小屋のベンチには雑記帳が置かれていたため、感謝の言葉を記しておいた。

 明王寺から先が少し迷いどころ。お寺の前に幅の広い道が整備中だが、そちらには進まずに左手の山の階段に向かわなければならない。この道標が見にくい位置にある。

 階段を上り、山を越え、県道133号線に並行した山道を進み、切り通しで県道に出たところがちょうど三重県との県境だったところのよう。「従定南三重県管轄」(旧字で)と書かれた石碑が建っていた。実際には県道を200mほど南に進んだところに滋賀県甲賀市三重県伊賀市との市境・県境があった。

地図左の明王寺付近はEADASのデータとかなり離れている

 県境から200mほど進んだ先の左の法面に東海自然歩道の道標。ここから上っていくのかと思うような草だらけの法面だったが、階段で上部まで出ると広く整備された山道があった。ただし、雨の跡だったせいかかなり泥濘んでいる。山道を進むと大きな工場群が見えてきた。エコパレット滋賀と書いてある。山道はちょうど滋賀県三重県の境界線を走行しているよう。行政の境界近くというのは微妙な問題があるのか、道標がほとんど立っていない。少し心配だったが地図に見られる舗装路に出たところでようやく道標を見つけてホッとする。

 この先も道標に従って進むが、ここもEADASのコースよりもずいぶん南を進んでいる。ほどなく次の目標地の伊勢廻寺(いせばじ)に到着。ここにも東海自然歩道の歩行者に向けたベンチが設置してある。ありがたく小休止。

 伊勢廻寺の先は道標が頻繁に現れ、集落の中を右左に曲がりながら進む。その先で県道775号線に出たが、ここは交通量が多いが歩道がなく危険。大型のトラックも多い。そそくさと南に進み、再び三重県内に進む。県境から200mほどで左手の山道に進む。ここには道標が立っているが、見にくい位置にある。山道を東に進むが、ふたたび滋賀県境に近接した位置を進む。県境に近くなると道標が減る。ときおり現れる道標には、次の目標地の余野公園と柘植駅が出てきた。本日のゴールの柘植駅までは9.5km。国鉄柘植駅と書いてあるところを見ると、この道標は1980年以前に立てられたものか。

 この先で山道はいったん県道135号線に合流したが、再び山中を東に進む。左手にゴルフ場を見ながら進み、舗装路になったと思ったら草津線に突き当たり、南に200mほど進んだところで県道4号線の階段を上って、草津線の上を越える。その先が余野公園。快適な舗装路を1kmほど進んで分岐点を右に曲がって2kmほど砂利敷きの林道を進むと人家が見えてくる。

 その先に踏切が見えてきた。ちょうど遮断機が下りて紫色の1両編成の列車が通過。これは関西本線だろう。踏切を渡って200mほどでゴールの柘植駅。ここが草津線の終着駅となる。15:43に到着し、駅前の自販機で冷たい飲み物を購入。

このYAMAPデータは2022年5月6日に同じコースを歩いたジョンさんの記録から許可を得て転載

2022年9月24日 東海自然歩道10日目(通算211日) 滋賀県甲賀市信楽町紫香楽宮跡三重県伊賀市柘植駅 晴れ 29/18℃ 行動距離:28.9km 行動時間7:24 40000歩(推定) 行動中飲水量1000ml

復路交通:柘植16:08JR草津線草津17:03/17:06JR琵琶湖線南草津17:09

翌日 南草津 草津15:21-米原15:53/16:00JR東海道線-大垣16:34/16:41JR東海道線-岐阜16:52/名鉄岐阜17:32名鉄空港特急-18:36中部国際空港/ANA449 20:00-福岡空港21:30

2022年9月23日 東海自然歩道9日目(通算210日) 滋賀県大津市枝 湖南アルプス登山口~甲賀市紫香楽宮跡 引っ越しマニアの泡沫の夢

 本日は前泊した滋賀県大津市のホテルで5:30に起床。シャワーを浴びて、朝食を摂ってから7:30にホテルを出発。コンビニで食料を調達して、大津駅から7:56のJR琵琶湖線に乗車。

古い町並みの残る大津市

京阪電車が市街地を走る

大津駅から琵琶湖線に乗車

 大津からは快速で1駅の石山に8:00に到着。小降りながら雨が降っている。

 8:25に帝産湖南交通バスに乗車。瀬田川沿いに南に進む。瀬田川では雨にもかかわらず、レガッタの練習をしている。早い。一度やってみたいものだ。

石山駅からは帝産湖南交通バス

瀬田川では雨の中をシングルスカルとクワッドが練習している

 8:48にバスはアルプス登山口に到着。雨具の上着のみ装着して行動開始。すぐに新名神高速道路の建設現場を通過する。頭上では雨にもかかわらず作業を行う金属音が聞こえてくる。コースは舗装された林道で快適。

アルプス登山口バス停

快適な舗装路

新名神高速道路の巨大な橋桁を組んでいる

 9:07に富川道への分岐が現れる。こちらも東海自然歩道だと看板に書いてあるが、EADASには出てこないことから、東海自然歩道の支線ではないかと思われる。ここは直進して快適そのものの林間舗装路を快調に進む。

富川道は支線か?

 9:19に迎え不動を通過。琵琶湖が一望できるという堂山登山口を通過。今日は足元がずぶ濡れなので、片道30分ほどの寄り道をする気にはならない。

道路脇の迎え不動

堂山は琵琶湖を一望できるビューポイントのよう

雨のために堂山までの片道30分の寄り道をする気になれない

 その先で舗装林道を離れ、右の太神山(たなかみやま)登山道に進む。ここからは風化した花崗岩の山道となる。勾配はそれほどでもなく、歩きやすい。

舗装路から右の太神山登山道に進む

風化した花崗岩のような土壌

 ほどなく両側をスギの植林に囲まれた山道に変わり、10:04に泣不動を通過する。雨はかなり強くなってきた。

泣不動

 10:14に不動の鳥居を過ぎる。しばらく進み、10:24に太神山山頂に向かう分岐に着いた。東海自然歩道は左に下るコースだが、せっかくなので太神山山頂に寄り道しようと右折して進む。100mほどで神社に到着。ここには登山者のためか、屋根のあるベンチが設えてある。ここで小休止し、雨具のパンツとゲーターをしっかり装着する。

不動の鳥居をくぐる

山頂に寄り道

 10:48に行動を再開し、ほどなく高い櫓に支えられた本堂が現れ、次いで太神山山頂(600m)に到着。本堂は見事だった。山頂からは雨のため眺望はなかった。

高い櫓の上に立つ本堂

山頂には不動像

 山頂から東海自然歩道に復帰し、快適な砂利敷の林道を下る。右手に谷川を見ながら進む。小さな川だが、水量が増えて濁流となっている。

三筋の滝に向かって下る

 12:05に県道12号線に出た。ちょうどそこが大津市甲賀市の境となっていた。県道を南に進むが、交通量はそこそこあり、歩道はなし。

県道12号線に出た

 12:20に県道沿いの三筋の滝に到着。それほど大きな滝ではない。水量が多いためか、茶色い1.5筋ぐらいに変わっている。

三筋の滝

 さらに県道12号線を進むとMIHO Museumの看板とそば屋の看板が現れた。どちらも気になる。そば屋に立ち寄り昼食休憩とした。雨具を脱ぐと床がびしょ濡れになり、申し訳なかった。蕎麦は香りが高く、美味しかった。

 13:30に行動を再開。舗装路を進むとMIHO Museumのエントランスにそのまま続いていた。ルーブル美術館のガラスのピラミッドを設計したI.M.ペイの設計と聞いて心が動いたが、エントランスから乗り合いのカートに乗るには迷惑すぎる状態。あきらめて東海自然歩道に戻った。

MIHO Museumのエントランス

美術館まではバスで移動するのだがびしょ濡れでは、、、

 EADASの示すコースは国土地理院の地図に記載されているコースではなく、林道牧富川線を進むように示している。現在整備を進めているこの林道にコースを付け替えたのかもしれない。

 林道を進むと、リサイクルセンターで道が二股に分かれている。ここには標識はないが、左折して金網の横の狭い道を進む。ほどなく道標が出てきて安心する。

ここが迷いどころで、左に進む

 明るい林道から一転して、暗がりの谷間の道を進む。道が泥濘んでいる。

 15:03に小池に出た。集落の中を進み、県道16号線を横断し、大戸川を越える。

県道16号線を横断

大戸川はかなり増水している

 橋を渡った後は、真っ直ぐ小さな丘を登り、ササの生えた道を進む。目の前が開けて、信楽町黄瀬の町が眼下に現れた。その先には紫香楽宮跡の碑と説明板が立っている。

橋を渡って再び山中に

町が見えてきた

 せっかくなので紫香楽宮跡に立ち寄ってみる。石畳を歩き、礎石の置かれた広場を眺めながら北に進む。この都も南北にきっちりと建物が配置されているよう。たった5か月しか使われなかった都だというのが残念。

かつての都は雑木林の中

 ここからは住宅の中を縫うようにして進み、15:46に信楽高原鐵道紫香楽宮跡駅に到着して行動終了。

2022年9月23日 東海自然歩道9日目(通算210日) 滋賀県大津市枝 湖南アルプス登山口~甲賀市信楽町紫香楽宮跡 雨 24/22℃ 行動距離:21.9km 行動時間6:57 獲得高度892m 33552歩 行動中飲水量500ml

往路交通: 西新16:38福岡市営地下鉄福岡空港16:57/17:45ANA420-大阪伊丹空港18:55/19:10空港リムジンバス-京都19:55/20:08琵琶湖線-大津20:57(大津前泊)

大津8:11琵琶湖線-石山8:15/8:25帝産湖南交通バス-アルプス登山口8:48