とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

井手ちゃんぽん

 ちゃんぽんというのは、鶏ガラや豚骨のスープにやや太めの麺(ちゃんぽん用の麺で、長崎ではかん水で製麺したもの)を入れて煮立てた麺料理で、野菜や豚肉、蒲鉾などの多種の具材をラードで炒めたトッピングを大きな特徴とする長崎発祥の料理である。さまざまな物を混ぜることを意味する「攙 (chān)」と、食物を油で炒めて調味料を入れ、すぐに火からおろし煮る料理法を意味する「烹(pēng)」を語源とするという説がある(Wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ちゃんぽん)。九州ではラーメン店のメニューにある場合も多く、ラーメンを食べに行きながらも、「今日はちょっとヘルシーに野菜を摂ろうかな」なんて殊勝な気持ちをちょっと感じたときには頼んだりする位置づけ。

 そんなちゃんぽんのありかたを変えそうなインパクトのあるちゃんぽん店が、ここ数年、福岡にじわりと進出してきた。ご存じの方も多いと思うが、チェーン店ではあるものの、圧倒的なボリュームと、なかなかクオリティの高いスープ、火力の強いコンロでシャキシャキに調理された野菜のちゃんぽんを提供する井手ちゃんぽんである。

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福岡郊外にある井手ちゃんぽん新宮店

 井手ちゃんぽんのホームページによると、昭和24年に佐賀県武雄市で初代の井手精市郎氏が営業を開始した千十里食堂が、炭鉱労働者を相手に野菜たっぷりのボリューム感のあるちゃんぽんを提供したのが始まりのよう。現在は3代目に継承されている。

 福岡には数年前に進出し、現在は3店舗ほど展開しているよう。いずれもテーブルとカウンターのカジュアルな店舗で、昼時は行列を作っていることもある。

 カウンターの向こうにはかまどのような大型のコンロが数基設置してあり、注文を受けるとゴーーっと大きな音を立てて野菜の調理を始める。

 井手ちゃんぽんの最大の特徴は、トッピングのモリモリモリの野菜。普通のちゃんぽんでもモリモリだが、私が定番としている野菜大盛りを注文すると、麺になかなかたどり着けず、前半戦はスープ掛けの野菜炒めを食べている感があり、とても麺料理とは思えない。時には上部から野菜が転落してきてテーブル周辺を汚染する惨事を惹起するほど。子供の頃、澤田屋のかき氷を食べたときにモリモリが過ぎて表層に固着した練乳の部分が滑落して残念な状態になった、あの盛りに似ている。野菜大盛りを注文した際には、麺を食べようと焦ることは禁物である。野菜タワーの崩壊を生じないよう、周辺部分から地道に野菜を処理して、麺を牽引した際にJenga現象が発生しないように注意しなければならない。

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定番の野菜大盛りちゃんぽん

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左が普通盛り、右が野菜大盛り

 スープもマイルドでコクがある。全部飲んだら1日7gのナトリウム摂取の限界を超えそうだと怯えながらも、丼の底面が見えそうになるまで啜ってしまう。

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少し豪華なトッピングの特製チャンポンもまれにオーダーする

 野菜を摂りたいなと思うときに訪れるが、ここで野菜大盛りちゃんぽんを食べると、食前と食後で1kg弱体重が増加する。いったいヘルシーな食事をしたのかどうなのか、疑問に感じてしまうところが難点である。