とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

2020年6月13日 英彦山 1日目 彦山駅~豊前坊

 そろそろ県境を超えた活動も解禁という雰囲気になってきた。3月22日から中断している九州自然歩道のトレッキングを再開しようかなと思ったが、まだ九州では県をまたいだ高速バスがほとんど運行を開始していない。とくにトレッキングの再開地点の長崎県の現場まで行くのは大変な状況。

 やむなく今週末は福岡県内でお茶を濁しておこうか。しかし、週末の天気は悪い。梅雨前線が北上し、福岡には次から次へと雨雲が襲い掛かりそうな予報となっている。迷うところではあるが、週末は山で過ごしたい。ということで、本日土曜日も5:00に起床して、シャワーを浴びて機材の確認をし、5:52には家を出た。

 6:08の地下鉄に乗り、博多駅で6:56の福北ゆたか線に乗り換え、7:57に新飯塚に到着。ここで後藤寺線に乗り換え、8:18に田川後藤寺に到着し、日田彦山線添田駅まで。日田彦山線は2017年の北部九州豪雨で甚大な被害を受け、添田から終点の夜明までが不通となっており、現在は代行バスが運行中。今回も、添田から8:57分発の代行バスに乗り換え、彦山駅に9:10に到着。

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 彦山駅は意外ときれいに整備されている。昨年10月に九州自然歩道トレッキングで同様に代行バス彦山駅に着いた時(九州自然歩道#4 1日目 英彦山宇土浦越 2019年10月19日
https://nayutakun.hatenablog.com/entry/2019/10/21/163653 参照)には、路盤にはセイタカアワダチソウが勢いよく繁殖し、線路が見えないほどだったのに。現在、日田彦山線の鉄路再生に向けてJR九州と交渉中だから、再建できそうな雰囲気に整備しているのかな?

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 9:20に行動を開始し、彦山駅から南に緑川の集落に向かう。今日は交通量が少なく歩きやすい。9:54には2.6km歩いて緑川の九州自然歩道との分岐部に到着。10月に来た時には、まさか九州自然歩道が人家の庭を通過するとは思えず、何度もこのあたりを行ったり来たりしたのがこのあたり。

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 緑川で橋を渡り、日田彦山線の線路を超え、山道に入る。このあたりから雨が強くなってきたため、雨具とゲーターを装着した。この山道はひどい悪路。すぐに踏み跡はなくなり、藪漕ぎの連続となる。

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 ほんの1kmほどの山道を1時間かけて、10:57に貝吹峠に到着した。ここからは舗装路に変わり快調に進む。

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 11:08に国道500号線との分岐に到着した。九州自然歩道は200mほど進んだところから山道に進むはずであるが入り口が見つからない。やむなくグルっと迂回する形になるが国道500号線を先に進み、11:34に温泉宿泊施設のシャクナゲ荘に到着した。前回のトレッキングの際は、ここで温泉に浸かってから福岡に帰ったが、現在は閉館中。ここもコロナの影響だろうか?

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 さらに国道500号線を進み、12:04に英彦山神社のシンボルである銅鳥居(かねのとりい)に到着。ここからはまっすぐ下宮まで美しい石畳の参道が続く。

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 ところが、石畳を進み始めたころから、猛烈に風雨が強くなってきた。前が見えないほどの横殴りの雨のため、しばらく参道の木の下で雨宿りしたが、一向に弱まる気配がない。意を決して先に進み始めた。

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 通常ならば30分ほどの行程であるが、1時間近くかけて12:58に英彦山神宮(下宮)に到着した。屋根のある休憩施設があるため、ここでおにぎりのランチとした。下山中のベテランの方が、山の上の風雨は猛烈だったと教えてくれた。ツツジは見ごろになっているけど、風に飛ばされそうで、多分見る余裕はないとも。だんだん帰りたくなってきた。

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 下宮でお詣りを済ませ、13:20に行動再開。風雨は強いが、このあたりの参道は木に覆われているため、音はすごいが直接風は吹いてこない。石畳には雨が流れ、靴が滑る。

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 14:12に英彦山神宮中宮に到着した。だいたい山の5合目あたりに位置している。このあたりから杉の木がなくなり、風雨が極めて強く感じられるようになってきた。風が吹きつけているときは立ち止まっていないと危ない状況。

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 15:00にようやく英彦山神宮上宮に到着した。コースタイムよりも30分以上遅い。

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 ここは英彦山中岳にあたり、標高は1188m。ガスで視界はない。遮るものが何もない山頂は狂ったように風が吹いている。上宮は扉を閉じている。上宮のものと思われる瓦が、周囲に吹き飛ばされている。

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 ここに荷物をデポジットして、コースタイム30分ほどの英彦山の山群でもっとも標高の高い南岳(1199m)に向かおうとしたが、稜線を歩き始めたところで、風が強くて吹き飛ばされそうになったため引き返す。

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 次の目的地の北岳に向かって100mほど進んだところに、中岳の休憩所があった。屋根のある快適な休憩所。残念ながら今日は雨が降り込んでビショビショのためそれほど快適ではないが。しばらく休憩の後、行動開始した。

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 ここからは稜線伝いのゴロゴロの大きな岩の落差のある下り道。雨で滑る。風も恐ろしいぐらいに吹いている。

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 わずか800mほど先の北岳(1192m)には15:44に到着。風雨が強く、スマホのシャッターがなかなか反応しない。

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 さらにゴロゴロ岩の下り道が続く。ここで、強い風にあおられてバランスを崩し、頭から転落してしまった。スローモーションのように周りの風景が動いて、もうダメかと思ったら幸い木に引っかかって止まった。カランカランと音を立ててサーモスが下に落ちていく。自分の落差はほんの数メートルで済んだ。顔面を強打したが大した傷はない。両手、両足も動く。骨折もないよう。よかった。30年ほど前にパラグライダーで墜落したときと、状況が似ている。あの時もシーンがスローモーションで流れた。20年前はさらに高度差があったから、もっといろいろなことを考えながら落ちたなあ。

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 こんなことを考えながら木に引っかかったまましばらく動かずにいたが、これは動いたら再度滑落しそうな状況だったから。両手のトレッキングポールは落ちずに残っていた。右手のトレッキングポールを土中に深く突き刺して、これを支点にして滑落を防ぎながら、右に少しずつ移動してコースに戻ることができた。

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 安全な位置まで移動してようやく、足が痛いことに気が付いた。左足を強打したようだ。ここからさらに歩くペースが落ちてしまった。

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 600mの下りの行程に1時間をかけて、16:45に望雲台の分岐に到着した。望雲台まで100mと表示がある。どんなところかは知らないが、名前からはとても眺めの良いところだろうなと考えると、抑制が効かくなくなってしまった。荷物を分岐において、とりあえず行ってみることにした。

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 鎖場が雨でツルツルに滑る。しかし、ちょうどよいところにステップが切ってあるので、難しいことはない。

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 なんなく頂上まで到達し、眺望を堪能した。神のご加護のおかげか、この時だけ奇蹟的に雨が弱まり、美しい山々を眺めることができた。今度は滑落しないように、後ろ向きに慎重に鎖場の下まで降りた。

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 ここからさらに300mに30分近くかけて17:25に豊前坊という神社に到着した。ここは大きな登山口となっており、屋根のある休憩所がある。誰もいないが。ここに荷物を下ろし、雨具を脱ぐ。残念ながら雨具の中までびっしょり濡れている。

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 豊前坊の管理の女性が施錠して帰るところのようで、車に乗せてくれると言ってくれた。一瞬、心が動いた。しかし、丁寧にお断りし、先に進むことにした。

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 とはいえ、このまま縦走を続けるのも困難そうなので、近隣に2カ所ある野営場まで歩き、どこか快適そうなところを見つけてテントを張ることにしようと考えた。

 豊前からしばらく進み、18:15に九州自然歩道に沿ったところに屋根付きの休憩所があった。木に囲まれたここなら風も少し弱い。今日はここで活動を終えることとした。

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 テントの設営を始めたが、風が強くてなかなか設営できない。テントが飛ばされそうになる。休憩所の床はコンクリートのため、ペグが打ち込めない。細引きのラインで何とかテントを固定し、しばらく横になって身体を休めた。食事を作る気にもならない。

 20:00に猛烈な雨が降り始めた。やっぱり屋根の下でよかった。風が強く吹いている。今日は大変な1日だった。 

2020年6月13日 彦山駅豊前坊 大雨 気温25/21 距離16.7km 行動時間8:36 平均速度1.94km/h 31374歩